関税撤廃要求は途上国を餓死に追いやる最悪の要求 |
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2008年01月24日
米国・EUの手厚い農業保護政策
まるいちです。
マスコミは”偽装””偽装”と毎日のように騒ぎ立てていますが、一番重要な事を”偽装”隠蔽”している張本人はマスコミじゃないかと思います。このブログのように「事実」を知らせ「本当の問題は何なのか?」「どうするのか!?」を考えられるような”場”作りが本当に急がれると思います 。
「関税撤廃要求は途上国を餓死に追いやる最悪の要求」の記事には、まったく同感です。
以前、
「農業に関する偏見と嘘・・・騙されてはいけない!」
「日本が農産物の関税を撤廃したら農業・農地は崩壊する!」
「諸外国の実質的輸出補助」
の記事に書きましたが、米国 👿 とEU 😈 は隠れた補助金 によって、自国の農業を徹底的に保護し、農産物の輸出価格を低く抑え、国際競争力を不当に高めた上で、さらに他国に対して関税を撤廃せよ!と迫っています 。この結果、発展途上のアフリカや中南米、東南アジアの自給率は低下し、国内農業が潰れていっています 🙁 。
日本においても同様の状況ですが、さらにバカらしい事 に、日本は米国債を買い、米国はその金を使って米国内の農業を守り、日本の農業を潰そうとしている!というのが事実です 。
ですから、日本農業は競争力が無い・・・米国・EUは大規模化し企業努力をする事で安い農産物を供給している・・・なんて事は大嘘! です!
絶対に今の状況で、各国は関税を撤廃してはならない! 自国の食糧は自国でまかなえるよう、政策なり方針を出すべきである! と思います。
今回は”JAcom” ”2008年特集” 「図表で見る 先進国はどう自国の農業を守っているか? 米国・EUの手厚い農業保護政策」―欧米の流れは「直接支払い」による所得補てんと「価格の下支え」の組み合わせ― の内容を紹介しながらこの実態についてもう少し細かく報告したいと思います 。(図表についてはリンク先を参照して下さい。)
一方、WTO農業交渉では「国内支持」、「市場アクセス」、「輸出規制」が焦点で、貿易自由化を前提に「価格は市場で決め所得は政策で補償する」との考え方に立った改革が各国に求められているとされてきた。しかし、米国にしろEUにしろ、単純に価格支持制度を廃止し所得を補償する直接支払い制度に移行しているわけでなく、その組み合わせで農業を保護しているのが実態だ。
今号では米国とEUの農業保護政策に焦点を当て可能な限りの最新情報をもとに農業経営がどれだけ支援されているかを図表で示すことを試みた。
農業経営の先行きが見通せる政策を実施
◆EU-直接支払いが農業所得の7割
現在、加盟国が27か国となっているEUの共通農業政策(CAP)の価格・所得政策は、「最低価格を下回った場合の介入買い入れによる価格支持策」、「直接支払い」、「輸出補助金」が柱となっている。
EU-図1は1992年以降のCAP改革の変遷を示したものだが、EUの直接支払い制度は支持価格を引き下げる替わりに、その削減分を直接支払いに当てて所得を補てんする代償措置(非デカップリング)として導入されたことが分かる。このほかに直接支払い制度としては農村開発政策としての条件不利地域対策がある。
EUの農業者はこの改革によって市場と切り離された直接支払いによる所得補てんを受けることになった。これは農産物の生産過剰を抑制するために生産を刺激する政策の削減という現在のWTO協定につながる当時のウルグアイ・ラウンド農業交渉を背景にした政策転換だった。が、1995年前後は国際価格が上昇していたこともあって図にみられるように生産者には結果的に有利になった。
その後、加盟国増加にともなう財政負担増や、WTO農業交渉を背景にして、さらなる支持価格の引き下げが行われ直接支払いに振り向けられた(アジェンダ2000改革。直接支払いの引き上げ分は支持価格削減分の半分)。
そして2003年に合意されたCAP改革では支持価格引き下げの代償措置としての直接所得補償支払い(第1の柱、EU-図4参照) 生産高ベースではなく、大部分を農場単位の「単一支払い」に転換した。また、農村開発の助成部分(第2の柱)にも振り向け、生産要素と切り離した政策=「緑」の政策への移行を図っている。単一支払いの受給者には環境・動物保護などの分野で最低基準の約束遵守を義務づけた。
こうした一連の改革によってEUの農業予算構造は大きく変わった(EU-図2)。また、農業純所得に占める「単一支払い」の割合は45.6%となっているばかりでなく、直接支払い全体で77%に達する(EU-図4)。
ただし、直接支払いが農業予算の7割近くを占めるようになったとはいえ、EU加盟国機関が買い支える価格支持制度はなくなったわけではなくきちんと残されている。市場支持のための予算が06年でも17%を占めている。また、国際価格で販売するための輸出助成金も30億ユーロが確保されている(EU-図3)。
EU-図5は、直接支払いの受給経営数でなど。もっとも多いのが、5000~1万ユーロ層であることが示されている。1ユーロ160円とすると80万円から160万円の受給層だ。出典の同書によると05年の単一支払い水準は1haあたり357ユーロとされており、この層の経営規模は14ha~30ha層と推定される。一方、受給総額がもっとも多い階層は5万~10万ユーロ層で経営規模としては140ha~280ha程度となる。単一支払いは大規模経営層にとって有利に働いてはいるが、この図からは中小規模の経営体も幅広く直接支払いの対象になっていることが分かる。
欧州連合加盟国(EU加盟国)
ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、フランス、イタリア、ドイツ、イギリス、アイルランド、デンマーク、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、オーストリア、フィンランド、スウェーデン、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、スロベニア、エストニア、ラトビア、リトアニア、キプロス、マルタ、ルーマニア、ブルガリア
2007年1月1日現在27か国
★EUでは中小から大規模農家に至るまで「価格支持」「直接支払い」「輸出助成金」の助成あり、驚くべきことに農業純収入の実に77%が直接支払いらしい ・・・。
米国はどうなってるんだ!?日本はどうする!?って思った人・・・そして、
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◆米国-穀物の目標価格を3つの制度で保証
米国の穀物に対する補助金の仕組みを示したものが上の米国-図1である。ここでは日本のコメの価格を例にして作成した。
図示したように現在の制度では、いくつかの制度の組み合わせで目標価格が保証される仕組みになっている。
ここでは融資単価(ローンレート)を60kg1万2000円としたが、これは農産物の最低価格を保証する効果がある。仕組みは質(しち)と同じような考え方であり、政府(商品金融公社:CCC)にコメ1俵を質入れして1万2000円を借りることができる。そして国際価格で4000円で販売した場合、返済は4000円のみでいい。つまり手元には1万2000円が残る。
かりにローンレート制度を使わずに4000円で販売してしまった場合は、ローンレートとの差額8000円が支給されるから、まずは1万2000円が保証される。
さらに1996年農業法で不足払い制度を廃止した替わりに、過去の作付け実績に応じた一定金額が支払われる固定払い制度による直接支払いが上乗せされる。ここでは2000円とした。
だが、実際には96年農業法施行後、市場価格は低迷し固定払い制度だけでは農家経営が厳しく、追加の補てん措置として市場損失支払いが実施された。その後、2002年農業ではそれを価格変動対応型支払い(復活不足払い)として制度化した。
これによって作目ごとに目標価格を設定し、市場価格またはローンレート価格に固定払いを加えても目標価格を下回る場合には、その差額を補てんする仕組みとなった(図1b)。これで1万8000円が保証される。
ただし、固定払いは過去の実績に基づいた支払いのため、かりに市場価格が上昇していれば結果的に図1cのように目標価格を上回る水準の支払いが行われることもある。
米国-図2、図3、図4は磯田宏・九大准教授作成のグラフだが、いずれの作物もほぼ毎年目標価格まで3段階の政策的手段で補てんされていることが示されており、トウモロコシとコメについては生産費を上回る水準の助成が行われている。
ただし、小麦についてはこれだけの助成措置を行っても統計データではなお生産費を下回っていることが示されている。要因については小麦の反収変動が大きく生産物単位あたりのコストの上昇なども考えられるという。
★米国ではまず、絶対に赤字にならないような価格保障がある 。
そして、下の記事・・・なんと農業所得の3倍近い政府支払いがあって、やはりそれが無いと農業経営が成立しない時もあるらしい ・・・。
★自国の農業を保護する、と言う政策はありうると思うが、これを隠蔽し、他国に農業保護をやめろ!関税を撤廃せよ!と迫るのはあまりにもむちゃくちゃな言いがかりだと思う 。
★しかし「日本の農業をどうする!?」と言う観点に「おいては「手厚い助成を支払う」と言う事では問題は何も解決しない 。対外的な防衛策としては関税をしっかりかけ 、不当に価格を安くした農産物の輸入を食い止める事は重要だと思う 。そして、国内農業に対しては、本当の活力 の得られる農業のあり方を提起する必要がある 。以下の記事が参考になると思います。
■食糧自給率問題を考える(2)
「消費者」から「当事者」へ 農村から都市への働きかけ―その新しい段階
みんなにとって必要な「農業・農村のあり方」を考える。
★そろそろ本当に市場社会を超えた新たな社会作りの時期に来ていると思う 😀 。
◆米国でも高い補助金依存度
米国-表1、2は米国の農業経営に政府支払いがどの程度を占めるかを分析したものだ。表2にあるようにイリノイ州のトウモロコシ平均経営で政府支払い依存率は03年から06年の4年平均で35.4%、カンザス州の小麦の複合経営で同52.0%、アーカンソー州の米の複合経営で同66.0%と高い。とくに05年のアーカンソー州経営では政府支払い依存率は274%と農業所得の約3倍だったことが示されている。現金粗収益水準は他の年と同程度の水準であり、農業所得の3倍近い政府支払いなしでは経営が成り立たなかったことを物語っている。
このような不足払い制度を含む米国の補助金を鈴木宣弘・東大教授は「実質的輸出補助金だ」と指摘している。米国-図5に示したようにWTOで議論となっている輸出補助金とは輸出量に対する補助金である。一方、米国の補助金は全生産量に対する支払いであり、国内向け、輸出向けの区別はない。このため現行の制度では輸出に対する支払いと明記されていなければ形式的に輸出補助金とされないだけのことであって、輸出向けに対する不足払いなどによる価格・所得政策の部分は実質的には輸出補助金にあたるというのが鈴木教授の批判だ。
とはいえ、販売価格と目標価格と差を、ローンレート制度という「価格の下支え策」と「直接支払い」との組み合わせによって補てんする米国の政策は自国の農業を守り農家にとって経営が見通せるものだろう。EUも制度上、価格の下支え策をなくしたわけではない。食料自給率の向上が求められる日本の農政にとってこそ、こうした手厚い農業政策が求められるのではないか。 (2008.1.22)
投稿者 nara1958 : 2008年01月24日 TweetList
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