2019年11月21日
土の探求11~サー・アルバート・ハワード
事実追求の信念を胸に奮闘する研究者が、必ずしも時代の寵児になるとは限らない。
それは、農業界にも言える。
サー・アルバート・ハワード。
今から80年前、彼は既に、近代化学に立脚した農業が滅びゆく姿を見抜き、本来あるべき方向を示していた。
時代が本源を求め始めた現在、私たちは改めて、心ある研究者たちの発信を真正面から受け止めるべきではないか。
以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)
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2019年11月14日
土の探求10~窒素大量供給の功罪
あらゆる動植物にとって、むろん農業生産においても不可欠な元素=窒素。
そして、高性能爆薬の製造に不可欠な材料、でもある。
近代以降、加熱する戦争需要と、戦火で荒廃した農地での収穫高維持に応えるために促進された、窒素(化合物)の開発・供給。
結果、過剰なまでの窒素供給は、戦争経済のさらなる活性化と、化学肥料拡大による農作物収量の倍増をもたらした。
一方で人類は、生命環境に不可欠な存在であるはずの窒素を、逆に環境破壊の一因にさせてしまうという事態を引き起こす。
以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)
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2019年11月12日
足元に流れるは宝の山! 下水道資源が生み出す安心・安全な農作物
前回は、日本の農業における送粉者(昆虫)の重要性について、お話しましたが、今回は農業に欠かせない「水」のお話です。
江戸時代、畑の堆肥として使われたのは、人糞でした。明治時代においても人糞は貴重な肥料であり、高値で引き取られていたようです。
さて、現代社会では、汚水・雑排水は、公共下水道管に放流させ下水処理場で浄化され、海や川に直放流されます。
先日の台風でも、あまりにも降水量が多かったために公共下水道からあふれた水が、道路にあふれ、台風が過ぎ去った後、道路表面に汚泥が溜まるという状況になりました。
現代社会では、何かと嫌がられる下水道の水ですが、下水処理場で浄化し処理した水を農業用水としてに再利用する試みを行っている自治体があります。今日は、その自治体の試みを紹介します。
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転載開始【リンク】
家庭や工場から排出される汚水は、下水管を通り下水処理場で処理されたのち、川や海へ戻されます。こうした処理過程で発生する汚泥や処理水が、農業の現場で活躍しているのをご存知でしょうか。山形県鶴岡市では、これらの下水道資源を農作物の栽培などに活用する取り組みを先進的に行っています。産官学の連携によって生み出される数々のアイデアからは、地域農業の活性化と地産地消を目指す関係者の創意工夫と、環境保全への飽くなき探究心がうかがえました。
■下水道の利活用がもたらす未来への希望
私たちの暮らしに欠かせない水。生活用水として使用された汚水は下水処理場で処理され、海や川へと戻されます。この、処理された下水(処理水)や処理の過程で発生する汚泥にはリンや窒素、カリウムなど肥料に欠かせない有機物が含まれています。
このうち汚泥はしばしばコンポスト(堆肥)に生まれ変わり、循環資源として使用されていますが、処理水は川や海に戻すのみ。大切な資源が循環せずに一方通行しているのが現状です。これを受け、国土交通省では平成25年8月より下水道資源(再生水、汚泥肥料、熱・二酸化炭素等)を農作物の栽培等に有効利用し、農業等の生産向上に貢献する取り組み『ビストロ下水道』を推進しています。
山形県鶴岡市では平成29年に「下水道資源の農業利用に関する共同研究協定」を山形大学、JA鶴岡、株式会社日水コン、水ingエンジニアリング株式会社、株式会社東北サイエンスと締結。産学官が連携し下水道資源の利活用の普及に取り組んでいます。
「下水処理にはたくさんのコストやエネルギーが費やされています。せっかくきれいにした処理水をそのまま戻すのは、単純にもったいないですよね。これを農業に利用すれば、限られた資源をムダなく使うことができます」
