2008年11月05日
図で見る 世界の穀物事情 世界は食料危機を克服できるのか? Food Crisis Map 08(2)
図で見る 世界の穀物事情 世界は食料危機を克服できるのか? Food Crisis Map 08(1)の続きです。
各国の食糧事情が良くわかります。
JAcoml
の「農業協同組合新聞創刊80周年記念特集 食料安保への挑戦 」の中の記事「図で見る 世界の穀物事情 世界は食料危機を克服できるのか? Food Crisis Map 08」からの引用です。
主要国の農業生産動向
●アメリカ
記録的収益の穀物農家、畜産農家は飼料高騰で苦境に
アメリカは穀物・大豆両方の最大の生産国かつ輸出国である。とくにその輸出量は他の輸出国をはるかに凌駕しており、世界の3分の1(トウモロコシは2分の1)を占めている。主な輸出先は中国、日本、メキシコ、台湾であり、これら4か国で穀物輸出の約2分の1、大豆輸出の約7割を占める。ただし、生産量に対する輸出の割合は2~3割台であり、主たる供給先は飼料向けをはじめとする国内消費である。
この輸出は、恵まれた土地資源と大規模農業経営、そして補助金によって支えられている。とくに第二次大戦以降は、余剰生産能力のはけ口として、対外食糧援助や輸出補助金によって世界に市場を拡大した。70年代以降は農家の生産費を直接支払い等の補助金により補填しながら、穀物価格を国際競争力のある低水準に維持している。こうした政策は安価な飼料の供給により国内の畜産にも好影響を与えてきた。
しかし、05年以降、バイオ燃料の振興策により需給構造は一変している。バイオエタノール原料向けのトウモロコシ需要が急拡大し、07年にはアメリカのトウモロコシ輸出量を上回り、かつ世界における穀物消費量増加への寄与度は4割に達した。トウモロコシへの作付転換により他の作物の需給も引き締められた。くわえて、アメリカには穀物の主要な先物取引所があり、そこでの投機資金の流入も相まって世界的な食料価格の高騰につながった。穀物生産農家は記録的な利益を上げる一方、畜産経営は飼料の高騰により厳しい状況にある。(平澤)
●EU
穀物価格高騰に対応して関税と生産調整を停止
EUは、07年にルーマニアとブルガリアが加わって加盟国は27カ国となり、域内の人口は4.9億人になっている。EU各国の農業構造は立地条件や歴史的経緯などのため多様であり、イギリス(57ha)、フランス(47ha)などは経営規模が大きいが、イタリア(7ha)やポーランド(6ha)などは比較的小規模である。
EUは、域内の人口を支えるため共通農業政策(CAP)のもと価格支持、関税、直接支払いなどの手厚い農業保護を行なっている。1970年代以降、CAPによる価格支持によってEUの穀物生産量は増大したが、それが生産過剰と財政悪化をもたらしたため、92年のマクシャリー改革によって価格支持水準の引き下げと直接支払い導入を行ない、その後、EUの穀物の生産量はやや減少し輸出量も減少した。しかし、EUの食料自給率は高く、穀物自給率は、イギリス99%、フランス173%、ドイツ101%である。
07年の穀物生産量は、小麦1億2100万トン、大麦5800万トン、トウモロコシ5100万トンであり、EUは小麦、大麦を輸出し、トウモロコシは一部輸入に依存している。ナタネ(油糧種子)の生産量は増加しており、07年の生産量は1800万トンで、その一部はバイオディーゼルの原料となっている。
近年の穀物価格高騰に対応して、EUは、(1)穀物の輸入関税の一時停止、(2)生産調整の停止、(3)バイオディーゼル原料生産に対する補助金の廃止、などの措置をとっている。(清水)
●ブラジル
穀物メジャーの参入で輸出伸ばす
食料の安定供給が改めて世界の課題となるなかで、農産物の増産余力を持つ国としてブラジルが注目されている。ブラジルはコーヒー、たばこなど伝統的商業作物の輸出大国だったが、2000年以降、大豆、食肉など基礎的食料の生産・輸出を急増させ、05年には農産物輸出で世界のトップ5に入り、また農産物の純輸出額ではすでに02年に世界のトップに立った。
農業の対外開放に伴い米欧の穀物メジャーが参入し、それまで資金不足で増産が難しかった農家に資金を貸し付けるとともに国際市場への輸出ルートを提供したことで大豆等の生産が急激に伸びた。同時に、ブラジル中部に広がる未開拓のセラード地域の開発が、日本の協力と農業の技術進歩の成果で進んだことも増産の要因となった。
