農薬を徹底追究!!!(8)~殺虫剤の作用メカニズム~ |
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2009年07月30日
農薬を徹底追究!!!(9)殺ダニ剤編
こんばんは 丸一です。今日は殺虫剤に続いて殺ダニ剤についての記事です。
虫とダニって違うの?何で違うの?って思った方は、鋭いです。
昆虫とダニは違います・・・と言う事で、殺ダニ剤の概要からです。
■殺ダニ剤
1、殺ダニ剤の概要
1)、殺ダニ剤の変遷
日本は、気候的にダニによる被害が多く、ダニ剤の開発も盛んである。
1957年上市のサッピラン(日本曹達)に始まり、1971年シトラゾン(日本曹達)、1990年以降では、1991年サンマイト(日産化学)、ダニトロン(日本農薬)、ミルベノック(三共)、1993年ピラニカ(三菱化学)、1998年バロック(八洲化学)、1999年カネマイト(アグロカネショウ)といった国産の殺ダニ剤が開発販売されている。
海外開発品ではケルセン、プリクトラン、ダニカット、カーラなどがある。
しかし、殺ダニ剤に対する抵抗性は早いものでは3~4年ほどで発現するものもあるため、製品のライフサイクルが一般に短く、変遷が著しいのがその特徴でもある。
2)、ダニと昆虫の違い
ダニ、ノミ、シラミ、の違いは、ノミとシラミは昆虫だが、ダニは分類上昆虫ではなくむしろクモに近く、昆虫綱とは別のクモ形綱に所属している。
ダニと昆虫との大きな違いは、昆虫の成虫が頭部、胸部、腹部の3つに分かれ、脚は3対あるのに対し、ダニの成虫はクモと同様、頭と胸が一緒になった頭胸部と腹部の2つに分かれ、脚が4対あることである。
(作物を加害するハダニ(葉につくダニからハダニという)など、小さなダニは、英語でmite(マイト)といい、多くの殺ダニ剤の商品名に「マイト○○」と付いているのは、これに由来してる。)
3)、殺ダニ剤の抵抗性
ハダニは分類上、昆虫とは異なり、体のしくみも異なっているため、多くの殺虫剤はハダニには効かない。だからハダニの防除には一般に専用の殺ダニ剤が使用される。
殺ダニ剤の問題は抵抗性という現象で、特にハダニは抵抗性を獲得しやすい。
抵抗性獲得のメカニズムは、医薬の抗生物質に薬剤耐性ができるのと似ていると言われており、同一の殺ダニ剤を何回も散布すると起こりやすい。
これはハダニの活動範囲が狭く、年間の発生回数が多く、薬剤の淘汰を受けやすいからだと言われている。同じ作用点の殺ダニ剤同士で抵抗性が発達する場合は、交差抵抗性と呼ぶ。
抵抗性の発達を避けるには、同一の殺ダニ剤や同じ作用点の殺ダニ剤を年1回以上使用しないこと、また違う作用点の殺ダニ剤を輪番使用するのが大切。
4)、殺虫剤使用でハダニが増える?
害虫防除に殺虫剤を散布して、かえって害虫ダニが増えてしまったということが起こることがある。これを「リサージェンス」と呼ぶ。
果樹、野菜のハダニ類には、ハネカクシ類、テントウムシ類、ハダニアザミウマ、カブリダニ類といった土着の天敵がいるが、殺虫剤散布によりこれら天敵がいなくなり、ハダニの繁殖力が高まり、一気にハダニの被害が増える。
5)、広範な天敵や有用昆虫の保護も重要な視点
ハダニにはカブリダニ類という強力なダニの天敵がいます。カブリダニのメス成虫は、1日当たりハダニの成虫を5頭と卵を30個くらい捕食する大食漢である。
カブリダニは、茶のケナガカブリダニのように土着のものもいるが、海外から能力の高い種を導入して天敵として放飼する、いわゆる生物農薬が実用化されている。チリカブリダニという品種で、商品名を「スパイデックス」(アリスタライフサイエンスTM)、「カブリダニPP」(トモノアグリカ)として販売されている。
また、ハダニの天敵だけを保護するだけではだめで、ハダニの天敵はもちろん、同時に発生する害虫(アザミウマ類やアブラムシ類、コナジラミ類、マメハモグリバエなど)に対する天敵や、交配のために必要なミツバチ、マメコバチ、マルハナバチなどの有用昆虫も保護する必要がある。この辺りは重要な技術課題である。
6)、殺ダニ剤の開発
前述の通り、ダニは、昆虫とは異なり分類学上は、節足動物門、くも形網、ダニ目に属している。農作物を加害するダニには、ハダニ類、サビダニ類、コナダニ類などがある。ダニ剤の種類は、殺虫剤に比べて少ないが、作用性が分かっているものも極めて少ない。農作物用として、比較的よく使われ、作用性がある程度分かっているダニ剤は次ぎの通りである。
1.神経伝達の阻害剤(ケルセン、アカール、ダニカット)
2.エネルギー代謝阻害剤(モレスタン、ダニカット、サンマイト:ダニが生きていくために必要なエネルギー供給システムを阻害する。)
3.呼吸阻害剤(マイトサイジン)
殺虫剤が殺ダニ活性を持つとは限らず、又逆に、殺ダニ剤が殺虫活性を持つとは限らない。従って、新農薬の探索スクリーニングでは、害虫とダニに対するスクリーニングを通常別個に実施する。しかもダニの場合、成虫と卵に対する効力を共に評価する。ダニの世代交代が非常に早いので、同じダニ剤を繰り返して使用すると、抵抗性が出易い。そこで、作用性が異なるダニ剤を交互に用いるのが好ましい。新規ダニ剤を開発する場合には、先行剤と作用性が異なる薬を市場に出すべきである。その意味で、比較的早い段階で開発しようとしている剤の作用性を知っておく必要があろう。それには、既存のダニ剤に抵抗性を示すダニを入手して、開発剤がそれに有効かどうかを確認しておかなければならない。
●殺ダニ剤の概要、分かっていただけたでしょうか?
農業の現場では、ハダニの発生は日常茶飯事です。
少しでも葉に兆候や食害を発見したら、即防除です。油断すると数日で大きな被害を招きかねません・・・早めに手を打てば農薬の使用量、使用回数も減ります。
以下、少し専門的になりますが殺虫剤、殺ダニ剤の分類です。
是非読んでください <(_ _)>
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2、殺ダニ剤の分類・・・殺虫剤と内容は重なる。
1)殺虫剤/殺ダニ剤の作用機構による分類(IRACのHPより引用、編集。グループ25-27は、空欄)
クリックすると拡大します。
* 数字は原文のまま **原文では5つのサブグループに分類
2)殺虫剤/殺ダニ剤の作用による分類
クリックすると拡大します。
3)殺ダニ剤一覧
クリックすると拡大します。
投稿者 nara1958 : 2009年07月30日 TweetList
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コメント
投稿者 モンブラン 画像 : 2013年12月1日 16:25
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