2019年10月03日

土の探求3~肥沃な土壌のカギを握る「表土」

肥沃な土壌のカギを握る、「表土」。

自然が数センチの肥沃な表土を作るのにかかる時間は数百年。

人類はそれを全て数十年で壊す方向に進んでいる。

肥沃な表土を再生させる突破口は、「有機物」の追求と、「自然と”共に”働く」心のありよう。

 

以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)

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2019年09月26日

土の探求2~人類最悪の発明、「犂」

畑を耕す。

この、ごく基本的な農作業の効率化追求が、今に続く土壌劣化の始まり。

 

以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)

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2019年09月19日

土の探求1~土を顧みない社会

目先の利益に傾倒するあまり、自然の摂理に反する生産行為が続けられてきた近代農業。

その代償として失われてきたものの一つに、「肥沃な土壌」があります。

 

近代農業がもたらした数々の弊害が明るみになってきている今、

次世代につながる農業生産、その基盤となる、豊かな土壌の再生に求められるものはなにか。

”足下に広がる小宇宙”とも言われる、未だ謎多き「土」の探求。

 

以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)

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2019年09月12日

農をめぐる、世界の闘い13~先端を行くラテンアメリカⅢ.給食改革の根底に流れる志

戦後導入された「学校給食制度」が象徴するように、離乳食の段階から支配され続けてきた日本の「食」。
(参考:【奇妙な学校給食のルーツは戦勝国/米国の対日戦略に始まる】

将来世代のために、私たちが守り育てていくべき「食」とは何なのか。

ブラジルは、給食制度の改革を通じて、次代を生きる国民の健康、郷土食の文化、その基盤となる”農”を守り育てようとしています。

 

以下、転載(タネと内臓 著:吉田太郎)

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2019年09月10日

廃棄していた「摘果みかん」を「宝」に変える

今日のお話は、これまで、食されることなく破棄されていた みかん と安価な茶を融合させてできた「みかん発酵茶」の開発のお話です。

市場経済の元では、規格外のもの、形の悪いもの、虫のついたもの等商品としてマーケットに乗らない野菜や果物は、いくら食することが可能であっても全て破棄します。2008年市場に出回らない規格外野菜は400万トン(流通野菜1000万トン)【リンク

これまで廃棄されていた「摘果みかん」をどうにか食するようにはできないものか?長崎で開発された全く新しい取り組みリポートです。

では転載開始【リンク

長崎県立大など「みかん発酵茶」開発、機能性表示目指す  2018.09.28   文=佐々木 節

長崎県立大学シーボルト校や長崎県農林技術開発センターなどを中心とする研究グループは、「みかん発酵茶」と呼ばれるまったく新しいタイプの飲み物の開発を数年前から本格化させている。これは従来廃棄されていた「摘果みかん」と、「一番茶」に比べ香味が劣る安価な「三番茶葉」を利用して作る発酵茶の一種で、「血流改善」など健康の維持や増進に貢献する多くの機能性が期待されている。「食と健康」に対する人々の関心が高まるなか、健康食品としての新たな需要の掘り起こしが見込まれ、地域創生の起爆剤としても期待されるみかん発酵茶について、研究開発の中心的役割を果たしてきた長崎県立大学教授 田中一成さんと、長崎県農林技術開発センター主任研究員 宮田裕次さんの2人に話を聞いた。

長崎県中央部の大村湾南岸を町域とする長与町は高度成長期以降、隣接する長崎市のベッドタウンとして都市化が進んだが、もともとは自然豊かな農業地域。丘陵地で育てられているみかんが名産品として有名だ。このため、町のほぼ中心部に位置するJR長与駅の外観も地元の特産の「みかん」をイメージして作られており、駅前東口には長与町のイメージキャラクター「ミックン」の像がこの町を訪れた人々を迎えている。

