2019年12月13日

土の探求14~土壌生物の生業Ⅲ.地下社会の再生

抗生物質が与える、目先の利は大きい。

一方、土壌生物が形成してきた広大な地下社会を、それは破壊してきた。

その流れを逆転させされる可能性を、いくつかの事例は示し始めている。

 

以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)

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2019年12月05日

土の探求13~土壌生物の生業Ⅱ.”地下経済”のメカニズム

私たちの足下=土の中、で繰り広げられる、土壌生物たちの壮大な取引。

その中心にいるのが、微生物だ。

いまだ未知の領域が大きいとされる微生物の世界を解明していくことが、

やはり農の再生においても不可欠の追求テーマになるだろう。

 

以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)

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2019年12月03日

「世界人口が増え、食料危機が起きる」のウソ-世界中の農業専門家が作り上げたフェイクニュースの実像に迫る-

2050年、世界人口は74億人から96億人に増加し、その時には未曽有の食糧危機がおきると一般的には言われている。

これから紹介する記事は、昨年、キャノングローバル戦略研究所の研究主幹:山下一仁氏【研究分野農業政策・貿易政策】が投稿した記事であるが、これまの常識にメスを入れて、その背後の事実関係に迫る内容となっている。

転載開始リンク

尚、本文中のグラフ1~3は割愛します。ご覧になりたい方は、元リンク先に移動願います。

転載開始

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◆農業専門家たちが振りまく「世界的食料危機」

世界各地で開催される農業や食料の国際会議で、決まって言われることがある。

2050年には世界の人口は現在の74億人から96億人に約3割増加する。さらに経済発展で一人あたりのGDPが増加し、都市化も進展するので、穀物をエサとして生産される肉や乳製品など畜産物への需要が高まる。これは穀物の需要を大きく増加させる。総じてみると、世界の食料生産を60%程度増加しなければならない――というものだ。

このような見解を広めたのはFAO(国連食糧農業機関)であるが、日本の農林水産省も同じような見通しを公表している。日本だけでなく世界中の専門家たちが同じようなことを言うので、私もそうなのかなと思っていた。

今年オランダで開かれた会議で、このような意見を紹介した大学教授に、素朴な疑問をぶつけてみた。

「あなたは、発表の中で世界の人口が今後35年間で74億人から96億人へ22億人増加すると言ったが、過去35年間に人口はそれを上回る30億人も増加している。過去に対応できたことが、なぜ今後もできないのか?さらに、2050年に突然人口が爆発するのではない。人口が段階的に増えていって食料危機が起きるのであれば、穀物価格も今から徐々に上昇を続けているはずである。ところが、穀物の実質価格は過去1世紀半ずっと低下している。これをどう説明するのか?」

彼は答えられなかった。答えられないはずである。これは、FAOや農林水産省など世界中の農業関係者によって作り上げられたフェイクニュースなのだ。 

食料危機と価格高騰は「短期的」に起きる

食料危機が起こるとどうなるのか?

日本で起きた大きな食料危機は1918年の米騒動と終戦後の食糧難だ。共通しているのは、米や食料品価格の高騰である。供給が需要を満たさないので、価格が上昇した。輸出の急増、生産の大幅減少という一時的、突発的な事由による出来事であった。

世界で起きた食料危機としては、1973年、2008年の穀物価格高騰が挙げられる。これも、世界の穀物生産の減少やソ連の大量穀物買い付け、アメリカの政策変更によるトウモロコシからのエタノール生産の増加という一時的な事由によるものであった。

これらの食料危機は、いつもは穀物や食料品の価格が低いのに、天候不順などの何らかの突発的な理由で需給のバランスが崩れ、価格が急騰するというものである。これは、槍のように突出することから、”price pike”(pikeは「槍」の意味)と呼ばれている。 

◆農業専門家が叫ぶのは「恒常的」な食料危機

これに対して、2050年にかけて生じると言われる食料危機は、恒常的に供給が需要の増加に追い付かないという構造的な理由から、価格が上昇していくというものである。これまでの食料危機が一時的、一過性のものであったことに比べると、恒常的なものである。

