2022年08月26日
『有機農業をまるっと見る!!』最終回:シリーズまとめ
『有機農業をまるっと見る!!』シリーズでは、「有機農業」について、ホントのところを話していこう!と銘打って、6回にわたって投稿してきました。
有機農業は最近特に注目を浴びてきており、農水省も昨年から『みどりの食料システム戦略』を打ち出するなど、国を挙げて推進しはじめました。その目標は、「有機農業の農地を2050年に全体の約25%にする」というものですが、現状は0.5%にすぎません。
そこで、良し悪しといった価値観は置いておいて、有機農業の実態はどうなのか?、そもそも有機農業って何なのか?、持続可能な農業はどうやればできるのか?など、農業の可能性を掘り下げました。
シリーズ最終回である今回は、追求した内容を簡単に紹介します。興味が湧いたところがあれば、タイトルをクリックしてください。その回のシリーズ全文に飛びます。
シリーズ1:みどりの食糧システム戦略って?日本と世界の有機農業の現状
世界の有機食品売り上げは増加し続けていて、10年で倍増以上。世界中で有機食品への需要が高まっています。日本でもスーパーのオーガニックコーナーが増えていたり、同じ傾向にありますが、有機食品市場は世界平均を下回っています。
また、みどりの食糧システム戦略の最終目標である、有機農業取り組み面積についても、世界平均の半分にも達していません。
『有機農業をまるっと見る!!』シリーズ2 :欧米で有機農業が盛んな3つの理由
有機農業取り組み面積は国によって差が大きく、日本の0.5%に対して、イタリアは15.2%、オーストリアに至っては25.3%もあります。
日本と欧米で、大きな差がある理由は主に3つありますが、なかでも日本の政策や法律が整備されていないこと、制度化するまでの世論が形成されていないことが大きいです。
欧米が良くて、日本が遅れているというような単純な問題ではなく、価値観で動きやすい欧米人に対して、日本人は「有機農産物は安全と言えるのか?危険は農薬だけなのか?そもそも健康的で安全な食べ物とは?」といった根本的な問題に対し、慎重に判断しているように感じます。
『有機農業をまるっと見る!!』シリーズ3:「有機農業」「オーガニック」ってそもそもなに?
そこで、改めて「有機農業」「オーガニック」ってなんなの?を整理してみました。
「有機農業」「有機農産物」「オーガニック」を謳ったり表示してOKなのは、国の認証を取得しているものだけです。
認証を得るには、農薬や化学肥料を使わないことに加え、非有機認証の圃場からの距離や、管理記録の保管など、細かい条件が定められており、国の認証機関が毎年監査に来て厳しいチェックを受けます。
国は、本当に有機農業を広めたいと思っているのか、疑問に感じてしまうのは私だけでしょうか?
『有機農業をまるっと見る!!』シリーズ4:持続可能な農業とは?~植物の誕生からその生命原理を探る
近代農業が悪くて、有機農業が良いというような単純な問題ではなく、持続可能な農業を実現するには、植物の生命原理を解明しそれに則って農業をすることが必要なので、植物の誕生からその生命原理を探りました。
本来植物は、肥料をやったり、耕したりしなくても、自らどんどん繁殖していける仕組みを持っていることがわかりました。
私たちは農業をする際、「畑から持ち出した収穫物分は、畑に補わなければならない」というような発想で、肥料やら堆肥やらを投入しますが、それが本当に必要なのか疑問が湧いてきます。
実際、近代以降は、土中に肥料と農薬を大量に投入してきましたが、それによって、元々肥沃で合った大地が、砂漠(=砂)になってしまっていることからも、逆に土のなかの有機物は減り続けているということになります。
『有機農業をまるっと見る!!』シリーズ5:持続可能な農業とは?~植物の共生ネットワークを破壊する近代農法と有機農業の可能性
植物は自ら肥沃な土を増やしていく循環を作っているわけですが、なぜ、近代農法によって砂漠化が進んでいるのでしょうか?