今回、みかん発酵茶の開発物語を聞くために、長与駅から徒歩15分ほどの場所にある「みかん発酵茶」の研究拠点の一つ、長崎県立大学シーボルト校に同大学教授の田中一成さんと長崎県農林技術開発センター主任研究員の宮田裕次さんを訪ねた。

◆捨てられていた「摘果みかん」と価格の安い「三番茶葉」を活かす

長崎県立大学や長崎県農林技術開発センターなどのグループは、数年前から地元の農家がみかん育成の過程で間引きしている摘果みかんを使った発酵茶の研究を進めてきた。地元農家への技術普及を図るために実証研究も進めている。地元のJA全農ながさきも協力機関として支援した。

「多すぎる実を取り除く摘果は、良質なみかんを栽培するには欠かせない作業の一つ。しかし、これまで摘果みかんは利用されずに廃棄されていました。ところが、この摘果みかんにはヘスペリジンという有効成分が非常に高い濃度で含まれているのです。これを『何とか活用できないだろうか』と考えたのが開発のそもそものきっかけでした」

研究開発の契機について、まず宮田さんはこのように話してくれた。

ただしポリフェノールの一種であるヘスペリジンは水に大変溶けにくく、そのまま飲料にすると沈殿してしまうため見栄えも良くなかった。一方、酵素処理によりブドウ糖を付加して水に溶けやすい「糖転移ヘスペリジン」を作ることは可能であり、実際に食品原料メーカーが製造している。だが、その製造には非常に多くの手間と多額のコストがかかってしまう。こうした問題を解決するために考案されたのが、摘果みかんと茶生葉を揉捻(じゅうねん)機(=本来は一般の製茶工程で茶葉を揉み込むための機械)で強く揉み込む独自の製法である。

「製茶農家が茶葉を揉み込むために所有している揉捻機を使い、お茶と摘果みかんを3:1の割合で20分間強く揉み込むと、自然発酵が起こり、ヘスペリジンがお茶の成分であるカテキンなどと結合して水に溶けやすくなるのです。そして、水溶性が高くなると、生体内への吸収も良くなり、飲料としてより多くの機能性が期待できます。健康志向の消費者にアピールできるとともに、長崎県内の農家の支援にもなる」と、この製法を開発した宮田さんは語る。

ちなみに揉捻機は、製茶農家や茶を出荷する農協が必ず持っている機械なので、みかん発酵茶を生産するために新たな設備投資をする必要はまったくない。そのうえ従来は廃棄していた摘果みかんと、一番茶に比べ香味が劣ることから価格の安い三番茶葉が原料として有効活用できるのだから、農家には非常に大きなメリットとなる。開発グループは、農家がみかん発酵茶を製造するための「マニュアル」を作成した。

◆ヘスペリジンだけでなく、カテキンや紅茶ポリフェノールも豊富

みかん発酵茶がもつ機能性のうち、最も注目されるのは摘果みかんのヘスペリジンによる血流改善作用である。「人は血管とともに老いる」と言われるように、血管の硬化は心筋梗塞や脳卒中、高血圧や腎機能低下といったさまざまな疾病をもたらす。一方、血流が良くなればこうした疾病を予防できるだけでなく、日常の冷え性や肩こりの解消などにもつながる。このほかみかん発酵茶の機能性という点では、もうひとつの原料、茶葉に由来する効果も見逃せないと田中さんは言う。

「みかん発酵茶の製造に用いる三番茶は、新茶(一番茶)や二番茶に比べると値段が安いこともあり、長崎県内では出荷されることがほとんどありませんでした。ところが、その成分を調べてみると、暑さの厳しい7月から8月にかけて収穫される三番茶には、苦み成分でもあるカテキンが非常に多く含まれています。そのカテキンは揉捻機にかけると発酵作用でもう一つの有効成分である紅茶ポリフェノールへと変化していきますが、揉み込み時間を20分程度に限定すれば、もともとあったカテキンも十分に残りますので、これらが血圧を下げたり、中性脂肪を減らしたりというさまざまな効果をもたらしてくれるのです」