2008年には、米の輸入が減少したフィリピンでは、配給を受けるために多くの人が行列を作った。このような事態が、毎年続くというわけだ。

このとき、穀物や食料品の価格は一時だけ高くなるpikeではなく、恒常的に高くなる。この説が本当なら、人口や所得の増加は2050年に突然起こるのではなく徐々に増えていくのだから、穀物や食料品の価格は2050年の高い水準に向けて、今から上昇しているはずである。

ところが、事実は逆だ。

下のグラフ1は、アメリカ農務省作成による、物価修正をした、トウモロコシ(Corn)、小麦(Wheat)、大豆(Soybeans)の過去約100年間の国際価格の推移である(トウモロコシの価格が1.5倍になったとしても、一般的な物価水準が2倍になっていれば、トウモロコシの実質的な価格はむしろ下がっている。物価修正というのは、インフレやデフレという要素を除いて実質的な価格を見ようというものである)。一時的なpikeはあるものの、これらの価格が傾向的に下がっていることは間違いない。この間の人口の増加は4倍を超える。これこそ人口爆発と呼んでよいのに、恒常的な食料危機は起きていない。

次のグラフ2は、トウモロコシ、米、小麦について、1960年を100とした国際価格(物価修正をした実質価格)の推移である。1985年ころから2005年ころの20年間は1960年の半分くらいの価格水準であり、それ以降も1960年を上回るのは例外的な年だけである。穀物価格は長期に低位安定していると判断すべきであろう。長期的に起こると言われる食料危機の匂いすら感じない。

◆人口は2.4倍、穀物生産は3.4倍

理由は簡単である。食料供給の増加が人口や所得による需要の増加を上回っているからである。

次のグラフ3は、1961年の数値を100とした世界の人口、米・小麦の生産量の推移である。人口は2.4倍だが、米、小麦とも穀物生産は3.4倍である。このような穀物生産の増加が、穀物価格が低位にある理由である。

食料危機を煽る人たちは、世界の農地面積の増加が期待できない中で、単位面積当たりの収量の増加が鈍化しているので、農地面積に単位面積当たりの収量を乗じた世界の穀物生産の伸びも期待できないと主張してきた。

しかし、上のグラフからは、そのような傾向は見当たらないし、それが本当であれば、穀物価格にすでに反映されているはずであるが、そうではない。むしろ、ICTやAI、バイオテクノロジーなどによって、単位面積当たりの収量はこれまで以上に増加する可能性がある。

さらに、世界には、ブラジルなど農地面積の大幅な増加を期待できる地域がある。日本の農地は450万ヘクタールに過ぎないのに、ブラジルではセラードと言われるサバンナ地域(アマゾンではない)だけで1億ヘクタールほどの利用可能な農地があるという。

2008年川島博之・東大准教授がこのような見解を発表した時、いくら農地があってもそこから港湾などへの輸送インフラが整備されなければ、食料供給は増えないのではないかと考えていたが、近年ブラジルではインフラが急速に整備されてきている。 

◆食料危機説の本音

食料危機が起きる可能性は少ないのに、なぜFAOや農林水産省などは食料危機を煽るのだろうか?

食料危機で最も利益を得るのは農家である。餓死者も出た戦後の食糧難時代、農家はヤミ市場に農作物を売って大きな利益を得た。飢えに苦しんだ都市生活者は農家の庭先に出かけて、高飛車な態度をとる農家から、貴重な着物と交換に食料を貰い受けた。着るものが箪笥からだんだんタケノコの皮を剥ぐようになくなっていくことから、”タケノコ生活”と呼ばれた。インフレで減価する円よりも農産物の方が、はるかに購買力があるという不思議な時代だった。

農家にとっては一時の繁栄だったが、この時の農家の対応を今も根に持っている人は少なくない。食い物の恨みは消えない。ちなみに、輸入がないので、このときの食料自給率は100%である(今は38%)。

これからも分るように、食料危機への対応や食料安全保障は本来、消費者が主張することであって、農家や農業界が主張することではない。これらの目的のために食料の安定供給という義務を課されるのは農家である。終戦時のように、増産や政府への供出という不利益処分を強制されるかもしれない。

食料危機の際には政府によって最も不利益な扱いを受けるはずの農業界が、最も声高に食料危機への対応を求める。このような不思議なことがなぜ起きるのだろうか?