こう話すのは、プロジェクトのキーパーソンである山形大学農学部の渡部徹教授。下水道資源の農業利用(以下、『ビストロ下水道』)は、経済的なメリット以外にも、地域住民の環境への意識を高める可能性を秘めていると指摘します。
「一昔前までは添加物を含む食品や調理に使った油がそのまま下水道に流されることも多かったと聞きますが、時代と共に食の安全や環境への配慮が叫ばれるようになり、下水道環境も改善されています。この状況を維持するためにも、日々の暮らしの中でルールを守り、環境に配慮しながら下水道を使うことは大切です。『ビストロ下水道』は、地球環境問題のような遠い世界の話ではなく、身近な食の問題から皆さんの環境配慮行動を喚起することができると考えています」
渡部教授は、都市工学の研究者として水の安全、水と健康をテーマに上下水道を研究してきました。農学系に移った現在は、処理水を用いた飼料用米栽培などの『ビストロ下水道』研究を行っていますが、収穫物の安全にこだわる姿勢は変わりません。
「鶴岡市では、私が現在の職場に赴任する前から、コンポストセンターの設立や下水処理過程で発生する消化ガスによる発電事業など、下水道資源の有効利用に積極的に取り組まれていました。職員も前向きな方ばかりで、鶴岡市であったからこそ、私も『ビストロ下水道』に関する研究を自由に展開することができたと思っています」と、教授は振り返ります。下水道資源のさらなる農業利用手法の確立とその実用化を目指して、研究を進めていくとのことです。
■下水道を地域の資源循環の拠点に! 一歩先ゆく、鶴岡市の取り組み
鶴岡浄化センターの一角に建つビニールハウス。ここでは現在、下水処理過程で発生する消化ガスによる発電の余熱を使い、ミニトマトのハウス栽培を行っています。このように下水道資源を使って栽培した農産物は『じゅんかん育ち』と呼ばれ、国土交通省の調査によると一般的な化学肥料と比べて「おいしくなった」、「生育が良くなった」という報告が届いています。
実際にこのビニールハウスで育てられたミニトマトを食べてみると、違いは一目瞭然。みずみずしい食感に加え、さっぱりとしつつも果実を凌ぐほどの甘さを感じました。
鶴岡市では平成31年3月に、『じゅんかん育ち』のホウレンソウを学校給食に提供。全国初となるその取り組みは令和元年度(第12回)国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」のイノベーション部門賞を受賞しました。
『じゅんかん育ち』をはじめ、鶴岡市が下水道資源の利活用を積極的に取り組む背景には、穀倉地帯である庄内地域特有の事情が関係していると、鶴岡市上下水道部の有地裕之参事は分析します。「畜産が盛んではないこの地域は、家畜由来の堆肥が不足しているため、汚泥を使ったコンポストが普及しています。そのことが、汚泥以外の下水道資源についても農業に利活用する後押しとなりました」
しかし、下水道に対する印象から、『ビストロ下水道』に抵抗を感じる生産者や消費者がいるのも事実。これに対しJA鶴岡では、下水道資源の安全性と農産物への効果の立証を担うことで資源循環の普及に努めています。
「JA鶴岡の管内では30年以上前からコンポストを使用しているため、生産者の多くは下水道資源の活用に一定の理解があります。地域循環資源としての下水道資源をさらに活用し、おいしい農産物を消費者に届けることが私たちの役割の1つです」と、JA鶴岡の今野大介さんは話します。
10年以上前からコンポストを使用し、庄内地域の特産品である「だだちゃ豆」を栽培する加賀山雄さんも「従来の化学肥料よりも少ない使用量で、化学肥料以上の効果が得られます。さらにコストも低いので助かります」と、太鼓判を押します。
このほか、コンポストをはじめとした汚泥由来の有機肥料には、土壌中で有機物の分解を促進したり、病原微生物を抑制する働きを持つ枯草菌や乳酸菌、光合成細菌等の有用微生物の活性化に寄与する効果もあるとされています。継続的な使用で、土の団粒構造の形成や病原微生物の抑制がより促進されることも期待できるそうです。
■下水道資源の高いポテンシャルを活用し、新たな食文化の確立へ
コンポストや消化ガス発電の余熱による農作物の栽培と並行し、鶴岡市では水産業での下水資源活用にも取り組んでいます。鶴岡浄化センター内に整備された実験池では、処理水を使用したアユの養殖が行われ、約2000匹を飼育。これは、処理水が含む栄養分に注目した試みで、実験池で育つ藻を食べたアユは天然物のようなさわやかな香りを帯び、味の評価も上々とのこと。今後は育成方法などの検証を重ね、資源循環の取り組みを前進させる計画です。