◆「機能性表示食品」の届出によって商品の魅力を広くアピール

こうしたみかん発酵茶の機能性を広くアピールするため、研究開発と並行して目指しているのが「機能性表示食品」の届出である。

ご存じの方も多いだろうが、機能性表示食品はアベノミクスの規制緩和政策の一環として2015年4月に導入された制度で、それ以前は食品の機能をアピールできるのは「特定保健用食品(トクホ)」や「栄養機能食品(主にサプリメント)」に限られていた。このうち1991年に定められたトクホ制度では、最終製品を用いた臨床試験で、有効性や安全性を国の審査において立証しなければないため、その取得には多大な時間や費用が必要だった。一方、新たにスタートした機能性表示食品制度では、原則的に消費者庁への届出だけですむようになっているため、健康食品を手がける企業とっては、科学的根拠に基づいた食品の機能や効能を比較的手軽にアピールできるメリットが生まれた。

この制度を所管する消費者庁食品表示企画課の久保陽子さんによると、2018年9月現在、機能性表示食品の届出を受理したのは1374件にのぼり、そのうち最も多いのは加工食品、次いでサプリメント、生鮮食品の順になっているという。また、商品パッケージに具体的な健康効果を表示することによって、その販売実績を大幅に向上させた企業も決して少なくない。たとえば、カゴメ経営企画室広報グループの北川和正さんによると、「消費者庁への届出により2017年10月から“血圧が高めの方に”との機能性表示を行った『カゴメ野菜ジュース』の2018年1~6月の販売金額は、前年同期(2017年1~6月)と比べて約70%増となった」という。機能性表示食品の2018年の市場規模は、前年比15.1%増の1975億円になるとマーケット調査会社の富士経済は予測している。

◆農家の所得を向上させ、地域創生につなげる

2014年から本格化したみかん発酵茶の共同研究は、すでに商品化に向けた最終段階に入りつつあると宮田さんは語ってくれた。

「みかん発酵茶の商品化については、平成29年度(2017年度)から31年度(2019年度)の3年間、農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)の経営体強化プロジェクトに認定されています。このプロジェクト中では、地元の農家の所得を2割向上させるほか、試験終了後1年以内に機能性表示食品の届出をすることになっています。つまりは研究開発で終わることなく、事業化することを見据えているのです」

事業化に向けて、長崎県農林技術開発センターなどの指導によって農家には一次加工品であるみかん発酵茶の製法を習得してもらっている。並行して「みかん発酵茶」の効果を長崎県立大学教授の田中さんらが実証して論文にする。一方、この経営体強化プロジェクトには一次加工品の流通を担当する企業と製品の生産・販売を担う健康食品メーカーも参画しており、新商品の開発も具体的なものとなっている。そして、こうした商品化へ向けた一連のプロセスの中で重要な役割を果たすのが、商品の魅力を消費者へとアピールする機能性の表示なのである。

「現在、われわれが行っているのは血流改善をテーマにしたヒトでの実証実験です。これにより実際の商品化に際しては、冷え症の改善、肩こり改善、疲労回復といった消費者にもわかりやすい機能を表示できるようにしたいと思っています」と田中さんは語る。

宮田さんによると、製品化への具体的な流れとしては、2019年に機能性表示食品の届出をすませ、翌2020年には新商品の発売にまで漕ぎ着ける予定だという。

気になるのはみかん発酵茶の味だが、さわやかな紅茶の香りがすばらしく、人間の感覚を用いて製品の品質を判定する「官能試験」においても高い評価を得ている。これまでに「五島つばき茶(椿の葉+茶葉による発酵茶)」、「ワンダーリーフ(ビワの葉+茶葉による発酵茶)」という長崎県の特産品を用いた発酵茶で人気商品を生み出してきた田中さんと宮田さんの2人も、口を揃えて「苦みの強い三番茶から飲みやすく、ものすごくおいしい発酵茶を生み出すことができた」と太鼓判を押す。