理由は単純である。日本の農業界だけでなく、FAOに代表される世界の農業界にとって、食料危機を叫べば、生産を増やすべきだということになり、農業保護を目的とした彼らの組織への予算の増加が期待できるからだ。

農業界とは、国際機関、農林水産省などの国の組織、大学農学部などの試験研究機関、農業団体だけではない。農業経済学者、農業や食料問題の専門家と称する人たちも、こぞって食料危機を唱え、マスコミもこれに便乗する。食料危機は起きないという記事は売れないが、起きるという記事は売れる。不安を駆り立てられ、真偽を判断する材料を持たない一般の人たちは、これらの”専門家”を信じるしかない。

こうして作り上げられたのが、2050年食料危機説である。 

◆まして日本では起きない食料危機

なお、農業界の主張通り、万が一世界に食料危機が発生し、穀物価格が高騰したとしても、日本では食料危機は生じない。

世界の穀物価格が3~4倍に高騰し、途上国の多くの人が食料配給の長い列に並んだ2008年、我が国の食料品の消費者物価指数は2.6%上昇しただけだった。飲食料品の最終消費額に占める農水産物の割合は15%、うち穀物を含めた輸入農水産物は2%に過ぎないからである。

このとき食料危機を感じた日本人はいないはずだ。穀物価格高騰という食料危機が発生しても、フィリピンのような国では食料危機が生じるが、所得水準、経済力の高い日本では、痛痒を感じることなく輸入を継続できる。国際市場で日本が”買い負ける”という報道を見かけることもあるが、一部の特殊な高級食材で買えないことが起きたとしても、よほど日本の経済力が低下しない限り、穀物などのコモディティーを買えなくなるようなことは起きない。

日本に起こる食料危機とは、軍事的な紛争等によりシーレーンが破壊され、外国の船が怖くて日本に近づけないような時である。東日本大震災で生じたように、食料への経済(金銭)的なアクセスではなく、物理的なアクセスが途絶するケースである。

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以上転載終了

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2019年11月28日

土の探求12~土壌生物の生業Ⅰ.遺物のリサイクル

自然農法、有機農業、循環型農業。。。

様々な呼び名があれど、問いの本質は、土の秘めたる力をいかに再生させるか。

そのためにはまず、土に生きる生命たちの生業を解明していく必要がある。

いよいよ本編の主役、微生物の登場。

 

以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)

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2019年11月21日

土の探求11~サー・アルバート・ハワード

事実追求の信念を胸に奮闘する研究者が、必ずしも時代の寵児になるとは限らない。

それは、農業界にも言える。

サー・アルバート・ハワード。

今から80年前、彼は既に、近代化学に立脚した農業が滅びゆく姿を見抜き、本来あるべき方向を示していた。

時代が本源を求め始めた現在、私たちは改めて、心ある研究者たちの発信を真正面から受け止めるべきではないか。

 

以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)

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2019年11月14日

土の探求10~窒素大量供給の功罪

あらゆる動植物にとって、むろん農業生産においても不可欠な元素=窒素。

そして、高性能爆薬の製造に不可欠な材料、でもある。

 

近代以降、加熱する戦争需要と、戦火で荒廃した農地での収穫高維持に応えるために促進された、窒素(化合物)の開発・供給。

結果、過剰なまでの窒素供給は、戦争経済のさらなる活性化と、化学肥料拡大による農作物収量の倍増をもたらした。

一方で人類は、生命環境に不可欠な存在であるはずの窒素を、逆に環境破壊の一因にさせてしまうという事態を引き起こす。

 

