『新しい「農」のかたち』は就農定住事業ネットワークから ① |
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2007年09月15日
『新しい「農」のかたち』は就農定住事業ネットワークから ②
●就農定住事業は農の枠に留まらない
本来の事業目的=皆の期待はどこにあるのか?この期待は農業家に限らず社会全体の期待 です。
農業の枠や、研修生個人の期待に留まらない、まさに地域の再生。
「就農定住事業」は、「地域共同体再生事業」という認識で望む事業なのです。それで初めて、農を取り囲む、地域社会、さらには地方との交流が生まれ、事業は動き出す。
その昔、殆どの民が農民だったように、農業は一つの職業としてより、人の生活そのものでした。
農業は共同作業で行なわれ、“結い”や文化人類学で言うところの“蕩尽”という言葉から伝わるように、その関係の中で収穫される米は、食糧としての物的価値であると同時に、集団の営みとしての象徴 でした。
田植えに始まり、稲を刈るまでの共同作業。干ばつや台風に泣かされ、天候に左右される中で難局を乗り越え、無事に 米を収穫するこの過程には、人々の幾つもの期待があり、互いに役割を担って農業が成立した。まさに、「自然を対象化すること=仲間を対象化すること」 で、人々は自然と繋がり、仲間と繋がり、活力を得ていた。
自分達の生きる場=皆が担う集団統合課題の延長に農業はありました。そこでは誰もが、当事者として社会=皆のことを考えた。何か問題にぶつかれば「どうする?」と寄り合いを持ち、課題を共に共有して自らの集団の活路を見出してきた。
生産基盤の獲得の中で、今の文科省の掲げる「生きる力を養う」という教育機能も同時にあったのです。
農業とは、そういう生業です。自分達にかかる圧力を前に、皆が「どうする?」と社会統合課題を担ってきた。今の課題である、環境破壊、肉体破壊、精神崩壊=社会統合課題に対して追求する意思をもつ者こそが、これからの農のかたちを創っていけるのだと思います。
そういう意味で、「私は農業がしたいんだ!!(それ以外は嫌)」と言うような就農希望者は、本来の農=社会統合課題から程遠い存在・・・というより、対極にいる存在なのです。
●就農定住事業が担っていく課題
2012年には農山漁村体験が全国全校に拡大されます。(リンク)そのとき、この事業に対する社会的期待は今後もっと大きくなる。この「こども農山漁村交流プロジェクト」が軌道に乗るのならば、高齢者中心の個人農家が受け入れ先になるのは難しい。だけに、こうしたネットワーク(施設)が核となって、農のあり方、この体験事業が望むところの共同体的教育機能を具現化していけるのだと思います。
そしてこの就農定住事業ネットワークが魁となって新しい農⇔教育の形を示していければいい。今がその基盤をつくる時です。
農山漁村教育によって子供達が集まれば、高齢化が進む地域には様々な役割が生まれ、活性化する。
自治体の求める「産業振興」や「まちづくり施策」の中身も、この辺りにあるのではないでしょうか。★自然体験学習教室の広場★
●市場に絡めとられた農のかたちを再生していく
地域共同体で営まれていた農業では、仲間の背中を見れば、田植えの時期や、防虫除草の仕方を学ぶことができたし、労働も結いの精神のもと共同で行なえた。みんなの存在を常に身近に感じ充足の中で農業が営まれていた。
しかし、共同体の消滅とともに、農家は農業協同組合(現JA)に頼らざるを得なくなった。一人では心もとなくなった農家は、共同体の代わりに協同組合に依存するようになった。生産に関する全てのこと(労働力・農薬・集荷)を農協主導のマニュアルとして受け入れるようになり、“百の姓”といえる就農者は減っていった。このようにして、結果的にかつての集団的営みが⇒個人の営みになっていった。 (参照:「市場を考えることなしに農薬問題は見えてこない!?」 )
近年、国の施策のもと、企業のアグリビジネスが盛んになってきている。しかしこれは、かつての集団(共同体)⇒個人(JA頼りの農家)⇒また個人(企業)への流れ。企業が市場原理のもと動いている以上、かつての地域共同体が担っていた社会の統合課題(農・漁・林・教育etc)を担う役割は期待できない。そういう意味で、新規参入する殆どの企業はバラバラの個人の集まりであって集団とは呼べない。
(参照:「大地に潜む無限の可能性!? ~企業の農業進出」 )
食への関心が高まり、社会の農業に対する役割・期待が芽生えているこの時に、なにもまた個人課題にズリ下げることは無い。カネ勘定の市場原理に日本の農業の未来があるのなら行く末は暗い。
だからこそ求められる。集団(共同体)の再生へと導く。
これこそが、この就農定住事業ネットワーク=共同体再生事業の目指すところでなないでしょうか。
例えば“とっとりふるさと就農舎”と“かみなか農楽舎”のネットワークについても、この関係の外側に共通課題を持つことで、日常的な発信の必要性、社会統合サイトへの発信・・・が当事者たちの間から顕在化し、強固なネットワークとして広がっていくのだと思います。
日本の農業生産力の再生には、こうした就農ネットワークを通じた地域共同体の再生が不可欠なのです。
~ 最後まで読んでくれてありがとう。 宜しくお願いします。 ~
投稿者 pochi : 2007年09月15日 TweetList
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コメント
投稿者 f.w. : 2011年1月28日 10:47
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投稿者 purple hermes : 2014年1月30日 11:03
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投稿者 chocolate hermes : 2014年2月21日 05:58
興味深い記事ですね。
> 活性アルミニウムと粘土のアロフェンという鉱物が…リン酸欠乏になって
ここ!電気分解何かできないものでしょうかねぇ、と妄想。
それでは。