そして、機能性表示食品の届出が受理されれば消費者へのアピール度もさらに高くなるだけに、新商品の登場には大きな期待と注目が寄せられている。長崎県の農業の活性化にもつながる新たな発酵茶の発売が待ち遠しい。

以上転載終了

◆まとめ

手塩にかけて育てた野菜や果物が、流通せずに捨てられているという現実。いくら「農業は素晴らしい」と声を大きくしても、「収穫」と「破棄」が瞬時に表裏一体となる矛盾。そういう意味では、今回紹介した試みは知恵と発想力から可能になった産物だと思います。

市場経済が続く限りは、根本的な解決には至りませんが、こうした知恵と発想力によって農家は救われ、本当の意味で新たな農業の活性化・地域創生に繋がっていくのではないかと思います。

日本には、「もったいない」「始末の料理」等、素材を最後までいただくという素晴らしい文化があります。農家が育てた野菜や果物を使い切るという知恵や方法が、今後もいたるところで芽生え、登場してくれば、本当の意味で「新しい農」としての未来が見えてくるのではないでしょうか?それでは、次回もお楽しみに!

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2019年09月05日

農をめぐる、世界の闘い12~先端を行くラテンアメリカⅡ.世界で最も進んだ食のガイドライン

ブラジルが世界に誇る「食のガイドライン」。

それは、「一日当たりの脂肪や繊維の推奨摂取値は…」等という医療・栄養学的な処方箋としてではなく、

滋味豊かな料理を家族や友人たちと分かち合うことの喜びを重視し、それら食べ物と環境とのつながりを直視する。

その価値の塗り重ねが、将来世代の食・農・健康を守っていく。

 

以下、転載(タネと内臓 著:吉田太郎)

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2019年08月29日

農をめぐる、世界の闘い11~先端を行くラテンアメリカⅠ.破壊される郷土食の伝統

前回、【砂漠化する先進国の食事】で触れた、”遺伝子組み換えまみれで栄養スカスカのクズ”と化した、トウモロコシ。

これがまた大量に、日本に輸入されることになってしまった。

 

…かつて、米国・多国籍企業の「お得意先」であった、ラテンアメリカ。

しかし現在、彼らは敵の戦略を見抜き、将来世代のために、失われつつあった郷土食の伝統を取り戻そうとしている。

 

以下、転載(タネと内臓 著:吉田太郎)

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2019年08月29日

農作業でストレス軽減 アグリヒーリングが新ビジネスを創出

農業が、ストレスを低減するという実証実験が行われています。今日は、大学と企業と農家が一体となり、「アグリヒーリング」という園芸療法で、現代人の心理負担の緩和によるストレス軽減効果の定量・数値化(可視化)の取り組み、その具体的な効果について紹介します。更に体験農園を通じて会社の福利厚生などに活用していくという新ビジネスへの可能性についても取り上げたいと思います。 

転載開始【リンク】     2019.06.28  文=平林理恵

ビジネスシーンで精神的な不調を訴える人が増える中、農作業を通じて回復を目指す取組みが広がっている。順天堂大学とNTTコミュニケーションズが実施した実証実験では、農作業の前後でストレスホルモンを計測、半数以上で効果が確認できたという。体験農園での農作業を企業の福利厚生などに活用しようという動きもある。体験農園の事業化によって、農業者にも新たなビジネスチャンスが見えてきた。

週末のガーデニングや庭いじりが、疲れた心身のリフレッシュにつながると感じている人は少なくないだろう。また、医療や福祉の現場でも、精神疾患の改善やリハビリテーションなどを目的に園芸作業を行う「園芸療法」が積極的に導入されている。 植物や土に触れることで、人は癒される。にもかかわらず、これまではそれを示す数値的なエビデンスがなく、その効果は漠然としていた。

そんな中、順天堂大学とNTTコミュニケーションズ(以下NTTコム)は、2018年、農作業を行うことでストレス軽減を実現する「アグリヒーリング」の効果を社会実装する実証を開始した。