植物と微生物や菌の共生関係が植物が繁栄する基盤になっているのですが、近代農法はそのネットワークを破壊してしまいます。有機肥料を施用した場合は、比較的自然の摂理に近い農法ですが、それでも肥料の種類や量を間違うと植物と土との関係を壊してしまうことになります。
有機農業であっても、自然の摂理を理解することが植物本来の力を引き出すために大事なのです。
『有機農業をまるっと見る!!』シリーズ6:持続可能な農業とは?~持続可能な農業の主役は炭素。土中炭素をいかにして増やすか?
人間は、化学肥料と農薬を多用する近代農法によって、一過的な増収を実現したものの、植物本来の生存戦略を無視したために、植物が何千年もかけて作ってきた豊かな土壌をわずか50年で砂漠化してしまっているのです。地力を維持するのとは反対に、壊しているのです。
逆に言えば、植物の生態・摂理に即した農業ができれば、化学肥料や農薬に頼らず、収穫量も見込める農法が可能かもしれません。
そこで、これまでに追求してきた自然の摂理に則った「再生農業」の具体的な方法を、シリーズ6で整理しました。
シリーズ6回分をダイジェストで振り返りました。
一番の驚きは、シリーズ4で紹介したように、植物は光合成で自ら作り出した栄養分の大半を土中に放出し、微生物や菌類に与えているということです。逆に、微生物や菌類からは植物が必要とするミネラルをもらっているのです。共生関係のネットワークが重要で、この生物の生命原理に則ってこそ、持続可能な農業=再生農業が実現することがわかりました。
シリーズ6では具体的な再生農業の方法を紹介していますが、実用化のためにはまだまだ課題山積で、実地検証も含めて今後も更なる追求をしていきます。
また、日本だけでなく全世界が国を挙げて推進している有機農業ですが、その目的は何なのか?が疑問として残ります。この間のロシア・ウクライナ戦争によって化学肥料が値上がりし、農業現場では国内で調達できる堆肥が見直されるなど、食料生産の自給自足へと向かう大きな潮流を感じていますが、全く無関係ではなさそうでここも追求したい課題です。
残課題はあるものの、有機農業シリーズは一旦今回で終了とし、次回から新シリーズを立ち上げます。
植物は微生物や菌類と共生することで、お互いに繁栄してきました。人類はその共生関係を壊すことで自らを窮地に追い込んでしまったのです。
人類も生物の中のひとつである以上、生物の生命原理、自然の摂理を踏み外してはまともに存在できません。食品にしろ医療にしろ、現代人は自然の摂理からはみ出してしまっているのではないかと危惧されます。
そこで、次のシリーズは、『腸が作る健康の秘訣』と題して、健康、食事、医療について扱う予定です、楽しみにしていてください。
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2022年08月20日
【ロシア発で世界の食糧が変わる】8~ロシア主導の世界へ。世界が自給自足国家へと大転換していく未来シナリオ~
前回の投稿では、ロシアを取り巻く国家間の結束について見てきました。2010年以降、ロシア・中国・BRICS・ウクライナらの国々は、歩調をキレイに合わせたかたちで、食糧増産計画⇒自給自足体制の構築を実現してきました。
そして、これは単に「食糧増産」という目的だけでなく、欧米系の金融資本家(ロックフェラー・ロスチャイルドなど)を凌駕し、「世界の覇権を握る」という、より上位の国家戦略のために力を合わせてきたのではないかと見てきました。
今回の投稿では、新興国(ロシア・中国・インド・ウクライナら)が目指す次なる社会像と、日本で予測される食糧改革について大胆に予測してみたいと思います。
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2022年08月19日
『有機農業をまるっと見る!!』シリーズ6:持続可能な農業とは?~持続可能な農業の主役は炭素。土中炭素をいかにして増やすか?
