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2013年08月12日

【農を身近に★あぐり通信vol.7】人糞が、農業の未来を変える!?

暮らしに役立つ「あぐり通信」をお届けします 今日のテーマは、食べ物の源=肥料についてです
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食べ物を食べたとき、私たちの身体にはどれくらいの割合の栄養が吸収されているかご存知ですか
 
実は、3割程度しか吸収されておらず、残りは、身体の外へと出されてしまっているそうなんです。せっかく食べているのに、もったいないな、と思ってしまいますよね
 
戦前までの日本では、「これは、もったいない」「もっと使い道あるんじゃないか!?」ということを考え、肥料として有効利用してきたそうです。
食べ物の7割の栄養源が分解・凝縮されているモノ(人糞)を、田んぼや畑の肥料へと使っていたのです 食べ物がまた、大地へと還っていく循環型社会ですね
 
しかし現在は、「人糞は、健康・環境に悪いから」ということで、莫大なエネルギーをかけて、下水処理されています。やはり、これだけ人口が増えると有効活用は難しいのでしょうか・・・
 
今回は、「田んぼ・畑のエネルギー源」とも言える”人糞”に焦点を当て、可能性があるのか!?を考えてみたいと思います :D

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それではまず、かつて日本で、どのように肥料が使われていたのかを見ていきましょう
 
■農業の高い生産力を支えていた”肥料(人糞)”

日本の農業の歴史は、「人の糞尿」の歴史であるといっても過言ではありません。この人糞を中心とした肥料を用いることで、収穫量を増大させてきたわけです。
 
室町時代に日本を訪れた朝鮮通信使が、「日本では人糞や家畜の糞を肥料とし、農作物の生産高が非常に高い」という記録を残しています。お隣の朝鮮国ではこの時代まで糞尿肥料は使わず、日本に比べて農業生産力が低かったことが窺えます。
肥料とサラダの関係性

他国と比べても、日本の農業の生産力は高かったのでしょうね そのヒケツが肥料にあったことが分ります。
 
しかし、第二次世界大戦でアメリカに敗れたことにより、この伝統・文化が転換します。
 
 
■戦後、アメリカからの圧力により、肥料の規制がかかる
マッカーサーが政府に物申す、「不衛生!人糞禁止!!」

人糞中心の日本農業は収穫量を増大させましたが、同時に伝染病や回虫などの寄生虫といったリスクを抱えました。
 
マッカーサー元帥指揮下の進駐軍が、日本の野菜でサラダを食べたところ「寄生虫」に悩まされました。「寄生虫がいるなんて、不潔な国だ!今すぐ人糞肥料の使用を中止させろ!」と日本政府に迫ったそうです。慌てた日本政府は「寄生虫予防会」を各市町村に作り、人糞肥料から化学肥料へと一大転換が行われたのです。
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1922年からの8年間、日本人の寄生虫感染率は全国平均で52,7%、1949年には63%にも上っていました。
 
この数字は化学肥料の普及に並行する形で、下降の一途を辿り今日に至ります。このことから日本人はサラダを食べないことで、収穫を増大させる人糞肥料を推進してきた、もしくは生野菜を食べないことで寄生虫の伝染病などと程よく付き合ってきたとも考えられそうです。野菜に火を通す、この文化は、日本人の「暮らしの防衛術」だったのかもしれません。
肥料とサラダの関係性
画像はこちらからお借りしました。

人糞を肥料として利用していた時代は、寄生虫の問題も考え、野菜は生で食べず、火を通していたことが分ります。戦後、人工肥料に変わったことから、寄生虫の心配がなく、野菜を生で食べられるようになったのでしょう。
 