この実証実験が今、農業に新たな価値とビジネスチャンスを与えるものとして、また、ストレスを自分でコントロールする手法の創出につながるものとして大きな注目を集めている。

◆唾液を調べて、ストレス状況を可視化

順天堂大学は、以前から唾液の成分を調べることで、脳内から分泌しているホルモンの量を量り、その増減によってストレスを検出するという極めて高度で特殊な技術を持っていた。これに着目し、園芸療法の効果測定とこのホルモン計測技術を組み合わせられないか――と提案したのが、順天堂大学大学院医学研究科の千葉吉史研究員だ。

~中略~

「2016年から、農作業の前と後で唾液の中のホルモンがどう変わるかという実験を行い、300例近くのデータをこれまでに取りましたが、ほぼ全ての事例でストレスが下がっています」と千葉氏は説明する。

ストレスの減少については、ストレスを受けたときに脳内から分泌されるコルチゾールやクロモグラニンを計測した。ともに農作業の後、低下が見られたが、とくに顕著だったのは長期的なストレスを受けたときに分泌されるコルチゾールだ。「農作業はストレスをしっかり下げ、その下がった状態がある程度維持されると言えます」(千葉氏)

農作業ならではの特徴として挙げられるのは、「幸せホルモン」とも呼ばれるオキシトシンの変動だという。 たとえば、ヒーリングミュージックを聞いた場合でも、一般的にはコルチゾール値が低下して、ストレスは下がる。しかしながら、オキシトシン値も下がるため、ボーとした状態になるものの、充実感や満足感は得られない。

一方、うれしいことがあると、オキシトシン値は上がるが、これに伴ってコルチゾール値も上がってしまう。つまり、幸福なときは気持ちが高ぶっているため、ストレスも高くなるというわけだ。

「ところが適度な農作業で土や植物に触れると、コルチゾール値が減少すると同時に、幸せホルモン・オキシトシンが分泌される。幸せに包まれながら心穏やか。こんな傾向を示すのは、私たちが調べた中では農作業だけです。おそらく農作業の後は、恋人と手をつないでいるときと同じような状態なのではないでしょうか」(千葉氏) 

◆「農業」ではなく「農作業」に着目

順天堂大学が企業やJAなどと協働で実施してきたこれらの実験は、各地の体験型農園や市民農園などを会場に行われた。集まった参加者たちは、草取りや水やり、収穫などの軽農作業を1時間程度体験し、その前後で唾液を採取する。つまり、この実証実験は「農業」そのものにスポットを当てたものではなく、「農作業」―短時間土に触れる体験―に着目したものなのだ。

「市民農園を長期で借りて、日常的に農作業を行っている人は、そもそも初期のストレス値が低いので、1時間の体験で一気にストレスが下がることはありません。一方、初心者や月1、2回程度の利用者の場合は、作業の前後でストレス値が一気に下がります。このように短期的な効果が狙えるということは、たとえば企業が福利厚生の一環として農園と契約するといった利用のされ方が広がる可能性があります」(千葉氏) 

◆体験農業が農家の新たな収入源に

果樹や洋蘭栽培のスコレー(岡山市)は、2017年にこの実証実験に協力した。洋蘭の仕立て作業やアレンジメントの前後で参加者の唾液を採取して分析したところ、「コルチゾール値が約半分まで減少」(千葉氏)、参加者からは「楽しい体験だった」と評判も上々だったという。

スコレーの大内巌社長は、「実証データがとれることの意義は非常に大きい」と力を込めた。「農閑期の体験希望者の受け入れを事業化すれば、農家にとっては新しい収入源になります。そのためには、データを元に体験プログラムを作り、お客さんに効果を提示する必要がある。実証データは欠かせません」

ちなみに、スコレーでは、来年からブドウの木のオーナー制度をスタートさせるべく、現在準備中だ。「企業にオーナーになっていただき、福利厚生に役立ててもらう。ブドウを育てる、収穫する、食べる、ジュースを作る……。体験しながらゆっくり過ごせる場所とサービスを提供していきたいですね」と大内社長。すでにいくつかの企業が興味を示しているという。実は、実証実験の狙いもそこにある。