以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)

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2019年11月12日

足元に流れるは宝の山! 下水道資源が生み出す安心・安全な農作物

前回は、日本の農業における送粉者(昆虫)の重要性について、お話しましたが、今回は農業に欠かせない「水」のお話です。

江戸時代、畑の堆肥として使われたのは、人糞でした。明治時代においても人糞は貴重な肥料であり、高値で引き取られていたようです。

さて、現代社会では、汚水・雑排水は、公共下水道管に放流させ下水処理場で浄化され、海や川に直放流されます。

先日の台風でも、あまりにも降水量が多かったために公共下水道からあふれた水が、道路にあふれ、台風が過ぎ去った後、道路表面に汚泥が溜まるという状況になりました。

現代社会では、何かと嫌がられる下水道の水ですが、下水処理場で浄化し処理した水を農業用水としてに再利用する試みを行っている自治体があります。今日は、その自治体の試みを紹介します。

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転載開始【リンク

家庭や工場から排出される汚水は、下水管を通り下水処理場で処理されたのち、川や海へ戻されます。こうした処理過程で発生する汚泥や処理水が、農業の現場で活躍しているのをご存知でしょうか。山形県鶴岡市では、これらの下水道資源を農作物の栽培などに活用する取り組みを先進的に行っています。産官学の連携によって生み出される数々のアイデアからは、地域農業の活性化と地産地消を目指す関係者の創意工夫と、環境保全への飽くなき探究心がうかがえました。

■下水道の利活用がもたらす未来への希望

私たちの暮らしに欠かせない水。生活用水として使用された汚水は下水処理場で処理され、海や川へと戻されます。この、処理された下水(処理水)や処理の過程で発生する汚泥にはリンや窒素、カリウムなど肥料に欠かせない有機物が含まれています。

このうち汚泥はしばしばコンポスト(堆肥)に生まれ変わり、循環資源として使用されていますが、処理水は川や海に戻すのみ。大切な資源が循環せずに一方通行しているのが現状です。これを受け、国土交通省では平成25年8月より下水道資源(再生水、汚泥肥料、熱・二酸化炭素等)を農作物の栽培等に有効利用し、農業等の生産向上に貢献する取り組み『ビストロ下水道』を推進しています。

山形県鶴岡市では平成29年に「下水道資源の農業利用に関する共同研究協定」を山形大学、JA鶴岡、株式会社日水コン、水ingエンジニアリング株式会社、株式会社東北サイエンスと締結。産学官が連携し下水道資源の利活用の普及に取り組んでいます。

「下水処理にはたくさんのコストやエネルギーが費やされています。せっかくきれいにした処理水をそのまま戻すのは、単純にもったいないですよね。これを農業に利用すれば、限られた資源をムダなく使うことができます」

こう話すのは、プロジェクトのキーパーソンである山形大学農学部の渡部徹教授。下水道資源の農業利用(以下、『ビストロ下水道』)は、経済的なメリット以外にも、地域住民の環境への意識を高める可能性を秘めていると指摘します。

「一昔前までは添加物を含む食品や調理に使った油がそのまま下水道に流されることも多かったと聞きますが、時代と共に食の安全や環境への配慮が叫ばれるようになり、下水道環境も改善されています。この状況を維持するためにも、日々の暮らしの中でルールを守り、環境に配慮しながら下水道を使うことは大切です。『ビストロ下水道』は、地球環境問題のような遠い世界の話ではなく、身近な食の問題から皆さんの環境配慮行動を喚起することができると考えています」

渡部教授は、都市工学の研究者として水の安全、水と健康をテーマに上下水道を研究してきました。農学系に移った現在は、処理水を用いた飼料用米栽培などの『ビストロ下水道』研究を行っていますが、収穫物の安全にこだわる姿勢は変わりません。