また、浄化センターの管理・運営を担う株式会社東北サイエンスの長澤庄治社長は、山形を代表する特産品「サクランボ」の栽培にもチャレンジしていきたいと話します。「庄内のサクランボは6月から出荷が始まります。冬季に消化ガス発電の余熱でハウス内を温め、生育を早めることで5月の出荷を実現させ、“母の日サクランボ” を作ることを目指しています」
このように、取材に協力いただいた多数の関係者から次々と生まれるアイデア。それを実践するアグレッシブな姿からは楽しさが垣間見えます。この、産官学の垣根を超えた一体感こそが、先進的な取り組みへとつながっているのでしょう。
「鶴岡市はもともと環境への意識が高く、地域の財産である農業を通じて地域を活性化したいという思いが根付いています。鶴岡市が地域資源循環のモデルとなり、下水道資源の利活用を全国に積極的に伝え、さらなる広がりを作ることが現段階での目標です」と、プロジェクトを取りまとめる株式会社日水コンの佐々木俊郎さんは話します。下水道と食をつなげる『ビストロ下水道』による資源循環は、地域の農業から地球環境に至るまで、多くの課題の解決に向けて一石を投じることでしょう。
海の幸・山の幸に恵まれた豊かな食文化を有し、先人たちの知恵と情熱によって独自の食文化を今に伝える鶴岡市は平成26年12月に 「ユネスコ食文化創造都市」に認定されています。継承されてきた食文化に、下水道資源を活用した農作物が当たり前のように加わる日を目指し、鶴岡市の挑戦はこれからも続きます。
以上転載終了
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■まとめ
これまで、近代農業では農作物が効率よく大量に生産できれば、農薬や化学肥料を大量に投与し、まさに、その収穫が確保できれば、なんでもありという状態が主流でした。
しかし、鶴岡市では、下水道処理場で浄化したポテンシャルの高い水を再利用し、農作物を元気に育てるだけでなく、今後、アユなどの養殖にも活用する試みを行なおうとしています。
下水処理場では、バクテリアなどの微生物が下水の汚れを食べることを利用して、 水をきれいに処理します。【リンク】
この水の循環経路を紐解くと、人間が放流した汚水・雑排水をバクテリア・微生物が分解し、分解して得られた栄養豊富な「水」を今度は野菜などの肥料として再利用する。まさに、水を介して循環型の社会の可能性を実現してはいないでしょか?
地域農業の活性化と地産地消を目指す創意工夫、環境保全への飽くなき探究心の賜物です。それでは、次回もお楽しみに
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2019年11月07日
土の探求9~遺伝子組み換え作物が招いた、無用な”いたちごっこ”
栽培効率の向上と減農薬を謳い文句に、遺伝子組み換え作物は導入された。
しかしそれから数十年経った現在、いまだ目標は実現されていない。
それどころか、導入によって引き起こされた新たな問題が、無用な”いたちごっこ”を農家たちに強いている。
そして最も重要なことは、”いたちごっこ”に奔走する一方で、農業の未来議論に欠かせない本質課題=土壌肥沃度の再生、その追求が捨象され続けてきた、という事実だ。
以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)
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2019年10月31日
農作物が収獲できない!世界各地で昆虫が減少~その背後に存在する危機
現在、農ブログでは、土の探求をしていますが、今日は、視点を変えて、農作物と生物、特に送粉者である昆虫類に焦点を当ててみたいと思います。
まずは、日本の農業における送粉者(昆虫)の重要性とは?について紹介します。
GROW RICCI 【リンク】からの転載です。
転載開始
農業に携わる中で「昆虫」に対するイメージにはどのようなものがあるでしょうか。農作物に害を与える「害虫」としてのイメージが強い人もいるかもしれませんが、昆虫の中には「送粉者」としての役割を担うものも少なくありません。
◆送粉者(昆虫)とは?