「これからは、人口が減り、国内の『食べる』需要は縮小していくばかり。どうあがいてもこの市場だけで勝負するのは限界です。ここは大きくパラダイムをチェンジして、農地を活用して消費者にストレスをケアするサービスを提供し、そこから対価を得るということを考えていかなくてはなりません」(千葉氏)

実証実験によりエビデンスがとれたことで、このようなサービスの売り込みはエビデンスがないときよりもずっとやりやすくなるはずだ「企業と提携して農閑期に定期的にアグリセラピーの人を受け入れる、棚田セラピーなどの形で滞在型のストレス解消ビジネスを展開する、定年起業した人が農業を行う選択肢にもなりそうです」と千葉氏は指摘する。

◆NTTコムの参画で 実証実験は新たな段階へ

そして、2018年、NTTコムが参画したことで、この実証実験は新たな段階へと入った。 すでにこれまでの実証実験を通して、園芸療法によるストレス軽減効果は実証され、可視化されていたものの、実は大きな問題が残っていたのだ。それは唾液を採取するという実験方法そのものの問題だった。

「まず、唾液採取キットが非常に高価であったこと。次に、そのキットを使ってストレスを測定できるのは医療従事者だけという制約があったこと。さらに、ある程度の量の唾液を採取しなくてはならず、人によってはそれに抵抗を感じる場合もあったこと。そして、唾液の出にくい高齢者から十分な量の唾液を採取することが難しい場合も多かったこと。医科学的な効果を証明することはできましたが、このままでは学校や会社などで活用されにくいと考えられました」(千葉氏)

一方、NTTコムは、同社の専門領域であるICTを通して農業分野でなにか社会貢献ができないかとかねてから模索していたという。 「昨今のようなストレス社会において、ストレスを自分でコントロールする手法や軽減する環境の創出は大切な課題です。当社の、着るだけで心拍変動や心電位などの生体情報を継続的にモニタリングできるウェアラブル生体センサー「hitoe(R) 以下hitoe」を、なんとかそのために生かせないかと探る中で千葉先生に出会いました」と、NTTコミュニケーションズ ソリューションサービス部の赤堀英明担当部長は説明する。

この出会いが、順天堂大学とNTTコムを結びつけた。そして、唾液でストレスを図るのではなく、hitoeとデータ流通プラットフォームを活用して、アグリヒーリングのストレス軽減効果を可視化するシステムの開発へとつながったのである。

~以下後略~

以上転載終了

◆まとめ

適度な農作業で土や植物に触れると、幸せに包まれながら心穏やかになることが、立証されてきました。そして、このような傾向を示すのは、現在、農作業だけであることも、実験データから分かってきています。

農作業は、人間の持つ感覚機能を呼び覚まし、生物本来の姿に回帰できていくという意味では、人間が生きていく上でかかせない活動といえるでしょう。

地方では、喜多方市【リンク】のように、すでに学校の教育現場で、農業が科目として採用されてきています。

近い将来、農業が、人々の心の再生の大きな、幹になっていくのではないでしょうか? では、次回もお楽しみに

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2019年08月22日

農をめぐる、世界の闘い10~砂漠化する先進国の食事

あらゆる生産活動が、市場拡大の下に組み込まれていった。

その代償を最も払わされてきたのは、「食」ではないか。

豊かさ追求の影で、貧しくなるばかりの「食」の実態。

 

以下、転載(タネと内臓 著:吉田太郎)

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2019年08月16日

江戸時代の農民が「教育熱心」だった理由 ~そして教育ママが誕生した経緯

皆さん。お盆休みは、田舎に帰られたのでしょうか?お盆は夏季 に行われる日本の祖先の霊を祀る一連の行事。

そこで、今回は私たちの先祖、先祖といっても、江戸時代~明治時代までの農家についてお話をしてみようと思います。当時の農家と教育についてです。更に、各時代における女性の教育へのかかわり方や「教育ママ」の登場してきた経緯を明らかにしていきたいと思います。

