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2022年08月10日

【ロシア発で世界の食糧が変わる】7~ロシア。中国をはじめとして新興勢力は世界の支配構造、脆弱なシステムを解体し、新たなシステムを構築しようとしている~

ロシアによるウクライナ侵攻を契機とした食糧危機により、食糧政策に力を入れてきた「新興勢力(ロシア、中国、をはじめとしたBRICs)」が世界の主導権を握っていこうとしています。

※画像はこちらからお借りしました

これまではロシアの農業政策について触れてきましたが、今回は新興勢力である中国やインドがどのような食糧政策を行ってきたのか、そして新興勢力がどのような世界を描こうとしているのかを見ていきたいと思います。

・参考:世界の勢力図の転換。ロシア・中国・BRICSが新たな経済圏を作り出しつつある

 

◯新興勢力が世界に食糧を供給している

世界の穀物生産量を見ると、ロシア、中国、インドが上位5位に入っています。

※グラフはこちらからお借りしました。

 

ウクライナ侵攻に伴って価格が高騰した小麦だけに限って見た場合、総務省が発表している「世界の統計(2022)」によると中国・インド・ロシアが上位3位を占めています。

※グラフはこちらからお借りしました。

今回の世界的な食糧危機により、食糧生産力が世界の主導権を握る上で重要だということが世界に示されました。
そして、強い影響力を持っている国のほとんどが新興勢力なのです。

 

◯世界最大の穀物輸出国である中国とロシアの繋がり

ロシアが2010年代に大きく農業政策を行い、農業輸出国にまで上り詰めてきました。

・参考:ロシアにおける国防政策は農業政策と一体だった

中国もまた2008年の食糧危機以降に、国家食糧備蓄政策として「3つの保護農家利益の保護、食糧市場安定の保護、国家食糧安全の保護)」を打ち出し、穀物生産量を10年の間に1.5倍にまで伸ばしてきています。

※グラフはこちらからお借りしました。

中国が食糧政策に力を入れた時期はプーチンが食糧政策に力を入れ始めた時期と重なっており、習近平は今年からロシアからの小麦輸入を拡大することを表明していることからも、両国の繋がりが強いことが想定されます。

中国はロシアだけでなくウクライナともつながっています。
ウクライナと中国は2012年より中国と農業開発プロジェクトを結んでおり、食糧分野において協力関係にあります。

今回の侵攻を食糧という軸で見るとは、背後に新興勢力の繋がりが見え隠れしています。

・参考:価格高騰だけではすまない、ロシアと中国が世界を食料危機に突き落とす

 

◯インドがITを基盤とした農業により新興勢力の覇権はより強まる

インドは1960年の食糧危機をきっかけに、農業の近代化(緑の改革)に舵を切りました。
1970年に食糧自給を実現しますが、種・農薬・肥料を買い続けなければならない苦行と、近代化による田んぼの荒廃に悩まされ続けました。

しかし、2014年に発足したモディ政権が緑の改革に続く新たな農業政策を推し進め、2016年に「電子国営農業市場(eNAM)」を設立したことにより、農業の様相が変化し始めています。

その他にも、2015年に土壌健康カード(SHC)を開始し、近代農業によって劣化した土壌の対策も行うなど、ITを通じた農業改革を進めていっています。

世界の名だたるIT企業が開発拠点に置くほどIT先進国であるインドにおいて、ITと農業がつながることによって、今後同国の農業は大きく転換していくことが予想され、新興勢力の食糧を基盤とした影響力はさらに強まっていくことになります。

※画像はこちらからお借りしました。

 

◯新興勢力はどのような世界を描こうとしているのか

※画像はこちらからお借りしました

今回の食糧危機は、欧州系の金融勢力や米国系の軍事・石油勢力によってつくられてきた「グローバリズム」と呼ばれる世界システムは脆弱であることが強く示されました。

ロシアや中国をはじめとした新興勢力は、    それらの世界の脆弱なシステムを解体し、新たなシステム(経済、農業、流通、貨幣システム)を構築しようとしているのかもしれません。

そのためにも、支配する勢力を解体するためにウクライナ侵攻により世界的な食糧危機を起こし、西欧諸国で首相などのトップ層が相次いで辞任している状況を生み出しています。

・参考:西欧諸国でトップ層が続々と退陣 世界の向かう先は? 

新興勢力はこれまでの支配構造、勢力の解体を行おうとしています。
次回は新興勢力が描こうとしている世界をもう少し具体的に見ていきます。

【参考】
世界食糧危機の中、なぜ中国には潤沢な食糧があるのか?
中国のしたたかな戦略 危機感薄い日本
農民の困窮とモディ政権の農業政策

インドの食料問題と食料政策
インドの農業・貿易政策の概要
小麦生産量世界有数のインド、輸出を一時停止「食糧安全保障に対処」

 

 

投稿者 tiba-t : 2022年08月10日 List   

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