農薬を徹底追求②!!(5)除草剤編その2 |
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2009年08月26日
農薬を徹底追究②!!(6)病気が発生する環境条件とは?
こんにちは、殺菌剤担当の小松です。
前回の記事では、殺菌剤の作用メカニズムについて調べてみましたが、そもそも病気になるのはなんで?病気にならないようにするにはどうすればいいのか?という疑問が湧いてきました。
そこで今回は、「病気の発生する環境条件」などに焦点を当てて、リポートしてみたいと思います。
■病気の発生と発病環境
農園では秋の作付けを進めていますが、畑には夏野菜もまだまだ残っています。気温の高くなる春から秋にかけては、病気が発生しやすい時期ですし、また、雨の多い梅雨の時期なども、やはり病気になりやすいですね。
例えばキュウリなどは、必ず「べと病」にかかりますし、カボチャは必ず「うどんこ病」にかかります。また、雨が続けば、キャベツやレタスなどは株元から腐ってきます。ハクサイなども、気温の高い時期に作ると、腐りやすいですね。
このように、作物が発病する場合、病原菌が発病しやすい環境条件は作物の種類によって異なります。
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以下、病気の発生と発病環境について、「病気・害虫の出方と農薬選び」から引用します。
1.気温
病原菌の種類によって、好適な気温が異なる。麦類の雪腐病は積雪下で感染、発病するが、ナス科などの青枯れ病は25~30℃で、疫病は25℃前後か、それ以上のときに発病しやすい。野菜類のベト病は冷涼多湿な条件下で発病しやすいが、ウリ科の黒点根腐病やトマトの輪紋病などは高温多湿で発病する。
2.湿度
空気中に含まれる水分量が同じ場合、気温が高くなれば相対湿度は低くなり、気温が低くなるにしたがって相対湿度は高くなって、葉面上などに露を結ぶようになる。細菌やべと病、ピシウム属菌は、こうした高い湿度状態を好むが、とくに水滴中を遊泳して移動し、また一定時間の水滴の存在が病原菌の分生子の発芽を容易にし、付着器がよく形成されるので植物への侵入に役立つ。
ウリ類などの斑点細菌病は、葉に侵入したあとに湿度100%の状態が6時間以上、2~3日繰り返されるか、24時間継続すると、大型の角型病斑を形成する。しかし、この湿度100%が毎日3時間ぐらいか、持続したとしても6時間以下であれば微小な病斑にとどまる。
3.降雨
降雨は病斑上に形成された病原菌の分生子が離脱して飛散するのに役立ち、作物の表面を濡らして病原菌の発芽、付着器の形成、そして侵入を容易にする。とくに粘性が高く風のみでは分生子が離脱できず飛散もしない炭そ病菌は、雨を伴った風によって容易に飛散する。ハウスなどの施設内で炭そ病の発生が極端に少ないのは、この降雨が遮断されるためである。
4.風風が細菌や糸状菌(カビ)などの病原菌を、遠く離れたほかの場所に飛散させる。また葉が互いに擦れて茎葉に傷をつけ、傷口感染する細菌の侵入を容易にする。
5.土壌pHアブラナ科の根こぶ病は土壌pH5.7で激しく発病するが、pH7.8では発病しない。これに反してジャガイモのそうか病は土壌pH5.2以下では発病しないが、pHが高くなると発病しやすくなる。
6.肥料一般的にチッソ質肥料の多施用により発病が助長される傾向がある。これに対してチッソ質肥料が不足すると、ナス科の輪紋病や青枯病などの発生は少なくなる傾向がある。
7.土壌水分ピシウム属菌や疫病菌などの遊走子は、土壌中の薄い膜状の水分の中を遊泳するので、土壌水分が高いと発病が多くなる。
8.土壌中の生物的要因土壌中でも葉面と同じように植物に病原性を持たない細菌や硝酸化成菌などの細菌、放線菌、糸状菌、線虫、原生動物といった多種多様な微生物が、互いに競い合ったりしながら生存している。そうした中で植物の土壌病原菌は植物への侵入、感染の機会を伺っている。
このような多種多様な微生物を活性化させたり、土壌の通気性を改善して作物の生育を良好にさせたりするために有機物が施用される。
9.施設栽培ハウスでは連作されることが多い。また、冬季には暖房によって病原菌の活動に適する温度が保たれ、閉鎖的な環境下であるため相対湿度がつねに高いので、病原菌の胞子の発芽にとって好都合である。こうしたことからハウスは、病原菌が作物に侵入し、発芽しやすい環境にある。
では、上記のような環境条件で、病原菌はどのように作物に侵入するのでしょうか?
