産消提携を探る その2 有機農業運動 |
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2009年08月11日
産消提携を探る その3 「大地を守る会」
産消提携第3弾は、「大地を守る会」を取り上げます。
有機農産物宅配の草分け的存在、大地を守る会は、’70年代に都内団地での青空市から始まり、現在では年間売上高143億円、消費者会員数85,000人にまで成長しています。
無農薬野菜の提供にとどまらず、食や環境に関わる様々な運動を行うこの会の最大の特徴は、NGOと株式会社の両方で事業展開するという活動形態にあるようです。
会の沿革と、最近の動きから、成功要因を探って見ましょう。
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会の沿革を、大地を守る会HPより抜粋引用します。
75年 「大地を守る市民の会」設立。「農薬公害の完全追放と安全な農畜産物の安定供給」をめざして運動を開始。
76年 大地を守る会の流通部門として株式会社大地設立。
会の名称を「大地を守る会」と変更。
77年 流通部門を法人化し、株式会社大地を設立。
79年 新宿区立落合第一小学校で、有機農産物による学校給食を実現。以後、学校給食に安全な食べものを入れる運動に取り組む。
80年 他団体、生協等への卸部門として株式会社大地物産を、また食肉部門として株式会社大地牧場を設立。全国学校給食を考える会の設立に参画。
84年 牛乳パックの回収運動を開始。牛乳パックの再利用を考える連絡会を結成し、事務局を担う。
85年 武蔵野地区で夜間宅配(のちに「自然宅配」)を開始。
86年 チェルノブイリ原発事故をきっかけに脱原発運動を開始。
日本消費者連盟等6団体とともに「米の輸入に反対する連絡会」を結成。以後、米の輸入自由化に反対する運動に取り組む。
87年 静岡県函南町に株式会社フルーツバスケットを設立。
(株)大地物産と日本リサイクル運動市民の会が提携して、「らでぃっしゅぼーや」がスタート。
88年 「食糧自立を考える国際シンポジウム」開催。実行委員会事務局構成団体として参画。
89年 提携米アクションネットワーク「日本の水田を守ろう基金」事務局(のちに提携米ネットワーク)を大地を守る会内に設置。
92年 農水省による「有機農産物表示ガイドライン」に反対する運動に取り組む。
96年 地場型学校給食運動を提唱。
第1回有機農業後継者集会開催。
97年 遺伝子組み換え食品反対の運動を始める。
98年 全国9団体で「環境ホルモン全国市民団体テーブル」を結成。環境ホルモン問題への取り組みを始める。
「自然宅配」を「大地宅配」に名称変更。
99年 「大地を守る会有機農産物等生産基準」を決定。
01年 JAS法による有機認証農産物の流通開始。
03年 「100万人のキャンドルナイト」の事務局を務める。
04年 国産材と自然素材を活用し日本の森の再生を志す自然住宅事業を開始。
直営の日本料理店「山藤」を港区西麻布に開店。
05年 身近な食と農でCO2の削減をめざす「フードマイレージ・キャンペーン」を提唱。
06年 「山形村短角牛」全頭で飼料の100%を国産化(THAT’S 国産牛)を実現。
07年 生協や消費者団体などと「『六ヶ所村再処理工場』に反対し、放射能汚染を阻止する全国ネットワーク」を結成。
(株)三越との業務提携による「三越くらしの御用達便」スタート。
08年 「株式会社 大地」を「株式会社 大地を守る会」に社名変更。
第六回日本環境経営大賞環境価値創造部門環境プロジェクト賞受賞。
有機農産物の提供や、レストラン、自然住宅などの収益事業と、その他の社会活動を、平行して行ってきていることが分かります。
次に、最近特に注目される動きとして、2点取り上げます。
1点目は、08年に行った、社名変更(ブランド統一)です。
これまでは市民活動の色をあまり出さない方が社会に受け入れられやすいのではと考えていましたので、宅配サービスのブランド名を「大地宅配」としていました。しかし時代は変化しました。例えば100万人のキャンドルナイトやフードマイレージ・キャンペーンのように社会を変えるような環境ムーブメントが作れるようになってきたんです。これからの時代は市民運動をやっていることが信頼となり、成長につながるということが実感できるようになったんです。そこで社名を「株式会社大地」から「株式会社大地を守る会」に、宅配サービスのブランド名を「大地宅配」から「大地を守る会」に変更しました。