「鶴岡市では、私が現在の職場に赴任する前から、コンポストセンターの設立や下水処理過程で発生する消化ガスによる発電事業など、下水道資源の有効利用に積極的に取り組まれていました。職員も前向きな方ばかりで、鶴岡市であったからこそ、私も『ビストロ下水道』に関する研究を自由に展開することができたと思っています」と、教授は振り返ります。下水道資源のさらなる農業利用手法の確立とその実用化を目指して、研究を進めていくとのことです。

下水道を地域の資源循環の拠点に! 一歩先ゆく、鶴岡市の取り組み

鶴岡浄化センターの一角に建つビニールハウス。ここでは現在、下水処理過程で発生する消化ガスによる発電の余熱を使い、ミニトマトのハウス栽培を行っています。このように下水道資源を使って栽培した農産物は『じゅんかん育ち』と呼ばれ、国土交通省の調査によると一般的な化学肥料と比べて「おいしくなった」、「生育が良くなった」という報告が届いています。

実際にこのビニールハウスで育てられたミニトマトを食べてみると、違いは一目瞭然。みずみずしい食感に加え、さっぱりとしつつも果実を凌ぐほどの甘さを感じました。

鶴岡市では平成31年3月に、『じゅんかん育ち』のホウレンソウを学校給食に提供。全国初となるその取り組みは令和元年度(第12回)国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」のイノベーション部門賞を受賞しました。

『じゅんかん育ち』をはじめ、鶴岡市が下水道資源の利活用を積極的に取り組む背景には、穀倉地帯である庄内地域特有の事情が関係していると、鶴岡市上下水道部の有地裕之参事は分析します。「畜産が盛んではないこの地域は、家畜由来の堆肥が不足しているため、汚泥を使ったコンポストが普及しています。そのことが、汚泥以外の下水道資源についても農業に利活用する後押しとなりました」

しかし、下水道に対する印象から、『ビストロ下水道』に抵抗を感じる生産者や消費者がいるのも事実。これに対しJA鶴岡では、下水道資源の安全性と農産物への効果の立証を担うことで資源循環の普及に努めています。

「JA鶴岡の管内では30年以上前からコンポストを使用しているため、生産者の多くは下水道資源の活用に一定の理解があります。地域循環資源としての下水道資源をさらに活用し、おいしい農産物を消費者に届けることが私たちの役割の1つです」と、JA鶴岡の今野大介さんは話します。

10年以上前からコンポストを使用し、庄内地域の特産品である「だだちゃ豆」を栽培する加賀山雄さんも「従来の化学肥料よりも少ない使用量で、化学肥料以上の効果が得られます。さらにコストも低いので助かります」と、太鼓判を押します。

このほか、コンポストをはじめとした汚泥由来の有機肥料には、土壌中で有機物の分解を促進したり、病原微生物を抑制する働きを持つ枯草菌や乳酸菌、光合成細菌等の有用微生物の活性化に寄与する効果もあるとされています。継続的な使用で、土の団粒構造の形成や病原微生物の抑制がより促進されることも期待できるそうです。 

■下水道資源の高いポテンシャルを活用し、新たな食文化の確立へ

コンポストや消化ガス発電の余熱による農作物の栽培と並行し、鶴岡市では水産業での下水資源活用にも取り組んでいます。鶴岡浄化センター内に整備された実験池では、処理水を使用したアユの養殖が行われ、約2000匹を飼育。これは、処理水が含む栄養分に注目した試みで、実験池で育つ藻を食べたアユは天然物のようなさわやかな香りを帯び、味の評価も上々とのこと。今後は育成方法などの検証を重ね、資源循環の取り組みを前進させる計画です。

また、浄化センターの管理・運営を担う株式会社東北サイエンスの長澤庄治社長は、山形を代表する特産品「サクランボ」の栽培にもチャレンジしていきたいと話します。「庄内のサクランボは6月から出荷が始まります。冬季に消化ガス発電の余熱でハウス内を温め、生育を早めることで5月の出荷を実現させ、“母の日サクランボ” を作ることを目指しています」