送粉者は、 “植物の花粉を運んで受粉させ(送粉)、花粉の雄性配偶子と花の胚珠を受精させる動物のこと” を指します。花粉媒介者、授粉者・ポリネーターと呼ばれることもあります。
◆送粉者の役割
送粉者の役割は、植物の花粉を運び、受粉させることです。送粉者自身が意識的に授粉を行なっているわけではありませんが、種子植物が有性生殖を行う上で、受粉は重要な過程です。送粉者など動物を使って受粉を行う植物は、花弁や蜜、匂いなどに工夫を凝らし、動物を引き寄せる必要が生じますが、送粉者が花粉を運んでくれることで、植物は自分の遺伝子を拡散することができます。
◆送粉者の種類
送粉者は約20万種あると推定されています。その大部分は昆虫であり、もっともよく知られている送粉者はハナバチ類(ミツバチやクマバチなど)です。ハナバチ類の体は毛で覆われています。毛で覆われた体は帯電しており、花粉が付着しやすいという特徴があります。また後肢には花粉籠と呼ばれる構造があり、意図的ではありませんが、その構造を使って花粉を花から花へと運んでいきます。
また鱗翅目に属するチョウやガも送粉者としての役割を担うことがあります。他にもアブや一部の甲虫、アザミウマやアリ、脊椎動物ではコウモリなど、送粉者の種類は多岐にわたります。
◆送粉者がもたらす農業への経済価値
なお少々古いデータにはなりますが、国立研究開発法人農業環境技術研究所が面白いデータを発表しています。平成28年2月に発表された「日本の農業における送粉サービスの経済価値を評価」では、送粉者がもたらす農業への経済価値について報告されています。ここで記載されている「送粉サービス」とは、農作物が果実等をつけるために必要な、花粉を媒介する機能を指します。
農作物の生産額と花粉を媒介する機能への依存割合を集計して経済価値を推計したところ、
・送粉サービス総額 約4,700億円
・人為的に送粉者として用意した昆虫によるもの 約1,400億円
・野生の送粉者によるもの 約3,300億円
と算出されました。送粉サービスの総額は、耕種農業(植物を利用して行う農業。動物を利用するのが畜産農業)の8.3%に相当すると言われています。送粉者としての役割を担う昆虫がもたらす経済価値は、それなりに高いと言えるのではないでしょうか。
以上転載終了
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このように、送粉者として重要な役割を担う昆虫に今何が起きているのか?
