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2023年04月20日

【進化していく農法について考える】シリーズ4~ぼかし肥料の基盤は自然への同化追求~

「進化していく農法について考える」シリーズで、前回は不耕起栽培について紹介しました。自然農法の先駆けです。
しかしその後、とにかく収量を増やすために、農薬や化学肥料を使った農業が始まり、健康被害等が課題となりました。
農薬”効率農業”から脱却するために、戦後は様々な農法が登場してきました。

今回は米ぬかと発酵技術を使ったぼかし肥料について、紹介していきます。

「愛知県の農業改良普及員として、農業技術を始動してきた水口文夫さんによると、ぼかし肥は大正末期のころにはすでに行われていたらしく、当時の目的は有機質肥料を施したときのタネバエの防止を目的としていた。鶏糞や油かすなどそのまま肥料として使うと、タネバエの被害が出てしまい、当時の人たちの頭を悩ませていた。
そこで、鶏糞や油かすなどを土と混ぜ合わせて堆積発酵させることが行われるようになった。畑に肥料を施す前に完熟発酵させ、未然に防ごうという考えである。一方、化学肥料は直接根に当たると根に障害をあたえ、作物を枯らしたりすることがあるが、ぼかし肥の場合は油かすなどの有機質肥料が充分に発酵していて、根を傷める心配がない。」(発酵の力を暮らしに 土に 米ぬか とことん活用読本より引用しました。)

☆ぼかし肥料の材料はこうでなければならないといったきまりはなく、人によってかなりちがうようです。
水口さんは山土、乾燥鶏糞、油かす、米ぬか、過石、炭を使っているそうです。

☆ぼかし肥料を使っている知人の農家さんにどのような材料を使っているかを聞いてみました。

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元々、廃菌床をご縁で頂けることになって、ちょくちょく畑に入れてたんですが、有機栽培で有名なBLOF理論の小祝さんから、廃菌床が一番有機堆肥としては良いと聞きまして、よし!ちゃんとやってみよう!と思いまして。

なぜ、廃菌床を使っているのでしょうか?
僕が畑を借りたおじいさんが、牛糞など堆肥を多く使っておられて、その畑で作る野菜はみんな美味しくなる経験から、有機堆肥を使いたい→何がいいかな?→廃菌床って感じです!廃菌床は、主にハウスに入れてるんですが、作と作の間に溜まった廃菌床を入れてる感じです!」

納豆を入れているということでしたが、どれくらい入れているのでしょうか?
納豆は、一回3パックを、水に溶かして、バァーっとかけてますが、特に分量は決めてません。表面のカビが白っぽいかどうか気にしながら納豆追加したりしてます。」

発酵する前の写真はこちら↓最初は明るい茶色で、発酵が進むと黒くなっていくそう。

ぼかし肥料は米ぬかや油かす、鶏糞などの有機質肥料を主な原料とし、それらを微生物により分解、発酵させてつくる肥料を指します。ぼかし肥料の原料として用いられる米ぬかや油かす、魚粉、骨粉、鶏糞などはそれ自体でも有機質肥料として直接土壌へ施用することができますが、その後すぐに作物を栽培すると、施用初期の急速な分解による有機酸の生成や発生したアンモニアガスなどが、発芽や植物の生育を阻害することがあります。

そこで、それらの有機質肥料を直接施用するのではなく、使用前に土などと混ぜて微生物による分解・発酵を行い、急速な分解や肥効を「ぼかす」ことが行われました。ぼかし肥料の「ぼかし」はここからきています。
ぼかし肥料には明確な定義はなく、ぼかし肥料に使う原料にも特に規定はありません。そのため、化学肥料とは異なり、含まれる成分やその濃度は一定ではありません。とはいえ、さまざまな原料が用いられる分、その種類や量を変えれば、肥料効果の程度、効き方、土壌改良効果などを調節できるともいえます。今更聞けない「ぼかし肥料」。ぼかし肥料の「ぼかし」ってどういう意味?から引用しました。)

☆ぼかし肥料は人によって配合も様々で、次世代への継承が難しいという一面は確かにあります。でも、一定量が決まっている農薬や化学肥料を使った農業よりも、自然への同化、追求が必要になり、ぼかし農業のように使う量も種類も全て選べる奥の深さがポイントのように思います。

考えておくべきは「できるだけ土壌への負荷をかけない」というところでしょうか。

そこが面白さでもあり可能性のように思います。

投稿者 kitaguti : 2023年04月20日 List   

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