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2007年05月03日
データー捏造の可能性←農薬使用金額、なんで?
農薬の使用実態の、何で ?
前回の投稿で見た数値はよくよく見ると1988年のデータでしたので改めて近年のデータで見直してみます。
1988年 耕作面積2300000ha 農薬代18135000万円 1ha当たり78800円
2006年 耕作面積1702000ha 農薬代11821900万円 1ha当たり69000円
農薬の使用量は水稲の耕作面積が少なくなった事から減少しています。そして1ha当たりの使用量はそれに伴い22%ほど少なくなっていますが、やはり農薬は大きな市場と言えそうです。
そこで単純な疑問なんですが、農薬代の高さが農薬を多く使う事に繋がるのでしょうか?
つぎを読む前にぽっち宜しくお願いします。
一般に、農薬と言われている物は農薬製剤と言い有効成分と製剤成分で作られています。それぞれの内容は下記のようです。
有効成分とは 農薬として機能する微量な物質 (かぜ薬等の有効成分を見れば実感できます)
製剤成分とは 微量の有効成分を使用目的に応じて液剤・粉剤・粒剤などに加工し効果的に有効成分が効力を発揮する為に使う物質又は手撒き・機械で撒くために増量する為などの副材料です。
農薬製剤は、有効成分が低価格で製剤コストが高ければ農薬(農薬製剤)の使用金額は高くなり、製剤コストが低ければ有効成分を大量に使用しても農薬(農薬製剤)のコストは安くなるという関係も成り立ちます。
農薬の使用量を比較する場合には、この有効成分の使用量を比較する事が必要です。
農薬製剤の総量・金額では実態が見えてきません。
仮に、農薬の総量が製剤の使用量であるとして、日本はアメリカの約7倍を消費しているといわれています。農薬製剤の消費者物価が同じとして比較して見ると。
日本はアメリカの7倍の農薬製剤代を使っている。
言い換えて
アメリカは日本の1/7しか農薬製剤代にコストをかけていない。
となります。
日本は1ha当たり約8万円なのでアメリカでは約1.2万円になります。この金額では除草剤すら買えない 😥 事になってしまいます。
さらに世界の1/20であれば4千円になってしまいます。 🙄
どうも判断する為に使っている資料が、製剤なのか、有効成分なのか、混同しているのか、統計が怪しいのか、比較するに値する代物か疑問がわいてきます。
この疑問のヒントになるものがありますので紹介します。
『農薬に対する誤解と偏見』
福田秀夫 著 (「今月の農業」編集室)
ある篤農家の語られたお話が一冊の本になっている。その中に、わが国の農薬の使用量は非常に多くFAOの資料によれば、単位面積当たり使用量でヨーロッパの六倍、アメリカの七倍にもなっていると述べられていた。
このアメリカの七倍という数値は1970年代の前半の頃、ずいぶんいろいろなところで見たり聞いたりさせられた。学者や評論家の方々が各種の雑誌、機関紙などに盛んに書いておられたし、いまでも見られる。「複合汚染」という小説の中にも同じような話が出てきた。
(中略)
FAOの資料に見られる数値は当然のことながら各国から報告されたものであり、報告値がそのままそれぞれの国の使用量ではないようである。
(中略)
明記してある農薬の項にも、国ごとにそれぞれ空欄が目に付く。この空欄の農薬はその国でまったく使われていないのなら○と書くかわりに空欄でもよいのかもしれないが、事実は違うようである。
(中略)
たとえば、いわゆるドリン剤は全部空欄であるアメリカではこの頃ドリン剤がきわめて少量しか使われていなかったということならば、これでよいのかもしれない。しかし事実はどうであろうか。日本貿易振興会の調査によれば1967年アメリカでは4万1000㌧程度のドリン剤が国内向けに出荷されていたという。
またアメリカ関税委員会の資料によれば1968年には5万5300㌧のドリン剤(類似物質を含む)が出荷(輸出も含む)されており、同じ資料で1969年には5万100㌧、1970年には3万8200㌧となっている。一方ケミカルウィーク誌によれば1971年には少なくとも2万8000㌧以上使用されているようだ。これらの量はその頃の日本の使用量に比べ2桁多くなっている。
【稲作における比較】(この項目は引用しにくいのでまとめます)
稲作はアジアの農業であり的確に比較する資料が乏しいが、「農業ビジネス」紙No.1165(1995年版)の海外ニュース欄に「米農業」という項目がある。この項目では、除草剤・殺虫剤・殺菌剤の使用金額ベースで示されている。日本はアメリカの8.2倍、韓国の2.97倍となっている。
1986年、農薬工業会国際委員会が21カ国について調査をした「海外農薬事情調査結果」の中でアメリカの有効成分使用量についての報告があった。
アメリカの稲作面積は131万7000㌶で除草剤と殺虫剤の和で1㌶当たり、4.93kgであった。(殺菌剤は含まない)
日本の1983~5年では1ha当たり10,9㎏であった。(殺菌剤を含む)
このように金額ベースで見れば日本はアメリカの8.2倍、有効成分使用量で見ればアメリカの2.2倍。明らかな数値の差が出てくる。なぜこれだけの数値の差が出るのか。
上記でも指摘されているように、比較する資料の使い方、統計の取り方で結論が大きく変わってきます。日本は“農薬消費大国”という事実はほんとなんだろうか。
農薬問題を調べていて気になるのが資料の出典時期が1960年後半から1980年前半がほとんどです。最近の情報はほとんどありません。
この時代は生活の豊かさが実現されながら同時に公害問題が社会の問題に顕在化してきて、科学物質などが社会悪としてマスコミなどで取り扱われた時代でも有ります。
勘ぐり好きの私が思うには
農薬消費大国 日本という誤認は、当時のマスコミ・学者・評論家が都合のよい資料を使い事実を捏造したのではないでしょうか
改めて農薬の使用実態をつかむには、有効成分使用量を比較するに耐える資料を手に入れる事から始める必要があるようです。
投稿者 hakosuka : 2007年05月03日 TweetList
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コメント
投稿者 としあきの農業日記 : 2007年6月25日 21:04
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