このように、取材に協力いただいた多数の関係者から次々と生まれるアイデア。それを実践するアグレッシブな姿からは楽しさが垣間見えます。この、産官学の垣根を超えた一体感こそが、先進的な取り組みへとつながっているのでしょう。

「鶴岡市はもともと環境への意識が高く、地域の財産である農業を通じて地域を活性化したいという思いが根付いています。鶴岡市が地域資源循環のモデルとなり、下水道資源の利活用を全国に積極的に伝え、さらなる広がりを作ることが現段階での目標です」と、プロジェクトを取りまとめる株式会社日水コンの佐々木俊郎さんは話します。下水道と食をつなげる『ビストロ下水道』による資源循環は、地域の農業から地球環境に至るまで、多くの課題の解決に向けて一石を投じることでしょう。

海の幸・山の幸に恵まれた豊かな食文化を有し、先人たちの知恵と情熱によって独自の食文化を今に伝える鶴岡市は平成26年12月に 「ユネスコ食文化創造都市」に認定されています。継承されてきた食文化に、下水道資源を活用した農作物が当たり前のように加わる日を目指し、鶴岡市の挑戦はこれからも続きます。

以上転載終了

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■まとめ

これまで、近代農業では農作物が効率よく大量に生産できれば、農薬や化学肥料を大量に投与し、まさに、その収穫が確保できれば、なんでもありという状態が主流でした。

しかし、鶴岡市では、下水道処理場で浄化したポテンシャルの高い水を再利用し、農作物を元気に育てるだけでなく、今後、アユなどの養殖にも活用する試みを行なおうとしています。

下水処理場では、バクテリアなどの微生物が下水の汚れを食べることを利用して、 水をきれいに処理します。【リンク

この水の循環経路を紐解くと、人間が放流した汚水・雑排水をバクテリア・微生物が分解し、分解して得られた栄養豊富な「水」を今度は野菜などの肥料として再利用する。まさに、水を介して循環型の社会の可能性を実現してはいないでしょか?

地域農業の活性化と地産地消を目指す創意工夫、環境保全への飽くなき探究心の賜物です。それでは、次回もお楽しみに

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2019年11月07日

土の探求9~遺伝子組み換え作物が招いた、無用な”いたちごっこ”

栽培効率の向上と減農薬を謳い文句に、遺伝子組み換え作物は導入された。

しかしそれから数十年経った現在、いまだ目標は実現されていない。

それどころか、導入によって引き起こされた新たな問題が、無用な”いたちごっこ”を農家たちに強いている。

そして最も重要なことは、”いたちごっこ”に奔走する一方で、農業の未来議論に欠かせない本質課題=土壌肥沃度の再生、その追求が捨象され続けてきた、という事実だ。

 

以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)

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2019年10月31日

農作物が収獲できない!世界各地で昆虫が減少~その背後に存在する危機

現在、農ブログでは、土の探求をしていますが、今日は、視点を変えて、農作物と生物、特に送粉者である昆虫類に焦点を当ててみたいと思います。

まずは、日本の農業における送粉者(昆虫)の重要性とは?について紹介します。

GROW RICCI 【リンク】からの転載です。

転載開始

農業に携わる中で「昆虫」に対するイメージにはどのようなものがあるでしょうか。農作物に害を与える「害虫」としてのイメージが強い人もいるかもしれませんが、昆虫の中には「送粉者」としての役割を担うものも少なくありません。

◆送粉者(昆虫)とは?