(大地を守る会インタビュー記事より)
この社名変更からは、社会意識の高まりという潮流を捉えて、柔軟に対応する姿勢が読み取れます。
2点目は、この秋冬から、有機野菜通販を会員以外にも拡大することです。
大地を守る会、有機野菜をネット通販 会員以外にも
首都圏中心に有機野菜の宅配や卸販売を手掛ける大地を守る会(千葉市、藤田和芳社長)は11月にも、インターネットを使った通信販売事業を開始する。これまでは会員向けに有機野菜を宅配していたが、会員外にもサービスを広げる。全国展開に必要な物流センターを各地に建設する資金を調達するため優先株を発行できるよう定款を変更、同社の事業に賛同する個人や団体・企業など第三者に割り当てる。
食材を全国に配送する「ウェブストア」は全国の消費者からインターネットで注文を受け付け、宅配便で食材を送る。年内の開業を目標にシステムを構築中で、早ければ11月中にスタートする。地元の食材を優先して届けられるよう北海道など地域ごとに物流センターを建設する。
(日経ネット記事より)
ネット通販の会員以外への拡大は、最近ネットスーパーが競合として成長してきていること、地元食材への意識の高まり、また、有機農産物の認知がコアな層以外にも一般的になってきたことからの判断と考えられます。
このように見てくると、大地を守る会は、設立当初の理念を掲げながらも、意識潮流や時代の変化に的確に対応することで、事業を継続、拡大してきていると言えるでしょう。
一方で、会員以外への通販拡大とは、消費者を組織化する(囲い込む)ことによって成立させてきた産消提携のあり方が、変わりつつあることを示しているように思います。
投稿者 sbaba : 2009年08月11日 TweetList
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コメント
投稿者 kt : 2010年7月1日 21:48
みんなを、食や農の当事者として巻き込んで行く場をコーディネートするという、とても面白く取り組みだと思います。生産者自らも、コーディネーターとしての役割が期待されている時代です!
投稿者 naganobu : 2010年7月1日 22:10
農って、だれにでも接点があるから、やりかた次第でいくらでも仕事が創れそう。
それってすごい可能性ですね!
投稿者 せきや : 2010年7月1日 22:12
ktさんへ。
自給する、それは即ち、その分、市場を解体させるということです。市場とは富の収奪場でしかないのであれば、その場を壊せば、その偏りがなくなっていく。そういう意味でもみんなが安心してくらせる将来像は、「自給自足」かそれに近い姿になると、私も思っています。
投稿者 SSS : 2010年7月8日 15:53
naganobuさんへ
農業ってダサい、しんどい、儲からない、そんなイメージが昔ありましたよね。
でもそんなイメージを否定するわけでもなく、肯定するわけでもなく、自然と、あ、農業って良いな、と思っている人たちが増えてきているように思います。
行く行くは将来の夢が野菜作って売ってみたいな~とかそんな言葉が自然と出てくるような社会になってほしいですね☆(それだけみんなが色んなことを考えれているという意味で)
楽しみですし、みんなで盛り上げて行ければ言うことなし!ですね♪
投稿者 SSS : 2010年7月8日 15:57
せきやさんへ
そうですよね!農業ってみんなに関係する。だからみんながみんなを助け合う、とか役に立ち合う、その実感が生まれやすい。つまり活力いっぱいに仕事が出来る、そんな場が作りやすいということ。
可能性が広がっていくますよね☆
投稿者 SSS : 2010年7月8日 16:00
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投稿者 hermes norge : 2014年2月6日 23:10
農の事業例として、かなり画期的な取り組みですね。
一般家庭に「自給する」という考えを与えるシステムが普及してくると、今後起こりえる食料輸入依存の問題にも対応できるのではないかと思います。