食料問題シリーズ7:食料不安を煽って、無理やり増産してきた農業生産は持続可能か? |
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2022年02月10日
食料問題シリーズ8:「大量生産、大量消費の食生活」から「人と人の繋がりのなかで充たし合う食生活」へ
さて食料問題シリーズもなかなか大詰め。前回はこの食糧問題そのものを、国連が不安をあおりながらプロパガンダしている事実をおさえました。
そもそも世界全体でみると食料は十分足りているにも関わらず、飢餓の地域が出来てしまう事実。そして世界全体をどんどん食糧増産の方向にもっていこうとする流れ。これらの背景には、食料という生物の最基底部の課題が、市場拡大という大きなグローバライゼーションの波に飲み込まれていることを意味します。
富める先進諸国が、モノカルチャー化した後進国を支配しながらその労働力を搾取し、緩やかな支配構造を作り出している現実を私たちは受け止める必要があります。
そしてその支配の構造を生み出している組織こそ国連なのです。
しかしこの国連が推し進めるグローバル化の流れは今後も続くのでしょうか?この50年間で2.7倍になった単位面積当たりの食料生産量を今後さらに拡大し続ける必要はあるのでしょうか?
そして日本はその戦略に乗る必要はあるのでしょうか?
この辺りを追求したいと思います。
1.日本は大量生産型農業には向いていない
では日本の土地を改めて見てみると、日本はその土地の66%を森林が占めるという、世界でも有数の森林保有国です。
これは逆に言うと、アメリカや中国などが実行している「大規模な農場をつくるには不向き」で、コストがかかってしまいます。
例えば日本の棚田は、非常に風情はありますが、その手入れは非常に人の手間がかかり、機械化が進まない現実があるのです。
それでも日本の米は、ほぼ国内消費量を国内で賄っているので、日本の農家は結構頑張っているのです。
では大量生産を目指さないとすればどのような方向を目指すべきなのでしょうか?
2.地産地消で食料自給を目指す
2つ前の回でも少し触れましたが、日本の食料自給率を大きく下げている原因は、食の欧米化にあります。肉食、パン食などが、日本で生産されていない食料を消費する要因になっているのです。
そしてそのような食料を輸入するにはもちろんエネルギーを消費します。この食糧を輸送するためにかかるエネルギー消費などの環境負荷を数字化したフードマイレージという指標があるのですが、日本はなんとワースト1位なのです。
そんな欧米化した食生活をグローバル化した食生活と捉えると、本来日本が目指すべき食生活が見えてきます。それは「地産地消」です。
地産地消とはその土地で取れた新鮮な野菜や魚、肉をその土地で食べるということを言います。そうすることで輸送にかかる環境負荷も大きく削減することが出来るし、何よりもその土地で取れるものは新鮮でおいしいということがあります。
では日本において地産地消は可能なのでしょうか?
3.求められるのは人と人の繋がりがある食生活
日本の食生活の欧米化の流れは戦後から始まっています。当時の日本は戦後の焼け野原から奇跡的は発展を遂げ、経済大国に至る流れで、人口もどんどんと増え、そして若者の農村離れが社会問題となっていたような時代です。
しかしそれは国が発展するためには必要な流れで、特に農業から工業に主要産業の転換に舵を切った日本は、その後GDP世界第2位にまでのし上がり、世界が一目置く経済大国になることが出来ました。
よって食糧生産は海外に依存してでも、国内の産業を発展させるという大きな方針があったのです。
しかし現在はどうでしょうか?
豊かさが実現された日本において、多くの人は物質的な豊かさでは満たされないということに気付き始め、もっと人と人との関わりの中での充足を求めるようになりました。
そして地産地消の食生活は、生産者と消費者の距離が非常に近くなります。人と人の繋がりがある食生活なのです。
豊かさが実現した日本において求められる食生活かたちは、「大量生産、大量消費の食生活」から「人と人の繋がりのなかで充たし合う食生活」へということなのです。
次回はこの地産地消をより掘り下げて行きたいと思います。
投稿者 sue-dai : 2022年02月10日 TweetList
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コメント
投稿者 デモクラシーサンデー : 2022年2月12日 08:18
毎回、拝読しています。
私は、約1年前から楽天市場を通じて野菜や魚、米、卵など日常的に食べる物を農薬や化学肥料をほとんど使わずに、有機農業で作っている農家などから購入しており、実質的に地産地消のようなことをやっています。
今回のブログの内容の通り、やはりもっと多くのみなさんが欧米型の食事をやめ地産地消の国内消費で和食中心の食事に改めれば、日本の農業は活性化すると思います。