2019年2月に BBC NEWS JAPANに紹介された記事を転載します。
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世界各地で昆虫が減少、害虫は増加傾向に=研究【リンク】からの転載です。
転載開始
世界中に生息する昆虫の40%が「劇的な減少率」で個体数を減らしていることが、最新の調査で明らかになった。
それによると、ハチやアリ、カブトムシなどは、ほ乳類や鳥類、は虫類と比べて8倍の速さで減少している。その一方で、イエバエやゴキブリといった一部の種は数を増やしているという。
昆虫の全般的な減少は、集中的な農業や殺虫剤、気候変動などが理由とされる。
昆虫は地球上に棲む生物の大半を占めており、人類を含む動植物に重要な恩恵をもたらしている。
鳥やコウモリ、小型哺乳類には食べ物を与え、世界の穀物の75%の受粉を助け、土を作り、害虫の数を抑制する。
近年の研究では、ハチなど特定の種が、特に先進国で大きく個体数を減らしていることが明らかになっていた。
しかし「バイオロジカル・コンサヴェーション」に掲載された新研究では、過去13年間に発表された73件の既存の調査結果を網羅し、そこから全般的な見解を導き出した。
それによると、昆虫の減少は世界中ほぼ全ての地域で起きており、向こう数十年で全体の40%が絶滅する恐れがある。現在、昆虫の3分の1が絶滅危惧種だという。
この研究を主導した豪シドニー大学のフランシスコ・サンチェス=バヨ博士はBBCの取材で、
①農業や都市化、森林伐採などで生息地を奪われたこと が、昆虫が減少している主な要因だ と説明した。
②その次に、世界中の農業で使われる肥料や殺虫剤の影響や化学物質による汚染 が挙げられる。
③3つ目は生物学的要因、つまり侵略種や病原菌によるもの。
④4つ目には、特に熱帯地域で大きな影響を与えている気候変動がある。
研究では、近年発表されたドイツで急激に減っている飛翔性昆虫の動向や、地球温暖化によってプエルトリコの熱帯雨林の昆虫が減っている事例なども取り上げられている。
他の専門家も、今回の研究結果は「非常に残念だ」と話している。
イギリスの昆虫愛護団体「バグライフ」のマット・シャードロウ氏は「これはハチだけの問題でも、あるいは受粉や我々の食糧だけの問題でもない。例えば糞を土に戻してくれるフンコロガシや、川や池で生まれるトンボといった昆虫も減少している」と指摘する。
「地球の生態系が崩壊していること、この悲惨な流れを食い止め逆転させるために世界規模で集中的な努力が必要になっていることが、ますます明らかになった。昆虫の緩慢な絶滅を引き続き座視するなど、合理的ではない」
◆害虫は増加傾向
研究では、昆虫の減少が食物連鎖の上流に与える影響についても懸念を示している。多くの鳥類やは虫類、魚類にとって昆虫は主な食料であり、昆虫の減少は結果的に、こうした生物の絶滅にもつながる可能性がある。
一方、人間にとって特に大事な昆虫が危険にさらされている中、一部の昆虫は環境の変化に適応し、数を増やすだろうとの指摘もある。
最新の豪研究には関わっていない英サセックス大学のデイヴ・グールソン教授は、「繁殖サイクルの速い害虫は、温暖化や、繁殖速度が遅い外敵の絶滅によって、数を増やすだろう」と話した。
「我々が将来、特定種類の害虫増大に悩まされる一方で、ハチやアブ、チョウといった人間にとって有用な素晴らしい昆虫、動物の糞を処理してくれるフンコロガシといった益虫を全て失ってしまう可能性は十分にある」
グールソン教授によると、強じんで適応力が高く雑食のイエバエやゴキブリといった昆虫が、人工の環境に馴染みやすく、殺虫剤への抵抗力を付けていると述べた。
その上で、今回の研究は危険信号を発しているものの、殺虫剤を使わないこと、有機的な食品を選ぶこと、昆虫にやさしい庭造りをするなど、我々にできる対処法はあるとしている。
また、昆虫の減少に関する研究の99%は欧州と北米のもので、アフリカや南米の資料はほとんどないことから、さらなる調査が必要だという。
究極的には大多数の昆虫が絶滅しても他の種に取って代わられるが、それには長い長い時間がかかるという。
「過去に起きた大絶滅を見てみると、その後には大規模な適応放散(一つの祖先からさまざまな種が生まれること)が発生する。少数の種が新たな環境に適応し、絶滅によって空いた席を埋め、新しい種に進化する」と、グールソン教授は説明する。【リンク】【リンク】
「つまり100万年たてば、20世紀と21世紀に絶滅した生物の代わりとなる多様な新生物が生まれていることは間違いない」
「我々の子供の世代には、何の慰めにもならないが」
以上転載終了
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◆まとめ
このように送粉者である昆虫は、植物が有性生殖する上で欠かせない存在である。現在、世界中の農業で使われる肥料や殺虫剤の影響や化学物質による汚染によって、その昆虫が減少していくことは、農作物の収獲が全く見込めなくなるだけではなく、現在の生態系をも破壊し、人類だけでなく全ての地球上の生物類を滅亡させていく危機を孕んでいます。
そもそも、農業は、人類が生存していくために開発された生産様式だったはず。ところが今や、反対に生存そのものを脅かす様式に変化している事実。
私達は、この農業に端を発した生態系の危機的状況に対峙し、正しい農業様式は何か?をしっかり追求し、将来に繋げていかなければならない。
それでは次回もお楽しみに!