前回までの記事で見てきたように、植物は土中微生物との共生ネットワークの中で、健全に育ち、また何世代も生育し続けられる環境を自ら作るメカニズムを持っていることがわかり、さらに、化学肥料を施すことは、そのメカニズムを壊して、土を砂漠化させていくことがわかってきました。
私たちは「同じ土地でずっと作物を作り続ければ、地力が低下して作物は生育しなくなる」「だから肥料を施さなければならない」と考えがちですが、実際はそうではないことがわかってきました。植物は歴史上、肥料なんかなくても、同じ場所で何百年、何千年と世代を繋ぎ、それどころか生息域を拡げてきました。
人間は、化学肥料と農薬を多用する近代農法によって、一過的な増収を実現したものの、植物本来の生存戦略を無視したために、植物が何千年もかけて作ってきた豊かな土壌をわずか50年で砂漠化してしまっているのです。地力を維持するのとは反対に、壊しているのです。
逆に言えば、植物の生態・摂理に即した農業ができれば、化学肥料や農薬に頼らず、収穫量も見込める農法が可能かもしれません。今回の記事では、そのような「再生農業」についてみていきます。
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2022年08月18日
『食農ブームはどこに向かう』追求の足跡~どこへ向かうか
シリーズ食農ブームは今回で最終回になります。
まずこのシリーズでの追求の足跡をダイジェストで入れておきます。
最初は軽い気持ちで始めたこのシリーズでしたが、結構いろいろと新しい動きについて発見できました。
最後にそれでいったい「どこへ向かうのか」をシリーズを通して考えてみました。
シリーズ「食農ブームはどこに向かう?」プロローグ
当ブログではこれまで農業を生産活動や産業の一つとして見て記事を作ってきましたが、さて、その考え方や今は古いのではという思いに立ちこのシリーズを初めてみたいと思います。つまり、農業の可能性として見た場合、最新の方向性として大農業、小農業とは違う”プチ農業”がひとつあるのではないでしょうか?誰もが明日からでも始められる専業でも兼業でもない、第3の農業のありようです。そしてこの新しい農のあり方は、同時に人々の食への意識の変化からも来ているように感じます。
『食農ブームはどこに向かう?』シリーズ1:食農ブームって何?
野菜や果物など、食べ物を自分たちで育てて、収穫する→大切に育てた作物を食べる。その過程の中で、農業や食事について学んでいく取り組みのことを言います。各個人単位から自給自足の意識が芽生え始めているのは、大きな可能性と言えるのではないでしょうか。
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ2 家庭菜園~貸し農園~週末農業 様々なプチ農業の実態
プチ農業の入門編は家庭菜園です。一時的なものではなく、始めた人がほぼ継続したいと答えているように10年以上続ける人が3割以上居ます。
貸し農園は中部圏ではコロナ前と現在で約10倍の契約件数があるとも言われ、今後の拡大がかなり期待されています。
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ3 食農ブームはいつから、なぜ起きた?
このような偽装や不正問題、食料を介しての健康危機によって「自分たちの命を人任せにしていられない」身近なところから、自分たちのできる範囲で、自給自足の動きが生まれている。これが今後の農業の大きな可能性とも言えます。
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ4 昔の農家と今の食農ブーム 何が違う?
食農ブームは確かに新しい農への流れの小さな動きかもしれない。
江戸の惣村と同じような課題と外圧があり、生きるために農業をしていく、そういう集団が登場し牽引できるかどうかだろう。
そういう意味では食農ブームと同時に牽引していく集団再生が必要なのは確かだと思う。それがどう登場していくか、この食農ブームと別軸で見ておく必要がある。
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ5 若者の農業・仕事に対する意識の変化
農業法人に就職する「新規雇用就農者」と新たに農業経営を開始する「新規参入者」が増加傾向に。農業コンサルをやりたいという学生も、よくよく話を聞いてみると、地域づくりがやりたい、人を繋ぐ仕事がしたい、が本音のよう。農業にのめり込む学生たちも、農業を通した人とのつながりや、みんなで成果を出す達成感を求めているのかもしれません。
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ6 「おてつたび」は、なぜ成功したか?
自然収束、人収束、地域収束と課題(仕事)収束が重なって、なおかつ受け入れ側の人不足や人を育てたいや、地域の閉塞感を打破したい等お互いの求めるものが重なってこういった新しい事業が生まれたのではないかと思うのです。
起業者の永岡さんはそこに目を付けたのだろうが、31歳の彼女自身がかつての起業家やベンチャーとも一味違い、単純に必要なもの通しを繋げたという「楽しい」をベースにして起業を始めたところも注目すべき点だろう。
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ7 改めて”農業に必要な能力”とは
農業に必要な特別な能力はありませんが、人類が本来持っている人類の人類たる能力を再生し、さらにはどんな仕事にも通用する共認形成力を身につけるのに、農業は最適な職業だと言えます。
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ8 生き抜く力も担い手育成も実現!子どもの頃から農に触れ合う可能性
幼少期~中高生の間に、いかに農業の現場に触れる機会があるかは、農業の次世代の担い手育成という観点から見ても、カギを握りそうです。
多くの人との関わり、試行錯誤が子ども達の根っこを育て、地域という大地にしっかり根をはる。 大きな木に育ち、地域にたくさんの実を還元する。子ども達の成長が地域の未来をつくる。
「食農ブームはどこに向かう」・・・それで、いったいどこへ向かうのか?
