2019年05月03日
水耕栽培とは 土耕栽培や植物工場と何が違う?
前回お知らせしたように、今回は、水耕栽培に焦点を当ててみたいと思います。
さて、皆さんは、小学校の理科の実験でヒアシンスなどの水耕栽培(水栽培)を経験したことがあると思います。きれいな花を咲かせるヒアシンス。生命の成長に気づき、自然の大切さや親しみを学んだのではないでしょうか?
一方で、大人になってから、「自宅の室内に緑を」ということで、ベンジャミンなどの観葉植物を購入してはみたものの、水のやりすぎで枯らししまった経験をお持ちの方もいるかと思います。根腐れという現象です。
「あれ?水をこまめにあげれば植物は育つ」と思っていたのに・・・・
水だけで育つ植物。一方で、水のやりすぎて枯れてしまった植物。一体何が違うのでしょうか?
今回は、新しい農業でクローズアップされている水耕栽培。その仕組みからこの疑問を解き明かしていきたいと思います。
農業に詳しくなくても「水耕栽培」という言葉を知っている人は多いのでは? スーパーマーケットの店頭で売られている野菜の中には水耕栽培で育てられたものがたくさんあります。意外に身近な水耕栽培、一体どんな仕組みなのでしょうか。気になる味や栄養に関してもお伝えします。
■水耕栽培とは
水耕栽培とは養液栽培(※)の一種で、培地を使用せず、水に養分を溶かした培養液で野菜等を栽培することです。養分は液体肥料。主にハウスなどの施設内での栽培となるため、季節に左右されることが少なく、虫や病気などの外的要因による被害を受けにくいのも特徴です。土を使用しないため、土耕栽培より衛生管理が簡単であると言われています。
※「養液栽培」とは、土を使わず養分を水に溶かして水や固形培地で栽培する方法を言います。
■土耕栽培とはどう違う?
植物にとっての土の役割は何でしょうか。土は、植物に水や養分、酸素を与えます。植物は土に根を張ることで体を支え、その根元の温度を保ってもらうこともできます。また、土の中で有機物が分解されて栄養として吸収しやすくなります。この土の担っていた役割を別のもので代替することで、水耕栽培(養液栽培)が可能になるのです。水はもちろんのこと、栄養分は液体肥料が与え、体を支える役割は水に浮かせた水耕パネルなどが担います。水温の管理も制御システムを使えば可能ですので、植物にとってはより生きやすい環境を実現できるでしょう。また、土耕栽培で問題となる「連作障害」は水耕栽培では起こりません。連作障害が起こる原因は、土の中の栄養素と微生物生態系のアンバランスだと言われていますので、そもそも土を使わない場合は発生のしようもありません。※連作障害
■水耕栽培の種類
①湛液(たんえき)型
ベッドと呼ばれる、ある程度の深さのある水槽に水をためて、その中または表面で栽培する方法です。水に浮くパネルなどに苗を定植して栽培します。湛液型では水を大量に使用するため、野菜を育てるベッドは、水の重さに耐えられる強度がなければいけません。また、根腐れを防ぐために水中に空気を送り込むポンプを設置する必要があります。水量が多いので水温が安定しやすいのがメリットです。レタス・水菜・葉ネギなどの葉物野菜が向いていると言われています。
②薄膜(はくまく)型
NFT(Nutrient Film Technique)とも呼ばれます。薄膜型水耕は、わずかに傾斜を付けた浅い栽培槽に薄く水を流して作物を栽培します。ベッドを勾配1~3%ほどの緩やかな坂にして、そこに浅く溶液を流し、その液をずっと循環させるか、かけ流すことになります。循環させる場合には、培養液を殺菌する装置が必要です。根が空気に触れているので、湛液型の時のような酸素供給は必要ありません。また、使う水の量が少ないためベッドの強度もそれほど必要でなく、多段式にでき、狭い土地で収量をあげられる場合もあります。しかし、ずっと水を循環したりかけ流したりする必要があるため、停電すると水の供給がなくなり、野菜が枯れてしまうというデメリットがあります。
■植物工場とは違う?
水耕栽培でも、施設を使わず休耕している水田を使う方法があります。一方、植物工場でも土を使用している場合があり、「植物工場では必ず水耕または養液栽培」というわけではありません。水耕栽培の施設内の温度、湿度、光、培養液、CO2濃度などの環境条件を完全に制御した場合、植物工場の定義に当てはまると言えるでしょう。
■水耕栽培の培養液はどういうもの?
培養液とは、植物の成長に必要な養分を吸収に適した組成と濃度で水に溶かしたものを言います。作物や使用しているシステムによってその処方(養分の組み合わせ)は異なります。
■原水とは
培養液に使用される水のことを「原水」といいます。地下水や雨水、ため池や河川からの農業用水、または水道水を使用する場合もあります。原水として使用するには、病原菌や有害物質を含んでいないなどの要件をクリアする必要があります。要件を満たしていない場合は、フィルターでろ過するなどの水質改善を行います。
■栄養分は液体肥料
原水に液体肥料を加えて、培養液となります。野菜づくりには三大要素の窒素(N)・リン(P)・カリウム(K)が必須。その他にもカルシウム・マグネシウムなども必要です。水耕栽培で使われる培養液には、これらの栄養分が含まれていなければなりません。この培養液に入れる液体肥料は栽培する野菜の種類によってその処方が異なり、研究機関やメーカーが開発しています。また、それぞれの農家でも工夫を行っています。※いま始めたい水耕栽培
以上転載終了
■ まとめ
このように、水耕栽培では、胆液型や薄膜型にしても、植物を健全に育てるためには、根を空気(酸素)に触れさせることが、必ず必要になります。
動物が酸素がないと息ができずに死んでしまうように、植物も酸素を取り込めないと腐ってしまいます。「根腐れ」はこのことが原因なのです。
「葉っぱから酸素を取り込めるはず」と思い込まず、植物の栄養を取り込む重要な「根っこ」の部分から酸素を取り込めるようにしておくことが水耕栽培を成立させるためにはまずは大切なのです。
前回 「野菜がのびのび育つ3層構造の畑の土づくり」でも水と空気が非常に重要であることを学びましたが、水耕栽培でも、酸素が大変重要ということが今回は更に分かりました。
※水耕栽培と根腐れの関係についての詳しい内容は、下記のHPからどうぞ
【水耕栽培でも根腐れするの?根腐れする原因と対処法・根腐れしたときの見分け方】
では、次回もお楽しみに。
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2019年04月09日
その耕し方、実は間違い!? 野菜がのびのび育つ3層構造の畑の土づくりとは
これまで「新しい『農』のかたち」を探ってきましたが、今日は、少し中休み。そこで、作物の成長に欠かせない土に焦点を当ててみたいと思います。
さて、春の季節がやってきました。日本列島も桜の花が今、見どころ。ところが年齢が高い桜の根元をよく見ますと、根が地盤から持ち上がっています。
この現象は根上がりといい、街路樹の足元などにも歩道がデコボコになっていることがよくあります。実はこの現象。植物の成長と関連があり、野菜や植物が育つ土の状態と密接に関係があります。
そこで、今回は 作物や植物が育つよい土とは何かについて追求していきたいと思います。良い土には、窒素、リン酸、カリウムが、非常に重要になりますが、ただ栄養素が豊富に含まれていれば、良い土であるというわけではないようです。
今回は、この土に焦点を当てます。
マイナビ農業【リンク】よりの投稿です。
転載開始
家庭菜園を作るときには、土をとにかく細かく耕すことが土づくりのコツだと思っていませんか。実はそれ、土が持っている本来の力を損ねてしまっているかも知れません。耕しすぎが野菜の成長を阻害してしまうことも…。「野菜がのびのびと育つ土づくり」の秘密は耕し方にあります。大きさの異なる土の塊を役割に応じて上手に組み合わせることがポイントなのですが、いったいどのようなものなのでしょうか。土の仕組みから、さらに肥料いらずの落ち葉床の作り方まで、やさしく紹介します。
■野菜がのびのび育つ3層構造の土
家庭菜園で、よくある誤解
野菜を育てる前に、どうして土を耕すのでしょうか。土には、固まった部分(固相)と、空気の部分(気相)、水の部分(液相)が混じり合っています。この三相のバランスが良いと、水はけが良く、植物は根を伸ばしやすくなります。また、酸素を必要とする土壌微生物が活動しやすくなるため、堆肥などの有機物の分解が進んで、植物へ養分が供給されるようになります。
一方で固く締まった状態、つまり固相が多いと根が伸び悩みます。そこで固い土をほぐし、土の中に空気をたっぷり含ませるために、野菜を育てる前には土を耕します。しかし、だからと言ってただひたすらに土を耕しては上手くいきません。細かく耕しすぎると、雨が土に染み込みやすくなり、かえって土が固く締まってしまうからです。「耕さなければいけない!」と思って、丹念に耕しすぎてしまうのは、よくある誤解です。
■耕しすぎないことが3層構造の土のコツ
耕し方のポイントは “3層構造” 。植物が根を張る部分(=作土層)を、土の塊の大きさごとに3つの層に分けた立体的な「団粒構造」にすることです。こうすることで、三相のバランスが整えられて、水と空気の通りが良くなります。すると、植物はのびのびと根を伸ばすことができるのです。
耕しの “加減” を変える
では、どのように耕せば野菜づくりに向いた3層構造の土になるのでしょうか。まず3層は、土の塊の大きさによって “ゴロゴロ層” “コロコロ層” “ナメラカ層” に分かれます。 15~18㎝の作土層のうち、下から5~8cmを大きな塊の “ゴロゴロ層” として、その上の5cmをやや粗い塊の “コロコロ層” 、一番表面は小さな土の塊がほどよく残る “ナメラカ層” にします。
手順は、初めに一番深い部分になるゴロゴロ層を作ります。鍬などを使って、土を粗めに掘り起こします。次に、コロコロ層を作ります。ゴロゴロ層の上に、堆肥をまいて混ぜながら耕します。これにより、土壌微生物が堆肥を分解し、野菜に養分を与えます。最後は表層のナメラカ層です。レーキなどを利用して、5cmくらいを小さな土の塊が残る程度に崩して、ならします。ナメラカ層は、サラサラになり過ぎないように注意しましょう。
■冬と春、2度に分けて耕す
家庭菜園で有機栽培に取り組む方もいることでしょう。有機栽培の場合、野菜を植える2~4週間前までに土を耕し、堆肥をすき込んで、畝の準備を済ませておくことが一般的ですが、ここにも耕すコツが。
土づくりに必須な微生物は、冬と春とで繁殖する種類が異なります。冬は「発酵型微生物」の活動により、地力を高める腐植が増えます。春には「分解型微生物」が活動し、有機物や腐植の分解が進み、養分がたくさん作り出されます。冬と春に1回ずつ耕すことで、それぞれの微生物の活動をより活性化させることができ、野菜がのびのび育つ肥沃な畑となるのです。
~番外編~ 肥料いらずの落ち葉床で、地力ある畑に
肥沃な畑を一から作る方法として、「落ち葉床」を紹介します。「落ち葉床」とは有機物を畝の下に埋める伝承農法の一つです。畝をつくる場所に深さ約40㎝の溝を掘り、落ち葉やススキの枯れ草などを埋めることで、これらがゆっくりと分解され、一度つくると4~5年は無肥料で野菜を育てられるとも言われます。また、複数の種類の落ち葉を埋めることで多様性のある土となり、ミネラルが豊富で野菜の育ちが良くなります。ただし、根菜類にとっては栄養過多となり、生育不良を招く恐れがあるため、作ってから少し経った落ち葉床を使うのをお勧めします。
