2022年7月21日
2022年07月21日
【ロシア発で世界の食糧が変わる】5~世界最大の小麦輸出国にのし上がったロシアの農業戦略~
これまでの投稿では、今回のロシア・ウクライナ侵攻による食糧危機・国家破産の実態について詳しく見てきました。これからの投稿では、このような世界の食糧事情に多大な影響を与えている当事者であるロシアに焦点を絞り、農業政策の変遷・考え方を読み解くとともに、彼らは今後どのような構想を描いているのかを予測していきたいと思います。
画像は、こちらからお借りしました。
投稿者 hasi-hir : 2022年07月21日 Tweet
2022年07月21日
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ5 若者の農業・仕事に対する意識の変化
前回は、昔の農業と今の食農ブームの違いを見てきました。農業に興味を持つ若者が増えたり、家庭菜園の契約数が伸びていますが、この潮流はどこに向かっていくのでしょうか。
本当の意味での「農の再生」には何が必要なのか。シリーズ5では、就農の実態・若者の仕事に対する意識から、これからの農業のあり方を深めてみたいと思います。
■新規就農者は増えているけど、実態は?
厚生労働省の調査によると、2010年の「農業就業人口」は約260万人。その後は、毎年10~50万人ほど減り続け、2019年には約168万人にまで減少しています。
しかし、49歳以下の新規就農者数の内訳を見てみると、新たな可能性が見えてきます。
実家を継いで農業をやる「新規自営農業就農者」は減少傾向にありますが、農業法人に就職する「新規雇用就農者」と新たに農業経営を開始する「新規参入者」が増加傾向に。
農業法人数の増加と、新規参入者への支援が後押しとなり、今後就農者が増えていくことも予想されます。
※画像はこちらからお借りしました。
国が新規就農に対する支援を強化し始めたのは、2012年から。
次世代を担う農業者を志す人に対し、就農前の研修を後押しする資金(2年以内)及び就農直後の経営確立を支援する資金(3年以内)を交付します。原則49歳以下が対象です。
・就農準備資金
都道府県が認める道府県の農業大学校等の研修機関等で研修を受ける就農希望者に、最長2年間、月12.5万円(年間最大150万円)を交付。
・経営開始金
農業経営を始めてから経営が安定するまでの最大3年間、月12.5万円(年間150万円)を定額交付。
この制度を利用して農業を始める人もいますが、実は、新規就農者の35%が離農しているという現実も。
最初の2・3年は補助金や研修でやってこれたが、それがなくなると厳しいという声も。離農する理由として、思ったより稼げない、業務内容が思っていたのと違うなどが多く挙げられています。
ということは、「農業をしたい」の奥には、ただ農作業が好き・自然と触れ合いたいという気持ち以上に、もっと深い欠乏があるようにも考えられます。
■学生たちの仕事に対する意識
そもそも、今の若い世代は「仕事」や「働くこと」に対して、何を求めているのでしょうか?
「マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査」によると、2023年卒の大学生・大学院生に自身の就職観を聞いたところ、「楽しく働きたい」が37.6%(前年比2.8pt増)と最多で3年ぶりに増加。
※画像はこちらからお借りしました。
さらに、就職活動において企業を選択する場合のポイントは「安定している」が43.9%(前年比1.1pt増)で最多。
「企業に安定性を感じるポイント」の上位3位は、①福利厚生が充実している②安心して働ける環境である③売上高。
制度や業績など、 “働く環境として安心できること”が、企業を選ぶ上でも重視されています。コロナ禍を経て、安定志向がますます強くなっているように感じます。
※画像はこちらからお借りしました。
さらに、大手企業志向は48.5%(前年比2.6pt減)となり、21年卒調査で過去最高値となってから2年連続で減少。対する「中堅・中小志向」は前年比2.9pt増の47.8%。やりがいのある仕事がしたい、実現できるなら大手企業にこだわらない、という傾向が読み取れます。
中小企業を選ぶ学生が増加している実態は、一見安定志向と矛盾するようにも見えます。
しかし、この結果から見えてくるのは、大手企業で言われたことをただこなすのではなく、自らが当事者として実現していきたいという意識の芽生えとも言えるのではないでしょうか。
そうなると、楽しく働きたいの中身も、「自分のやりたいことをやる」から、「仲間と一緒に働きたい・仕事そのもの(お客様に応えること)が楽しい」になってきているようにも考えられますね。
■農業の再生⇒集団の再生
先日、農業系の学生団体に所属する学生さんと話す機会がありました。長期休みには全国を飛び回りいろんな農家で手伝いをして、日々農業を追求している子たち。
彼らに「この先も農業を仕事にしたいと思うか?」と聞いたところ、やりたいと答えた子は1割程度。食や農に関わることは興味があるけど、農業を仕事としてやっていくかはまた別だと言います。
農業コンサルをやりたいという学生も、よくよく話を聞いてみると、地域づくりがやりたい、人を繋ぐ仕事がしたい、が本音のよう。農業にのめり込む学生たちも、農業を通した人とのつながりや、みんなで成果を出す達成感を求めているのかもしれません。
今後の「農の再生」は、こういった課題を通じた仲間との繋がり⇒集団の再生にかかっているのではないでしょうか。そういう意味で、近年、一般法人の農業参入が急増していることは大きな可能性になりそうです。
※画像はこちらからお借りしました。
食農ブームと新たな農業法人の登場で、新規就農者が増加・定着していくのか?今後も注目していきたいと思います!
<参考>
日本の農業人口の現状
https://agrijob.jp/contents/myagri/agriculture-population
就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)
https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html
新規就農者の35%が離農する現実──未来の農業の担い手を定着させる方法とは?
https://smartagri-jp.com/farmer/470
「マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査」を発表
https://www.mynavi.jp/news/2022/04/post_33952.html
法人経営体は前年比3.1%増-31年農業構造動態調査
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2019/07/190702-38435.php
投稿者 k-haruka : 2022年07月21日 Tweet