■病原菌の侵入方法
病原菌も生き物である以上は、どんなことをしても作物に侵入し、そこから栄養を吸収して増殖し、次世代に子孫を残さなければなりません。したがって、あらゆる機会をとらえて、作物に侵入しようとします。要するに、病原菌の生命活動の結果として、作物が病気に侵されていくのです。
1.気孔、水孔などの自然開口部から侵入
全ての細菌と糸状菌の一部は、植物に備わっている気孔や水孔などの自然開口部から侵入する。さび病菌のうち夏胞子と、べと病菌の遊走子やうどんこ病菌(クチクラからも侵入)、白さび病菌、リゾクトニア属菌(クチクラからも侵入)などの菌は、ほかの部分から侵入する場合もある。細菌は表皮細胞を溶解する酵素を分泌しないので、気孔、水孔など自然開口部と傷口からしか侵入できない。
2.傷口部分から侵入
ウィルス、細菌及びファイトプラズマは、すべて傷口からしか侵入できない。しかしウィルスは、これ以外に害虫や土壌線虫、土壌菌類により、ファイトプラズマは害虫によって媒介される。糸状菌はおもに他の方法で侵入、感染するが、たまたま飛散して付着した部分に傷があれば、そこからでも侵入する。
3.植物の表皮から侵入
糸状菌(カビ)の多くはワックスを溶解する酵素を出したり、表皮のクチクラの成分であるクチン、セルローズやペクチンなどを分解するペクチナーゼなどの酵素を分泌したり、侵入菌糸の先端に圧力をかけて表皮細胞を押し破ったり、表皮に菌糸が集団になって無理やり侵入する能力を持っている。侵入した菌糸は内部の細胞壁成分を分解するセルラーゼ、ヘミセルラーゼやペクチン分解酵素を生産して侵入、蔓延する。
4.根部から侵入
細菌による土壌病害の青枯病は、土壌中で根に生じた傷口や二次根(不定根)が発生する時に生じる破壊孔の傷口から侵入、感染する。また糸状菌(カビ)による萎凋病、つる割病、半身萎凋病などは、根の先端の根冠細胞の縫合部から侵入し、感染するほか、二次(不定)根が発生するときに生じる破壊孔からも侵入する。
投稿者 komayu : 2009年08月26日 TweetList
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コメント
投稿者 農家のせがれ : 2010年8月17日 11:51
農業技術の伝承
よくテレビなどをみていると,製造業などの分野において職人の技が特集されていたりするのを見ます。紹介される職人の作業は,長年の経験で培った技術や…
投稿者 Whistle Life : 2012年4月22日 19:43
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投稿者 hermes avalon blanket replica : 2014年2月18日 02:41
農業は、“実は、”儲かり産業ではないのだろうか?
>売上1000万円以上の農家はわずかに7%の14万戸。しかし、彼らが全農業生産額8兆円のうち6割を算出しているのだそうです。<
本腰を入れてやれば、ちゃんと儲かる産業なのに、非効率にやっているから儲からない(ように見えているだけ)。
儲からないと言ってやっている殆どの(兼業)農家の人は、別に農業で儲けようとは思っていない。田畑があるから(赤字でも)やっているだけなのだ。
なぜ、農業は、儲からないと一般的に言われているか?
一つには、小規模農家は、実際(非効率で)儲かっていない。
本質は、農業が、儲かる産業だとバレたら、人が殺到してしまう。うまみが減ってしまう。補助金が貰えなくなるから。
ではないだろうか?