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図で見る 世界の穀物事情 世界は食料危機を克服できるのか? Food Crisis Map 08(1)

Posted By nara1958 On 2008年11月5日 @ 8:25 AM In 1.世界/日本の[農]・食糧事情 | 7 Comments

まるいちです。アメリカ発の金融危機が世界を震撼させていますが、今回は食糧危機の話題です。
このブログでも「食糧危機問題」はたくさん報告されていますが、「図」での説明と世界各国の状況が詳しく記載された記事があったので紹介します。
JAcoml [1]
の「農業協同組合新聞創刊80周年記念特集 食料安保への挑戦 」の中の記事「図で見る 世界の穀物事情 世界は食料危機を克服できるのか? Food Crisis Map 08」 [2]からの引用です。

世界の食料は過剰からひっ迫基調へと様変わりし、食料高騰で各地で暴動が起きた。今後も人口増加、新興国の経済発展、気候変動など食料生産と需給には不安定な要因が多い。ここでは(株)農林中金総合研究所の協力で世界の穀物生産と貿易事情を図解してみた。図表からは米国が生産・貿易ともに圧倒的な地位を占め、一方、わが国は米国からの輸入を中心に海外に圧倒的に依存していることが分かる。日本が農業生産力を高め食料安全保障を確立していくことは世界の食料安保への貢献でもある。

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◆貿易量はこんなにわずか!!-大丈夫なのか? 海外依存のニッポン-
 穀物・大豆生産量と国別輸出量の円の大きさを実際の比率で表すと上の図のようになる。世界地図上で輸出量を示した円グラフの大きさで突出している米国も、実際はここで示したようなごく小さなウエートに過ぎない。日本はこの少ない貿易量に大きく依存していることになる。
 なお、本紙では06年にも03年データをもとに主要2国間貿易を図示したが(http://www.jacom.or.jp/tokusyu/toku198/toku198s06101603.html [6])、それと比較すると、たとえば、ブラジルからドイツへの大豆輸出、米国からエジプトへの小麦輸出などのラインが消え、一方でロシアからエジプトへのラインが出現するなどの変化が見られる。ブラジル、アルゼンチンから中国への大豆輸出ラインはいずれも太くなった。
◆突出する米国の純輸出量
  図1 [7]は穀物と大豆の国別の純貿易量だ。米国はすべての品目で輸出量が輸入量を上回り、1億トンと突出した純輸出量であることが分かる。2位のアルゼンチンの2倍以上である。一方、日本は世界最大級の純輸入国だが、中国もトウモロコシは輸出超過だが、大豆輸入の急増で一大輸入国になっていることが示されている。図2 [8]は1926年以降の米国のトウモロコシの利用内訳。エタノール仕向が急増し輸出量を抜いている。図3 [9]では米国のエタノール利用が近年、世界の穀物消費全体を増やしていることが示されている。
◆いざという時は自国を優先
 食料危機が叫ばれるなか、メキシコではトウモロコシ価格の高騰で主食のトルティーヤが06年8月から07年2月までの半年で70%も高騰し数万人規模のデモや暴動が発生したほか、08年に入ってからはハイチ、フィリピン、インドネシア、バングラデシュなど中米、アジアのほか、エジプト、ソマリア、セネガルなどアフリカ諸国など20か国以上で食料をめぐる抗議運動や暴動が発生。
 暴動の原因は米、麦など各地域の主食価格の高騰だが、その大きな要因となったのが、輸出規制だ。今年8月までに現在は解除している国も含めれば17か国で輸出禁止、輸出税の賦課、輸出枠の設定、輸出許可制などの措置がとられた。自国内での供給確保だけでなく価格安定もめざした措置で「お金があっても買えない」ことが起きることを示した。また、本文でも指摘されているがアルゼンチンも輸出制限しブラジルにも適用。自由貿易協定を結んでいても「いざというときは自国優先」なのである(いずれもデータは農水省)。