大豆の最大の輸出先は、まさに穀物メジャーの市場開拓により輸入を急増させた中国であり、年間約1000万トンとなる。穀物メジャーはまた大豆をブラジル国内で搾油し、大豆油・大豆粕として輸出する志向も強い。また2006/07年の世界的な小麦不作で欧州の飼料不足が発生し、トウモロコシに大量の輸出需要が生まれた。今後は米国で行われているような大豆との輪作体系が普及し、トウモロコシの輸出も拡大する可能性がある。
ブラジルにはセラード地域はじめ米国の農地面積の8割にもあたる未開発の農耕可能地が残っており、今後、世界最大の農産物輸出国に向けてさらに伸びる潜在力がある。日本企業にとってブラジルへの取り組みが重要性を増している。(阮 蔚)
●アルゼンチン
同盟国ブラジルにも食料の禁輸措置
アルゼンチンの主要穀物等の収穫面積は、トウモロコシ、小麦では過去20年間ほぼ一定であるのに対し、大豆は1996年頃を起点にして遺伝子組み換え種子の普及(98%)をてこに急拡大した。単収水準は、生産技術要因にパンパ地域の肥沃さも加わって高い。担い手は、近年大規模化、会社化している。
大豆・大豆油の主要輸出先は中国であり、生産増は中国が自給をあきらめ純輸入国に転じたことに呼応している。また、穀物メジャーは、生産、大豆油搾油、輸出の各局面でアルゼンチンの穀物等に大きく関与している。
小麦は、91年発効の関税同盟MERCOSULの無税特権が利用され、輸出量の約6割が隣国ブラジル向けとなっている。ブラジルから見ると小麦輸入のほぼ全量をアルゼンチンに依存している。
アルゼンチンは穀物等の輸出制限を、輸出税と輸出登録制度の運用で行っている。近年の世界的な穀物価格高騰に際し、アルゼンチン政府は2008年3月、過剰輸出回避等を目的に大豆の輸出税を41%へ引き上げた。これによって農民スト等で国内が混乱し、7月には元の税率に戻された。
輸出登録はトウモロコシ(06年11月)、小麦(07年3月)で原則停止となり、08年1月に再開されたが、小麦は4月以降ほとんど輸出されていない。輸出規制は、関税同盟国のブラジル向けにも適用され、自由貿易協定(FTA)が食料安全保障に無力であることの一証左となった。(藤野)
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posted by nara1958 at : 2008年11月05日 | コメント (3件) | トラックバック (0) TweetList
2008年11月05日
図で見る 世界の穀物事情 世界は食料危機を克服できるのか? Food Crisis Map 08(1)
まるいちです。アメリカ発の金融危機が世界を震撼させていますが、今回は食糧危機の話題です。
このブログでも「食糧危機問題」はたくさん報告されていますが、「図」での説明と世界各国の状況が詳しく記載された記事があったので紹介します。
JAcoml
の「農業協同組合新聞創刊80周年記念特集 食料安保への挑戦 」の中の記事「図で見る 世界の穀物事情 世界は食料危機を克服できるのか? Food Crisis Map 08」からの引用です。
世界の食料は過剰からひっ迫基調へと様変わりし、食料高騰で各地で暴動が起きた。今後も人口増加、新興国の経済発展、気候変動など食料生産と需給には不安定な要因が多い。ここでは(株)農林中金総合研究所の協力で世界の穀物生産と貿易事情を図解してみた。図表からは米国が生産・貿易ともに圧倒的な地位を占め、一方、わが国は米国からの輸入を中心に海外に圧倒的に依存していることが分かる。日本が農業生産力を高め食料安全保障を確立していくことは世界の食料安保への貢献でもある。
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◆貿易量はこんなにわずか!!-大丈夫なのか? 海外依存のニッポン-
穀物・大豆生産量と国別輸出量の円の大きさを実際の比率で表すと上の図のようになる。世界地図上で輸出量を示した円グラフの大きさで突出している米国も、実際はここで示したようなごく小さなウエートに過ぎない。日本はこの少ない貿易量に大きく依存していることになる。
なお、本紙では06年にも03年データをもとに主要2国間貿易を図示したが(http://www.jacom.or.jp/tokusyu/toku198/toku198s06101603.html)、それと比較すると、たとえば、ブラジルからドイツへの大豆輸出、米国からエジプトへの小麦輸出などのラインが消え、一方でロシアからエジプトへのラインが出現するなどの変化が見られる。ブラジル、アルゼンチンから中国への大豆輸出ラインはいずれも太くなった。
