2006年12月15日
2006年12月15日
キューバの有機栽培 バイオテクノロジーの活用
キューバの有機農業。今回はバイオテクノロジー編です。
経済危機以後キューバの課題は、半分以下の投入資材で、実質上食料生産を倍増すること。かつ、不十分な外貨をさらに減らさないように、輸出作物の生産を維持することであった。
だが、キューバはこの挑戦に向き合うユニークな準備がされていた。人口比率ではラテンアメリカの2%しかいないのに、科学者では11%もおり、投入資材を提供できないことへの代替として「知識集約型」の技術イノベーションを、政府は十分に発達した研究基盤に要請することが出来た。 以前は活用されることもなく放置されてきた将来性のある研究成果の多くがすみやかに、かつ、広範な実施のために利用されたのだった。
🙄 キューバのほとんどの農地は、以前からの農薬や化学肥料の多投によって、かなり地力が低下し、有機物も減少するというダメージを受けている。だが、健康な土に戻すため、キューバ人たちは、輪作の一部に緑肥作物を取り入れたり、都市の生ゴミやその他の廃棄生産物を用いて堆肥を作り、また堆肥づくりにミミズを活用し、高品質の堆肥を工業的な規模で生産している。マメ科の緑肥も土壌に窒素を供給するためのカバー・クロップとして植えつけられた。1992年には172のミミズ堆肥センターによって93,000トンのミミズ堆肥が生産された。
有機廃棄物のリサイクルも政策上重視され、ありとあらゆる廃棄物が、家畜飼料やエネルギー、肥料へと転換されている。こうした有機副産物は、サトウキビ加工、牛と羊の牧場、家禽類と養豚農場、食料とコーヒー加工場、穀物残さ、都市ゴミから集められている。液体廃棄物も農地灌漑に活用され、サトウキビの茎は合板、紙、精糖工場の蒸気釜の燃料へとリサイクルされている。
総合的な養豚は、いかに複雑にこのリサイクルが始められているかを示す良事例だ。プロセスは、職場の食堂、レストラン、学校から食品残渣を集めることから始まる。こうした残渣が、餌の補完物として豚に与えられるのである。農民たちが、良質の蛋白資源である屠殺場の廃棄物を混ぜる場合もある。次に、豚の糞尿やミミズ堆肥やバイオガス発電に使うためリサイクルされ、さらに餌の補強剤として与えられてもいる。最終目標は、リサイクルされない廃棄物をゼロにまで持っていくことだ。
サツマイモのユニークな害虫防除システムもある。捕食性の蟻が、バナナの茎で育てられ、イモができはじめると、ほ場へと導入される。蟻はサツマイモの周囲の土の中に巣を作り、アリモドキゾウムシの被害からイモを保護するのだ。全国各地に14の蟻の生産センターがあり、それ以外にも、様々な作物害虫を捕食したり、寄生する天敵昆虫を大量生産しているセンターがある。
有機農業に転換しても以前の生産水準に到達するまでには、3~7年がかかることが明らかになっている。失われた地力が回復し、害虫の自然のコントロールが再構築されるには時間がかかるからだ。だが、キューバには3年も7年も待つゆとりはなかったし、その人民は、短期間に養われなければならなかった。
こうした緊急的な危機に対応するため、キューバの科学者や政策立案者たちは、新たな有機農業の実践を発展させるため、それに洗練されたバイオテクノロジーを持ち込んだのである。
やるな!キューバ。
byちわわ
投稿者 tiwawa : 2006年12月15日 Tweet