送粉者は、 “植物の花粉を運んで受粉させ(送粉)、花粉の雄性配偶子と花の胚珠を受精させる動物のこと” を指します。花粉媒介者、授粉者・ポリネーターと呼ばれることもあります。 

◆送粉者の役割

送粉者の役割は、植物の花粉を運び、受粉させることです。送粉者自身が意識的に授粉を行なっているわけではありませんが、種子植物が有性生殖を行う上で、受粉は重要な過程です。送粉者など動物を使って受粉を行う植物は、花弁や蜜、匂いなどに工夫を凝らし、動物を引き寄せる必要が生じますが、送粉者が花粉を運んでくれることで、植物は自分の遺伝子を拡散することができます。 

◆送粉者の種類

送粉者は約20万種あると推定されています。その大部分は昆虫であり、もっともよく知られている送粉者はハナバチ類(ミツバチやクマバチなど)です。ハナバチ類の体は毛で覆われています。毛で覆われた体は帯電しており、花粉が付着しやすいという特徴があります。また後肢には花粉籠と呼ばれる構造があり、意図的ではありませんが、その構造を使って花粉を花から花へと運んでいきます。

また鱗翅目に属するチョウやガも送粉者としての役割を担うことがあります。他にもアブや一部の甲虫、アザミウマやアリ、脊椎動物ではコウモリなど、送粉者の種類は多岐にわたります。

◆送粉者がもたらす農業への経済価値

なお少々古いデータにはなりますが、国立研究開発法人農業環境技術研究所が面白いデータを発表しています。平成28年2月に発表された日本の農業における送粉サービスの経済価値を評価では、送粉者がもたらす農業への経済価値について報告されています。ここで記載されている「送粉サービス」とは、農作物が果実等をつけるために必要な、花粉を媒介する機能を指します。

農作物の生産額と花粉を媒介する機能への依存割合を集計して経済価値を推計したところ、

・送粉サービス総額 約4,700億円

・人為的に送粉者として用意した昆虫によるもの 約1,400億円

・野生の送粉者によるもの 約3,300億円

と算出されました。送粉サービスの総額は、耕種農業(植物を利用して行う農業。動物を利用するのが畜産農業)の8.3%に相当すると言われています。送粉者としての役割を担う昆虫がもたらす経済価値は、それなりに高いと言えるのではないでしょうか。

以上転載終了

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このように、送粉者として重要な役割を担う昆虫に今何が起きているのか?

2019年2月に BBC NEWS JAPANに紹介された記事を転載します。

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世界各地で昆虫が減少、害虫は増加傾向に=研究【リンク】からの転載です。

転載開始

世界中に生息する昆虫の40%が「劇的な減少率」で個体数を減らしていることが、最新の調査で明らかになった。

それによると、ハチやアリ、カブトムシなどは、ほ乳類や鳥類、は虫類と比べて8倍の速さで減少している。その一方で、イエバエやゴキブリといった一部の種は数を増やしているという。

昆虫の全般的な減少は、集中的な農業や殺虫剤、気候変動などが理由とされる。

昆虫は地球上に棲む生物の大半を占めており、人類を含む動植物に重要な恩恵をもたらしている。

鳥やコウモリ、小型哺乳類には食べ物を与え、世界の穀物の75%の受粉を助け、土を作り、害虫の数を抑制する。

近年の研究では、ハチなど特定の種が、特に先進国で大きく個体数を減らしていることが明らかになっていた。

しかしバイオロジカル・コンサヴェーション」に掲載された新研究では、過去13年間に発表された73件の既存の調査結果を網羅し、そこから全般的な見解を導き出した。

それによると、昆虫の減少は世界中ほぼ全ての地域で起きており、向こう数十年で全体の40%が絶滅する恐れがある。現在、昆虫の3分の1が絶滅危惧種だという。

この研究を主導した豪シドニー大学のフランシスコ・サンチェス=バヨ博士はBBCの取材で、

①農業や都市化、森林伐採などで生息地を奪われたこと が、昆虫が減少している主な要因だ と説明した。

その次に、世界中の農業で使われる肥料や殺虫剤の影響や化学物質による汚染 が挙げられる。

3つ目は生物学的要因、つまり侵略種や病原菌によるもの。

4つ目には、特に熱帯地域で大きな影響を与えている気候変動がある。

研究では、近年発表されたドイツで急激に減っている飛翔性昆虫の動向や、地球温暖化によってプエルトリコの熱帯雨林の昆虫が減っている事例なども取り上げられている。

他の専門家も、今回の研究結果は「非常に残念だ」と話している。

イギリスの昆虫愛護団体「バグライフ」のマット・シャードロウ氏は「これはハチだけの問題でも、あるいは受粉や我々の食糧だけの問題でもない。例えば糞を土に戻してくれるフンコロガシや、川や池で生まれるトンボといった昆虫も減少している」と指摘する。