最初の直感として農業という職能の捉え方の話ではないかなと感じていました。
農業があらゆる産業の一つであり、選択肢であり、市場主義のもと工業化、都市化が進み農業は今やどんどん衰退し、誰も担い手が居ない産業の一つになっていった。だから農業を再び復興しよう、農業はそういう発想でよいのかという点です。
今回扱った食農ブームとはそういう動きとは別に人々が自主的にむしろ積極的にその生きる場を郊外や地方、さらには脱市場へ自給へと向かっています。一方でこのブログの記事中でも扱ってきましたが農業を通じてすっかり堕落した人類の本来持っている能力の再生にも可能性があるのではないかと感じ始めています。
私事で恐縮ですが、先日私もわが社の持つ農園に援農という形で1日だけですが農業を体験させていただきました。日頃都会でデスクワークを中心に活動していますがそこで経験した農業の楽しさ、体を使って丸一日仲間たちと収穫する楽しさはなんとも言えない解放感に満ちたものでした。これをもし子どもの頃に一定期間、経験していたらきっと農業に対する見方も人や生命に対する見方も変わっただろうと確信しました。
今日農ブログの仲間と話していたら、それは一種の「本能の解放」なんじゃないか、という結論に至りました。コロナ禍を経て人々は無意識に本来どこに向かうべきか「本能の解放へ」を模索しているのではないか、その一つの方向が食農ブームではないかと思ったりするのです。
「食農ブームはどこに向かう」と問いの答えもここにあるのかもしれません。脱都市、脱市場、脱密室から仲間収束、自然収束、自給収束・・・・消費する主体から生産の主体へ。単なるブームではなく農業に人々が可能性を発見し始めている端緒だと思います。後はこの流れを人々の主体性に任せるのか、企業や国が後押しするのか、今後の分かれ目だと思います。
既にこの数年で多くの企業が農業を始め、国がそのハードルを下げている。若い人たちも農業に可能性を感じつつ、一体何が魅力なのかを探り始めている。小さな流れを大きなうねりに変えていく、そこには集団を個人にいかにコミットさせていくかが鍵だと思っています。
また、どの層がそれを主導していくのかも重要です。農ブログの仲間で話していて思ったのは30台前までの若者ではないかという意見が出ました。このブログで扱った「おてつたび」の主宰者も31歳の女性です。最も閉塞感に敏感で可能性を求めている世代がその主役としてリードしていく日も近いかもしれません。今後、「新しい農のかたち」を探る当ブログもそこをしっかりと応援していきたいと思います。
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2022年08月11日
新しい「農」のかたち~この1年の追求成果:農を追求することで人類課題のすべてを押さえられる
この1年間で追求してきた当ブログ。この先の追求テーマの設定に向けて一旦ダイジェストにしてみます。
【 】でテーマをくくっていますのでそこのキーワードを並べてみます。農ブログは多彩なジャンルにまたがるテーマを扱っており、まさに農を追求すれば現在の人類的課題の全てが押さえられるといっても過言ではないと思っています。
実際この1年で追求してきたテーマはバランスよく以下の7テーマを追求してきました。まだ着手していないのが医食同源のテーマと林業、漁業です。また、環境や自然科学は追求すれば、次の追求していきたいテーマが出てきて、果てしない状況です。現在追求中のテーマも後、1,2回の投稿で一旦締めますので、次のテーマ設定に移っていきます。またテーマ設定にはこのブログを読まれている読者の方からの意見も反映させていきたいので、ぜひコメント欄に追求してほしい、してみたいテーマを記載下さい。
歴史系)[農の歴史] 【農業と政治】
共同体系)【農村学校をつくろう!】【食農ブームはどこに向かう?】
自然科学系)【有機農業をまるっと見る!!】
経営、経済)【稼ぐ農】
環境問題)【土の仕組みを探る】【種】
世界情勢)【世界の農と食】【ロシア発で世界の食糧が変わる】【食糧問題】
医療・食料問題)
林業・漁業)
この1年間の追求テーマのダイジェストです。プロローグとまとめをセットで入れていますので、問題意識と追求した足跡を同時に見ることができます。夏休みで少しお時間のある方はクリックして覗いて見て下さい。
【第1クール】
[農の歴史】第1回 人類はいつ、なぜ農耕を始めたのか
↓
【農の歴史】シリーズまとめ~歴史に学ぶ農の可能性と危険性
農から考える自然の摂理~【土の仕組みを探る】シリーズ、始めます!