落ち葉床を作る際には、作土層のさらに下にある、固く締まった耕盤層と下層土を壊します。耕盤層以下の層はショベルを挿して起こしていくのがコツ。掘り起こし、落ち葉を埋めた後、ゴロゴロの塊のままで戻すため、ショベルなら塊を崩さずにすみます。
■さらに土づくりを極める
こうした土づくりを、鍬で行うには相当の手間がかかります。そこで、より手軽に作りたい方には耕うん機がお勧めです。バイクやクルマメーカーとして有名なHondaは、家庭菜園に最適な耕うん機も開発しています。Honda耕うん機のWebサイトでは、本格的な土づくりを支援する「畑の土を極める」が連載中。耕うん機を使った作業の手順や、野菜を上手に育てるためのポイントを、イラストを使いながら分かりやすく解説しています。家庭菜園の経験の有無や年数を問わず、幅広い層でためになる情報を紹介し、野菜づくりを楽しむ方を応援しています。今年の野菜作りは耕うん機を使って、土づくりからこだわってみませんか。
以上転載終了
■まとめ
このように、作物や植物が健全に育つには、土に適度な空隙があり、酸素と水の通りが良いことが、大切な条件になります。
冒頭、桜の根上がりのお話をしましたが、根の成長によって土が徐々に固くなり、根が下に成長できなくなるために、酸素を求めて、根が地表近くに上がってくる現象なのです。
樹木や野菜を健全に育てることは、土の環境をどのように整備していくかに直結しています。
美味しいい野菜づくりは、土の耕し方にかかっているといっても過言ではないでしょう。
さて、新しい農業では、水耕栽培や砂耕栽培などがクローズアップされています。次回以降はこの土ではない植栽基盤と作物・植物の関係→あたらい農業のかたちについて、原理的なところも交えて、追求していきたいと思います。次回もお楽しみに。
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2019年02月21日
精密農業とドローン技術
今回は、精密農業と最近のドローン技術の向上からこれからの農業の将来像について取り上げてみたいと思います。
ドローンというと現在、農薬散布については、最も普及が進んでいる分野だと思います。
ところが、このドローンに搭載されるカメラやカメラがとらえる農作物の映像による解析技術の向上によって、これからの農業活動スタイルが劇的に変わっていく時代がすぐそこまで来ているようです。
そして、農薬散布の次に続く技術が、現在開発が進められている「精密農業」分野につながっていきます。では、まず、「精密農業」とは何なのか解説していきましょう!【リンク】
転載開始
■精密農業って?
「精密農業」とは何か、分かりやすく言えば「農業の視える化」です。
専用のカメラを搭載したドローンが農場の上空を飛行し、農場全体のデータを収集することで、現在の農作物の生育状況を調査することができるようになります。
調査したデータは、専用のソフトウェアを使用することで、すぐに解析が可能。現在の作物の健康状態を知ることができ、農作物の病気や害虫、肥料不足の箇所などを特定することが可能になります。
例えば、圃場や生育状況に合わせた可変施肥が可能になるため、倒伏を解消し、作物の品質、収量を向上することが可能になりますし、余分な肥料を使わないため肥料コストを削減することも可能になります。
その他、農作物の窒素量などを確認することによって、味の美味しさを調整できると言われているため、これまで製法が難しいとされていた「ブランド米」のようなものも、データを活用することでより多くの人が導入しやすくなる、などのメリットもあります。
このように、以前まではそれぞれの農家さんだけが持っていた「経験や勘」と言ったものを、誰にでも分かるようにデータ化し、農業経営の効率化と農作物の収穫増に繋げることができるのが「精密農業」の特徴なのです。
■精密農業の仕組み
精密農業の仕組みとしては『マルチスペクトラムカメラ』を搭載したドローンでデータ収集を行い、植物の生育や健康状態を調査します。
『マルチスペクトラムカメラ』とは、赤と緑と人間の目には見えない「近赤外線」や「レッドエッジ」と呼ばれる4帯域の波長の光の反射を計測するカメラのことです。
ここで得たデータを解析用のツールなどを使い、最終的に「NDVI(正規化植生指数)」と言われる、光合成活動の活性度を見る指標を使って、マッピングを行っていきます。
精密農業では、この「NDVI測定」を行い、生育状況の分析を行っていくことが、一般的な方法となっています。
■精密農業導入に必要なもの
精密農業を始めるためには、大きく分けて3つのものを用意する必要があります。それが「データ収集用カメラ」「ドローン」「データ解析用ツール」の3つです。
データ収集用カメラをドローンに取り付け、農場内を飛行させ、データを収集。集めたデータをツールに入れて解析する、というのが基本的な流れとなっています。
〇データ収集用カメラ
精密農業を始めるにあたって必要となるデータ収集用カメラですが、精密農業では一般的に「マルチスペクトラムカメラ」が使用されています。
〇精密農業用ドローン
精密農業としては、上記の「マルチスペクトラムカメラ」をドローンに取り付けることができれば、基本的にどのドローンでも調査を行うことが可能です。
〇データ解析用ツール
ドローンによる空から収集した圃場全体のデータは、精密農業専用のツールを使い、解析を行っていきます。現在では、インターネット上から利用できるクラウド解析サービスを使うのが一般的です。
~中略~
以上が、ドローンにおける精密農業への取り組みです。今後は、さらにその先の話として、これらの精密農業のデータ解析結果を元に問題のある特定の農作物情報をクラウドに送り、ICT農機や農薬散布用ドローンなどと連携することで、「農業の自動化」を実現する日がやってくるかもしれません。
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では、引き続きドローンを使った農業の事例を紹介します。【リンク】
■精密農業×農業用ドローンの例
◆ファームアイ株式会社
ファームアイ株式会社は、2017年10月に、ヤンマー株式会社とコニカミノルタ株式会社との合弁で設立された農業コンサルティング事業を展開する会社。農業リモートセンシングのサービス事業会社として、ドローンによる圃場のセンシング・画像解析サービス、農作物の生育状況の診断と処方改善提案を行なっている。農作物の生育状況をドローンによって撮影・分析し、作業の効率化、省力化を目指す。ヤンマー株式会社の持つ農業機械・営農支援の経験と、コニカミノルタ株式会社のセンシング・画像処理技術という強みを活かしたサービスを展開。
◆株式会社オプティム
株式会社オプティムは、”楽しく、かっこよく、稼げる農業”を掲げ、AI・IoT・ビッグデータを活用したサービスを展開。目視で行なっていた圃場の確認作業を、ドローンによって確認し、虫食いや葉の変色といった異常をAIの解析によって検出。また、ドローンの集めた画像・映像によって、病害虫などの異常の早期発見、病害虫の特定まで可能なため、迅速に対応することが可能。スマホアプリを利用して農作業の記録を取るため、圃場に関わるデータを一括管理可能。
◆ベジタリア株式会社
ベジタリア株式会社は、”NEXT GREEN REVOLUTION”を掲げ、IoTセンサ事業やクラウドデータ基盤事業、農業生産事業などを展開。気象や栽培管理などのデータの収集・解析や病害虫発生のメカニズムを把握し、防除対策を講じるといったサービスを提供。昨年(2017年)の6月15日から8月7日にかけて、新潟市にてドローンによる水稲の空撮実証実験を行う。ベジタリア株式会社、新潟市、株式会社NTTドコモ、株式会社自律制御システム研究所が協力し、実験を行う。ドローンによる空撮画像を分析し、水稲の生育状況を把握することで、効率的な栽培管理の実現を目指す。撮影されたデータは、ベジタリア社が開発している解析ソフトによって、生育状況などを分析するのに使われる。
(人手による測定値と、ドローンの空撮による測定とを比較し、ドローンの空撮だけでモニタリングできるかどうかを確かめる。結果としては、67%に近い精度だったものの、未だ全てをドローンによる空撮に任せることはできない。)
※ベジタリア株式会社より一部引用 ドローンタイムズの記事より一部引用
◆Precision Hawk社
Precision Hawk社は、人工知能を搭載したドローンに関する研究開発を進めている、カナダ発の企業。ドローンに様々な情報を収集させ、データを解析することで、コスト削減・生産量の増加に貢献。農薬散布が必要な場所のみに散布したり、データの解析を通して新たな農作地を発見するのに活用したり、といったことが可能。人工知能によって、最適な飛行経路の算出を行い、ドローンによって収集したデータを即座にクラウドサーバーへアップすることが可能。また、飛行中のドローン本体のモニタリングも行うので、内部装置のパフォーマンスや、バッテリーの残量などを測定することで、ドローンの安全性も確保。
さて、ここまで精密農業とドローンの活用例についてご紹介いたしました。
精密農業は、アメリカなどで2000年代初頭から導入された農業の管理手法の一つです。農地・農作物の状態を良く観察し、制御することで、農作物の収量及び品質の向上化を図ります。
世界人口の増加により、食料・飼料の需要が増えている中で、収穫量を増加させることは必須です。日本では、食料自給率が100%を下回っており、就農人口も減少しています。従来の農業に、画像解析やリモートセンシングなどを導入し、様々な視点からデータを分析・予測することで、効率化と生産性の向上が見込まれます。人の手によって行われていた作業が、ドローンを活用することで、時間を短縮することができ、ドローンが収集したデータの一括管理と分析まで行うことができます。
このように精密農業によって、農業用ドローンの需要は高まる一方ですが、精密農業に活かすのは簡単ではありません。AIによる画像解析とクラウドサービスによるデータ管理、さらにそれに適したドローンの開発が必要になります。高い技術力が求められる精密農業ですが、技術の進歩に伴い、今後ますます発展していくでしょう。
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以上転載終了
■まとめ
このように、精密農業は、農業用ドローンの技術向上と一体的に発展していく形になっていき、将来の農業のあり方が、劇的に変わっていく可能性を秘めています。
一方で、最近は気象環境が非常に不安定になってきており、このような環境にあって、更に、作物の生育をどのように維持していくか?彼らの潜在的なポテンシャルをどうしたら引き出していけるか?が鍵になっていくことは間違いないでしょう。
先人達の「経験や勘」だけではなく、様々な視点からデータを分析・予測をたて、それを活かしながら、農作物の収獲量及び品質の向上化を図っていく。これからの農業に注目していきたいですね。
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2019年01月15日
新しい「農」のトレンド!? 話題の「半農半X」のリアル
皆さん!「半農半X」という生き方をご存じでしょうか?やりたい仕事と農業を掛け持ち?!
