日本の農業と法体系との関係シリーズ ~農業政策の歴史(古代史~現代)~ |
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2009年07月22日
日本の農業と法体系との関係シリーズ ~食糧管理法って何?~
法律シリーズ第2段は「食糧管理法」です。
以前にも、このブログで追求してますが、改めて整理してみたいと思います。
法律シリーズ第2段は「食糧管理法」です。
以前にも、このブログで追求してますが、改めて整理してみたいと思います。
まずは大きな流れから。
1942年 食糧管理法
↓
食糧管理法 改正
↓
1995年 食糧管理法廃止、食糧法成立
↓
2004年 食糧法 大幅改正
戦中にできた食糧管理法が35年続き、その後、食糧法成立。そして10年後に大幅改正。この流れはどのようにして生まれてきたのでしょうか。
①1942年 食糧管理法
~高度経済成長、食生活の変化→米余り~
60年代後半には、高度経済成長が始まり、70年代には、国民の所得も一億総中流といわれるまでになりました。
そうなるとおいしい米なら多少高くても買う人が増えて行き、食管法で管理された米の中からもいつの間にか流通の過程でおいしい米が別ルートで高値で売られるようになります。
また、農家の所得と他産業の所得格差が広がっていき、その是正のため、政府が農家から買い上げる米の値段は大幅に引き上げられていきました。
この金額は他産業の賃金上昇に応じて調整され、どんどん買取米価が上がっていくことになりました。
一方で、米の売値は消費者保護の観点から、低く抑えられ、結果、政府の財政を圧迫していきます。
国内の米生産量は年々増えつづけ、その間、食も多様化し、1970年代に入ると、今度は米余りとなっていきます。
1972年には720万トンもの在庫を政府は抱えることとなります(これは1年間の米流通量とほぼ同じ)
在庫・逆ざやを抱えた食管会計は膨大な赤字となり、コメは財政赤字の最大の原因のひとつとして国鉄・健保とならび3Kといわれるまでになってしまいました。
~減反、米の自由流通へ~
そこで政府は、買取る量を減らす方針を採ることになります。
ひとつは、行政指導により、米の作付制限=減反。
協力農家へは転作奨励金等を交付し、逆に協力しない農家からは米の買入量を減らすとともに減反目標を達成しない市町村へは農業補助金をストップするなどの措置により、すべての農家に一定の比率で減反を強制しました。
もうひとつは自主流通米を創設。
これは政府米と流通ルートは同じながら、政府を介さずに流通する米のことです。
自主流通米には、良い米が産地や品種を特定して指定され、その割合は年々ふえていきます。
(現在では政府米が2~3割に対し自主流通米は7~8割)
この二つの方針は、様々な議論が有りながらも、結局現在まで残っています。
こうして、公の許可を得ない業者や許可業者が参加して、政府が管理する食管制度とは別の、市場原理で動くいわゆる「自由米市場」ができあがり、国内に流通する米のなんと3~4割にも達することとなりました。
食管法は、完全に建前だけとなり、形骸化していきます。
~平成の米不足→管理制度見直し~
1993年の冷夏により米は不作。
こうした米不足のときのための管理制度が機能せず、食管法が機能していないことが露呈しました。
減反に協力した農家が批判され、自由米でもうけた人がマスコミで評価されるような事態に、もはや法改正は不可避と認めざるを得ない状況です。
50数年、まがりなりにも維持されてきた食管法が、わずか一年の間に廃止され、新たな食糧法がつくられることになりました。
②1995年 食糧管理法廃止、食糧法成立
~作る自由・売る自由を盛り込んだ新食糧法 ~
米の流通は,従来の政府管理米に代わる「計画流通米」と,販売ルートが自由の「計画外流通米」の2本立てとなりました。
また,米の卸・小売業は指定・許可制から登録制にかわり,小売店の数はほぼ倍増しました。
・米不足の事態に備えるための「備蓄」と米過剰を防ぐための「生産調整=(減反)」を法的に初めて位置づけ。
・政府が取扱うのは、輸入米と備蓄米に限り、しかも備蓄米については数量を一定に限定。
・米流通の中心は自主流通米とする。
・流通ルートの指定・許可規定を緩和し登録制にするとともに種々のルートを認める。
・価格について市場原理をさらに導入。
・流通自由ないわゆるヤミ米(自由米)も届出さえあれば法的に公認。
③2004年 食糧法 大幅改正
~販売ルートはさらに自由化へ~
・「計画流通米」・「計画外流通米」の差を無くす。
現在でも「計画流通米」「計画外流通米」は形としては残っていますが、計画外流通米も「スーパー」や「お米屋さん」で売れるようになり,計画流通米もJAや農家が自由に販売先をきめられるようになった。
・減反は産地ごとにこれまで,政府が決めていた義務的な「減反」の割り当てをやめて,生産地ごとに売れる量の目標を決めて作るようになった。
これは売れるお米を作っている地域も,そうでない地域もおなじように米の生産量をおさえていたのを,実状にあわせて作れるようにした。
・「自主流通米価格形成センター」がなくなった。
あらたに「米穀価格形成センター」を作り,産地や銘柄や売買の量などによって価格が決められることになった。
(政府が価格をきめるお米は備蓄米などの政府米だけになった)
・販売業者は届け出制になった。
これまで、計画流通米は県単位で集められ,さらに全農が管理して「自主流通米価格形成センター」でつけられた値段で,お米を扱う大手の業者に販売されていた。お米を扱う業者になるには,倉庫や取扱量などさまざまな制約があったが,これからは年間20トン以上扱うところならば,だれでも「届け出」だけでお米の販売が自由にできるようになった。
また,これまで販売のできなかった計画外流通米も販売できるようになった。
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大局的に食糧管理法について見てきましたが、国が管理していたお米までも市場より大きくするという流れが法律を見るだけでもわかります。
食管法の廃止で、米も市場原理から無縁ではいられなくなり、ますます競争が激化することは明らかです。
しかし、そこには農家の活力については一片の考慮も感じられません。
今、注目度が高まっているだけに、これから農を市場原理に引き込んでいくのか、それとも、市場を越えたもっと可能性のある産業としていくのか真剣に追求し、発信していくときがきています!!
追求・発信が必要だと感じてくださった方は、当ブログの応援をよろしくお願いします
投稿者 misima : 2009年07月22日 TweetList
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コメント
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