↓
農から考える自然の摂理~【土の仕組みを探る】:これからの農業を考える羅針盤として
【農村学校をつくろう!】シリーズ-1~農業は子育て・教育再生の切り札になるか!?
↓
【農村学校をつくろう!】シリーズ-まとめ~農を核とした、人⇒集団⇒地域⇒社会の再生
【第2クール】
【農業と政治】シリーズ、はじめます~農協は、農業・農家・消費者に何をもたらしてきたのか
↓
【農業と政治】シリーズ 最終回:日本人のお上意識が農業を農協の意のままにしてきた
【食糧問題】シリーズ:イントロ~世界で食糧問題が起こる構造に迫り、持続的な安定供給できる生産・流通の仕組みを探る
↓
【食糧問題】シリーズ10(最終回):「自分たちの生きる場は、自分たちで作る」からこそ農業に活力が生まれる
【世界の農と食】シリーズ:イントロ~世界の農は近代的な大規模農業から、どう構造転換していくか?~
↓
【世界の食と農】まとめ~世界の農を巡る覇権争いは、これからどうなる?~
【第3クール】
シリーズ『種』1プロローグ~持続可能な農業の要は「種」!
↓
シリーズ『種』10~DNA信仰が、植物本来の力を失わせた元凶~
『稼ぐ農』シリーズ1~稼ぐ力の基盤は何か?
↓
『稼ぐ農』シリーズ10 経営する力って何?
【第4クール】現在進行中~
【食農ブームはどこに向かう?】プロローグ
【有機農業をまるっと見る!!】プロローグ:有機農業のホントのところを話していこう
【ロシア発で世界の食糧が変わる】プロローグ ロシアのウクライナ侵攻で、世界の食糧どうなっていく?
参考:「農」ブログの中間振り返り ~「農」の追求は環境、自然科学、歴史、食、医療、共同体、教育、国際社会、金融、市場、全てに広く繋がっている。
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2022年08月10日
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ7 生き抜く力も担い手育成も実現!子どもの頃から農に触れ合う可能性
本シリーズも残り2記事となりました。
前回は「農業に必要な能力とは?」というテーマで、
>人類が本来持っている人類の人類たる能力を再生し、さらにはどんな仕事にも通用する共認形成力を身につけるのに、農業は最適な職業だと言えます。<
というお話がありました。
この視点は、子どもたちの人材育成・教育においても、重要なポイントではないでしょうか。
これまで、農業従事者が減ってきている実態や、大学時代に農業を学んでも別の仕事に就く子が多いという事例を紹介してきました。
幼少期~中高生の間に、いかに農業の現場に触れる機会があるかは、農業の次世代の担い手育成という観点から見ても、カギを握りそうです。
■農業の担い手育成の実態・可能性は?