「半農半X」とは自給規模の「農」と本人の「生きがいとなる仕事=X」を両立した生活。しかしこの「半農半X」というライフスタイル、日々忙しく働く人達の選択可能な生き方なのでしょうか。そこで、今回は、「半農半X」に焦点を当てていきます。
マイナビ農業からの転載です。【リンク】
転載開始
「半農半X」という生き方が、ここ数年注目を集めています。1990年代に提唱されたこの生き方は、自給と現金収入を得るためのナリワイ(X)を組み合わせた働き方・生き方を指し、兼業農家とは似ているようで異なる新しい概念。それが今、市民農園や家庭菜園など、「農」への関心の高まりとともに、社会全体で注目されています。実際に半農半Xを目指す倉田爽さん(半農歴1年目)と山田さん一家(半農歴5年)に、そのリアルな実情を聞いてみました。
◆今注目される「半農半X」とは?
○自分で自分の食べ物を育てる喜びを求めて
半農半Xとは、京都府出身の塩見直紀さんが1995年ごろから提唱している新しい生き方・暮らし方です。家庭菜園や自給といった農的な要素を取り入れた生活への関心が高まるにつれ、半農半Xについての関心も高まり、現在は関連するイベントやセミナーなどが各地で行われるほどです。
塩見直紀さんとも交友があり、自らも半農半X生活に取り組む髙坂勝さんによると、半農半Xとは「自給することをベースに(半農)、自分の長所や天性を生かして世の中に貢献し、人生を全うする生き方」と語ります。「自給(農)と、自分のナリワイ(X)を組み合わせて生計を立てる生き方ですね。ナリワイというのは、雇われず、自分の好きなことで、労働に見合ったお金と『ありがとう』を言ってもらえるような世の中の役に立つ仕事、という意味で使っています」。髙坂さんは半農半Xに生活をシフトすることで、収入は減っても、時間的余裕は増し、充実して不足感のない生活を送れるようになったと言います。ご自身をはじめ、「年齢や性別、肩書きなどを問わずに、いろいろな人が半農半X生活を始めている」そうです。
◆始めてみました 半農半Xのリアル
髙坂さんの周りでも、ピアノ教師から一筆セラピスト、植木職人、パティシエまでそれぞれの才能を生かした「X」を見つけ、生き生きと仕事をしている人がいると言います。そんな半農半X生活に踏み出しつつある方に、お話を聞いてみました。
○Xの確立を目指す倉田さんの場合
去年の秋に大学を卒業した倉田さんは、今年で田んぼ歴2年目。大学2年生の時に授業で出会った半農半Xに「これだ」と感じ、その後、3年生の時にドイツに留学したことをきっかけに企業に勤める生き方に疑問をもったそうです。「将来、写真撮影をXに出来るよう、今はカメラマンのアシスタントとして週5日働いています。16万円ほど月給をいただいていて、住居も実家住まい。半農半Xの実践としてはまだまだ、ひよっこですが、実際に田んぼをやってみて、自給をするイメージをつかんでいます。1年目に田んぼの草取りが大変だったので、今年も同じ広さであんばいを見ていますが、1年目よりは要領がわかっているので、同じ面積でも随分と楽です」。
身の回りに農業にかかわる人もおらず、植物を育てた経験も特にあったわけではありませんが、今は、月に2回ほど居住県内に借りた田んぼに通いながら0.5畝(約50m2)で米作りをしています。倉田さんが行けないときは、周囲で田んぼを借りている人が、倉田さんの代わりに世話をしてくれることもあるそうで、 自分流の農法をしているものの、失敗して稲が枯れたり、雑草に浸食されたりはしていないそうです。計画では15kgほどの収穫を見込んでいます。「田んぼのレンタル料や、住んでいる都心部から田んぼへの交通費を考えると、かなりの高級米になりそうです(笑)」と楽しそうに倉田さんは言います。
○週末移住で半農を満喫中! 山田家の場合
山梨県の短大で教壇に立つ浩子(ひろこ)さんと、千葉県にある企業に勤める恭嗣さんの山田夫妻は、半農半X歴5年目。きっかけは、浩子さんが受け持った授業だったそうです。経済新聞を読むというクラスで、教えているうちに、お金に縛られる現代の経済のあり方に疑問をもつようになったと言います。
そのうち「半農半X」に出会って、まず田んぼを始めてみようと0.5畝(約50m2)借りたのがスタート。「最初の年はお米と大豆を収穫し、大豆は味噌にしました。一粒の種が千粒にもなる自然の恵みを目にして、根拠のない自信がつきました」その後、迷ったものの、平日は千葉県浦安市、週末は山梨県都留市に夫婦で住むことにしました。「いわゆる週末移住です」と浩子さん。半年かけて都留市に家を探し、空き家バンクで見つけた家の解体やリフォームも自分たちで行い、当初は野菜を育てた経験もなければ木工などもしたことのなかった夫婦が、そろってすっかりDIY派に。
家のそばに借りた田んぼも復田させました。「荒くり、代かきなど、田んぼの土をかき回す作業は基本トラクターで行い、後は手作業でやりました。去年までは人に借りていたトラクター、今年はついに自分たちのものを中古で購入しました」。5年目になる今、山田家では合計約800平方メートル(8畝)の田んぼと、約150平方メートル(1畝半)の畑を世話しています。畑は去年まで野菜を育てていたそうですが、今年は田んぼが2枚になり野菜の世話に十分手が欠けられないかもしれないと思ったため、畑では雑穀を育てているそうです。「お米は完全自給自足ですが、野菜は地元の農業女子から買っています」。今年雑穀がどれだけとれるか楽しみにしていると言います。
これまで味噌や梅干し、甘酒や干し柿を手作りし、自宅でのサルサ教室や、講師を招いての竹細工ワークショップなどいろいろなイベントも開催してきました。これからも土の改良や里山の間伐、犬やニワトリ、ヤギを飼うなど、やってみたいことはたくさんあると言います。「半農半Xを始めてみて、交通費やガソリン代などやっぱりお金は必要だけれど、幸せかどうかはお金の多少で決まるわけではないと身の回りの人々を見ても思います」半農半X生活をすることで、どのような変化があったのでしょうか。
「夫婦とも今もフルタイムで働いているのですが、時間のやりくりは上手くなったかも? 農作業など体を動かすのですっかり健康でスリムになりました(笑)」と浩子さんは言います。「勤めながらの半農半Xは、最もハードルが低いのではないかと思います。何しろ、仕事はキープしたままなので、無理だと思ったら元に戻ればいいのですから」。
恭嗣さんは、週末の暮らしが、平日の仕事の思考の幅や深さにつながっていると感じていて、さらに何か新しいXを始めてみたいそうです。浩子さんも、学生対応のために学んでいるカウンセリング&セラピーを、将来の仕事にしてもいいかもと考えていると言います。「半農半Xを経験することで、上手く表現できないのですが、根本的な生き物としての自信がわいてきました。『お金があるから安心』とか『お金がなくても生きていけるから安心』とも違い、大地とつながっている生き物としての自信とでも言ったらいいのでしょうか」
◆始めると意外に簡単?