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2019年10月31日
土の探求8~革命を阻む、根拠なき常識Ⅱ
農業を取り巻く”神話”の正体を知れば知るほど、
近代科学、市場主義、西洋思想、これらに毒され、
事実追求の道が阻まれてきたという歴史的事実が浮き彫りになる。
以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)
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2019年10月24日
土の探求7~革命を阻む、根拠なき常識Ⅰ
土壌の健康を中心に据える。 自然と「共に」働く。
潜在思念ではその可能性を捉えていながら、革命はまだまだ道半ば。
阻んでいるのは、強大な既得権益層を中心に作り出されてきた、数々の根拠なき常識=神話。
以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)
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2019年10月17日
土の探求6~第五の革命は、志ある農民たちの追求から始まる
土壌の健康を中心に据えた、新たな農業革命。
それは支配層(国家・学識者)発ではなく、志ある農民たち自身の、日々の追求から始まる。
現場から発せられる可能性・熱量が、革命を推進する原動力になる。
以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)
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2019年10月10日
土の探求5~期待される、第五の革命
歴史を遡れば、私たちは農業において、四度の大革命を経験してきている。
それらはいずれも、市場社会の拡大を促進するものだった。
では、第五の革命は、どのようなものになるか?
期待されるのは、「土壌の健康をその農法の中心に据える」という思考。
以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)
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2019年10月04日
土の探求4~超好熱細菌が起こす土の革命
今日も、植物が生きていく上で、非常に重要な土のお話です。土の状態が良ければ、作物は健全に育ちます。
「有機農業の推進に関する法律」(平成 18 年法律第 112 号)の第二条において、有機農業は
「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組み換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業」と定義されています。
では、本来 土は、どのような状態が自然なのか?また栄養を持続して蓄えることが可能なのか?
今日は、「超好熱細菌が起こす土の革命」について紹介します。
転載開始 【リンク】
こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。「野菜づくりを始めるときにオススメの培養土や肥料は何ですか?」とよく聞かれます。そのときに僕がオススメしているのが金澤バイオ研究所が作っている九州大学ブランドグッズ有機肥料「土の薬膳®」です。僕の畑でも利用していますが、ここの土だと、とても丈夫で健康的な野菜が育つのです。この土の秘密は何やら「超好熱細菌」という微生物にあるようです。今回はその超好熱細菌について、開発者の金澤晋二郎先生に詳しくお聞きしてきました。
金澤晋二郎:株式会社 金澤バイオ研究所 所長。元九州大学農学部教授。専門は土壌微生物、土壌生化学、環境微生物学、未利用有機物の資源化など。2001年の九州大学で行われた「学内ゼロエミッションプロジェクト」で提供した超好熱細菌をもちいた「超高温・好気発酵法」による有機質肥料「土の薬膳」が好評だったことをきっかけに、退官2年前に株式会社 金澤バイオ研究所を設立し、土づくりに取り組む。常時80度以上の高温で好気発酵を行う超好熱細菌を利用した「超好熱・好気発酵法」を開発し大腸菌、害虫病原菌、寄生虫、雑草種子などを死滅させたクリーンで高品質な肥料「土の薬膳®」を開発する。その他、様々な企業や機関との共同研究やプロジェクトも手がける。