◆突出する米国の純輸出量
図1は穀物と大豆の国別の純貿易量だ。米国はすべての品目で輸出量が輸入量を上回り、1億トンと突出した純輸出量であることが分かる。2位のアルゼンチンの2倍以上である。一方、日本は世界最大級の純輸入国だが、中国もトウモロコシは輸出超過だが、大豆輸入の急増で一大輸入国になっていることが示されている。図2は1926年以降の米国のトウモロコシの利用内訳。エタノール仕向が急増し輸出量を抜いている。図3では米国のエタノール利用が近年、世界の穀物消費全体を増やしていることが示されている。
◆いざという時は自国を優先
食料危機が叫ばれるなか、メキシコではトウモロコシ価格の高騰で主食のトルティーヤが06年8月から07年2月までの半年で70%も高騰し数万人規模のデモや暴動が発生したほか、08年に入ってからはハイチ、フィリピン、インドネシア、バングラデシュなど中米、アジアのほか、エジプト、ソマリア、セネガルなどアフリカ諸国など20か国以上で食料をめぐる抗議運動や暴動が発生。
暴動の原因は米、麦など各地域の主食価格の高騰だが、その大きな要因となったのが、輸出規制だ。今年8月までに現在は解除している国も含めれば17か国で輸出禁止、輸出税の賦課、輸出枠の設定、輸出許可制などの措置がとられた。自国内での供給確保だけでなく価格安定もめざした措置で「お金があっても買えない」ことが起きることを示した。また、本文でも指摘されているがアルゼンチンも輸出制限しブラジルにも適用。自由貿易協定を結んでいても「いざというときは自国優先」なのである(いずれもデータは農水省)。
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posted by nara1958 at : 2008年11月05日 | コメント (7件) | トラックバック (0) TweetList
2008年10月28日
自然観の扉を開こう
お久しぶりです。せきやです。
日本農業新聞の10/27の記事に興味深い記事がありましたので、紹介します。
「自然観の扉を開こう」というタイトルで、小学生に田んぼでの生き物調査の取り組みを紹介 する記事です。
(以下引用)
先日も地元の小学校で、収獲前の田んぼの生き物調査を5年生と一緒に行った。7月よりも増えて35種を見つけた。「なぜ増えたんどろう」と、子どもたちの疑問は膨らむ。「餌の稲が大きくなったから、害虫も増えたんじゃない」「だから害虫を食べる益虫もふえたんだ」「でも、一番多いただの虫は、なぜ増えたんだろう」と、議論は盛り上がる。
そこで「ただの虫は何のためにいるの」と鋭い質問が飛んでくる。何しろトビムシなどは、稲1株に300匹もいるからだ。「稲の枯れた葉をたべているんだ」と答える。収獲した後の藁(わら)を分解してくれる虫だけど、ただの虫だ。「稲ってすごいね。自分が死んだ後の体を食べる虫を、生きているうちに増やしているんだ」。そうか、そういう見方もできるんだと感心する。
子どもたちは質問してくる。「いったい、田んぼにどれくらいの生きものがいるの。」自然観・世界認識の扉を開けたがっている。それなのに「そんなこと誰も知らないよ。研究もされていないよ」では、従来の狭い農業生産から一歩も出られない。
私たちが百姓や子どもたちに勧めている「生きもの調査」は、自然の世界認識の方法でもあるのだ。
(引用終わり)
記事の内容は、子どもたちと田んぼでの生きもの調査をする中で、子どもたちの素朴な疑問や興味に答え、子どもたちの自然観や世界認識を広げよう 😀 と活動している方の紹介を旨に書かれていました。
上記の引用のやり取りだけでも、自分とは比べ物にならないほど小さな生き物の世界にドンドン引き込まれていく様子 が伝わってきます。
思えば、今の子どもたちは、自分以外(人間)の生き物について、どのくらいの認識をしているのだろうか? という疑問がふと浮かびました。特に都会の子どもたちは、人間以外の生きている生物に接触する事ってとても少ない ような気がします。
記事の言葉では、「自然観・世界認識の扉を開ける」という表現をしていますが、これって非常に大切な事だと思います。
自分たち(人間)以外にも生きているものがいて、みんな命をつなぐため、生きるための営みをしている。その内実(生活環)の一部を垣間見ることによって、対象世界が大きく広がります。言い換えれば、周りの世界を、自分と同じように見れる事だと思います。これは、子どもにとって大きな発見であることは確かでしょう。