○農の楽しさ 健康をたいせつに
さて、この半農半Xに向き不向きなどはあるのでしょうか。前出の高坂勝さんに聞いてみました。「半農半Xを始めてうまくいかずやめてしまった人もいますが、それはほんのわずかです。半農半Xの『農』は、『農業』ではないので難しくないんです。土や泥や虫が苦手、忙しすぎて農をする時間がない、楽しさに気づけないという場合はあるかもしれませんが、全て時間を経ればクリアできるものばかりです」
○自然の中のクモは怖くない!
実はクモが苦手だという倉田さんは、田んぼではよくクモに出会ってドッキリすることもあると言います。「虫のいるはずのないコンクリートや部屋の中で虫が突然出てくると驚きますが、土や草の上で見ると、むしろ自然で、あまり怖さは感じません。でも、何せ色んな種類・色・サイズの虫に出くわすので、最初はやっぱり、虫が苦手な人にはつらいかも(笑)。私も今、少しずつ慣れていっている途中です。あとは、体が資本の作業ではあるので、私自身、健康には十分気をつけたいなと思っています」
○「忙しい」も「楽しい」に!
また、半農半X生活を「忙しい」と形容する山田さんは、「夫婦共々何もしない日って、ほとんどありません。でも、それが苦にならないぐらい日々楽しいし、浦安だけにいたころは、一体何やってたんだろう?と思うぐらいです」と言います。忙しくとも、前の暮らしに戻りたい思うことはないそうで、やってみたら同じように感じる人が多いのではないかと思うそうです。「月並みな表現ですが、自然とつながり、土に触れ、生き物であることを思い出した方が、人間は幸せを感じられるのではないかと思います。ぜひ、気楽に楽しい一歩を踏み出してみてください!」
以上転載終了
◆まとめ
農業というと、収益性、生産性、人件費、経費など欠かせない課題がたくさんあり、果たして、上手くできるのだろうか?まして、本業では無く、片手間で「X」となる仕事と両立可能なのだろうか?という疑問がわきました。
ところが、この事例に接し、逆に自給をもとにした田舎での生活(「農」)では、経済的なコストがあまりかからず、『X』にあたる事業の収支などに縛られすぎることなく、それぞれの『X』を突き詰めることができるという事が分かってきました。
更に「農を生活とする事で、作物を通して四季折々の美しさや動植物の存在に感動する心を身につけることができ、日々のささいな変化や発見に感動を覚え、自ら汗をかいて育てた作物を食し、自分のやりがい『X』にいそしむ。そういった生活の中で消費的な欲は減り、自立した幸せを獲得することができると考えています」 【リンク】
といった生き方に惹かれます。もしかすると、将来の人々の生き方の主流になるかもしれません。今後の彼らの活動に注目です。
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2019年01月02日
地元愛からはじめた新しい農業。異業種だからこそ挑戦できた理想の環境づくり
今回の新しい農の形は、神奈川県横須賀市にシロキクラゲという珍しいきくらげを栽培している異色の農家のお話です。
建設会社から農業という畑違いの職業から「IoTと地中熱の融合」といった生育環境を試行錯誤しながら構築し、現在、純国産にこだわった完全無農薬できくらげを作られています。そして、シロキクラゲの持つ栄養と効能を知ってもらおうと、日々取り組まれています。
転載開始
◆なぜ土木建設会社の社長が「キクラゲづくり」をはじめたのか
後継者不足や耕作放棄地の増加。地域の農業が抱える課題を、解決していきたい~そんな思いを胸に、農業に取り組む男性がいます。神奈川県横須賀市で「げんき農場」を営む内藤義和さん。日本では珍しい「シロキクラゲ」を専門に栽培しています。
実は、内藤さんの本業は土木建設会社の代表取締役。十数年に渡って趣味で野菜を育てていたものの、決して農業の「プロ」というわけではありませんでした。
そんな内藤さんが農業をはじめたきっかけは、仕事を通じて出会った知人の存在です。
内藤さん「その知人は、ひとりで農業を営んでいたんですが、売上が芳しいものではなかったんです。さらには後継者もいなかったんでしょう。彼のご子息から、『親父が亡くなってしまったら、約1600坪の農地がすべて耕作放棄地になってしまう』と相談を受けました。それならこの土地を活用して、もっと利益が出る方法を編み出すことができないかと考えたんです」
また、地域の農業が抱える課題も内藤さんの心を動かしました。
内藤さん 「2018年現在、多くの農家では一坪あたりの売上がせいぜい700円ほどといわれています。二毛作をやっても、そんなに収益を上げられないのが現状です。すると後継者不足にもつながるという悪循環が生まれる。
もし一坪あたりの収益が2000円、3000円となれば継承する人も増えていくでしょう。だからこそ、小さい面積でも収益性の高い商品をつくることで、現状を変えていきたいと感じたんです」
こうして「どの作物が最も適しているのか」を模索する日々がはじまりました。シイタケや野菜の水耕栽培も検討したものの、コスト面や手間を考えると、現実的ではない。そんなとき、内藤さんは「キクラゲ」の存在を知ることになります。
内藤さん
「環境を整えるための膨大な初期コストも必要ない。その点に惹かれました。キクラゲは他のきのこ類に比べても、栽培をはじめた後の負担が少ないんです。さらに、一坪の面積に四段、五段と棚をつければ土地を効率よく活用できるので、収益面も期待ができます。あ、これだ!と思いましたね」
ところが、ここで内藤さんが選んだのは、私たちが普段目にする黒いキクラゲ(アラゲキクラゲ)ではなく、決してメジャーとはいえない「シロキクラゲ」。
実は、シロキクラゲには、“ある可能性”が秘められていたのです。
◆生産地を地道に回る日々。そこで見つけたキクラゲづくりのヒント
内藤さんがシロキクラゲを知ったのは、きのこ栽培を行なう福岡県の会社を訪れたときのことです。
内藤さん「現地のスタッフさんが『シロキクラゲがいい』と話しているのを耳にしたんです。楊貴妃も愛したほどに、美容効果が高いといわれているものだと。
栽培の現場で実物を見たときに『別格だ』と感じました。スイーツやサラダにも利用でき、可能性を秘めた商品だと確信したんです」
とはいえ、国内では手がける農家がまだ少ないこともあり、良質なシロキクラゲを育てるノウハウは一般に出回っていません。
そこで内藤さんは、山口や新潟、静岡といった国内の生産工場へ地道に足を運びました。その過程において、ある“ヒント”を手に入れたのです。
内藤さん「通年24度前後の温度と100%の湿度を維持すること、そして何より『風のない環境がベスト』ということを知りました。風がシロキクラゲにあたってしまうと、形にムラができて扇型にならず、商品価値が落ちてしまうんです」
高品質のシロキクラゲをつくるためには、「風のない生育環境」が必要だ。すぐに内藤さんは複数の空調メーカーに声をかけはじめましたが、そこで思わぬ壁に直面します。
内藤さん「『空気の流れがない空調設備にしたい』『ハウス内を冷房した場合も、棚の上と下で温度差のないコンデションをつくりたい』と依頼したところ、前例のない技術だったため『できません』と軒並み断られてしまったんです」
そこで電気工事店に話をしてみたものの、「毎月25〜30万円のコストが必要」という答えが……。そこまでコストがかかってしまうと、経営を圧迫してしまいます。
コストを抑えつつも、理想の環境を実現するのは不可能なのか。内藤さんは日々頭を悩ませ続けていました。
◆ようやく手に入れた武器。「地中熱」が理想の環境を実現する
そんなとき、以前相談を持ちかけた住宅設備メーカーの紹介で、内藤さんは、アグリクラスターという会社に出会います。
アグリクラスターでは、地中熱を活用した空調システムの開発だけでなく、そうした設備を活用して「人や農作物にとっていかに快適な環境を生み出せるか」という、“空間そのものの設計”をしてきました。
これまで培ってきたノウハウを応用すれば、内藤さんの希望する環境を整えることもできるはず。そこで彼らが、提案したのが、「きのこ類高度化生産支援システム」。井戸水を活用した燃費のよい地中熱暖房機器や、ネットワークカメラ、温度センサーなどを取り入れたものです。
全自動運転で、温度や湿度、二酸化炭素濃度を生育に最も適した環境にすることができるうえ、生産者の好みや地域性、栽培するきのこの種類に合わせて、機能を自由にカスタマイズすることができます。さらに、生育状況をパソコンやスマートフォンからも確認できるのです。
内藤さん「施設を見て、私が望んでいた設備を実現してくれた!と、とても嬉しかったです。ボイラー設備などではなく床暖房を使っているので、キクラゲに風があたりません。寒い時期でも最低で21度を維持でき、品質にもよい影響を与えています。
さらに、懸念していた毎月のコストも、6〜7万円ほど。地中熱を活用すると、コストを4分の1にも圧縮できるんだ。と。まさに理想通りの設備です」
シロキクラゲは人間に似て、非常に繊細な作物。風に弱いだけでなく、温度や湿度の変化にも敏感です。だからこそ、ベストな環境をつくることが重要なのです。
内藤さんがシステムと出会い、農場に導入したのは2017年の8月。その約1年前、2016年の9月から、内藤さんはコンテナハウスでの試験栽培をはじめ、オイルヒーターなどを活用して自前で環境を構築していました。
しかし、空き時間にハウスを頻繁に訪れ、気温や湿度の調整など試行錯誤を続けるのは、大きな負担になっていたのです。
内藤さん
「そこで、システムを活用した高度化や見える化が重要です。自前のコンテナハウスで栽培していたときには、毎日現地に行って確認しないといけませんでした。でも、今はどこにいても、カメラで室内の生育状況が把握できます。負担の軽減という意味でも、本当に助かっていますね」
◆理想の農業を追求したい。その思いを、“次世代農業”が叶える
こうして、2017年11月。げんき農場【リンク】【リンク】【リンク】
ではシロキクラゲの本格栽培をはじめました。開始からはまだ2ヶ月ほどですが(2018年1月現在)、システムを導入したことで「いいものをつくれているという自負がある」と内藤さんは話します。
「システムの活用は、地域や日本の農業を前進させるための有効な手段のひとつになる。」
内藤さんはそう考えています。