◆超好熱細菌とは
――ここで作られている培養土の一番の特徴は、超好熱細菌による有機肥料「土の薬膳®」を肥料として製造されているところだと思います。この超好熱細菌の特徴について教えていただけますか。
微生物はね、種類によって増殖する最適な温度が違うんだよ。普通そこらへんにいる中温(常温)菌は20度〜40度くらいを好むんだけど、だいたい50度以上になると活動を休止してしまう。それ以上の温度を好んで生育する菌を好熱菌、さらにその中でも80度以上のかなり高い温度帯でよく生育する菌を超好熱菌と言うんだ。
――そんなに高い温度のところでも生育できる菌もいるんですね。それはどうやって発見したんでしょうか。
九州大学に転勤する前は鹿児島大学にいてね。鹿児島県は活火山地帯で、温泉もたくさんあるでしょ。そういう常に高温にさらされているところに超好熱菌はいるわけ。微生物学者は、狩人だからね、いろんなところの微生物を捕まえにいくわけよ。微生物は人間と違って単純な構造だから、どんな環境下でもすぐに対応できるように遺伝子を組み換えて適応していっちゃう。このような機能を有する微生物がいたらいいなとか、このような物質を分解できる微生物が欲しいなと思ったら、だいたい見つかるんだよね。それに加え、微生物が地球上に現れて40憶年を経過しているため、あらゆる環境に対応できる微生物種がすでに地球上に存在しているとも言える。例えば、放射能耐性、超低圧耐性(成層圏)、超高圧(地殻深層)耐性微生物も存在する。
◆超好熱細菌での堆肥づくりのメリット
――その超好熱細菌で堆肥をつくると何が起きるんですか?
普通、堆肥を作るときは発酵熱で65度くらいまで上がるんだけど、そこにこの超好熱細菌の培養液を水で薄めて散布すると、温度が80〜90度くらいまで上がるんだ。そうするとね、雑草の種とか病原菌とか寄生虫の卵とかも全部綺麗に死滅・分解されちゃうんだよ。
――病原菌とか寄生虫の卵が残っていると怖いですね。普通の堆肥ではそういうのも残っちゃうものなんでしょうか?
60度くらいでも、じっくり時間をかければちゃんとそういう菌や卵も死滅されるんだけどね。乾燥させて水分を30%以下にすれば、悪臭を発生する腐敗菌が活動しないから、堆肥として早く売ることはできる。しかし、この状態だとちゃんと未熟な有機物が発酵分解されているとは言えない。十分に大腸菌、病原菌、寄生虫の卵などが死滅していない堆肥を使うとどうなると思う? 今度は畑の中で害虫・病原菌か増えて農作物などが病虫害に侵されることになるんだよ。そうすると農薬が必要になってくるんだよね。
――なるほど、堆肥が原因で病気になってしまうこともあるんですね。超好熱細菌ではなくとも時間をかけて堆肥化すれば、病原菌や寄生虫の卵は少なくなるんでしょうか。
うん、特に病原菌なんかは栄養豊富で未熟な有機物があるところじゃないと生きられないから。ちゃんと分解された堆肥だったら、これらの病原菌の増殖はなく、生残していて機能性の高い貧栄養細菌である土壌生息微生物に食べられちゃうんだ。ただし超好熱細菌じゃないと分解しきれないものもある。それが農薬とか家畜糞尿に含まれている化学物質。それも超好熱細菌だと分解しちゃうんだよ。すごいだろ?
――え〜! それはすごいですね。化学物質まで分解しちゃうんですか。
そう。爆発的に微生物が増殖して高温状態となると、通常分解できないものも分解しちゃうんだよ。例えば、ダイオキシンなんかも分解しちゃう。普通、分解酵素というのはタンパク質だから高温だと変性し失活してしまうんだけどね、超好熱細菌の酵素は高熱耐性酵素(100℃以上でも高活性を維持)なのでそれに耐えるんだよね。
◆超好熱細菌を使うと堆肥化のスピードが早くなる
――普通は堆肥ができるまで半年はかかりますが、堆肥化されるスピードも普通の堆肥より早いんでしょうか?
