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2019年09月26日

土の探求2~人類最悪の発明、「犂」

畑を耕す。

この、ごく基本的な農作業の効率化追求が、今に続く土壌劣化の始まり。

 

以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)

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■人類最悪の発明、「犂」
世界を変えたあらゆる発明品の中で、犂(すき:プラウ。ウシやウマに引かせて耕す道具)は特に破壊力があった。そして今もそうであることは、疑いもなくはっきりしている。
そう、何かの間違いではない。「犂」だ。我々が知る文明の始まりを助けた農耕の根源を象徴するものだ。犂により少数の人間が多数を養うことが可能になり、商業、都市国家、聖職者や君主や政治家など農業をしない人間のいる階層性社会がお膳立てされた。問題は、手短に言えば、犂が土地を風と雨による浸食に弱くすることだ。

天然の草地や森林には、広範囲に裸になった地面はめったに見られない。可能であれば、自然は植物という衣服を着る。植被をはがされた地面~耕したばかりの畑のように~は土壌が形成されるより早く浸食されるからだ。また耕すと、土は犂が通過するたび斜面の下へと押しやられる。このように、何世代にもわたって耕されると、斜面は徐々に、時には急速に、自然から与えられた表土を失っていく。そうして、嵐が来るたびに、犂が通るたびに、一度に一ミリ、土地はゆっくりと肥沃さをなくす。

世界中のさまざまな環境で浸食がどのように地形を形成するかを研究するうちに、私は社会の豊かさがその土地の状態を反映することらしいことに気づいた。この点をはっきりと悟ったのは、アマゾンでフィールドワークをしていたときのことだ。自給農業のために切り開かれたばかりの熱帯雨林の中で車を走らせていて、むき出しの畑が養分に乏しい風化した岩が見えるまでどれほど速く浸食されるかを私は見た。これが起きた場所では、貧しい家族がかろうじて生きていけるほどの収穫しか得られなかった。農民はすぐに移動し、熱帯雨林を切り払って新しい畑を作る。あとから牧場労働者がウシを連れてきて、耕作放棄地で草を食べさせる。これが終わりの見えない破壊の循環となっていた。別の旅では、南太平洋のマンガイア島で、減り続ける肥沃な農地をめぐる長い戦いの歴史をもつわずかな人口を、ひどく浸食された土壌がかろうじて支えているのを見た。

六つの大陸にわたる30年のフィールドワークを通じて、長く耕作され表土を失った地域は、その結果、疲弊していることに私は気づいた。一目でわかるサインは、崩れた溝と下層土が地表に露出した斜面に刻まれている。残った土壌のやせ具合はもっとわかりにくい。
しかし、それは注目する、そして逆転させる価値のあるものだ。土壌の回復は、水、エネルギー、気候という根本的な課題や、さまざまな環境や公衆衛生問題に取り組む上で役に立つからだ。化学肥料への依存が生み出した窒素汚染は、アメリカ中西部の都市用水に影響し、メキシコ湾のミシシッピ川河口に巨大な死水域を作っている。農業排水中の過剰なリンは藻類の異常発生を招き、五大湖の魚を殺している。殺虫剤への直接の曝露や、食物源を枯らす除草剤の間接的影響は、ハナバチやオオカバマダラのような花粉媒介者の個体数激減を引き起こし、農業生産と生物多様性に深刻な影響を与える。農業化学製品への全面的依存は、うつ病やある種のがんのリスクの増加が農薬への曝露に結び付けられているように、人間の健康にも直接的に影響している。
健康で肥沃な土壌の回復は、こうしたあらゆる問題に包括的に取り組む上で役に立つ。

投稿者 noublog : 2019年09月26日 List   

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