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2019年01月15日
新しい「農」のトレンド!? 話題の「半農半X」のリアル
皆さん!「半農半X」という生き方をご存じでしょうか?やりたい仕事と農業を掛け持ち?!
「半農半X」とは自給規模の「農」と本人の「生きがいとなる仕事=X」を両立した生活。しかしこの「半農半X」というライフスタイル、日々忙しく働く人達の選択可能な生き方なのでしょうか。そこで、今回は、「半農半X」に焦点を当てていきます。
マイナビ農業からの転載です。【リンク】
転載開始
「半農半X」という生き方が、ここ数年注目を集めています。1990年代に提唱されたこの生き方は、自給と現金収入を得るためのナリワイ(X)を組み合わせた働き方・生き方を指し、兼業農家とは似ているようで異なる新しい概念。それが今、市民農園や家庭菜園など、「農」への関心の高まりとともに、社会全体で注目されています。実際に半農半Xを目指す倉田爽さん(半農歴1年目)と山田さん一家(半農歴5年)に、そのリアルな実情を聞いてみました。
◆今注目される「半農半X」とは?
○自分で自分の食べ物を育てる喜びを求めて
半農半Xとは、京都府出身の塩見直紀さんが1995年ごろから提唱している新しい生き方・暮らし方です。家庭菜園や自給といった農的な要素を取り入れた生活への関心が高まるにつれ、半農半Xについての関心も高まり、現在は関連するイベントやセミナーなどが各地で行われるほどです。
塩見直紀さんとも交友があり、自らも半農半X生活に取り組む髙坂勝さんによると、半農半Xとは「自給することをベースに(半農)、自分の長所や天性を生かして世の中に貢献し、人生を全うする生き方」と語ります。「自給(農)と、自分のナリワイ(X)を組み合わせて生計を立てる生き方ですね。ナリワイというのは、雇われず、自分の好きなことで、労働に見合ったお金と『ありがとう』を言ってもらえるような世の中の役に立つ仕事、という意味で使っています」。髙坂さんは半農半Xに生活をシフトすることで、収入は減っても、時間的余裕は増し、充実して不足感のない生活を送れるようになったと言います。ご自身をはじめ、「年齢や性別、肩書きなどを問わずに、いろいろな人が半農半X生活を始めている」そうです。
◆始めてみました 半農半Xのリアル
髙坂さんの周りでも、ピアノ教師から一筆セラピスト、植木職人、パティシエまでそれぞれの才能を生かした「X」を見つけ、生き生きと仕事をしている人がいると言います。そんな半農半X生活に踏み出しつつある方に、お話を聞いてみました。
○Xの確立を目指す倉田さんの場合
去年の秋に大学を卒業した倉田さんは、今年で田んぼ歴2年目。大学2年生の時に授業で出会った半農半Xに「これだ」と感じ、その後、3年生の時にドイツに留学したことをきっかけに企業に勤める生き方に疑問をもったそうです。「将来、写真撮影をXに出来るよう、今はカメラマンのアシスタントとして週5日働いています。16万円ほど月給をいただいていて、住居も実家住まい。半農半Xの実践としてはまだまだ、ひよっこですが、実際に田んぼをやってみて、自給をするイメージをつかんでいます。1年目に田んぼの草取りが大変だったので、今年も同じ広さであんばいを見ていますが、1年目よりは要領がわかっているので、同じ面積でも随分と楽です」。
身の回りに農業にかかわる人もおらず、植物を育てた経験も特にあったわけではありませんが、今は、月に2回ほど居住県内に借りた田んぼに通いながら0.5畝(約50m2)で米作りをしています。倉田さんが行けないときは、周囲で田んぼを借りている人が、倉田さんの代わりに世話をしてくれることもあるそうで、 自分流の農法をしているものの、失敗して稲が枯れたり、雑草に浸食されたりはしていないそうです。計画では15kgほどの収穫を見込んでいます。「田んぼのレンタル料や、住んでいる都心部から田んぼへの交通費を考えると、かなりの高級米になりそうです(笑)」と楽しそうに倉田さんは言います。
○週末移住で半農を満喫中! 山田家の場合
山梨県の短大で教壇に立つ浩子(ひろこ)さんと、千葉県にある企業に勤める恭嗣さんの山田夫妻は、半農半X歴5年目。きっかけは、浩子さんが受け持った授業だったそうです。経済新聞を読むというクラスで、教えているうちに、お金に縛られる現代の経済のあり方に疑問をもつようになったと言います。
そのうち「半農半X」に出会って、まず田んぼを始めてみようと0.5畝(約50m2)借りたのがスタート。「最初の年はお米と大豆を収穫し、大豆は味噌にしました。一粒の種が千粒にもなる自然の恵みを目にして、根拠のない自信がつきました」その後、迷ったものの、平日は千葉県浦安市、週末は山梨県都留市に夫婦で住むことにしました。「いわゆる週末移住です」と浩子さん。半年かけて都留市に家を探し、空き家バンクで見つけた家の解体やリフォームも自分たちで行い、当初は野菜を育てた経験もなければ木工などもしたことのなかった夫婦が、そろってすっかりDIY派に。