地球の生態系が崩壊していること、この悲惨な流れを食い止め逆転させるために世界規模で集中的な努力が必要になっていることが、ますます明らかになった。昆虫の緩慢な絶滅を引き続き座視するなど、合理的ではない」

◆害虫は増加傾向

研究では、昆虫の減少が食物連鎖の上流に与える影響についても懸念を示している。多くの鳥類やは虫類、魚類にとって昆虫は主な食料であり、昆虫の減少は結果的に、こうした生物の絶滅にもつながる可能性がある。

一方、人間にとって特に大事な昆虫が危険にさらされている中、一部の昆虫は環境の変化に適応し、数を増やすだろうとの指摘もある。

最新の豪研究には関わっていない英サセックス大学のデイヴ・グールソン教授は、「繁殖サイクルの速い害虫は、温暖化や、繁殖速度が遅い外敵の絶滅によって、数を増やすだろう」と話した。

「我々が将来、特定種類の害虫増大に悩まされる一方で、ハチやアブ、チョウといった人間にとって有用な素晴らしい昆虫、動物の糞を処理してくれるフンコロガシといった益虫を全て失ってしまう可能性は十分にある」

グールソン教授によると、強じんで適応力が高く雑食のイエバエやゴキブリといった昆虫が、人工の環境に馴染みやすく、殺虫剤への抵抗力を付けていると述べた。

その上で、今回の研究は危険信号を発しているものの、殺虫剤を使わないこと、有機的な食品を選ぶこと、昆虫にやさしい庭造りをするなど、我々にできる対処法はあるとしている。

また、昆虫の減少に関する研究の99%は欧州と北米のもので、アフリカや南米の資料はほとんどないことから、さらなる調査が必要だという。

究極的には大多数の昆虫が絶滅しても他の種に取って代わられるが、それには長い長い時間がかかるという。

「過去に起きた大絶滅を見てみると、その後には大規模な適応放散(一つの祖先からさまざまな種が生まれること)が発生する。少数の種が新たな環境に適応し、絶滅によって空いた席を埋め、新しい種に進化する」と、グールソン教授は説明する。【リンク】【リンク

「つまり100万年たてば、20世紀と21世紀に絶滅した生物の代わりとなる多様な新生物が生まれていることは間違いない」 

「我々の子供の世代には、何の慰めにもならないが」

以上転載終了

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◆まとめ

このように送粉者である昆虫は、植物が有性生殖する上で欠かせない存在である。現在、世界中の農業で使われる肥料や殺虫剤の影響や化学物質による汚染によって、その昆虫が減少していくことは、農作物の収獲が全く見込めなくなるだけではなく、現在の生態系をも破壊し、人類だけでなく全ての地球上の生物類を滅亡させていく危機を孕んでいます。

そもそも、農業は、人類が生存していくために開発された生産様式だったはず。ところが今や、反対に生存そのものを脅かす様式に変化している事実。

私達は、この農業に端を発した生態系の危機的状況に対峙し、正しい農業様式は何か?をしっかり追求し、将来に繋げていかなければならない。

それでは次回もお楽しみに!

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2019年10月31日

土の探求8~革命を阻む、根拠なき常識Ⅱ

農業を取り巻く”神話”の正体を知れば知るほど、

近代科学、市場主義、西洋思想、これらに毒され、

事実追求の道が阻まれてきたという歴史的事実が浮き彫りになる。

 

以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)

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