「農業を仕事にしよう!」となったときに一番最初に思い浮かぶのは、農業高校・専門学校などに進学するというイメージが一般的でしょうか。
そもそも、農業高校の始まりは、明治期に遡ります。当時は「地域のイノベーションリーダー的な存在」で、美味しい作物を安定的に供給することが当時の農業にとって一番重要な課題だったのでしょう。
※画像はこちらからお借りしました。
しかし、現代の農業高校生の進路状況を見ると、毎年、約26,000人の生徒が農業高校を卒業しており、その約半数が卒業と同時に就職するが、そのまま農業に従事する生徒は就職者の5%を切っていると言います。
大半の生徒は農業とは直接関係ない製造、販売などの企業に就職するか、まったく異なる分野の大学・専門学校などへ進学しているケースが多いのです。
農業を取り巻く状況・環境は刻一刻と変化しています。たくさん作れば、その分売れるという簡単なものではなく、これから生き残っていくためには、前回のブログでもご紹介したように、ブランディング戦略や地域・集団をまとめていく力が不可欠です。
だからこそ、「次世代の担い手育成」を実現するためには、農業教育のあり方も、時代に合わせて変えていく必要があると思います。
どんな仕事をしようかと?考え出してから農業に触れるのではなく、もっと小さい頃から身近な存在だったらどうでしょうか。みんなで協力して成果を上げる楽しさや自然の偉大さ、ありがたみという“実感”が、職業選択にもつながってくるかもしれません。
また、その経験の中で、周りを巻き込む人間性や、自然外圧(天気、季節など)に応じて判断する能力が磨かれるとしたら、農業は人材育成にもってこいとも言えるのではないでしょうか。
■農業×子どもたちの学びをデザインする「ジュニアビレッジ」
最後に、農業を通じた人材育成を実現する「ジュニアビレッジ」をご紹介したいと思います。
チーム作りから栽培、商品開発、販売、さらには事業報告会・コンテストまで、1年を通して取り組むそう。年間25~30回程度のワークショップや実践で構成されています。
小中学生が参加し、社長、デザイン、セールス、畑管理・アグリテックなど役割分担も自分たちで決定。
※画像はこちらからお借りしました。
そんなジュニアビレッジの理念は・・・
「これからの時代を生きる子ども達に必要な学びとはどのようなものでしょうか? これからの時代にあるべき地域の姿とはどのようなものでしょうか?わたしたちは、その1つの答えに「農」があると考えます。科学から文学。企画から経営。子ども達が「農」を通じて、それぞれの興味関心に応じた探究を進める学びの体験をつくります。
多くの人との関わり、試行錯誤が子ども達の根っこを育て、地域という大地にしっかり根をはる。 大きな木に育ち、地域にたくさんの実を還元する。子ども達の成長が地域の未来をつくる。
そんな地域社会全体でつくる学び場がジュニアビレッジです。」
参加者からは、人を救うような仕事がしたい、仕事に対するイメージが変わった、といった感想も寄せられています。
生き抜く力を身につけることも、農業の担い手育成にもつながる。子どもの頃から農に触れ合うことは、もっともっとたくさんの可能性を秘めている気がしてなりません☆
<参考>
農業人材の未来を拓く学びとは
https://news.mynavi.jp/techplus/article/agribusiness-9/
ジュニアビレッジ
https://drive.media/career/job/32888
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2022年08月10日
【ロシア発で世界の食糧が変わる】7~ロシア。中国をはじめとして新興勢力は世界の支配構造、脆弱なシステムを解体し、新たなシステムを構築しようとしている~
ロシアによるウクライナ侵攻を契機とした食糧危機により、食糧政策に力を入れてきた「新興勢力(ロシア、中国、をはじめとしたBRICs)」が世界の主導権を握っていこうとしています。