そういった経験が、周りを思いやる、相手の気持ちを考える、所謂「思いやり」につながっていくのだと思いました。
毎日のように外へ出て、土と向き合っている農業に携わる人たちが、こういった事も発信 していく役割がありそうです。
posted by keitaro at : 2008年10月28日 | コメント (8件) | トラックバック (0) TweetList
2008年10月24日
WTO体制下のグローバル経済
こんにちわちわわです。
2章 飢餓と格差は何故起こるのか?!の続編です。
【WTO体制下のグローバリズム経済】
☆WTOとは
WTOとはグローバリズムを強力に推進する国際機関である。
ガットを発展させ誕生したこの機関は、国の情勢や経済力や文化など一切考慮せず、ただひたすらに貿易障害を取り除き、多国籍企業が自由に貿易できる基盤を作り出す。
WTOで定まったルールは国際法として優先され、それによって国内法も変えざるを得ない強制力をもつことになった。
さらにWTOの最大の武器は「紛争解決手続き」にある。いわば世界の裁判所であり、WTO設立後300件もの紛争処理を行っている。
WTOのパネル委員、及び7名からなる上級委員は、主に先進国から選出され、関係国の口を挟む余地もなく、密室空間で強行に採決された裁定が調停国に通達される。
WTOあやしいと思った方↓↓ぽちっと。
posted by tiwawa at : 2008年10月24日 | コメント (15件) | トラックバック (0) TweetList
2008年10月24日
食をめぐる動向①
こんにちは、鈴木です。
今、食をめぐる日本人の動きが変化しています。
中でも、通販やインターネットショッピングによる宅配サービスに、野菜も現れてきていました
全然知らなかったのですが、需要は確実に増加傾向にあり、この動きは続くと思われます
その販売会社は、場合によっては非常に多くの生産農家さんと契約栽培しています。
生産農家さんの生の声もぜひ聞いてみたいところです 😀
新しい農のかたちは、既にこのような形かたちでも実現されていたんですね 😉
応援よろしくお願いします
posted by yasutan at : 2008年10月24日 | コメント (6件) | トラックバック (0) TweetList
2008年10月23日
飢餓と格差はなぜおこるのか?!
こんにちわちわわです。
食糧危機GT1章はちょっと編集方針が変わって、2章を繰り上げます。
飢餓と格差は何故おこるのか。
応援よろしく↓↓ぽちっと。
posted by tiwawa at : 2008年10月23日 | コメント (3件) | トラックバック (0) TweetList
2008年10月22日
食糧危機 1章 食をめぐる問題が噴出!食糧が危ない!
【食糧高騰。各地で暴動多発】
フィリピンでコメ不足の情報が流れるや、それまでの輸出国は輸出制限方針を打ち出し、投機資本が穀物市場に雪崩を打って集中したため、穀物市場は高騰し、食糧を輸入に依存する貧乏な開発途上国では食糧を調達できなくなり餓死者さえ出た。
・フィリピンでは米穀商の車両が共産ゲリラに襲撃された。
・エジプトでは政府支援のパンをもらう列で死傷者が出た。
・ハイチでは、価格の沈静化に対処できなかったとして首相を議会が解任する政情不安にまで発展。
・ソマリアでは、抗議する住民ら数千人が車や商店に投石を繰り返すなど暴徒化し、複数の市民が
死亡した。
世界各国で食料をめぐる抗議運動や暴動が発生
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主要農産物の国際価格の動向
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〈参考「るいネット」より〉
食糧問題~価格高騰の問題~
投機社会が現物価格を高騰させ、途上国に大きな混乱を招いている
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posted by pochi at : 2008年10月22日 | コメント (6件) | トラックバック (0) TweetList
2008年10月21日
食糧危機!!新しい農のかたちとは?!〔資料編〕その2
前回の「〔資料編〕その1)」に続いて、
食糧危機に関連する〔資料編〕その2)です。
今回は、記事に関連する「統計グラフ」を精力的にまとめている、