これまでの循環型利用+熱処理して野菜を食べる文化・伝統から、汚い物は排除+生野菜を食べる生活へと大きく転換しました
 
 
■莫大なエネルギーがかかる下水処理場
戦後以降、下水処理機能が発達し、現在は街で排出された水のほとんどが、下水処理場へと流れていきます。そして、処理場にて消毒され微生物を完全に処理します。そのために必要となるエネルギーは莫大なのだそうです。
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画像はこちらからお借りしました。
日本の人口の0.2%を占める岐阜市だけでも、輸入している石油の約0.05%を使用しているそうです。単純計算すると、全国民の処理をするためには、輸入の25%の石油が必要となります!
日本人はウンチを処理するために、石油を輸入している?!」参照
 
下水処理量が増えれば増えるほど、どんどん環境負荷が大きくなってしまいますね このままで、よいのでしょうか
 
 
■循環型社会への関心の高まり
このような環境負荷の増大、そして、人糞の可能性を探索して、実践されていらっしゃる方も多くいらっしゃるんです
 
つくば市の農水省の実験で、尾崎氏と言う方が、自宅を循環型の実験家屋にされており、自給自足の生活をされています。
 
家庭から出た排水を、合併処理槽で処理し、その排水を田畑に利用するというものです。養分が含まれれるその排水に近い順に、肥料要求の高い野菜を栽培しています。最後の末端の水は、飲料水に利用できるレベルだそうです。
 
野菜の肥料に使うためには、排水の水質にも気を遣う必要があり、抗生物質の薬は飲まない、菌に悪影響を及ぼす洗剤や石鹸は使わないなど考えられています。
有機農業と人糞」参照
 
 
■注文殺到!?有料でも多くの人が人糞を買い求める
家庭の汲み取り式便所から収集し、処理する工場の中で、肥料として出荷しているそうです。当初、つくった肥料は無料で配布していたそうなのですが、注文が殺到したことから、有料販売を開始したそうです。おそらく、有料としても、多くの方が活用されているのだと思います。
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また、植物は動物の排泄物と植物の腐葉土が成長に必用だそうですが、人間の排泄物には、動物性タンパク質と植物性タンパク質が豊富に含まれていること、植物には作れない「リン酸」が排泄物に入っていることから、「最高級有機質肥料」との見方もされているようです。
msn相談箱:人糞堆肥について
 
 
■まとめ:人糞が、農業の未来を変える!?
日本では、戦前まで歴史的に人糞を肥料として利用する循環型社会でした。しかし戦後、保健衛生の観点から排水は人の生活から遠ざけ、排除・処理するものへと転換していきました。
しかしその結果、排水処理にかかるエネルギーは莫大なものとなっています。
この社会的な課題を受け、人糞を肥料として使うことで、処理にかかっているエネルギーを削減することができ、より環境に優しい循環型社会へと導いていく試みが実践され始めています。
 
一方で、現在は、抗生物質(薬)や化学物質(石鹸・シャンプー)が多く使用されていることから、微生物に悪影響を及ぼすことが分りました。肥料として有効に利用できるのか?食べ物への悪影響はないのか?多くの課題があります。

  
この問題を解決して、現代における人糞利用の循環型社会にしていくためには、排泄物から有害物質を取り除き、堆肥として利用できる技術開発が一番優先される課題です

投稿者 hasi-hir : 2013年08月12日 List   

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コメント

人糞肥料は気持ち悪いと思っていましたが、循環型の観点、視点に立つとなるほど、有益なものと考えきれるようになりました。ただ、今は食するものが化学物質を含んでいる食べ物もも多く糞の肥料としての還元は大丈夫なのかと思う気持ちもあります。昔は、現代に比べより自然に近い食生活が成立していたため人間の糞も安全性が高かったのではないでしょうか。将来の農業を支える人糞の利用が、発酵処理の段階等も含め、安心・安全な肥料に仕上がる根拠や証明が世に広報できればすばらしいのではないでしょうか。

投稿者 城間律子 : 2014年5月16日 19:04

はじめまして。上の記事に紹介されている処理する工場は、どこにあるかご紹介いただけますか?わが町ではいまだに汲み取り式で、このような工場があれば、環境問題等にも貢献できると思うので、ご紹介いただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

投稿者 植松 : 2014年5月31日 15:18

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