2007年5月1日
2007年05月01日
植物の危機管理(1)植物の免疫システム
まるいちです 😀 。雅無乱さんやpochiさんの意見に同感 です。
私達人間や哺乳類、動物は複雑な免疫システムを持っているし、動く事が出来ます。しかし、植物には複雑な免疫システムはないし、動けないので安全な場所に移動できない、害虫を振り払う事も出来ません 。
では、植物達はどのような危機管理能力を持っているのでしょうか?
●植物の免疫システム
1、多数の子孫を残す。種が絶滅するような病気は今のところ無い。
1)植物の子孫の作り方は、r戦略(多数の子孫を残す)に近い。
2)カビの病気の一つ「うどんこ病」(大変寄生性が強い病気)に感染したムギ類でも、種としては、十分種子を作って世代を回すことができる(人が種子を利用するため問題となるだけ)。
一方、種子を取れないくらい激しく枯れ上がる病気もあるが、この場合発病は一地域や個体別に限られる。一般に、一つの病原体が感染できる植物種は限られている(これを宿主特異性とか寄生の特異性と言う)ので、種全体がダメージを受けるような病気はむしろ地球上から消えてしまう可能性をもっている。
2、抗生物質等による免疫システムで対応している。
1)例えば、カビ(植物の病気の80%はカビによって起こる)や細菌などの微生物に対しては、もともと備えているフェノール類、サポニン、アルカロイドなどの抗菌性物質、新しく生産する低分子抗菌性物質(総称してファイトアレキシンと言う)や抗菌性タンパク質などを生産して自らを守っている。これらの抗菌性物質は比較的幅広い微生物の生育を阻害する事が知られている。
3、細胞壁のおかげで動物に比べてずっと感染のリスクを回避している。
1)細胞壁に、リグニンを蓄積したり、細胞壁にあるタンパク質を活性酸素(過酸化水素)で架橋したり、珪酸を集積したり、より強固にして、侵入に対する物理的なの防壁とする事も知られている。
一方、ウイルスですが、これに対する抵抗性としては(増殖に宿主の細胞が必要ですので)入り込んだ細胞のプログラム細胞死が大きい防御となる。抵抗性品種も作られており、複製過程に必須な宿主のタンパク質が欠けていたり変異していたりということも判っている。また、増殖しても隣の細胞、そして、全身にウイルスが移行できない仕組みもある。さらに、ほ乳類のワクチンと少し似ているのは、弱毒ウイルスを接種しておくと(弱毒ウイルスも増殖し全身に広がるが、顕著な病気はおこさない)、次に侵入した強毒ウイルスに耐病性を持つようになるという現象もある。また、新入部に壊死斑を形成するようなウイルスの感染を受けると、他のカビや細菌にも抵抗性を示す例もある。この他にも植物は色々な抵抗性を備えて自らを守っている。
ある種の薬剤や熱処理等で抵抗性の発揮を抑えてやると、もともと感染できなかった病原体が日和見感染するようになることから、やはり植物でも、抵抗性(特に病原体と遭遇して発現する)が大切だと言うことが判
っている。
★このように植物には独自の防御システムが発達していると考えられている。
参考=「日本植物生理学会」-みんなのひろば-
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投稿者 nara1958 : 2007年05月01日 Tweet