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2009年08月07日

夏野菜:キュウリに思いを馳せて――賢い生活者とは?

夏場に収穫する果物や野菜は「陰性」なので、旬に食することが理に叶っている、といわれます。しかし、夏場といえどもクーラーの効いた部屋で、一年中食べる「夏野菜」ってのはどうなんでしょう? 
夏野菜の胡瓜(キュウリ)を調べてみました。
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▲雌花(このまま食べれば花丸キュウリ)   ▲雄花
◆原産地と食味
ウリ科の一年草で、インドからヒマラヤにかけての一帯が原産地といわれるキュウリは、3,000年以上前から栽培されていたそうです。日本には平安時代に移入されました。食味は、「これ瓜類の下品なり。味良からず、かつ小毒あり。(貝原益軒)」、「毒多くして能無し。植えるべからず。食べるべからず。(水戸光圀)」と評されていた、とのことです。

〔上品・中品・下品
上品・中品・下品と書いて、「じょうほん・ちゅうぼん・げぼん」と読みます。
昔の中国の薬の分け方です。上薬、中薬、下薬ともいいます。
・上品は体を丈夫にし、健康で長生きするために用いるもので
・中品は病気の治療や養生に用いるもの
下品は薬性が強く、主に病気治療に用い、長期にわたって用いないもの
とされています。

江戸時代においては、相当に苦味が強かったようです。
確かに、40年以上前に食したキュウリは苦く、青臭かった記憶があります。当時は、皮を長手方向に筋状に向いてから料理してました。薄い輪切りにして、揉んで酢の物などにしていたのを記憶しています。当時は、表皮部分のアクが強かったのは、何故でしょう?

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◆きゅうりの苦味成分は、
ククルビタチンという配糖体で、青い皮の部分に含まれているので、青い皮の部分を取り除くと苦味はなくなる。本来きゅうりの表面には、ブルームという白いろう物質が出てきて表面を保護して水をはじくのだが、残留農薬と誤解されて売れ行きが落ちるという理由で、今日では品種改良されてブルームレスになったものが主流になっている。[食物本草歳時記]

つまり、現在のキュウリは品種改良がなされていることに加えて、未熟な実を食用とするようになったから、サラダなどの生食が可能になったようです。昔、生食より糠漬け・粕漬け・酢漬けなどの漬物利用が多かったようです。現代の栄養的視点からは、

◆栄養 [Wikipedia] 
キュウリは全体の90%以上が水分で、栄養素はビタミンC、カロチン、カリウムなどが含まれるが含有量は非常に低い。その低さたるや、「世界一栄養が無い野菜」としてギネスブックに登録されるほどである。さらに、キュウリにはビタミンCを酸化させる酵素(アスコルビナーゼ)が含まれるため、食べ合わせによっては他の食品の栄養までをも奪っていく取り扱いの難しい野菜である。
そのため、ビタミンCを多く含む食材とあわせて調理する際には、酵素の働きを抑える酢を使うことが望ましい。また加熱調理も酵素の働きを抑えることができる。

ぐらいのことが述べられています。
ところで、医食同源の国・中国の『食物本草』には、どのように述べられているのでしょうか?

◆巻7 菜部 蓏菜類
 品名:胡瓜 / 音:コカ / 和名:きゅうり
味性; 甘、寒、小毒あり。
主治; 清熱解渇(セイネツゲカツ;体にこもった余分な熱を収め、渇きを解く)、利水道(リスイドウ;体内の余分な水分を対外に排出する)。
寒熱を動かしてしまうので、多食してはならない。多くは瘧疾(ギャクシツ;マラリア)や、体内に瘀熱(オネツ;体内にこもった悪い熱)がこもり、(疒+主)熱(シュネツ;熱中症による発熱)を発し、虚熱が頭に上ってのぼせたときや、陰血を損なったとき、瘡疥(ソウカイ;かさぶたの発疹)や脚気を発したとき、虚腫(キョシュ;むくみ)による百病に効く。天行病(インフルエンザ)にかかったら、これを食べてはならない。小児は中を滑らせて(お腹を下す)疳の虫(かんのむし)を生じるので、決して食べてはならない。酢といっしょに食べてはならない。
「食物本草」点校本 第1版(人民衛生出版社1994年) 安井邦彦 訳〕

さすが、紀元前に遡る歴史があるだけに豊かな表現です。
今回、紐解いてみて分かったことですが、日本でも江戸時代初期の100年間は、食物本草を追求する時代のようでした。(次の機会には、「日本は【植物国家】(1)」 の中味に迫ってみたいと思います。)
TV番組などで、食材やサプリメントの小賢しい情報に飛びついては振り回されている状況を見るにつけ、江戸時代における先人の追求力のすごさには唸ってしまいます。それに比べて、食材の特徴を理解することなく怠惰な食生活を営んでいる私たちは、賢いといえるのでしょうか?
>平熱が高いほど、元気
>生命活動に欠かせない酵素が最も活発な体内環境が37.2度(体の深部)
>(中略)
>東洋医学では冷えを未病といい、健康と病気の境目にあるとしている
>東洋医学では冷えを放置し、深部温度が下がることを防ぐために鍼灸、漢方薬などの治療がある
>東洋医学では冷えると病気になる。温めると病気は治る、健康が維持できるという考え方
〔癌と体温 リンク
夏に炎天下での労働やスポーツをするなら、夏野菜の効用を期待できますが、クーラーの利いたところでじっとしてるなら(ましてや冬場に)、夏野菜を貪るのは、体温を下げすぎてしまう、という意味で理に叶ってるとはいえないでしょう。
時代とともに周辺状況は変化していますので、一般論に留まらずに、もう一歩突っ込んで答えを出してこそ賢い生活者といえるでしょう。
   by びん

投稿者 staff : 2009年08月07日 List   

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