※画像はこちらからお借りしました
これまではロシアの農業政策について触れてきましたが、今回は新興勢力である中国やインドがどのような食糧政策を行ってきたのか、そして新興勢力がどのような世界を描こうとしているのかを見ていきたいと思います。
・参考:世界の勢力図の転換。ロシア・中国・BRICSが新たな経済圏を作り出しつつある
◯新興勢力が世界に食糧を供給している
世界の穀物生産量を見ると、ロシア、中国、インドが上位5位に入っています。
※グラフはこちらからお借りしました。
ウクライナ侵攻に伴って価格が高騰した小麦だけに限って見た場合、総務省が発表している「世界の統計(2022)」によると中国・インド・ロシアが上位3位を占めています。
※グラフはこちらからお借りしました。
今回の世界的な食糧危機により、食糧生産力が世界の主導権を握る上で重要だということが世界に示されました。
そして、強い影響力を持っている国のほとんどが新興勢力なのです。
◯世界最大の穀物輸出国である中国とロシアの繋がり
ロシアが2010年代に大きく農業政策を行い、農業輸出国にまで上り詰めてきました。
中国もまた2008年の食糧危機以降に、国家食糧備蓄政策として「3つの保護農家利益の保護、食糧市場安定の保護、国家食糧安全の保護)」を打ち出し、穀物生産量を10年の間に1.5倍にまで伸ばしてきています。
※グラフはこちらからお借りしました。
中国が食糧政策に力を入れた時期はプーチンが食糧政策に力を入れ始めた時期と重なっており、習近平は今年からロシアからの小麦輸入を拡大することを表明していることからも、両国の繋がりが強いことが想定されます。
中国はロシアだけでなくウクライナともつながっています。
ウクライナと中国は2012年より中国と農業開発プロジェクトを結んでおり、食糧分野において協力関係にあります。
今回の侵攻を食糧という軸で見るとは、背後に新興勢力の繋がりが見え隠れしています。
・参考:価格高騰だけではすまない、ロシアと中国が世界を食料危機に突き落とす
◯インドがITを基盤とした農業により新興勢力の覇権はより強まる
インドは1960年の食糧危機をきっかけに、農業の近代化(緑の改革)に舵を切りました。
1970年に食糧自給を実現しますが、種・農薬・肥料を買い続けなければならない苦行と、近代化による田んぼの荒廃に悩まされ続けました。
しかし、2014年に発足したモディ政権が緑の改革に続く新たな農業政策を推し進め、2016年に「電子国営農業市場(eNAM)」を設立したことにより、農業の様相が変化し始めています。
その他にも、2015年に土壌健康カード(SHC)を開始し、近代農業によって劣化した土壌の対策も行うなど、ITを通じた農業改革を進めていっています。
世界の名だたるIT企業が開発拠点に置くほどIT先進国であるインドにおいて、ITと農業がつながることによって、今後同国の農業は大きく転換していくことが予想され、新興勢力の食糧を基盤とした影響力はさらに強まっていくことになります。
※画像はこちらからお借りしました。
◯新興勢力はどのような世界を描こうとしているのか
今回の食糧危機は、欧州系の金融勢力や米国系の軍事・石油勢力によってつくられてきた「グローバリズム」と呼ばれる世界システムは脆弱であることが強く示されました。
ロシアや中国をはじめとした新興勢力は、 それらの世界の脆弱なシステムを解体し、新たなシステム(経済、農業、流通、貨幣システム)を構築しようとしているのかもしれません。
そのためにも、支配する勢力を解体するためにウクライナ侵攻により世界的な食糧危機を起こし、西欧諸国で首相などのトップ層が相次いで辞任している状況を生み出しています。
新興勢力はこれまでの支配構造、勢力の解体を行おうとしています。
次回は新興勢力が描こうとしている世界をもう少し具体的に見ていきます。
【参考】
・世界食糧危機の中、なぜ中国には潤沢な食糧があるのか?