PRESIDENT ONLINE【リンク】からの転載です。

江戸時代の農村は日本史上、もっとも子育てしやすい環境だったというが「勉強しなさい!」と活を入れる教育ママはいたのだろうか? 子育ての歴史研究者が意外な事実を明かしていきましょう。

太田素子:和光大学 現代人間学部 心理教育学科 教授  1948年、東京都生まれ。75年お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。湘北短期大学、埼玉県立大学教授などを歴任し、現職。2008年『子宝と子返し-近世農村の家族生活と子育て』で第6回角川財団学芸賞受賞。

転載開始

 

◆子供を「大人4人」が教育し世話をした

「教育ママ」を定義するのは難しいですが、1つには「近代化の産物」といえるでしょう。身分制度が揺らいで流動性が高まり、多くの人が、社会的な地位を上げることが可能になった。競争社会に参入する人が増え、勉強すれば勉強するほど、カネや権力を手に入れられると考えることのできる時代が来たのが近代という時代です。

さらに、働き方という観点もあります。明治時代になると、人々が都市に集住し、父親が企業や役所に働きに出るかたわら、母親が専業主婦として家事・子育てを一手に引き受けるようになった。そうして「ワンオペ母親」が誕生し、子供を厳しく教育し、躾を行う「教育ママ」が広まっていったといえるのです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

それでは、江戸時代の人々は、近代以降に比べて教育を疎かにしていたのでしょうか。また「教育ママ」はいなかったのでしょうか。そうではありません。教育そのものの目的が違っていたというのが正しいでしょう。

周知の通り、江戸時代は身分・階級が固定化されていました。ただ、一定の幅の中では能力のあるものが出世し、下級士官がより高い地位の官吏になったり、学者として取り立てられたりすることもありました。ですので、武士の家では、わが子の成功を願って、論語だったり剣術だったりの教育に熱心になる親がいましたし、「教育ママ」もいたかもしれません。

しかし、基本的には、特に農村では「親の家業を継ぐ」ことが当たり前であり、そのための教育がされていたのです。

平和が長く続いた江戸時代の農村は、日本の歴史上でも例外的といってもいいくらい、子育てがしやすい環境にありました。どこの家庭も子供は1~2人で、息子が結婚して嫁を迎え、家に残る直系家族が多かった。娘はよその家へ嫁に行く。家族の形態としては、(長寿に恵まれた家では)祖母と祖父、父と母、子供が2人、という形が一般的になります。つまり、5~6人の家族だと、子供を見るための大人たちが4人いることになります。教育の手綱の引き具合に余裕があったんです。

さらに、当時は村落という共同体が一体になって、子供を育てていた。もちろん、村落の中で監視されるような息苦しさもあったでしょう。しかし、子供をしっかり育てないと、という規制力が働くという利点もありました。

 

◆村に逗留した儒学者や算法法師、修験者に教えを請うた

では、農村の教育で、「教育ママ」はいたのか。はっきりいうと難しかったでしょう。理由としては、女性の結婚・初産の年齢の平均が、20~23歳前後だったことが挙げられます。対して、夫のほうは30歳前後から30代半ばが平均。現在の年齢の感覚と比べることは難しいとはいえ、20歳のいわば少女である未成熟な母親が口を出すことは難しかったでしょう。

ですので、より主体的に教育にかかわったと考えられるのは、直系家族でいう祖母のほう。自分自身の子育てが終わり分別もついた、教育ママならぬ「教育ババ」が誕生していた、と考えることができます。「教育ババ」といっても、50歳くらいの年。現在の感覚だと十分子育て世代です。