内藤さん「横須賀地区でも青物やいちごを栽培している農家はありますが、栽培期間は10月から翌年3月頃までの農家が多いんです。夏場はハウスが40度から50度と高温になるため、約半年も農作物をつくることができない。たとえばここに一定の温度を維持できるシステムを入れたらどうなるか。せっかく建てたハウスを通年生かすことができます。温度を調整できれば、生産過剰をさけることだってできるんです」
内藤さんは、今後は栽培面積を増やしながら、化粧品やサプリメントの開発にも取り組んでいきたいと目を輝かせています。
以上転載終了
◆まとめ
どのような産業にも収益性・生産性・人件費・経費など欠かせない課題です。そして農業も例外ではありません。
今回の事例では、内藤さんは発想を変えて、安心安全で美容、栄養に優れているという視点から、生産量が少ないシロキクラゲの栽培にふみきり、そのための環境をどうしたら実現できるかを追求し続けました。
この追求の背景には、内藤さんの建設会社を経営していた経験を生かし、これまで築いてきた関係者の知恵を借りることで、実現の可能性が拡がっていったからだと思います。
今回の計画のようにセンサーから蓄積したデータを解析し、システムを制御するための仕組みを構築できれば、これまで農業に従事していなかった人でも生育環境を整え、農作物の生産量を最大化させることができます。
また、一部の作業を自動化することで、今よりももっと付加価値の高い農業モデルを実現することも可能になります。
「次世代農業」の実現の一例として、「げんき農場」は、まさに「元気のみなもと」として、更にチャレンジし続けていくことを期待しています。
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2018年11月20日
新しい新規就農モデル 規格外のスケールで復興に励む町のエース
福島県との県境にあり、町全体が沿岸に面している宮城県山元町。東日本大震災を経て復興を進めるこの町に、脱サラをして山元町へ移住し、大きな注目を集めている青年がいます。その人の名は内藤靖人(ないとう・やすひと)さん。
聞き馴染みのない「マコモダケ」を栽培し、就農5年目にして初年度の10倍以上の土地を借り、町の新規就農モデルとして奮闘しています。
今日は、内藤さんにお話を伺いました。
◆震災ボランティアをきっかけに脱サラ移住
内藤さんが農業を始めたきっかけは、震災ボランティアで山元町を訪れた時のこと。当時は埼玉県の会社に勤めていましたが、山元町の人口流出を目の当たりにし、復興のために若い力が必要だと感じて移住を決意したそうです。津波で浸水した沿岸部には、未だ手つかずの農地が多くありました。ボランティア活動を通じて町の人々との交流があった内藤さんは、スムーズに農地を借りることが出来ましたが、問題はその土でした。固く砂のような土は、とても作物を育てられるような状態ではなかったといいます。
「近くの牛舎から牛糞堆肥を分けてもらうことにしました。自分でダンプカーを借りて運び、畑に混ぜて土を作るところから始めなければなりませんでした」。土作りが出来ても苦労は続きます。最初は、ニンニク、カボチャ、キャベツ、ニンジンの栽培から始めたそうですが、雑草の管理や水やりなど、毎日やらなければいけないことが多く、雑草を取りきれずに近所の方に注意されたこともあったそうです。一人で複数の野菜を作り続けることに限界を感じていた時、知り合いの方が薦めてくれたのが、マコモダケでした。
◆マコモダケは新規就農者向き?!
マコモダケはイネ科の多年草で、田んぼで栽培されます。知名度も生産量も少ない作物ですが、稲作が盛んだった山元町には休耕田が多く、マコモダケの栽培には適していました。早速、休耕田を借りてマコモダケの栽培を始めると、野菜の栽培との違いを実感したと言います。
「水切れをさせないように注意をする必要はありますが、基本的には植え付けの時と収獲の時に手をかけることが大切な作物です。収穫後は株の地上部が枯れて、翌年新しい芽が出ます。毎日管理をしなければならない野菜と比べて、労働時間は少ないですね」。珍しいマコモダケは話題性もありました。仙台市の直売所やレストランに卸すと、メディアの取材も増えてくるようになったそうです。「マコモダケを山元町のブランド野菜として定着させていきたいですね」。今は東京のファーマーズマーケットに出展するなど、マコモダケの販売に力を入れています。
◆日系アメリカ人らの支援団体から20万ドル(1800万円)の資金援助
山元町を復興させたいという内藤さんの想いは、多くの人を動かし始めています。山元町役場は昨年、複数の地権者が保有している空き地を農地として活用するため、町が地権者を取りまとめ、借り手を募集しました。そこに内藤さんが手を挙げ、およそ16500坪の土地を活用できるようになりました。現在は、事業計画の実現に向けて、町の農政班と相談をしながら進めているそうです。
更にこうした内藤さんの活動は国境を越えて伝わり、日系アメリカ人らの支援団体から20万ドルの資金援助の話が舞い込んできました。一気に土地と資金の話が進んだ今、事業の実現にむけて“仲間”の必要性を感じているそうです。「作物の栽培もそうですが、一人で出来ることには限界があります。大きなことをしたいと思うと、やはり仲間が欲しいですね」。最近では農業に興味を持つ大学生ともネットワークを広げています。「農業が出来る人だけでなく、僕のアイデアを一緒に実現してくれる人や、行動に起こしてくれる人……色んな力が必要だと感じています」
そんな内藤さんに、今後の目標を聞いてみました。「山元町をもっと発信して、移住者を増やしたいです。そのためには僕が農業で成功し、新規就農者でも農業が出来ることを証明しなければいけない。プレッシャーもありますが、やるしかないです!」。震災ボランティア時代から一切ブレない内藤さんの目標は、人々の心を動かし、いま大きな力となって実現に向かっています。
以上転載終了
内藤ファームHPより
~内藤さんが農業にかける理念が紹介されています。
☆内藤さんの理念
1.人も町も社会も元気にする農業
私たちはここ宮城県山元町で元気になる野菜を作ることで、町の方はもちろん、全国のお客様により豊かな生活を送っていただく一助になれればと考えています。『人が元気であればその人のいる町も社会も元気になっていく』
この発想は東日本大震災後の山元町で生活している中で生まれました。大きな災害から立ち直り徐々に元気になっていく人々と、それに準じて町全体で復活し活発になっていくお祭りや市民活動。元気があればなんでもできる。元気があれば災害から立ち直り前に進むこともできる。元気があれば。それならば私たちは元気をお客様に提供できる存在になりたい。そう考えて事業を進めていきます。
2.農業の担う役割・チカラを大切にする
農業はその町の特徴を表すものといえます。農産物はその町の土、水、空気、気候、人の成果物です。おいしい野菜、健康になれる野菜、美しい野菜、珍しい野菜、作り方が楽しい野菜。私たちはそういった特色のある野菜を生産し提供することで山元町のPRをしながらお客様にも楽しんでいただき、ひいては元気になるきっかけを提供したいと考えています。
3.人の集まる農園
農業は今現在の日本国内では就労者数が減少の一途を辿る中、高齢化の進行、担い手不足、耕作放棄地の増加等様々な課題を抱えています。それに伴い農村地域と呼ばれる市町村でも同様の課題を抱えています。このことは発想を変えれば若者が農業を始めやすいタイミングであると捉えることができ、また就農希望者を農村地域が受け入れる好機でもあると考えました。
◆まとめ
内藤さんは、震災のボランティアで、なんとか山元町の人達を元気にしたいということがきっかけで農業を始めました。震災が原因で、若い人が流出していく地域にあって、地域の期待と彼の思いがかみ合い、今や16,500坪の土地を活用できるようになります。
内藤さんの内なる思いは、農業で成功し自分に続く就農者を増やすこと。であり、山元町に活気づいてほしいこと。です。当初の彼の思いが、ますます、活気をもって力強く達成されていくことを期待して・・・
農業をとおして地域活性化の成功事例として、これからの「内藤ファーム」に注目です。
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2018年10月16日
29歳女子が牧場を開設 幸せな乳牛と生きる「山地酪農」とは?
今日は,前回に引き続き、人と動物が共存し豊かに生きていくというお話です。今回紹介するのは、、2016年秋に山北町の大野山に開牧した「薫る野牧場」
牧場主は、平成元年生まれの29歳の島崎薫(しまざき・かおる)さん。彼女は、東京農業大学生物産業学部食品学科を卒業し、東京農大在学中に出会った、牛を自然放牧しながら山間部の環境を整える「山地酪農」を実践する岩手県岩泉町の中洞(なかほら)牧場で働いた後、2016年秋に地元の神奈川へ移住しました。そして、放置されていく山の活用法として、牛を牛らしく飼う方法として、山地酪農を広めています。 標高約700メートルの山頂付近で、彼女が実践する「幸せな酪農」とは―?
■牛と「強い山」をつくる──山地酪農とは?
晴れた日には、富士山と相模湾が一望できる大野山。その山頂付近で島崎さんはこの夏、「薫る野牧場」を開設し、5頭のジャージー牛とともに山地酪農をスタートさせました。見晴らしの美しい牧場で、山地酪農を志したきっかけや、今後の夢について教えてもらいました。
―山地酪農の特徴を教えてください。
山地酪農の牧場に牛舎はなく、搾乳のための小屋だけがあります。牛たちは自由に山を歩き回って、地面を踏み固め、下草をはみます。すると、そこには地中10~20センチまで根を伸ばす強い野芝が生え、大雨や台風でも土砂崩れを起こしにくい山ができる、という好循環を生み出す酪農です。
草の色素が影響するため、山地酪農で取れる牛乳は、黄みがかった色をしています。一頭あたり、一日で5~10リットルしか取れません。今年の夏は暑かったので乳量が減るなど、牛の体調にも左右されます。ホルスタインなどの乳牛は50~70リットルを出すので、それに比べるとかなり少ないといえます。
山地酪農で牛1~2頭あたりに必要とされる草の量は、約1ヘクタール分です。現在は、5頭の乳牛が8.8ヘクタールの牧場で暮らしていますが、少しずつ増やしていければと思っています。
■ハレの日に師匠から激励「ずしっと」
―なぜ、山地酪農の経営を志したのでしょうか?
