2006年12月27日
日本の食料自給率の低下⇒EC/EUとアメリカの喧嘩が一因
ヒヨッコ百姓さんの疑問についてです。
>それでも’70年にはまだ60%あったんだぁ
「でも他の先進国は横ばいか上昇してるし、なんでなんで??」
他の先進国は直接支払制度とか関税とか、農業支援(補助金制)してるっぽい
近年のヨーロッパ諸国(EU)の自給率の上昇と、日本の自給率の低下の因果関係についての記事がありました。チョトながくなりますが紹介します。
ポッチ宜しくお願いします
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食料問題-2 アメリカ vs ヨーロッパ リンク より 転記します。
1960年には、穀物の自給率はイギリス、ドイツ、イタリア等のヨーロッパ諸国と日本は約60-70%と、そう変わるものではありませんでした。 しかしながら、現在ではフランス187%、イギリス109%、ドイツ111%、イタリア83%に対し、日本24%、韓国27%と大きく差がついてしまいました。 ちなみに、アメリカは119%です。 この背景には、EC/EUとアメリカの農業保護政策と、補助金付の輸出振興政策の、過激な貿易戦争のあおりを受けてしまった事にあります。
中略
それでは、アメリカとEC/EUでどのような、農業保護政策が行われ、貿易戦争となっていったのでしょうか、具体的に説明してゆきたいと思います。
EC/EUでは、1967年7月から共通農業政策(Common Agricultural Policy)の下で、単一の共通市場を形成し、欧州内統一価格制度を設けて、農家の所得を保証するための価格支持を行ってきており、毎年3月末から4月にかけてEC/EUの農相理事会が開かれ、その席上で指標価格(index price)、介入価格(intervention price)、境界価格(threshold price)が決められています。 指標価格は目標価格の事で、生産性の低い国に配慮して、比較的高い価格に設定されます。 例えば、小麦の指標価格はEU域内で最も小麦が不足するドイツの卸売価格が指標価格として採用されているようです。
通常、指標価格から5%低いところに介入価格が設定され、この介入価格が最低保証価格となり、EU域内の価格がこれ以上に下がっても、農家は生産した農産物を全て介入価格で買い上げてもらう事ができます。 その赤字は、欧州農業指導保証金(European Agricultural Guidance and Guarantee Fund)から補填されますが、この基金はEUが他国から輸入する際に課す輸入課徴金によるお金と、EU加盟各国からそれぞれの分担比率に基づいて拠出された資金によって賄われています。
また、境界価格はEU域内の市場を、海外の安価な農産物から守るため、消費地に設けられます。 これは、内陸の消費地の指標価格から陸上運賃や諸経費を差し引いた物で、輸入農産物が安い場合には、境界価格と輸入価格との差額を輸入課徴金(import levy)として徴収します。
これとは逆に、EU域内から海外へと農産物を輸出する際には、介入価格と輸出価格のとの差額が輸出払戻金(restitution)として補助され、EU産の農産物に国際競争力を持たせているのが現状です。
このような保護政策により、アメリカ産農産物の最大の顧客であったヨーロッパ市場では、アメリカからの輸出は1976年頃を堺に徐々に減少してゆき、ヨーロッパでの穀物自給率は高まってゆき、1980年代にはついに自給自足を果たす事になります。
中略
1980年代にはECは1981,1982年と豊作が続き、ECは小麦の過剰在庫を輸出により処分する方策をとるようになります。 アメリカはヨーロッパという大きな輸出市場を失ったばかりでなく、輸出市場までヨーロッパに奪われました。
こうなるとアメリカも黙っておれなくなり、アメリカは「ECが過剰在庫を補助金付で輸出し、世界の市場価格を急落させただけでなく、アメリカの伝統的市場を奪っている」とし、ECを公然と非難するようになり、 こうして、小麦の輸出をめぐり、1980年代のアメリカとECの貿易戦争が勃発しました。
1983年には、従来フランスの小麦輸入国であったエジプトに対し、アメリカは補助金付で輸出攻勢をかけます。 この時契約した小麦は100万トン、この時のCIF価格はトン当たり155ドルで、ECの価格179ドルより24ドルも安く、アメリカ国内価格より100ドルも安いものでした。 これを機に、ECとの対立は決定的なものとなりました。 ECとの穀物戦争の真っ只中、1985年12月23日レーガン大統領は、85年農業法案(別名:食料安全法 Food Security Act)に署名し、直ちに発行させました。 この農業法に組み入れられた輸出奨励計画は、アメリカ政府が輸出補助金をつけて輸出拡大を図ったもので、ECを標的にしている事はあきらかでした。
その後、アメリカは輸出奨励計画の対象国を、北アフリカから、中近東、アジア、アフリカ、東欧諸国、南米と世界中に広げます。 このアメリカとECの補助金付輸出競争のあおりを受け、日本の食料自給率が下がったとも言えるでしょう。 EC諸国が自給率100%を超すのは、このアメリカとの泥沼化した補助金付輸出競争が始まった1980年代でした。
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転記以上
日本の自給率の低下は穀物の国際価格が低下し、国内での競争力低下を国策として放置していた事が要因のようです。
>「じゃあなんで日本は国策として手を打たなかったの?…打てなかった??」
補助金とか、関税とかの施策については、外国からよくイチャモン付けられていますよね、付ける方も 聞く方も 😥 なんで何だろうと言うことでしょうか。?
