農協シリーズ第4弾 農協の大罪 |
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2009年07月10日
農協シリーズ第5弾 農政トライアングルとは何か?
バトン受け取りました
引き続き「農協の大罪」の要点をお送り致します。
さて、農協→農家という関係の中で農協は力を増していったわけですが、言うまでもなく食糧確保は国家的課題。一組織だけでここまでの力を持てるはずなどありません。
そもそも農協は、その出自からして「農民による相互扶助的な組合」というよりは「国の下に組織された統治組織」であったことが明らかになっています。(「農協(=農業会の看板の塗替え)」の誕生秘話参照)
つまり、最初っから国家と結び付きの強い組織だったわけです。
より具体的に言えば、政策の立案に関わる政治家、国内最大のシンクタンクである官僚としっかり手を組んで日本の農業の運命を握っているのです。
この三者の関係は「農政トライアングル」と呼ばれています。
日本の農業を硬直化させていると言っても過言ではない、その構造に迫ってみましょう
応援よろしくお願いします↓
政治家、官僚、農協をより具体的に言えば、「自民党=農水省=農協」という関係になります。一体それぞれがどのように繋がっているのでしょうか?
1.自民党と農協
この関係については、この引用文が全てを物語っていると言ってよいでしょう↓
「与党自民党にとって、農協に組織された農民票は政権維持の要であった。そして農協は、組織票を盾に戦後最大の圧力団体となった。」(農協の大罪 p.106)
政治家にとって、より多くの票を獲得して当選すること、そして与党となることはとにかく重要です。今でこそ数を減らしているものの、戦後しばらくは日本の世帯の多くが農家でした。そのため、農家は選挙戦略上、欠かすことのできない「票田」だったわけです。そこで農家の統括組織=農協を通じて組織票を確保していたのです。
ただ、農家(というより代表者としての農協)だって投票するからには要求をします。例えば、農業所得増加のための米価維持、農地の固定資産税についての宅地並み課税の拒否、農家の兼業収入確保のための公共事業の後半な実施等、農家に有利となる様々な施策が実行されてきました。
つまり、「選挙」というシステムを通じて与党である自民党と農協は相互に得をする関係を作ったのです。この農民票に依存した政治家は「農林族」とか「族議員」と呼ばれています。
2.農水省と自民党
農水省(昔は農林省)は、シンクタンクとしての機能を発揮し、このような既得権益の構造に異論を唱えることも可能でした。事実、昔は正論をもって妙な農業政策を制止しようとした事例もあったようです。
ただし、時が経過して他産業が成長するにつれ、国にとっての農業の位置は非常に小さくなってしまいました。そのような状況では予算の確保も危ぶまれます。そこで、与党である自民党と組んで希望の予算を通してもらうようにしたのです。
これまた当然、自民党は農水省に見返りを求めるわけで、「予算やるから色々と都合つけてね」となるわけです。やはりこれを潔しとしない官僚もいたようですが、
「70年代以降、自民党政権が長期化し、利益集団や利益集団にバックアップされた族議員の活動が活発化してくるようになると、国の進路を自ら切り開いていこうという国士型官僚が少なくなり、政治家や利益集団の利害を調整する調整型官僚が主体となってくる。」(p.114)
となったわけです。
つまり、農協が政治家に要望した政策に官僚が表立って反発することはなくなり、それどころかそれぞれが利益を求める構造になってしまったのです。
3.農水省と農協
これは明確な関係で、「農水省→農協→農家」という流れで農業政策は実行されていきます。政府で決まった予算と政策は、農水省から農協へと流れていくのです。
この三角関係を簡単に図にするとこうなります↓
自民党が票を取る。
農水省が予算を取る。
農協は自分達に有利な政策を通してもらう。
と、三者それぞれが利権を確保しています。まさに「win-win」な関係です。
これが日本の農業にとっても「win」であれば良いのですが、残念ながらこれらの主体に「日本の農業を良くしよう」という意識がスッポリ抜けてしまっています
このような構造の下で作られる農業政策は、とても「科学的」とは言えないものです。
例えば、古くは60年代から80年代にかけての米価引き上げ運動の際、「食管制度の根幹を維持せよ」という言葉が何度も使われたそうです。しかし、いざ「食管制度の根幹って何?」と聞かれると回答に窮するという事態に陥ったとのこと。要は、スローガンの持つ雰囲気だけで政策が行われていたということですね。
似たような形で、「米価を下げても消費は増えない」という通説が農水省にはあるらしいです。この考えが減反政策の根幹にあるとのこと。確かに、生活必需品である米の場合、消費量が価格の変化にそれほど反応しないということは考えられます。しかし、最近のパン価格高騰によって米が相対的に安くなった際、米の消費は増加しています。つまり、価格に応じて米の消費量は変動しているということですね。
結局、利権構造から生み出された政策をムリヤリ押し通しているってことですね。
タチの悪いことに、農業界の中心組織がガッチリと組み合っているため、そんな力技でもまかり通ってしまうのです。
では、どうすることもできないのでしょうか?
悲しいことに、こういった無茶な政策のおかげ(?)で農業は衰退し、農家もどんどん減っている状況です。ただ、皮肉な話ですが、そのせいで「票の確保先」としての農家の役割もどんどん縮小しているのです。しかも、農協の力も弱まってきています。
要は、農政トライアングルは自滅構造だったということです。
さて、そうなると今後日本の農業界がどうなっていくのかが気になりますね 😉
それについては、次の投稿者にバトンタッチします。
次回もお楽しみに
投稿者 staff : 2009年07月10日 TweetList
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コメント
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