2022年2月17日

2022年02月17日

食料問題シリーズ9:人と人の繋がりのなかで充たしあう農産物流通~広域エリアで独自物流網を形成する直売所形態

前回の記事では、これからの日本に求められる農業・流通のかたちとして、地産地消に焦点をあて、豊かさが実現した日本において求められるのは、「大量生産、大量消費の食生活」から「人と人の繋がりのなかで充たし合う食生活」であることを提起しました。

今回の記事では、その地産地消のあり方をもう少し掘り下げます。
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投稿者 o-yasu : 2022年02月17日  

2022年02月17日

『農業と政治』シリーズ10:柳田國男が指摘する農業の問題構造

柳田國男が農政を志す起点となったのは、当時の農家が置かれた厳しい生活環境の直視。

『農業と政治』シリーズ8:柳田國男が見た日本の農業

「何故に農民は貧なりや」
(なぜ農民はこんなにも貧しくなってしまったのか)

という問いかけから始まった彼の追求は、厳しい現実を生み出した二つの要因をあぶり出していきます。

…そして問題の本質は、100年経った今も何ら変わっていないのではないか?

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投稿者 negi : 2022年02月17日  

2022年02月17日

【世界の食と農】第9回 中国~「量から質へ」舵を切った、農業大国~

中国は、農業生産量世界第一位という、言わずもがな知られた農業大国です。
しかし、様々な数値を追っていくことで見えてくる、中国農業特有の問題があります。

まず、中国の農村人口は、約9億人。中国全人口の7割以上となっています。その中で農業従事者は約3億3千人。これは日本農業人口の200倍以上、アメリカ農業人口の50倍以上という凄まじい数値です。

しかし、中国で最も多い穀物生産量はアメリカと同等。これは、中国の労働力に対する生産性の低さを物語っています。実際、中国では農家当たりの耕地面積が非常に小さく(日本では120アール/1人に対し中国30アール/人)、機械化が進まないことから生産効率が非常に低いことが指摘されています。

また、生産量の多い穀物ですが、実は低品質・高価格により、国際市場ではなかなか勝ててこなかったのが実情。
そのため年間7,500~9,000万トンが妥当とされる在庫は、一説では25,000万トンまで膨れ上がっていると言います。買付先の無い在庫は、政府によって買い上げる政策等がとられていますが、この莫大な在庫による国の経済圧迫は深刻です。

過剰な農業労働力、狭小な耕地面積、莫大な在庫数…
この背景には自然環境や中国共産主義による制度的な要因がありました。

広大な土地を有している中国ですが、実はそのほとんどで自然環境が厳しく、優良な耕地が少ないのです。それら耕地は全て国家が有し、その「使用権」が農家へほぼ均等に分配されています。国は、希少な耕地の荒廃を防ぐため、あらゆる制度で農家を農村に縛り付けました。今でも都市への移住制限や教育の制限を受ける農家は少なくありません。その結果、少ない耕地と多くの貧しい小農が生まれ、機械化や技術高度化の遅れ、都市と農村との経済格差が大きくなりました。

『農業従事者は多いが、生産効率は低い。生産量は多いが、品質が低い。』つまり、量>>質が、中国農業が抱える大きな問題なのです。

それら課題を解決すべく、中国政府は様々な制度改革に乗り出しています。

まず1998年、生産農産物の品質を高めるための「構造調整対策」を打ち出しました。
その中身は「優良品種への切り替え」「農産物加工の推進による付加価値の向上」「企業による農業の産業化」「農産物のブランディング」など。「特色があり、高品質な農作物」への切り替えがテーマとなっています。

また、2001年、多すぎる農業従事者の離農を目的とした制度改革を実施し、小規模都市に限って農家が移住できる仕組みをつくりました。そして意欲ある農家が集積、大規模化できるような制度改革も促進しています。

政府の力が非常に強い中国。しかし様々な課題から、企業や農家主体の技術向上【量から質へ】舵を切りつつあることが伺えます。
ちなみに中国の農産物対日輸出は全体の1/4を占めるそう。これからどんどん高品質になっていくと予想される大陸の農産物は、日本の経済、私たちの生活にも影響を与えます。

今後も変わりつつある中国の農業に注目していきたいですね。

投稿者 ideta : 2022年02月17日