昔から食べることが好きで、特に、陸上部の活動に励んでいた中学生時代から、体づくりのために飲んでいた牛乳が大好きでした。北海道にある東京農業大学オホーツクキャンパスで食品科学を勉強し、将来は乳業メーカーに就職したいと考えていました。そんな中、山地酪農で牛たちを育んでいる岩手県の中洞(なかほら)牧場の牧場長・中洞正(なかほら・ただし)さんの著書に出合いました。牛たちがストレスなく幸せに過ごし、約20年の寿命を全うする。人間は彼女たちから無理のない範囲でお乳を分けてもらう――。本を読んで、そんな山地酪農のあり方に感銘を受けました。
生産効率を重視した現代酪農に疑問を抱いていたこともあり、大学の冬休みを使って中洞牧場で1週間の研修をさせてもらいました。いつかは山地酪農の牧場を、自分でも開きたいという思いが膨らみ、卒業後は主に製造担当として中洞牧場で4年半の間働きました。
―どうして山北町に牧場を開くことになったのでしょうか?
相模原市出身なので、「独立するなら地元の神奈川で」という気持ちはずっとありました。以前ここは県営の牧場だったそうで、廃止後の跡地活用について、地域の方が中洞さんに相談にいらっしゃったんです。それが縁となり、牧場を退職して2016年に山北へ移住しました。住民の方で作る特別地方公共団体の「財産区」から土地をお借りする形なので、手続きや地域の方向けの説明会開催など準備を重ね、今年6月に開牧式を執り行いました。
式には中洞さんも駆け付けてくれて、「転んだら起きろ。俺の背中を見てしっかり進め」という言葉を下さいました。本人からそう言っていただけて、ずしっときました。
5頭の牛たちは、中洞牧場からやってきました。最年長の「たらちゃん」は、私が中洞牧場に入った時には3、4カ月の子牛でした。実は私も長年のあだ名が「たらちゃん」だったので(笑)、とても思い入れがある子です。今では、他の牛たちを引っ張ってくれる頼もしいリーダーです。
■「“山を変える”山地酪農を知って」
―山北町で暮らしてみての感想は、いかがですか?
「若い世代が頑張ってるから」と、協力してくださる方がたくさんいます。補助的に牛へ与える米ぬかは、町のお米屋さんが下さったものです。牧場を手伝ってくれる、地域の同世代の若者たちも心強い存在です。山北駅前の「やまきたさくらカフェ」では、うちの生乳を使ったソフトクリームを出してもらっています。
せっかく山北に来たのだからと、この地域の杉(間伐材)を使って搾乳小屋を建てました。外国産の方が安いのですが、地元の木材にこだわっています。
私は牧場を持つだけではなく、「牛と一緒に山づくりをしたい」と考えています。最近、日本の林業衰退に伴い、荒れてしまう山が増えていますが、そういう山を変える手段として山地酪農があるということを多くの人に知ってもらいたいです。
―農業への思いや、今後の意気込みを教えてください。
食べ物をつくるという仕事は、とても大切でやらなくてはならないもの。特に、酪農は大変だとよく言われますが、私のような年齢の女でもやれるということを証明したいです。「自分も山地酪農をやってみたい」という人が出てきてくれたらうれしいですね。これからが挑戦ですが、下の世代にも「農業っていいな」と思ってもらえるように頑張りたいと思います。
現在は、ソフトクリームやジェラートなどの原料としてのみ、牛乳を販売しています。町内では「やまきた さくらカフェ」だけで、薫る野牧場の生乳を使ったソフトクリームが楽しめます。県外からわざわざ食べに来る人も多いという人気メニューです。
今月オープンした「Collina KAMAKURA GELATO」(鎌倉市)には、ジェラートの原料として提供しています。また、今月からは完全予約制(HP経由)で月に数日のみ、牧場見学を受け入れる試みを始めました。※詳細は、ホームページで。少しずつ、着実に、牛と共に歩みを進める島崎さんから、今後も目が離せません。
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■最後に
「山地酪農」は、、全て自然のままの酪農です、牛は、“本来行動”の維持。広い山に一年じゅう昼も夜も放牧し、食事・睡眠・排泄はもちろんのこと、交配・分娩・哺育までを全部ウシまかせ。オマケに毎日の山の上り下りで足腰も丈夫。健康そのもので、ほとんど病気にかからない。
酪農業界において経済効率優先で大規模化が推進されている中、まさに自然をありのまま受けいれ、牛と共に山林で人が暮らしていけること。人間が人間らしい生き方ができること。そして、子どもや孫、その先の世代もずっと続けていけることを彼女は目標として、この酪農を始めました。そして、彼女の夢は、山地酪農のように、日本の国土の3分の2を占める山林をより有効に活用していける持続可能な産業が増えていく事です。
一方で、彼女の廻りには、地元の人達が応援・協力してくれています。後継者不足が深刻な酪農や林業の現場において、彼女の存在は、地元の誇りであり、光であるからに違いありません。
安心安全な乳の生産と山林の管理を両立できる産業としての事の始まり、今後も地元に密着した「山地酪農」に注目していきたいと思います。
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2018年09月20日
ヤギとレモンのふるさと
マイナビ農業からの投稿です。(2018年09月14日)
★はじめに
今回の「新しい農のかたち」は、人と動物が共存し豊かに生きていくというお話です。
さて、動物というと日本ではペット(犬や猫等)の需要が増え、今では、子供の数より多くなってしまいました。
元々家畜は、人の生活に欠かせなかったはず。今回紹介するのは、広島県呉市の「ミニヤギ牧場」のヤギたちとその持ち主であるご夫婦。そして、彼らが地域社会で暖かくむかえられているというほのぼのとした牧場のお話です。
それでは、転載開始します。
広島県呉市の下蒲刈島(しもかまがりじま)という小さな島で「広島ミニヤギ牧場」を営み、レモンとミカンを生産している菅原常司(すがはら・つねし)さん(63歳)。58歳の時、勤めていた小学校を早期定年退職して新規就農しました。ミニヤギで農園を除草する他、除草のためのヤギレンタルや、ヤギとの触れ合いによる情操教育も行うなど「ふるさと再生ヤギプロジェクト」に取り組みます。菅原さんに詳しく伺いました。
■ミニヤギと共に第二の人生をスタート
──以前菅原さんは小学校の先生だったそうですが、なぜミニヤギを飼っているのでしょうか。
私が小学校に勤めはじめた頃は、どの小学校でも当たり前のようにさまざまな動物を飼っていました。ヤギを飼っている所も多かったのです。今は飼うとしてもウサギやメダカなどで、ヤギはほとんどいなくなりました。子供たちがヤギと触れ合う機会がなくなってしまったのです。
実は、担任していたクラスに不登校の子がいました。「勉強は楽しいよ」なんて言っても子供は学校には来ません。そこで、自宅で1匹のミニヤギを飼って毎日学校に連れていき、その子にヤギの世話をお願いしたら登校できるようになりました。ヤギは人懐っこくて顔立ちも優しく、子供たちに人気があります。
──ヤギの力は偉大ですね。
最初はメス1頭だったのですが、子供たちが「ヤギの赤ちゃん」に興味を示したので、後から追加でオスを1頭買って繁殖させました。ミニヤギを飼い始めて13年になりますが、今は全部で11頭飼っています。小学校を退職した後は「広島ミニヤギ牧場」を開設し、「ふるさと再生ヤギプロジェクト」の取り組みをはじめました。
■「有畜複合農業」で、レモン&ミカンをヤギと育てる
──「ふるさと再生ヤギプロジェクト」について教えて下さい。
現在、ミニヤギと一緒にレモンとミカンを育てる「有畜複合農業」を実践しています。ヤギに雑草や木の下草を食べさせ、糞は肥料として利用する、循環型のオーガニック農業です。
もともと父がミカン農家をしていたのですが、亡くなった後は十分な管理ができなくなり、農地が荒れてしまいました。そこをミニヤギで除草して再生し、農園を復活させました。周囲が竹林ですので、竹もたくさん生えてしまって厄介でした。
──竹林はどのように整備しているのですか。
レシプロソーという電動ノコギリで竹を切り、竹の稈(かん)は2mぐらいの長さで切りそろえてまとめています。葉はヤギが食べてくれます。竹林整備はとても時間のかかる作業で、高齢者が1人で続けるのは孤独なのですが、ヤギがいると癒やされますし楽しいです。
──お父さまから継いだミカンだけでなく、新たにレモンの栽培もはじめた理由は。
広島県は国産レモン発祥の地です。でも、地元の人ですらそのことをほとんど知りません。そこで、自分もレモン栽培に挑戦したいと考えました。地域にベテランのオーガニックレモン農家さんがいると知り、その方の農園に見学に行ったんです。そこでレモンの木を見て感動し、「オーガニックレモンの栽培法を教えてもらいたい」と相談しました。3年前のことです。
師匠に苗木の植え方などを教えてもらい、再生した農地に約100本のレモンの木を植えて新たに「レモン園」を作りました。師匠には今でも農園に足を運んでいただき、その時季ごとの作業や育て方のコツを聞いています。「コツは教えるが、やらんにゃだめで(やらなきゃだめだよ)!」と言われていますよ。
また、レモンはミカンと違って、10月からグリーンレモン、12月から7月まではイエローレモンと1年に2回収穫する機会があります。その分、収穫期間も長くなり、安定した収入を得られる可能性が高いと考えました。
──レモンとミカン栽培の他にも、「ふるさと再生ヤギプロジェクト」に関する取り組みがありましたら教えてください。
地域の除草のためにヤギをレンタルしたり、ヤギとの触れ合いによる子供たちの情操教育を行ったりしています。アニマルセラピーとして、病院や老人ホームなどにヤギを貸し出すこともあります。