さて、農村で行われる「教育」とはどのようなものだったのか。江戸初期では、基本的には家業についての教育です。農家であれば田植えの仕方や畑の耕し方、山に入って薪を集める仕事を教える。漁村であれば、船の扱いや釣りの仕方、波の読み方を教えるということが主でした。農村の仕事は重労働ですので、中心を担うのは男で、男親から息子への教育が基本。女性は、田畑で働く男たちに弁当を持っていくなど、支える側の仕事が多かったと考えられます。

この時代の教育は競争に勝つというよりは、1つの家内で行われる伝承が中心だったのです。

とはいえ、外からの知識を手に入れる教育の機会もありました。代表的なものは、寺院です。和尚が、教訓話や生活の知恵などを教えていた。また、武士や商人ほど頻繁ではありませんが、寺子屋や手習い塾に通う子供もいました。

ほかにも、儒学者や、和算を教える算法法師、修験者などの知識人が移動中に村に逗留することがあり、彼らを宿泊させる代わりに、教えを請うこともありました。

江戸時代には本屋が各地を回って本の商いを行っていました。

 

◆明治時代以降になると「教育ママ」が誕生

江戸中期になると、農村でも教育熱は高まります。農業について記された「農書」が広く出回るようになります。効率的な農法を勉強すれば、収穫も増える。蚕や煙草など商品作物を育てれば現金収入が得られる。努力による格差が生まれはじめました。

また、農村でも積極的に商取引が行われるようになり、なかには高利貸しを行ったりするような、豪農と呼ばれる農家が増えていった。すると近辺の農家とのネットワークが生まれたのです。村落の豪農の間で婚姻が交わされるようになり、通婚圏が広がりました。富裕な階層では子供も増えていくので、婿や嫁の面倒も多くなります。「あの豪農の家に婿に行くなら」「嫁に行くなら」最低限の知識は必要だ――と、教育熱は高まった。主に文化・文政期以降(1800年代前半)の話です。当然、豪農になれば取引のため数字に強くないといけませんし、書物を読む教養も必要になりました。

ただ、上昇志向に支えられた、競争社会はまだごく一部の人のものです。

しかし、明治に入り、都市化が進むと、ホワイトカラーから都市の新興住宅に暮らすようになり、核家族化が進みました。前述したように、夫が外に働きに行くようになり、子供の教育の担い手は専業主婦となった母親1人に集中しました。また、勉強すれば出世できる社会になるとともに、良き妻・母たれという「良妻賢母」教育が広まり、都市に女学校や高等女学校が開校しました。こうして、エリートを育てる「教育ママ」が生まれたのです。

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しかしながら、現在、この30年ほどで、日本に大きな変化が起こっています。共働き世帯が当たり前になり、90年代初頭には専業主婦世帯の数を超えました。少子化が進み、性別役割分業をする必要性も減ってきました。もはや女性だけが子育て・教育にかかわる時代ではありません。さらに、経済が発展したことで、エリートを目指さなくても食べていける社会となりました。「教育ママ」が滅びたわけではありませんが、多様な生き方を選ぶことが可能な社会になったといえるでしょう。

以上転載終了

 

◆まとめ

「江戸時代の農村は、日本の歴史上でも例外的といってもいいくらい、子育てがしやすい環境である」という中身は、この時代の流れを見るとあきらかでしょう。

江戸時代の農村では、村落共同体と仕事と教育が一体となった環境を形成していました。それも教育の中味は、将来自分が生きていくための実践。そこで子供は、生きていく術を生き生きと学んでいったと言えるでしょう。

そして、その学びから農業技術の追求への結果が効率的な農法の獲得や蚕・煙草など商品作物の開発などに繋がっていきました。

※こうしてみると「教育ママ」は、時代が生み出した鬼っ子のような存在なのかもしれません。

いずれにしても、村落共同体と仕事と教育が一体となった環境は子供たちにとって活力が生まれる土台になっていたといえるでしょう。では次回もお楽しみに。

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posted by noublog at : 2019年08月16日 | コメント (0件) | トラックバック (0) List