2007年9月6日
2007年09月06日
腐ってしまう野菜ばかりになったのはなんで?(第3回)・・・エチレンの影響は?
まるいちです。
前2回の投稿「腐ってしまう野菜ばかりになったのはなんで?」シリーズの続きです。
「腐ってしまう野菜ばかりになったのはなんで?・・・野菜は本来「食べ物」であって「商品」として扱うと無理が出る!?」
「腐ってしまう野菜ばかりになったのはなんで?(第2回)・・・窒素過多で何が起こる?」 。
■第2回では【腐ってしまう野菜ばかりのなったのはなんで?】の仮説として
「窒素過多による細胞壁の脆弱化・野菜体内のアミノ酸・アミノ酸アミドの増加」を出しましたが 、
この投稿に びんさん から「エチレンの影響」に関するコメントがあったので、ちょっと勉強しました 。
◆百合の花◆
●まず、エチレンとは
エチレン(ethylene:H2C=CH2, IUPAC命名法ではエテン (ethene) )二重結合を持つ有機化合物。つまり一番単純なアルケンといえる。
かすかに甘い臭気を有する無色の気体で、強力な酸化剤と反応しやすく、また引火しやすいため取り扱いには注意が必要。
チーグラー・ナッタ触媒で重合するとポリエチレンになる。反応性が高く、様々な化合物の原料として用いられている。例えばアセチレンはエチレンをハロゲンと反応させて1,2-ジハロエタンを作り、水酸化カリウムでハロエテン、水素化アルミニウムリチウムで還元して作られる。エタノールを高温で脱水することで作ることができる。
植物においてはメチオニン→S-アデノシルメチオニン(SAM)→1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)→エチレンという経路を通して合成される。この過程では、SAMからACCへの合成にACC合成酵素。ACCからエチレンの合成にACC酸化酵素が関与する。
植物ホルモンの1つでもある。一般的には生長を阻害し、花芽形成も抑制するが、パイナップルなど一部の植物ではエチレンにより花芽形成が促進される。
水が過剰に与えられたとき、エチレンにより根の細胞の一部にアポトーシスが誘発され、シュノーケルと同様の機能を持つエアチューブが形成される。
また、エチレンは果実の「色づき」「軟化」といった成熟にも関与している。これはエチレンがセルラーゼに関与し、細胞膜組織の破壊が誘導されるためと考えられている。また、バナナなどのクライマクテリック型の果実では一般に成熟直後に生成量のピークを示し、それ以後は徐々に逓減する。
林檎はエチレンガスを発生させるので、バナナの側で保管すると、バナナの成熟が早く進む。一方、馬鈴薯の場合は、萌芽が抑制される性質がある。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用
★エチレンは、プラスチックやポリエチレン、化学繊維の原材料として原油から精製される工業原材料であり、かつ植物が自ら生成する【植物ホルモン】でもある。
●それで、植物体内での働きは
生理作用は多様で、球根の休眠打破、生長の促進あるいは抑制、葉、花または果実の 脱離促進、開花の促進、果実の成熟促進、葉緑素の分解促進、呼吸作用の促進、タンパ ク質合成の促進、アレロパシー、老化促進、耐病性の増大などです。 植物体内でのエチレン生成はアミノ酸の一種であるメチオニンがその前駆物質です。 このエチレンの生成過程をオーキシンが促進的に作用します。また、植物は合成したエ チレンをすべて大気中に放出しているのではなく、植物体内で分解もしており、その中 に中間代謝物、酸化エチレンは殺菌力が大変強いことです。
~中略~
ところで、エチレンが生成される直前の前駆物質である1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸からエチレンが生成される過程が、アンモニアによって著しく阻害され ます。つまり、窒素肥料を与えると、エチレンの生成が抑制されるのです。
一方、植物体がエチレンを盛んに生成しているときは、病気にかかりにくいといわれ ます。図1のように、伸長しつつある若い葉はエチレン生成が盛んであり、病気にかか りにくいが、一担生長の終わった濃緑の葉や黄化した古い葉は、エチレン生成力が低下 し、病気にかかりやすいのです。
リンゴやメロンはエチレン生成の多い果実で、収穫後、エチレン生成の多い時期には病原菌に犯されることはありません。
それが、エチレン生成力が低下してからは病原菌に犯されやすくなります。
エチレン生成が盛んなときは病気にかかりにくいのは、エチレンが体内で代謝されて 殺菌力の強い酸化エチレンに変わるからだと考えられています。
植物がエチレンを生成する意義は、エチレン自体のホルモン作用と、酸化エチレンの抗菌作用が考えられるんだ。
「北海道立農業試験場・病害虫防除所・北海道農政部 クリーンレポート」から引用
★野菜の生育中に窒素過多だと病気にかかりやすくなる原因の一つに「エチレン→酸化エチレンの生成が阻害されるから!」と言う仮説が成立しました。
★次はいよいよ、収穫後、保存の話です★
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投稿者 nara1958 : 2007年09月06日 Tweet