──除草用レンタルもしているのですね。依頼主は、やはり農家さんですか。
農家さんも多いですし、今増えてきているのは電力会社からの依頼です。変電所の敷地内や、ソーラーパネルの下をヤギが除草するのです。人が入れないところでもミニヤギは入れますでしょ。草の生える6~11月は除草用レンタルが忙しくなります。
──ミニヤギにピッタリのお仕事ですね。
「ミニヤギ」は小型のヤギの総称です。私が飼っているのはアルパイン種、トカラヤギやシバヤギなどで、体重は15~40kgと個体差があります。狭い場所の除草には、小さい個体が適しているのではないでしょうか。レンタルの際も運びやすく、子供でも世話ができるなどのメリットもあります。
■ヤギとレモンの下蒲刈島”を次世代へ
──育てたレモンとミカンは出荷しているのでしょうか。
出荷は地域の直売所に少量だけ、あとは個人への直接販売のみです。それよりも、ヤギとレモンの魅力を多くの人に知ってもらうことが大切だと考え、今年の10月から「体験型観光レモン園」としてお客さまを迎える計画です。ヤギと触れ合いながら、レモン狩りをしたり、剪定(せんてい)をしたり、ミカンを食べたりといった内容です。
先ほど、子供たちの情操教育の話をしましたが、ヤギと触れ合う体験を通して「命のぬくもりを感じる機会」を生み出していきたいと思っています。
──60歳を過ぎて新しいことをはじめるのは苦労も多いと思います。菅原さんの活力の源が知りたいです。
ミニヤギ牧場に見学に来た子が、アンケート用紙の「あなたのふるさと自慢は何ですか?」という問いに「ヤギ牧場があること」と書いてくれたんです。とてもうれしかったと同時に、次の世代に美しいふるさとの風景や農業をつなげていきたいと強く思うようになりました。それが一番の活力かもしれません。
──ヤギとレモンのふるさと! 楽しくて素敵ですね。
ヤギは無理のない範囲で頭数を維持しながら、より普及させていく活動をしたいと考えています。
広島レモンの魅力も、もっとたくさんの人に伝えたいと思っています。そのために、栽培技術やレモンの良い所をホームページやFacebookで情報発信したり、農園を開放したりしています。
──菅原さんの考える「セカンドライフ」とは。
残りの人生、セカンドライフは「自分の持ち時間をどう過ごすか」ではないでしょうか。「ふるさと再生ヤギプロジェクト」を始めてから、たくさんの人との出会いがありました。ヤギを通じて素敵な笑顔を見るたび、何より私自身の心が癒やされ、幸せを実感しています。
子供の頃に見るふるさとの風景は、心の奥深くに刻み込まれます。“ヤギとレモンのある下蒲刈島”を次の世代へ継ぐために、これからもヤギと共に歩んでいきたいと思います。
以上転載終了
★最後に
本来、家畜は人間と共に生活をしていました。犬は、狩猟や番犬として、猫はネズミを捕獲させる目的で飼われ始めました。
彼らは、人の傍らで生活に無くてはならない役割を与えられいました。そして、その期待に応えることで、人は彼らを褒め、お互いに喜びを分かち合うといった充足関係にあったと言えるでしょう。
それがいつの頃からか、彼らは愛玩動物としての役割しか持ち得ずそして現在に至っています。
今回紹介した「ミニヤギ牧場」は、元々人と動物が共存し豊かに生きていくという 現在、私たちが忘れてしまった日常の生活の中で、動物たちとの充足感に満ちた関係を思い起こしてくれるお話でした。ミニヤギたちは、この地域の生態系の中に溶け込みながら、地域社会や廻りの人々のために役割を担って働いてくれています。
単に草を食べるという事に特化しているだけの動物なのに・・・・・心が癒やされ(アニマルセラピー)子供達の思い出にも深く影響を及ぼし、この地域のふるさとの風景になっていく。まさに、本来の「動物と共にある農業のかたち」と言えるのではないでしょうか?
「ヤギとレモンのふるさと」
これからも注目していきたいですね。では次回もお楽しみに・・・
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2018年09月06日
これが新しい農業のカタチだ!新農業システム「CSA」とは?
農業を営んでいる方や、農業に関心がある方は一度は「CSA」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
CSAとは「Community Supported Agriculture」の略で、直訳すると「コミュニティ支援農場」となります。同じ地域に住む農家と消費者が、共に農業の恵みとリスクを分かち合うことを目指して生まれた新しい形の産直システムです。
元々CSAは、日本生まれの農業でした。ところが当初日本では、
①会員の金額負担が大きい
②農作業義務を課せられた
③地域の拡大が難しい
④イメージが暗い
等が原因で、根付いていきませんでした。
ところが、アメリカで普及しだし、その後インターネットの活用で、全国規模で情報を広げながら消費者を募ったり、栽培情報を画像でリアルかつタイムリーに伝えたりしました。
その結果、上記の問題が少しずつ改善され、農業が変わっていくという期待感が高まり、今では、CSAを活用したいろいろな農家が紹介されています。
今回は、日本のみならず世界で広まっている CSA=「コミュニティ支援農場」について紹介します。
転載開始
■農業の新しいカタチ、CSAってなに?
CSAはコミュニティ支援農場という新しい農業の形で、「農家が作って農家が売る」というものではなく、種の購入など、農業に係る生産コストを消費者側が受け持ち、生産者となる農家は生産した野菜などを消費者に分配するという仕組みのこと。
「地域で採れた野菜や穀物は地域で消費する」という地産地消や、地域コミュニティを活性化するという意味でもこのCSAは大きな役割を持っています。
また、CSAには「農業者主導型」「資金提供者(消費者)主導型」「農業者共同型」「農業者消費者共同型」と4つのタイプがあり、それぞれに特徴があります。特に、資金提供者があまり農場に関与しない農業者主導型が増えてきているようです。
■CSAを導入するメリットは?
CSAを導入するメリットは大きく分けて、「生産者側」と「消費者側」の2つです。
生産者側のメリットは、多様な種類の作物を作れることや、消費者の反応がすぐに返ってくることで、生産や販売に関して改善できることが挙げられます。
消費者のメリットは、生産された新鮮な野菜が直接農家から届けられることや、CSAを通じて生産者を知り、安心して野菜などの作物を食べられることがあります。
さらには両者のコミュニティが強まることによって、地域の活性化が図られると共に、様々な相乗効果が生まれます。
農業だけではなく、様々な場面で見かけるようになった「地域コミュニティ」を軸とした取り組み。
農業においても、助け合いの精神の元。日本で生まれる野菜や作物を大切にしていくためにも、このような取り組みが必要になっていくのではないでしょうか。
地域社会で生産者と消費者のそれぞれにメリットがあるCSAは、今後みなさんの生活の中でよく見かけるようになる、そんな日も近いかもしれません。
■それでは、CSAを活用した具体的な農園のひとつを紹介したいと思います。
ここで紹介する農園は、東日本大震災の次の年、震災がきっかけで2012年に開園しました。現在は、農薬化学肥料は使用せず旬の野菜を露地栽培しているしているこだわりの農園です。
では、代表の挨拶から
~タネから食卓へ~
ごあいさつ
私たち夫婦が農業を始めたのは、3.11東日本大震災からちょうど一年後、2012年の春でした。
就農以前、夫は建具職人、妻は大学事務職員でした。 震災をきっかけに生活スタイルや食べものについての意識が変わり、 2012年2月、茨城大学農学部で開催された有機農業のシンポジウムに夫婦そろって出席しました。 各専門家の先生方による講演は大変興味深く、「困難な状況だからこそ敢えて農業に挑戦したい、 農業を生業にしたい!」と方向が決まり、研究学園 都市つくばにて、同年4月より夫婦で全くのゼロから新規就農しました。
そして就農三年目に、長女が誕生。子育てと野菜育ての、忙しくも楽しい生活が始まりました。 子育てを通して、健康的に楽しく生きるためには良質な食べものが重要だと、 より強く考えるようになりました。つくば飯野農園では“質の良いホンモノの野菜”を、ひとつひとつ丁寧に、 “健康に育てる”ことをポリシーとし、 笑顔にあふれた健全ですこやかな地域社会の形成を目指し、日々努力しています。
2013年、生活クラブ生協の“GMOフリーゾーン”(遺伝子組み換え作物が栽培されていない地域)に登録をしました。私たちは遺伝子組み換えに断固として反対をしています。
2015年からは、アメリカ発祥の農業経営システム、CSA-Community Supported Agriculture-(地域協働型の農業、地域支援型農業)という仕組みを日本でいち早く導入しました。CSAを導入することで家族経営の小規模農家は経営安定につながり、地域会員は新鮮でおいしい野菜を地域のお気に入りの農家(マイファーマー)から手に入れることができます。地域と支え合いながら持続可能な農業経営をすることで、地域活性化や農を通したまちづくりにも発展します。
また、2016年からは、国際スローフード協会つくば支部の会員となり、「おいしい・きれい(環境にやさしい)・正しい(公正な)」というスローフードの理念のもと、伝統的な食文化を守るため、美しく豊かな自然環境や生物多様性を守るため、たべものを作る人々の生活と食べるひとの生活・大切な子どもたちの未来を守るため、毅然とした態度で活動をしています。「ホンモノのおいしさ」や「本当の幸せ」は、お金では買えません。何よりも大切なのは、ひとの心、人と人とのつながりです。自分を大切に、家族を大切に、地域を大切にして、健康で楽しく幸せに生きていきましょう!
