【進化していく農法について考える】シリーズ3 不耕起栽培に学ぶ~自然とはなにか? |
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2023年04月04日
【「食べる」と「健康」その本質に迫る】その6 ~植物の生育原理の関係→無機態窒素の吸収とアミノ酸の吸収の違いが“うまみ”のちがいを生む~
前回の記事では、「有機野菜はなぜ体に良いのか?」について、有機肥料と化学肥料のちがいを分析するなかで「有機肥料の圃場は、化学肥料の圃場よりも土中のアミノ酸が多く存在する」ということが分かってきました。
今回はさらに「土中のアミノ酸と植物の生育原理の関係とは?化学肥料の関係とは?」について追求していきます。
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〇炭酸同化作用(光合成)
光合成とは、空気中の二酸化炭素と水と光エネルギーによって水と酸素を放出し、「ブドウ糖」を作り出す作用です。このブドウ糖が非常に重要で、植物のエネルギーやタンパク質の原料となり、植物の生長に著しく影響を与えます。
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〇窒素同化作用
植物は根から無機態窒素 (アンモニアや硝酸態窒素)を吸収します。そして、光合成で作り上げたブドウ糖を結合させ、アミノ酸、そしてタンパク質を作っていきます。この働きを「窒素同化作用」と言い、無機物を有機物に変える植物に与えられた重要な働きです。その働きで作り上げた有機物を、我々動物が直接間接利用して、生きることができるのです。
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2つの同化作用から、光合成による「糖を作り出す」はたらきと、根から「無機態窒素を吸収して糖と結合→アミノ酸、タンパク質を作り出す」はたらきが植物の生育にとって重要だということが分かってきました。
では、こういった植物本来の生育に、有機肥料・化学肥料はどのように作用しているのでしょうか?
前回の記事では、有機肥料の圃場は、化学肥料の圃場よりも土中のアミノ酸が多く存在することが分かりましたが、窒素同化作用に着目すると、タンパク質の材料になるアミノ酸を、土中から直接吸収できることが、有機肥料の圃場のメリットであり、化学肥料の圃場の弱点だと考えられます。
その点をもう少し詳しく見てみましょう。
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ここで無機態窒素の吸収とアミノ酸の吸収の違いを見ていきたいと思います。
窒素成分は化学肥料の施用や有機質肥料の腐敗分解などでも、アンモニアや硝酸態窒素の無機態窒素の形で根から吸収されます。植物はアンモニアなどの無機態窒素に光合成で作り上げたブドウ糖を結合してアミノ酸を作り、そのアミノ酸にブドウ糖をまた結合してタンパク質に合成していきます。無機態窒素をタンパク質にするには多くのブドウ糖が必要となります。
しかし、アミノ酸で吸収が行われた場合は、ひとつのブドウ糖でタンパク質を作ることができ、ブドウ糖の消耗は少なくなります。天気は同じ条件なので、光合成で同じ量のブドウ糖が作られますが、アミノ酸で吸収された分だけ、ブドウ糖の消耗が少なくブドウ糖は植物体内に蓄えられるわけです。これが貯蔵養分で、おいしさなどの品質や安定した栽培の決め手となります。アミノ酸での吸収が糖度アップや多収穫に結びつくわけです。
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化学肥料の施用の場合は、アミノ酸をつくるにもタンパク質をつくるにもブドウ糖を必要としますが、有機肥料はアミノ酸をつくる時の分のブドウ糖を要しないのでその分植物内のブドウ糖が多く残る=うまみが多くなる。という事が分かります。
加えて、無機態窒素の吸収量が多くなることが植物にとっては不健全な生育状態であることに対して、化学肥料は窒素過多を促し、細胞質を生成することで“早く大きくなる”ことを目的としているため、細胞壁をつくるための糖が不足して、「細胞壁が薄くなる⇒病気になりやすい」ことが懸念されます。
以上から、化学肥料の施用は、植物の生育作用とは異なるサイクルをつくり出してしまうと言えます
では、直接肥料を吸収する“土”と植物は互いにどんな影響を及ぼしているのでしょうか。
次回は「植物本来の生成原理=根食サイクル」について迫っていきたいと思います。
投稿者 k-miduki : 2023年04月04日 TweetList
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