【ロシア発で世界の食糧が変わる】2 ロシアのウクライナ侵攻に見る世界の農業意識の転換~世界は、ロシアから近代農業からの脱却を迫られている~ |
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2022年07月02日
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ3 食農ブームはいつから、なぜ起きた?
人々の食や農に対する意識を掴み、新たな農業の可能性を追求する「食農ブームはどこに向かう」シリーズも、第3回を迎えました★
これまで、食農ブームの広まりや手軽に始められる“プチ農業”の実態を紹介してきましたが、今回はその「歴史」を遡ってみたいと思います。
食農ブームがいつから起きたのか、さらにはその理由、社会背景に迫ります!
■1950年代~ 戦後の公害問題
近年、有機野菜や無農薬・減農薬野菜を選んで買う人が増えてきていますが、そもそも「食の安心安全」が騒がれ始めたのは、1950年代の「公害問題」ではないでしょうか。
代表的な公害問題と言えば、一度は聞いたことがあると思いますが、イタイイタイ病や水俣病が挙げられます。
工場などから排出された有害物質が河川や海に放出され、漁業や農業といった一次産業に悪影響が…!人体への健康被害にもつながり、各地で訴訟や裁判が起こりました。
■1970~2000年代 食の偽装問題
1968年には消費者保護法が制定され、1970年には消費者生活センターが設立。1990年代に入ると、O157による集団食中毒感染や牛肉産地の不正表示問題が立て続けに起こりました。さらに2003年に起きた鳥インフルエンザなども記憶に新しい事象です。
このような偽装や不正問題、食料を介しての健康危機によって「自分たちの命を人任せにしていられない」という意識も高まり、どんな食べ物を口にするのか、未来を担う子どもたちに何を食べさせるのか、慎重に選ぶようになりました。
■2008年 リーマンショック
リーマンショックは「仕事」という観点から、農業への興味・関心が集まった出来事と言えるのではないでしょうか。
※画像はこちらからお借りしました。
大企業の社員リストラや経済の冷え込み。大手だからと言って終身雇用が保証されるわけではない・安定した生活を送れるわけではない⇒これからの時代、どんな産業が生き残るのか?を考え始めました。
生きていく上で欠かせない食=農業への注目が集まったり、農業系のベンチャー企業が全国各地で設立された時代でもあります。一般的に、家庭菜園の人気が広がり始めたのもこの頃です。
■2011年 東日本大震災
地震による津波、原発問題・・・甚大な被害を与えた東日本大震災は、人々の危機感を直撃し、食に対する意識の変化にも、影響をもたらしました。
※画像はこちらからお借りしました。
社団法人 農協共済総合研究所「震災後、食生活の意識は変わったのか?」(https://www.jkri.or.jp/PDF/2012/Rep123ueda.pdf)の調査によると、被災地、あるいは比較的近い地域に住み、子どもの食への関心が高いと思われる層(主に女性・既婚・20~50歳代・小学生以下の子どもと同居)が、食品の安全性への不安が大きくなり、地場産物の購入が減った、という結果が出たといいます。
当時は、被災地の現状や風評被害についても、テレビや新聞で毎日のように報道されていましたね。その結果、地震があった東北地方だけでなく、全国的に食の安心・安全や産地を選ぶ意識が一段と高まったように感じます。
同時に、当たり前と思っていた都会での暮らしが、完全にストップ。多くの人が、建物・電車・電力・食が当たり前ではなくなる経験をしました。そして、『都会から地方へ』と、自分たちで暮らしをつくる、人の繋がりの中で生きる、自然の中で生きる若者が急速に増えたのもこの時期です。
■2020年~ コロナ禍
本シリーズでも前2回で紹介してきたように、コロナ禍は「自ら作っていただく≒自給自足意識」への高まりに拍車をかけました。またテレワークで場所を問わずどこでも働けるようになり、東日本大震災後に出てきた、地方・農村への移住、IターンやUターンの流れも加速しました。
・『食農ブームはどこに向かう?』シリーズ1:食農ブームって何?(http://blog.new-agriculture.com/blog/2022/06/5874.html)
・『食農ブームはどこに向かう』シリーズ2 家庭菜園~貸し農園~週末農業 様々なプチ農業の実態(http://blog.new-agriculture.com/blog/2022/06/5914.html)
身近なところから、自分たちのできる範囲で、自給自足の動きが生まれている。これが今後の農業の大きな可能性とも言えます。
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今回のブログでは、終戦~現代の社会の大きな流れと、それに対する人々の食や農への意識の変化を見てきました。
さらに歴史を遡ってみると、元々はみんなが農業をしながら生活していた時代もあったわけで、現在の「食農ブーム」は自給自足生活の再来と言えるかもしれません。
では、みんなが百姓だった時代と、今の食農ブームは何が違うのか?次回はそのあたりを深めてみたいと思います♪
<参考>
・食の安全とは?食の安全を守るための課題・問題点と対策
https://shokutaku-column.com/column_14/
・今、農業に必要なことは? 農家は「考える」ことを止めさせられた
https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1312/04/news023_2.html
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投稿者 k-haruka : 2022年07月02日 TweetList
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