つくば飯野農園 飯野信行・恵理
以上転載終了
■まとめ
こうやってみますと、CSA農業は、生産者と消費者が共同で農作物を育て、収穫の恵を共に分かちあうというこれまでの生産者、消費者という形を変えています。
同時に、農家収入の安定化によって農業人口の現象に歯止めをかけ、逆に農業の魅力を最大限に引きだしながら、若者の農業人口が増加していくという可能性も秘めています。
現在、健康で安心安全な食の確保という事も世の中ではあたりまえのように叫ばれ、今や、完全無農薬栽培を行っているCSA農業は、まさに時代の申し子といっても過言ではないでしょう。
この間、アクアポニックス、農業高校の活躍、CAS農業と紹介してきましたが、様々な工夫で農業も人も変わって行く。農業の可能性を再認識しています。では、次回もお楽しみに・・・
続きを読む "これが新しい農業のカタチだ!新農業システム「CSA」とは?"
posted by noublog at : 2018年09月06日 | コメント (0件) | トラックバック (0) TweetList
2018年08月21日
農業高校の生徒達の活躍 ~彼らの活動の可能性~
第100回の全国高等学校野球選手権大会も今日で終了しました。今年の決勝戦は、大阪桐蔭高校と金足農業高校の対戦。
今年の大会は、決勝戦までのひとつひとつの試合が非常に白熱し、心が熱くなった方々もかなりいらっしゃったのではないでしょうか?決勝戦は、どちらの学校が優勝しても記録に残る試合となりましたが、特に、試合の前から金足農業高校の注目度は、非常に高かったように思います。
報道でも、野球だけでは無く、普段の生徒達の授業の様子や農業高校同士の交流場面なども紹介され、農業高校の普段の活動の様子を垣間見ることができました。
そこで、今回は、今年活躍している農業高校の事例を紹介したいと思います。
では、転載開始
■心を込めて被災地支援のジュース / 養護学校生と農業高校生が共同制作
2018年1月12日 青森県立五所川原農林高校 / 青森県立青森第二高等養護学校
青森市の青森第二高等養護学校の2年生がこのほど、青森県五所川原市の五所川原農林高校を訪れ、同校の生徒と力を合わせ、リンゴとニンジンのミックスジュースを作った。ジュースは今月下旬、東日本大震災の被災地・宮城県南三陸町の被災者に送る。
青森第二高等養護学校は東日本大震災被災地のために何かしたいと、自分たちで育て雪の中で寝かせた「雪ちゃんにんじん」などを送り続けている。2015年からは五農の生徒が育てたリンゴ「ふじ」と合わせたミックスジュースを作り、届けている。
今回はリンゴ果汁30リットル、ニンジン15リットルを混合し、加熱処理してミックスジュースを作った。
青森第二高等養護学校産業科2年生6人が五農を訪れ、同校食品科学科2年生9人と720ミリリットル瓶にジュースを詰めた。
生徒たちはリンゴとニンジンの酸味、甘み、食感を楽しめるジュースを試飲し「おいしい」とうなずきあ合った。五農2年の小野朱音(あかね)さん(16)は「他校の生徒と一つのものを作るのは新鮮」、笠井こころさん(17)は「たくさんの人に飲んでもらい、おいしさを感じてもらえたら」と話した。
また、第二高等養護学校の藤井祐太さん(17)は「被災地の人がジュースを飲んで大変な気持ちを和らげてもらいたい」と願っていた。
青森県五所川原市の五所川原農林高校(山口章校長)は31日、同校実習林の森林管理について、国際認証「FSC(森林管理協議会)森林認証」を取得したことを明らかにした。同認証は、木材利用と森林保護の健全なサイクルの確立を目指し、民間機関のFSCが、責任ある森林管理が行われている-と認めるもの。審査した民間審査機関によると、高校による取得は初めてといい、同校は「制度を活用して国際水準(の技量)を持つ生徒を育成したい」と喜んでいる。
同校は昨年10月、五所川原市金木町にある実習林(19.7ヘクタール)で民間審査機関「アミタ」(京都)の審査を受けており、31日、同社から認証取得の連絡を受けた。認証は29日付。同社によると、日本の高校にあたる教育機関の取得は世界で初めてという。同校は2020年の東京五輪の施設整備に協力しようと、実習で生産した木材などの提供を目指している。現在建設中の「新国立競技場」などの施設は、既に木材の調達先が決まっており、新たな参入は不可能だという。
ただ、選手の歓迎・交流施設、選手村「ビレッジプラザ」は、全国の木材を集めて建設する計画で、青森県からも県を窓口に県産材を提供予定。同校産木材を活用してもらうことは可能で、FSC認証取得は大きな後押しとなる。
山口校長は取材に「(2015年度から取得している、農産物の安全管理に関する国際認証の)グローバルGAPと、FSCを活用し生徒を育成したい。そして社会に貢献してくれれば」と国際認証取得の効果に期待を寄せた。
■処分待った!「ひね鶏」をブランド食品に 兵庫県立農業高生が加工品を開発
採卵期間が終わって処分するひね鶏(廃鶏)を、地域ブランドの食品にしようと、兵庫県立農業高校(加古川市平岡町新在家)の生徒らが、軟らかいスモークチキンや乾燥肉などに仕上げた。通常の鶏肉より硬いとされるひね鳥の肉を、加古川特産のイチジクと一緒に漬け込むなど工夫。味わいも増したといい、一般向けの販売も検討している。(本田純一)
同校では、飼育している鶏のうち、毎年、約500羽を業者に引き渡して処理している。同校食品科学科は、これらを校内で有効活用しようと、2016年から課題研究の授業で調理法を模索してきた。さらに加古川平成ロータリークラブ(加古川町)から料理器材などの寄贈を受け、地域の特産品となるひね鶏料理を作ることになった。
スモークチキンは、薫製前に鶏肉を漬け込む調味液に、イチジクを加えた。検査の結果、軟らかさが約20%向上し、うま味の成分は約80%増えたという。
生徒らがアイデアを出し合って香辛料の配合を改良し、昨年10月、完成にこぎ着けた。校内での評価は上々。同科3年の男子生徒(18)は「失敗と向き合い、細かい改善を重ねて満足できる味になった。達成感があります」と自信をみせる。
乾燥肉も、イチジクを利用して味の改良に成功した。さらに、粗びきチキンのソーセージ作りも研究。豚の脂や昆布の粉末を混ぜ込み、歯応えのある食感を実現した。
指導する同科の山本邦夫教諭(48)は「生徒たちの試行錯誤で、添加物を使わずにおいしい料理になった。レストランなどで食べてもらえるようになれば」と話している。
■【高校生グルメ】海の幸を活かしたおにぎらず 「うまいもん甲子園」で優勝
高校生が地元の名産品を活かしたオリジナル料理で競う「第6回ご当地!絶品うまいもん甲子園」で決勝大会に進出した作品の中から、優勝した宮城県農業高校の生徒のチームが開発した「パリッと閖上おにしらす」を生徒の言葉で紹介する。東日本大震災で被災した宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)漁港で水揚げが始まった北限のシラスを炒め、春巻きや海苔で巻いた「おにぎらず」だ。(協力・全国食の甲子園協会)
料理名:パリッと閖上おにしらす
ご当地食材:閖上しらす、梅、大葉、卵、ハチミツ、おこわ、のり
被災した加工業者の言葉からスタート
「もうアイディアがないんだ」。「しらす」を加工している(水産加工業の)鈴栄さんからそう言われたのは2カ月前でした。鈴栄さんは東日本大震災で被災しましたが、昨年から加工を再開しました。若者にも地元食材を知って欲しく、商品開発がスタートしました。
~しらすの新発想の食べ方を~
苦労したことはしらすの存在感を出すことでした。そのまま、しらすの釜揚げにして、食べた方が美味しいのですが、それでは開発になりません。
しらすの味を活かしつつ、私達らしい発想で面白い食べ方を考えました。海苔を使用して海の幸をふんだんに使いました。
コンビニ商品を目指して、作りやすさと低価格を目指しました(編集部注:「うまいもん甲子園」決勝進出作品はコンビニで商品化される)。「おにぎらず」をベースに作り、外に春巻きの皮と海苔、しそに巻いてからカラッと揚げて外はカリカリにしました。中にはハチミツと醤油でローストした甘じょっぱいしらすをふんだんに入れて、高菜タルタルソースにより、しらすを引きたてています。ごはんのおこわにはカリカリ梅を入れることで食感を加えています。酸味を効かせてスッキリしていますので是非ご賞味ください。
以上転載終了
★まとめ
こうやって、農業高校の活躍の事例を見てみますと、活動の内容はかなり多岐に渡っています。
彼らの「自然を大切にし、人のためにいろいろなアイディアを駆使しながら、提案する対象へのあくなき向上心」そして、この活動は、「仲間と共にある」という様子が見てとれます。
人類は、これまで、本能→共認→追求→観念(言語 )という機能を使って自身を取り巻く環境に適応(進化)してきました。
農業高校の生徒達は、毎日の活動が、五感(本能)を使った活動に接していますし、仲間と共に人のために 対象に向かって日々追求しています。
まさに、人が有している機能をフル回転。農業高校の生徒達の活躍 ~彼らの活動の可能性~ をこれからも期待し、注目していきたいと思います。
では、次回もお楽しみに・・・・
続きを読む "農業高校の生徒達の活躍 ~彼らの活動の可能性~"
posted by noublog at : 2018年08月21日 | コメント (0件) | トラックバック (0) TweetList