『社会実情データ図録』(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/ target=”_blank”)さんのサイトから、食糧問題に関連するものの紹介です。
それぞれを丹念に読み解いていくと、多くのことが浮き彫りになってきます。
以前に、戦後の日本が高度成長をたどって行く記事のリンク集を紹介しましたが、それらの記事とあわせ読むと鮮明に状況把握ができると思います(食生活の変化/ 日本の食糧自給率の推移 )。
また、農業従事者に関連する資料( 農家数・専兼別主副業別農家数の長期推移/農業者の高齢化-年齢別農業従事者数/農林業におけるパート・アルバイト数の推移)などは、日本の『農』が後継者不足にあえいでおり、10年もしないうちに高齢化に直撃されてしまうことがわかります。
一方、日本はODA大国( 途上国への資金フロー推移/DAC諸国のODA額の推移/ODA額対国民所得比の推移(日米、DAC諸国平均)/日本のODA供与先上位10位の変遷/韓国、中国、インドネシアへの円借款の推移)でもあります。しかし、インフラ整備事業などについては、日本企業がヒモ付きで参入することについての批判・風当たりが強いことも事実です。
割と知られていないこととしては、「日本が農薬使用量で世界のトップクラス(主要国の農薬使用量推移)」だということです。田畑の状況に応じたものを、必要に応じた最小限の使い方をしなければ(=徒に複合型の農薬を多用すれば)環境負荷が大きくなって、将来に負の遺産を残す事になりかねないことが危惧されます。
「農産物の主な品目―粗生産額順位トップ100(2002年)」は、農業における生産力がほぼ見えますし、「 世界農水産物輸入額(及び人口)に占める日本のシェア(2002年)」は、対外依存度がわかります。
「長期輸出品の長期推移―輸出総額に占める構成比の推移(1868~2007年)」などは、時代によって花形産業がどのように推移してきたのかも見て取れます。長期に亘って産業のトップランナーで居続けることの難しさも思い知ります。
「農業保護の国際比較(PSEベース)」は、農業における保護政策の全容を現わしているとはいえないようです。これだけで判断すると間違いそうです。この種の内訳詳細データを探しているのですが、見つかりません。どなたか、ご存知の方がいましたら、お教えいただけたら嬉しいです。
末尾の方には、堅苦しくないデータもあります。どなたか、ソフトな囲み記事のネタに使ってみてください。
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posted by ayabin at : 2008年10月21日 | コメント (2件) | トラックバック (0) TweetList
2008年10月20日
食糧危機!!新しい農のかたちとは?!〔資料編〕その1
前回の「食糧危機!!新しい農のかたちとは?!(1)」
に続いて、食糧危機に関連する参考投稿のリンク集です。
関連する投稿を一気に読む機会は少ないと思いますが、できればこの機会に食糧問題を俯瞰するために活用してみてください。
■るいネット(http://www.rui.jp/)の
「食糧危機は来るのか?」関連の参考投稿
—————————————-
★183366 日本経済は再び国際収支の天井を迎えるのか
—————————————-
●177869 貿易自由化等では単純に解決しない世界の農業問題
├●179952 日本の農業政策は「世界の非常識」
│└●180466 なぜ日本では大規模な農業形態を実現できないのか?
│ └★183186 大規模な農業形態は日本の自給率改善につながるのか?
│ ├●189310 日本の農地(田んぼや畑)について
│ └●184647 工業農業にまつわる7つの神話
└●178351 食糧問題~価格高騰の問題~
—————————————-
●179072 市場原理は1800万人分の農業の仕事を奪っている(試算)?
└★179406 食糧高騰は脱市場をもたらす契機となりうるか
├●179980 食糧高騰を食料自給への圧力に転換する
│└●179980 食糧高騰を食料自給への圧力に転換する
│ └●180495 食物高騰は日本の未来に何を与えるのか?①
│ └★180499 食物高騰は日本の未来に何を与えるのか?②
│ ├★181386 農業参入が企業の社会的使命となる
│ │├●183542 食糧高騰を追い風に、社会システムの変革が
│ ││ 「農の再生」を実現可能にする?!