家のそばに借りた田んぼも復田させました。「荒くり、代かきなど、田んぼの土をかき回す作業は基本トラクターで行い、後は手作業でやりました。去年までは人に借りていたトラクター、今年はついに自分たちのものを中古で購入しました」。5年目になる今、山田家では合計約800平方メートル(8畝)の田んぼと、約150平方メートル(1畝半)の畑を世話しています。畑は去年まで野菜を育てていたそうですが、今年は田んぼが2枚になり野菜の世話に十分手が欠けられないかもしれないと思ったため、畑では雑穀を育てているそうです。「お米は完全自給自足ですが、野菜は地元の農業女子から買っています」。今年雑穀がどれだけとれるか楽しみにしていると言います。
これまで味噌や梅干し、甘酒や干し柿を手作りし、自宅でのサルサ教室や、講師を招いての竹細工ワークショップなどいろいろなイベントも開催してきました。これからも土の改良や里山の間伐、犬やニワトリ、ヤギを飼うなど、やってみたいことはたくさんあると言います。「半農半Xを始めてみて、交通費やガソリン代などやっぱりお金は必要だけれど、幸せかどうかはお金の多少で決まるわけではないと身の回りの人々を見ても思います」半農半X生活をすることで、どのような変化があったのでしょうか。
「夫婦とも今もフルタイムで働いているのですが、時間のやりくりは上手くなったかも? 農作業など体を動かすのですっかり健康でスリムになりました(笑)」と浩子さんは言います。「勤めながらの半農半Xは、最もハードルが低いのではないかと思います。何しろ、仕事はキープしたままなので、無理だと思ったら元に戻ればいいのですから」。
恭嗣さんは、週末の暮らしが、平日の仕事の思考の幅や深さにつながっていると感じていて、さらに何か新しいXを始めてみたいそうです。浩子さんも、学生対応のために学んでいるカウンセリング&セラピーを、将来の仕事にしてもいいかもと考えていると言います。「半農半Xを経験することで、上手く表現できないのですが、根本的な生き物としての自信がわいてきました。『お金があるから安心』とか『お金がなくても生きていけるから安心』とも違い、大地とつながっている生き物としての自信とでも言ったらいいのでしょうか」
◆始めると意外に簡単?
○農の楽しさ 健康をたいせつに
さて、この半農半Xに向き不向きなどはあるのでしょうか。前出の高坂勝さんに聞いてみました。「半農半Xを始めてうまくいかずやめてしまった人もいますが、それはほんのわずかです。半農半Xの『農』は、『農業』ではないので難しくないんです。土や泥や虫が苦手、忙しすぎて農をする時間がない、楽しさに気づけないという場合はあるかもしれませんが、全て時間を経ればクリアできるものばかりです」
○自然の中のクモは怖くない!
実はクモが苦手だという倉田さんは、田んぼではよくクモに出会ってドッキリすることもあると言います。「虫のいるはずのないコンクリートや部屋の中で虫が突然出てくると驚きますが、土や草の上で見ると、むしろ自然で、あまり怖さは感じません。でも、何せ色んな種類・色・サイズの虫に出くわすので、最初はやっぱり、虫が苦手な人にはつらいかも(笑)。私も今、少しずつ慣れていっている途中です。あとは、体が資本の作業ではあるので、私自身、健康には十分気をつけたいなと思っています」
○「忙しい」も「楽しい」に!
また、半農半X生活を「忙しい」と形容する山田さんは、「夫婦共々何もしない日って、ほとんどありません。でも、それが苦にならないぐらい日々楽しいし、浦安だけにいたころは、一体何やってたんだろう?と思うぐらいです」と言います。忙しくとも、前の暮らしに戻りたい思うことはないそうで、やってみたら同じように感じる人が多いのではないかと思うそうです。「月並みな表現ですが、自然とつながり、土に触れ、生き物であることを思い出した方が、人間は幸せを感じられるのではないかと思います。ぜひ、気楽に楽しい一歩を踏み出してみてください!」
以上転載終了
◆まとめ
農業というと、収益性、生産性、人件費、経費など欠かせない課題がたくさんあり、果たして、上手くできるのだろうか?まして、本業では無く、片手間で「X」となる仕事と両立可能なのだろうか?という疑問がわきました。
ところが、この事例に接し、逆に自給をもとにした田舎での生活(「農」)では、経済的なコストがあまりかからず、『X』にあたる事業の収支などに縛られすぎることなく、それぞれの『X』を突き詰めることができるという事が分かってきました。
更に「農を生活とする事で、作物を通して四季折々の美しさや動植物の存在に感動する心を身につけることができ、日々のささいな変化や発見に感動を覚え、自ら汗をかいて育てた作物を食し、自分のやりがい『X』にいそしむ。そういった生活の中で消費的な欲は減り、自立した幸せを獲得することができると考えています」 【リンク】
といった生き方に惹かれます。もしかすると、将来の人々の生き方の主流になるかもしれません。今後の彼らの活動に注目です。
投稿者 noublog : 2019年01月15日 TweetList
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