高温だから分解スピードも早いんだよ。温度が10度上がるとね、1.7倍〜1.9倍くらいは分解スピードが上がるんだよ。ここでは常時80度以上をキープしてるから25日もあれば堆肥ができちゃう。でも念のため1カ月半はかけてから出荷するけどね。だから品質のことで一回もクレームが出たことはないよ。
――それは革命的な早さですね。
◆さまざまな原料を堆肥化できる超好熱細菌
――ちなみにここではどんなものを原料に堆肥化してるんですか?
米ぬか・大豆おから・アガリスク菌床・竹パウダー・ビール麦芽かす・かき殻とか、食品産業がら出される良質の有機資源を再利用してるんだ。特に米ぬかとかおから・ビールかすは、ものすごく栄養豊富なんだよ。竹もね、処分に困ってるところが多いけど、良質の炭水化物や必須多量元素のケイ素が豊富なため、ケイ素が作物を頑強にしてくれるんだ。
――確かに! うちでも金澤バイオさんの土で野菜を作っているんですが、ものすごく茎が丈夫で葉も肉厚なものができました。竹の中のケイ素がポイントだったんですね。逆に超好熱細菌での堆肥化に向いてない原料とかってありますか?
いやぁ、あんまりないよ。ほとんどの有機性廃棄物ですでに研究し尽くしたんだけどね、例えば、下水・食品汚泥、家畜糞尿、生ゴミ、剪定枝、魚カス等々の原料で発酵実験は終了しているんだ。
――それはすごい。超好熱菌はいろんな可能性を秘めていそうですね。
超好熱細菌の特徴まとめ
① 常時80度以上の高温で発酵する
②雑草の種・病原菌・化学物質・寄生虫などを全て死滅・分解できる
③堆肥化のスピードが格段に早い
④さまざまな原料を堆肥化できる
⑤機能性の高い有機肥料となる
以上転載終了
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では、微生物は土に対して何をしているのか?続けて調査してみますと
「安全性と生産性を高める有機農業を実現する。」から【リンク】
日本の化学肥料や化学農薬の使用量は世界で1、2位を争うという衝撃的なデータがある。規制の厳しい欧州諸国などと比べるとその量は数倍から10倍にもなるともいわれている。「問題は化学肥料や農薬の使用量だけではありません。それらが長く使われた農地で育つ野菜は栄養素も著しく低いことです」と久保幹は語る。化学肥料と化学農薬を使った農業が慣行化したこの50年の間にニンジンのビタミンA含有量はおよそ3分の1、ホウレンソウのビタミンC含有量は4分の1以下に減っているという。
化学肥料の使用が慢性化した土壌と自然の土壌との大きな違いは「微生物」だ。かつての農地では落ち葉や動物の糞尿なとの有機物を土中の微生物が無機物に分解し、それを肥料に作物が育った。しかし化学肥料は分解されることなく植物に吸収されるため、エサとなる有機物を失った微生物は死滅してしまう。久保の調査によると、日本には微生物が計測できないほど「ゼロ」に近い農地が少なくないという。微生物のいない土壌では植物病原菌や病害虫が繁殖しやすくなり、それがまた農薬の使用を招くという悪循環に陥っている。
食の安全のためにも化学肥料や農薬を含まない「健康な野菜」を作ることが望まれるが、長年化学肥料や農薬が使われた農地でやみくもに有機農業を実践しても急に作物は育たない。
「まずは土中の物質循環を取り戻すため、そのエンジンとなる微生物を増やす必要がある」
~後略~
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◆まとめ
野菜や植物を健康に育てるためには、微生物の力が欠かせないということが分かりましたが、それ以上に日本の農耕地が今や危機的な状況にあることは衝撃的でした。
このような状況下にあって、超高熱細菌の適応力が、土の潜在的な力を引き出し、更に土中の物質循環を取り戻して、自然本来の姿に戻す核となるのです。小さな存在ですが、生きていく上で欠かせない微生物。彼らを存続させていくことが、人類も含めた地球上のすべての動植物が元気に生きていられること。に繋がっていくのです。では、次回もお楽しみに!
posted by noublog at : 2019年10月04日 | コメント (0件) | トラックバック (0) TweetList