│ │└●183111 WTO決裂で、ますます農業国である欧米からの圧力が高まる
│ └●180941 日本の食料自給率はなぜ低迷してしまったのか?①
│ └●180942 日本の食料自給率はなぜ低迷してしまったのか?②
│ └★181006 これからの食の確保に求められる課題
├●179953 日本の家計消費支出と、食料価格の基本
└●179805 WTOが許す農業補助金が途上国を飢餓に追い込む。
—————————————-
★181006 これからの食の確保に求められる課題
└●181167 食料危機リポート①~食料援助という巨大な利権~
└★181178 食料危機リポート②~輸出補助金というカラクリ~
├●182297 輸出補助金が不明確なら市場アクセスの議論は
││ 進められない
│└●182390 WTO 農業交渉 日本のおかれた状況とは
│ ├●182445 WTOの成立歴史
│ │├●184017 世界銀行、IMF、WTOが機能を低下させ始めている
│ │└●182679 WTO(ドーハ・ラウンド)、
│ │ 米国対インド・中国の対立図式
│ └●182400 アメリカのダブルスタンダードへの反発
│ ~2008WTO 中・印vs米の対立
└●181524 コメの国際流通事情①~コメの貿易・輸入の問題~
└●181525 コメの国際流通事情②
│ ~ウルグアイラウンドとは・農業交渉の背景~
└●181546 コメの国際流通事情③
│ ~日本と他国の輸入事情・コメの値段~
└●181547 コメの国際流通事情④~日本のコメ、どうする?~
—————————————-
★179406 食糧高騰は脱市場をもたらす契機となりうるか
├●179980 食糧高騰を食料自給への圧力に転換する
├●179953 日本の家計消費支出と、食料価格の基本
└●179805 WTOが許す農業補助金が途上国を飢餓に追い込む。
—————————————-
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posted by ayabin at : 2008年10月20日 | コメント (7件) | トラックバック (0) TweetList
2008年10月19日
食糧危機!!新しい農のかたちとは?!(1)
★こんにちは!
これから、シリーズで「食糧危機」問題を取り扱っていきます。
現在起こっている出来事の根本問題を掘り下げ、最終的には逆境をはねのけて来るべき「新しい『農』のかたち」を提起したいと思います。お付き合い下さい。皆さんからのコメントを期待しております。
—————————————-
はじめに
近年、「食糧」に関する話題が絶えない。世界では、発展途上国における飢餓が問題となっており、また、もっと我々に身近なところでは、食品偽装問題や汚染食品について連日報道されている状況である。日本の食料自給率の低下や農業の衰退も叫ばれる今、「食糧危機」はもはや他人事ではない。
マスコミは食材にまつわる「不祥事」を取り上げ、特定の企業を叩いては危機感を煽っているが、結局はそれらの風潮を追い風にし、「美容・健康・安全・安心etc.」という言葉を前面に押し出した新たな市場開拓という思惑にしか繋がっておらず、そこに諸々の食糧問題に対する本質的な「答え」を見出すことはできない。
そもそも、なぜ食糧危機が生じるのか? 実は、その根本原因は「市場」にある。
■30709 超国家・超市場論9
「私権闘争の抜け道が、交換取引の場=市場である」 より
交換取引は、武力闘争(およびその帰結たる身分制度による私権拡大の封鎖)からの抜け道として登場した。それどころか、最初に交換関係が登場した動機は、額に汗して働くよりも、(相手にこの品物が大きな可能性を与えてくれると信じ込ませることさえ出来れば)交換によって得る益の方が、ずっと大きいからである。
実際、古代市場も、女の性的商品価値を一層高めてくれそうな宝石や絹や毛皮を主要な交易品として、拡大していった。(なお、近世→近代も、呉服や毛織物やレースが起点になる。)それに対して日常の主食品(米や麦やイモなど)に対しては、その様な幻想的な可能性など描き様がない。
この幻想共認(幻想への可能性収束)によって作り出された、市場商品の価格と一般農産物の価格との価格格差こそ、市場拡大のテコとも原動力ともなった市場の秘密の仕組みである。(異国の食品や、無農薬の食品は、幻想共認の形成が可能であり、だからこそ一定の市場化も可能なのである。)
そこでは当然、農耕の労働価格は、幻想商品の労働価格にくらべて、異常に低くなる。この価格格差(価格差別ともいえる)の秘密こそ、途上国が一貫して貧困状態に置かれ続けてきた真の理由であることは、いうまでもない。
市場がこのような性質を持っている以上、「経済のグローバル化」の名の下に行われる世界規模の市場拡大は、同様に世界規模で食糧問題を発生させる結果に繋がってしまう。
では、一体どうすれば良いのか?現実に迫りつつある食糧危機に対応するためには、現在の食糧問題の構造を理解する必要がある。そこで、今回のグランドセオリーでは、まず主な食糧問題の事実を押さえ、それらが生じるに至った歴史的経緯を追求した上で、根本原因たる「市場」を超えた「新しい農のかたち」を提示する。
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