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 不安定化する世界の穀物需給
◆構造的な不安定性を持つ穀物市場
 上の外側2つの円グラフは世界の穀物と大豆の生産状況を示したものである。世界地図内で示したのはおもな2国間貿易で円グラフは輸出量を示し貿易量は矢印の太さで示されている。
 2つの図から生産量自体は中国・インドといった人口大国もかなりの規模を有しているが、旺盛な国内需要により、輸出余力はほとんどないことが分かる。生産量・輸出量ともに圧倒的な規模を示しているのがアメリカであり、その輸出の中心となっているのが日本向けのトウモロコシと、中国向けの大豆である。ブラジル、アルゼンチンからの中国向け大豆輸出も相当規模になっており、これら米州諸国から中国に向けた大豆の輸出は、近年の世界農産物貿易における極めて大きな流れとなっている。小麦については、輸出・入先が分散される傾向にあることもあり、2国間の貿易として突出したものはないが、アルゼンチン→ブラジル、アメリカ→日本、ナイジェリアといった流れが目立っている。わが国の輸入状況を見ると、飼料穀物を中心にアメリカへの依存度が極めて高い。食用穀物等は飼料用に比して量的にはかなり小さいことから、図には示されていないものの、オーストラリアからの高品質な小麦、ブラジルからの大豆といった産品も我が国の食料調達を考えるうえでは極めて重要である。
 こうした世界の穀物市場を考える際に常に意識しておかなければならない点は、いずれの国もまず自国に必要な部分を確保し、余剰部分が輸出にまわされる、ということである。従って、生産(消費)量に対する輸出量の比率は、全体にかなり低いものとなる。トウモロコシを例にとると、2006年の世界総生産量は、約7億トンであったが、貿易量は9000万トンであり、その比率は13%程度にとどまる。米についてはその比率はさらに低く、7%を下回る。そうした構造の意味するところは、生産量(または消費量)のわずかな変化が、貿易量に対して極めて大きな変化をもたらす可能性があるということである。
 たとえば、米を例にとると、生産量が5%落ち込んだ場合、(在庫変動を考慮しなければ)輸出国が輸出に回せる量は7%から2%に低下し、それは貿易量が70%以上落ち込むことを意味する。消費量の変動も同様の効果を持ち得る。たとえば、トウモロコシ輸出国において、生産量の5%をエタノールに向けるという決定がなされた場合、輸出可能量は40%近い落ち込みとなる。
◆増大する生産の不安定性
 穀物市場は、基本的にそうした不安定な構造を有するものであるが、近年、その不安定性はさらに増大している。まず第一に、生産の不安定性が著しく拡大している点である。2003年の旱魃により、ウクライナの小麦生産量は前年の2100万トンから360万トンへと実に5分の1以下にまで落ち込んだ。オーストラリアにおいては、100年に一度といわれる旱魃が、2006年から2007年にかけて2年連続して発生した。
 こうした気象条件による変動に加え、農業生産の世界的拡大により、その持続可能性に関しても深刻な疑問が生じている。アメリカにおいては農業用水の過剰な汲み上げによる地下水の枯渇が問題化しており、インド、中国といった人口大国においても地下水の枯渇は深刻な問題となっている。塩害、土壌浸食といった問題も、世界的な農業生産の持続的拡大に関して深刻な疑問を投げかけている。
◆エネルギーと農産物が連関する時代
 不安定性拡大の第二は、穀物とエネルギーの間にかなり明確な関係が生じ、エネルギー市場の需給が直接的に穀物市場に影響を与えるようになった点である。かつても、主に投入コストの上昇という形でエネルギー価格の上昇は穀物価格に影響を与えていたが、今回の世界的穀物価格上昇の局面においては、(1)原油価格のレベルが代替エネルギーとしてのバイオエネルギー生産コスト近辺、もしくはそれを上回る水準にまで達したこと、(2)各国、特にアメリカのエネルギー政策によって積極的なバイオエネルギー推進策がとられたこと、(3)これらの要因を前提として、国際的な投資資金が穀物先物を投資資産の一部に組み入れ、投機的な資金が穀物市場に流入したこと等の点で、過去の連関とは大きく性格が異なる。景気の循環によってエネルギー価格は大きく変動し、穀物相場が今後調整局面を迎えることも十分予想される。しかし、こうしたエネルギーと穀物の間に生じた直接的な連関は、穀物市場の構造的な変化ともいうべきものであり、今後も状況如何では常に発生し得るということは十分意識しておく必要があろう。
