農協シリーズ第6弾…農業で生きようとしているまともな農家のための政策を! |
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2009年08月05日
日本の農業を成長産業に変える!~粗放農業としての稲作も認め、多様なビジネスモデルへ~
日本の農業を思い浮かべたとき、まず米 が浮かんできます。
この米を、輸出産業にする!という興味深い内容で書かれていた本がありました。
『日本の農業は成長産業に変えられる』 大泉一貫著(洋泉社)を参考に、
農業を成長産業に変えるには何が必要なのか、今回は稲作に重点を当ててレポートします
[Photo by moroya] 画像は風景★Photoさんからお借りしました。
まずは、なにより・・・
農業に限定せず、大切なこと。
それは人々が「必要とする」商品やサービスを的確に提供すること。
そのための仕組みづくりの成功事例があったのです
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まず、日本の稲作について押さえておきましょう。
過去日本の稲作は、手間を掛けた内圃農業でした。ここでの地力や土作りに重要だったのが、里山の存在。里山に散った落ち葉を集め腐葉土とし、堆肥にして田んぼに投入したのである。里山が「外圃」として利用され、手入れされていました。里山は稲作の生産力を支える存在だったのです。
○ここでいっている内圃・外圃とは・・・
内圃・・・地力収奪を伴う、経営の収入源となるコアな農作物の作付け。粗放農業。
外圃・・・収入にはならないが、地力維持に欠かせない作付け。集約農業。
ところが現在の稲作は粗放農業と言えます。堆肥を意識して作っていたのは、おおよそ60年代まで。稲作は機械化・近代化が進み、兼業農家の休日に片手間で栽培できる農業となりました。
しかし、粗放化されて手間の余りかからなくなった現在の稲作でも、米価は維持すべきだと主張され続けてきました。
現在必要なのは、粗放な「外圃」としての稲作も認識し、「粗放稲作農法」としてビジネスモデルをつくっていくことだと著者は言います。政策としてこのようなことは推進されてこなかったが、粗放農業、地力維持の為の水田農業を展開した農家がいます。その農家は低米価ではあるが、利益を上げているのです
その一つの事例として、静岡県森町が挙げられます。
森町の主流農産物は、レタス。ここではレタスの連作障害を回避し、地力回復のための「クリーニングクロップ」として稲作が位置づけられています。レタスやスイートコーン(内圃)に、稲作を粗放作物(外圃)とした実例です。
クリーニングクロップとは・・・
塩類集積土壌において過剰に集積した肥料成分を吸収する。特にトウモロコシやソルガムなど
は、緑肥の中でも生育が旺盛で、窒素やカリウムの吸収量が多いので、クリーニングクロップとし
て利用されている。但し、この目的で栽培する時は、緑肥を充分に育成させた後、刈り取って圃場
外へ持ち出さなければならない。
集約作物と粗放作物の面積比率は1対1。
全体30haで1億円弱の販売額になります。内訳はレタス8ha=3500万・スイートコーン9ha=4500万・水稲13ha=1150万。(レタスの価格変動は激しいが中間的な07年値を参照。)
ここで稲作所得は、10アール当たり8万円しかありません。市場価格は10アール当たりおよそ13万円。単収が少ないことも考慮しても、現行の7割程度の価格なのです
森町の水稲は、「内圃」の地力を高め、生産性を高めることが目的です。だから、この粗放稲作での生産額は、市場価格よりも低くても良しとされているのです。そして、収穫された稲は地域の畜産業と協力し、エサ米ともなっていっているようです。
以下、JA遠州のレポートを引用します。
(1)レタス農家と畜産農家との耕畜連携が、①稲わら利用、②稲WCS(稲発酵粗飼料)による水田の活用、③たい肥の活用と実質的に行われている。その面積は平成17年で、①が約80ha、②が約40haの計約120haに上る。稲わら及び稲WCSと二毛作かつ水田機能を最大限に活用、さらにもっとも労働効率の高い自給飼料生産であり、とくに評価できる内容である。
(2)森町におけるレタスの歴史性、表作がレタスで、米が裏作という森町の地域性、進んだほ場整備が、耕畜連携を容易にしたといえる。米を所得の中心としている地域では、なかなか生まれない耕畜連携の発想といえる。切り口は違うものの、九州でクリーニングクロップとして飼料稲が利用されていることと似ており、米よりも他の作物にシフトしている地域等で発想の切替で参考になるものと思われた。
(3)リーダー的な者(当該事例の場合、組合長の太田氏)の存在とJAのサポートが事業を伸ばした要因であるといえる。代表は立ち上げ時には自身が取り組んできた飼料稲作付けの経験を十分に提供し、組合運営には率先してオペレーター作業に従事するほか、収穫物のストックヤードを準備して、作業適期の労働ピークの解消や利用農家の引き取り時期の余裕をもたせるなど利用者の配慮にも心がけている。JAは、煩雑な会計を一手に引き受け、単年度で赤字を出さないように、オペレーター料金を調整するなど様々な工夫が随所に見られる。
詳しくは→JA遠州の報告をご覧ください。
このような経営的視点からの位置づけによって、稲作のかたちも、集約農業だけではない選択肢を視野に入れたほうが、ずっと可能性が広がるのではないでしょうか
森町が成功しているのは、リーダー的存在が居り、需要供給の関係・協同関係を稲作農業と畜産業との間でうまく結べたからだと述べられています。地域によって事情は異なり、必要とされるものも異なるでしょう。そのため、森町の事例そのままでは、成功する地域は少ないかもしれません。しかし地域ごとの置かれている事実を追求し、集約稲作農業に拘りなく、目的に沿って色々な用途の稲作が行うことが今必要とされているのです。
また、それによって見合った技術が必要とされ、様々な稲作技術開発も盛んになるでしょう
日本の農業において保護されてきた稲作を見直すことは、日本の農業自体の改革にもつながっていくはずです
農業を成長産業にするには、既存の枠組みにとらわれず、評価を確保し、自らのビジネスモデルをつくること 要追求です 一緒に考えていきましょう
投稿者 megu3 : 2009年08月05日 TweetList
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コメント
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