2007年5月12日

2007年05月12日

なんでこんなに田植の時期が早くなったの?

お久しぶりの長谷です。
 やっと、田植えが半分と少し終わって、残りの田植えまでの少しの間に、新茶を刈っているところです。
 それにしても、ここまでの今年の田植えときたら、気温は低くて、風も強いし、人間も震えながら、稲の苗さんも縮こまりながらの作業でした!!
 昨年も似たような状況でしたが、よくよく考えると、この伊勢地方で4月に田植えとは、作物生理(作付適期)からしても早過ぎるし、
昔は、もっともっと遅かったらしいですが、なんでこうなったのでしょう?全国的な傾向でもあるようですが。
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地元のいろんな方々に伺ってみると
 昭和30~40年代前半くらいまでは、当地での稲作は、田植えが6月後半、稲刈りが10月から11月にかけてだったそうです。
 田植えは、梅雨時に、合羽を着て、並んで手植えをして、稲刈りは、霜が降りて、手がかじかみながら鎌で刈っていた時代です。
そもそも、今ほど、灌漑設備が整っていなかったので、雨の多い梅雨時にならないと田植えできないという事情もありました。

 それが、年を追う毎に、田植えが5月後半→GW→4月と、どんどん早まり、稲刈りは、今や、一年中で最も暑い8月のお盆明けに行われています。
 「なんでこんな暑い時期に汗だくだくで稲刈りなの?」とぶつぶつ言いながら毎年やってます。
 時期が早まって何が悪いの?と言われそうですが。
 明らかにまずいことが2つあります。
 1つ目は、
 登熟時期(稲穂が実る頃)に高温となるために、高温障害が発生し、例えば、米粒が白く濁る乳白米や、亀裂が生じる胴割れ米が多発して品質低下の原因になること。
 2つ目は、
 低温期に田植えをするために、苗が傷んだり、初期成育が悪く、化学肥料や農薬を多投する原因になること。
 1つ目については、実際、最近は、米どころでは、作付けを遅らせるようにJA、農業改良普及所が中心となって指導するところが増えているようですが、当地では、その気配もありません。
つまりは、自然の摂理に反したことをしていると言っても良いのですが、そうなった理由を拾い集めてみると、
 最初は、どちらかというと、自然を対象化して、如何に、収穫を得ていくかという発想だったものが、いつしか、人間の都合、あるいは、市場原理に振り回された状態に変質して来たと言えそうです。
 
 具体的に挙げると。
①嘗ては、二百十日頃(九月初)の台風と稲の開花時期が重なり、受粉障害を度々受け、凶作となったのでそれを避けるために作付け時期を早めた。 
 →納得。
②台風常襲地帯であるため、倒伏害を防ぐために、台風上陸が増える九月以前に刈り取れるようにさらに早めた。
 →一理あるが、台風でも倒伏しない丈夫な稲作りという視点も重要では?
②コシヒカリが主流となったので(猫も杓子もコシヒカリ)、コシヒカリの作付け適期に合わせて早まった。
 →それにしても、現在の4月田植えは早過ぎる。稲作関係者の多くの意見は、当地のコシヒカリ田植え適期は、5月中旬。コシヒカリ以外にも、おいしい米の品種は多い。販売の工夫が必要。
③少しでも新米を早く出荷して、少しでも高い値が付くようにしたい。
 →そのことで、結果的に品質を落として評価が下がると言う悪循環に陥っている。結局、ブランドのない地域の米をどう売るかという問題。
④GWに田植えをしても、息子や娘(40~50代)、若嫁さんは遊びに行って、手伝ってくれないので、4月に田植えする。
 →笑い話のようだが本当。田畑を守る、稲作を継承していくということが、一般の兼業農家では、若い世代の課題意識に、ほとんど上っていない。

以上は、当地、特有のこともあるでしょうが、全国的には、似たようなことも多いのではないでしょうか。
日本の「農」の中でも、一番の中心であった稲作が、今や、最も自然の摂理に反したことをやっている
可能性が大きいのではないかと思います。
  
最後まで読んでくれてありがとう。ぽちっとよろしく。
 
 
 

投稿者 naganobu : 2007年05月12日