・中国のしたたかな戦略 危機感薄い日本
・農民の困窮とモディ政権の農業政策
・インドの食料問題と食料政策
・インドの農業・貿易政策の概要
・小麦生産量世界有数のインド、輸出を一時停止「食糧安全保障に対処」
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2022年08月05日
【ロシア発で世界の食糧が変わる】7~世界の勢力図の転換。ロシア・中国・BRICSが新たな経済圏を作り出しつつある~
前回までの投稿では、ロシアは、もともと食糧輸入国で脆弱でしたが、2000年代のプーチン勢力になって以降、国内農業の保護と、企業に大規模投資によって、わずか20年間で、世界を代表する農業大国へと成長を遂げました。この並大抵では実現できないような大改革を遂げたロシアですが、その背後には、世界的な勢力争いの中で、制覇国としての実現するための大きな布石だったと思われます。
そこで今回の投稿では、世界の勢力図はどのようになっているのか?、そして、ロシアは現在、どのようなポジショニングを取っているのか?について見ていきたいと思います。
画像は、こちらからお借りしました。
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2022年08月03日
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ6 改めて”農業に必要な能力”とは
「食農ブームはどこに向かう?」シリーズでは、
を扱ってきましたが、今回は生産者側の視点から”農業に必要な能力”とは何か?を考えてみます。
誰にでもできるのが農業
農業をやるにあたって、なにか特殊能力が必要なわけではなく、誰にでもできるのが農業です。実際、江戸時代には人口の約85%が百姓でしたし、現代でもロシアでは国民の大半が週末に農業を営んでおり農産物流通量の8割がそうした兼業農家によって担われています。
特殊な能力は必要ありませんが、多種多様な生物の中で人類だけがいろんな作物を栽培していることからわかるように、人類が普遍的に持っている農業をするのに必要な能力があります。
農業に必要な能力
農業は、植物を観察しその生態を把握することなしにはできませんし、天候や病害虫に対しても、深い洞察力によって因果関係や構造を理解し先手を打って対策する能力が必要です。
このような「対象に対する同化力」や「構造認識力」は、すっかり衰弱している現代人からみると特殊な能力のように感じてしまうかもしれませんが人類誰もが持っている能力であり、体格的にも身体能力的にも劣る人類が生き延び繁栄できたのもその能力のお陰です。
それでも、自然を対象にしている農業は、干ばつなどの異常気象や害虫の大量発生など、個々人の力だけではどうにもならないことが多々発生します。農業は村落共同体の相互扶助が不可欠で、平時であっても水の管理や獣害対策など集団の力なしには成立しません。さまざまな外圧を集団の課題として共認し、役割を決めて集団で課題を突破する「集団統合力」これも人類が普遍的にもっている能力で、農業に不可欠なものです。
農業には絶対的な正解など存在せず、失敗が付きものです。それでもあきらめずに、状況の変化に応じて常に追求し続けることが求められます。逆に、失敗してもあきらめずに追求すれば必ず成果は出ます。「あきらめない、負けない心」強いて言えば、これが必要な能力の一番根底かもしれません。
農業は能力育成に最適な職業
「同化力」「構造認識力」「集団統合力」は、本来人類誰もが持っている能力なのですが、現代人は都会で生活することで自然外圧と対峙する機会が減り、村落共同体を失い、人類本来の能力を失ってきました。
長年農業をやっている人は、天気予報以上に正確に天候予測ができますし、「植物に異変がある時は、植物の声が聞こえる」と言う程、自然に対する同化力が磨かれています。
現在でも地域の共同作業が多くあり、日常的にも地域で助け合いが残っている農業は、集団統合力を育成する場としても適しています。
農業で身につく力はそれだけではありません。現代、農業で稼ぐには良い作物を作るだけでは不十分で、その価値を広めるためのブランディング力=共認形成力を身につけることで市場経済の中で勝っていくことができます。どうしたらその能力が身につくのか、それは失敗してもあきらめず、成果が出るまで仲間と追求し続けることです。
農業に必要な特別な能力はありませんが、人類が本来持っている人類の人類たる能力を再生し、さらにはどんな仕事にも通用する共認形成力を身につけるのに、農業は最適な職業だと言えます。
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posted by matusige at : 2022年08月03日 | コメント (0件) | トラックバック (0) TweetList
2022年08月01日
『有機農業をまるっと見る!!』シリーズ5:持続可能な農業とは?~植物の共生ネットワークを破壊する近代農法と有機農業の可能性
前回の記事では、無機物だらけであった地上に、バクテリアと植物が有機物を作り出し、すなわち「土(鉱物の粒である砂に、有機物が混ざったもの)」を作り出していった過程を見てきました。植物は、バクテリアたちがわずかに作り上げた有機物の循環ネットワークを家族度的に拡大し、自らの生きる場を自分たちで拡大していったのでした。
一方で、近代農法が普及して以降、もともと肥沃な土壌で覆われていた広大な大地がどんどん砂漠化していっています(豪州やアメリカなど各地で報告されています)。
元々、植物は自ら肥沃な土を増やしていく循環を作るわけですが、なぜ、砂漠化が進んでいるのでしょうか?
そして、持続可能な農業というのは可能なのでしょうか?
今回の記事は、そのメカニズムを掘り下げます。
(画像はこちらからおかりしました。)
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posted by o-yasu at : 2022年08月01日 | コメント (0件) | トラックバック (0) TweetList