◆影響力強める国際穀物資本
 不安定性拡大の第三は、穀物の流通過程における国際穀物資本(メジャー)の影響力が近年ますます強まる傾向にある点である。メジャーの支配力の増大は、(1)相場の変動、輸送コストの変動等が拡大する中で、そうしたリスクに対する対応力が優れていること、(2)農家へのファイナンス、国際種子会社と連携した遺伝子組み換え種子の提供等により農家の囲い込みが進展していること、(3)穀物加工分野への進出による大口需要先の確保により、生産農家と需要先を結ぶ太いパイプを形成していること、等によるものである。
 とくに3点目については、近年のバイオエネルギーの推進自体にメジャーが大きく関与しており、穀物メジャーの一角を占めるADM社は、アメリカ及びEUにおける最大のバイオエネルギー生産企業でもある。また、近年急速に拡大した米州大陸から中国への大豆の大量の輸出は、メジャーによる中国の大豆搾油企業への進出により形成されたという側面を強く有する。
 こうしたメジャーの支配力増大自体は、ただちにわが国の食料調達を困難にするといったものではない。しかし、そのことは、わが国が食料を調達する際にも、メジャーの戦略の影響を強く受けざるを得ないことを意味し、中長期的に見た場合その影響は無視できない。前記のとおり、メジャーは大量の需要先を自ら創出し、遺伝子組み換え作物等の大量生産によりその両者を結びつけるといった手法により事業を拡大している。わが国の要求する、安全性の高い、高品質な穀物の調達は、そうした彼等のビジネスからは排除されていくといった可能性もあり、質的な面からも今後のわが国の安定的な調達は予断を許さない。
◆重要になる自国での農業生産
 以上のように、本来極めて不安定な構造を有する世界の穀物市場は、近年さらにその不安定性を増しつつある。相当程度の食料を海外に依存せざるを得ないわが国にとって、今後も海外からの安定的な調達ルートを確保していくことは極めて重要であろう。全農の現地子会社を通ずるアメリカからの直接的な穀物調達ルートは、そうした意味で極めて重要なものといえよう。
 しかし、今回の食料危機において、アルゼンチンが穀物輸出を大きく制限し、隣国ブラジルへの小麦輸出が停止された事例に見られるとおり、いかに密接な経済関係を有していようと、また、FTA等の経済協定を締結していようと、自国の食料不足時に輸出を制約するというのはある意味当然の行動であり、今後も国際的な規制によりそれを制約するといったことは不可能であろう。安定的な調達ルートの確保と同時に極めて重要なことは、自国の国内において、可能な限りの農業生産基盤を維持していくことである。新大陸諸国における収奪的、モノカルチャー的な農業生産は、わずか数百年の歴史を有するにすぎず、その持続可能性については深刻な疑問も生じている。わが国の有する「水田」は、数千年の歴史を有し、その持続可能性、人口扶養力、生物多様性の維持といった点において、極めて貴重な資源と言える。わが国の食料安全保障の観点からも、そうした貴重な資源をいかに維持していくかが重要な課題であろう。(原)


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[8] 図2: http://www.jacom.or.jp/tokusyu/toku248/images/toku248s0810290809.jpg

[9] 図3: http://www.jacom.or.jp/tokusyu/toku248/images/toku248s0810290810.pdf

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