奥村でした。 👿
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posted by hakosuka at : 2006年12月27日 | コメント (6件) | トラックバック (0) TweetList
2006年12月26日
食料自給率が下がったのなんで?~♪レッツ☆バトン♪~
こんばんわ ヒヨッコ百姓です
るいネットの「環境と仕事版」を見ていると、ちょくちょく「食料自給率」についての議論を目にします
農園のみんなでも話あったりするんですが、改めて色んな「なんで 」が出てきました
今回の最初に出た“なんで?”は
「なんで他の先進国の中でも日本だけがとび抜けて自給率低いの?」
でした
これを皮切りに、
「じゃあいつから低下していったの?」
農林水産省HP
食育・食生活指針の情報センター
それでも’70年にはまだ60%あったんだぁ
「でも他の先進国は横ばいか上昇してるし、なんでなんで??」
他の先進国は直接支払制度とか関税とか、農業支援(補助金制)してるっぽい
「じゃあなんで日本は国策として手を打たなかったの?…打てなかった??」
米国の食料支配の原点
にもあるけど、戦後アメリカによる支配戦略の可能性大 (食生活の変化とか )
「でも同じ敗戦国でも他の国は政策打てたのはなんで??」
「日本人は、その縄文体質でもって受け入れちゃったのかな??」
:
:
色んな“なんで?”や着目点 が出てきましたが、詳しくはブログで ってことになりました
論点はたぁ~っくさん なので皆で切開していきたいと思います 😀
ずばり バトンテーマは「日本の自給率が下がったのはなんで?」
まずは最後の方で出てきた「他国では国策を打てて、日本では打てなかったのは?」を日本と同じく敗戦国のドイツを例に比較してみるのはどうでしょうか??
ではでは、最初のバトン…… 正国さんヨロシク~~~
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posted by sika0228 at : 2006年12月26日 | コメント (11件) | トラックバック (0) TweetList
2006年12月23日
西洋と東洋の自然観と農業の違い(メソポタミア:ギルガメシュ叙事詩から考える)
雅無乱http://blog.goo.ne.jp/nanbanandeyaです。今日は、農業の起源と環境破壊について考えてみます。
NHKスペシャルの四大文明:第二集「メソポタミア」を、先日やっと観ることができた。
この番組では、栽培の始まりから「文明の黎明期」≒都市国家の成立のあたりまでを紹介していた(撮影当時の1990年代は、湾岸戦争のアメリカの攻撃によって一部は破壊されていたが、イラクのいろいろな遺跡の様子が出てきていて、そういう意味でも興味深かった。今はもっと徹底的に破壊されてしまっているだろう)。
※「ウルのジッグラト」画像はここ↓から
http://jp.encarta.msn.com/media_461550220_761572159_-1_1/content.html
栽培の起源 は9000年前の、トルコ・アナトリア高原。ユーフラテス川の源流の「肥沃な三日月地帯」と呼ばれている土地である。定住して狩猟・採集生活を営んでいた部族が、野生の麦を栽培し始めたのが最初と考えられている。
当時はまだ土器は無かった。麦を粉にする際に用いたと思われる石臼や、ヤギの角に薄くした石をはめ込んでつくった「鎌」などが発見されている。麦は、粉にして水を混ぜて、熱した石の上に薄く延ばして焼いて食べていたらしい。
その後、チグリス・ユーフラテス川の下流域に栽培は拡がり、最盛期の生産性は76.1倍(=一粒から76.1粒収穫できる)だったそうだ。現代でもヨーロッパで15倍から16倍、アメリカで23倍だから、いかに当時の生産性の高さが驚異的であったかがわかる。
ところが、BC2350年からBC2100年にかけて、単位面積あたりの麦の収量が最盛期の4割にまで急激に落ち込む 。この急激な収穫量が激減は、乾燥地における灌漑農業のやりすぎによる塩害と、上流のレバノン杉の過剰伐採による水不足が原因と考えられている。
そして、BC2000年くらいに、このあたりの文明は滅亡する。
番組では世界最古の記録された物語「ギルガメシュの叙事詩」が紹介された。
http://ghibli-fc.net/rabo/monoke_yo/yomitoku39.htmlも参考にしながら紹介する。
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posted by nanbanandeya at : 2006年12月23日 | コメント (9件) | トラックバック (0) TweetList
2006年12月21日
米国の食糧支配の原点
まるいちです。
■米国の世界に対する食糧支配はどのような形で行われてきたのか?行われているのか?を記述している記事があったので紹介します。
「マックとマクドのグローカリズム」
●第二次世界大戦以降、周到な戦略で日本を完全に食糧支配し、同様のやり方で発展途上国を最近ではロシア次は中国をターゲットに食糧支配を進めている米国、そして穀物メジャーの実体が浮かび上がってきます。
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~以下引用、抜粋・要約~
まずアメリカの法律、PL480号、別名「平和の為の食糧援助(Food for Peace)」があり、これは1954年に制定された農業貿易開発援助法であり、アメリカの余剰農産物を売却することを目的としている。
そのプログラムタイトルは以下のようになっている。
タイトル1
外貨不足の開発途上国に、 長期、 低利で食糧を供給する制度で、90年農業法では、7年間の据え置き期間を設定し、 最長30年間の償還期間を設定していた。 96年農業法では、据え置き期間が5年に短縮された。 援助対象の選定においては、 食糧援助の必要性とともに、『その国の将来の米国産の農産物の輸出市場への発展の可能性』に重点をおいて選定することとされた。
タイトル2
飢餓や栄養失調の解消、 天災被災国への緊急食料援助等を目的とした無償食料援助事業である。
タイトル3
開発途上国の中でも最も経済基盤の弱い国で、 貧困や飢餓問題に悩む食料援助の必要な国に対する政府間ベースの無償食料援助事業である。
96年農業法では、 事業の一般的な管理事項を規定したタイトル4において、事業の2002年までの延長とそれぞれの事業予算の15%の流用を認めることなど、予算支出に柔軟性を持たせる規定が定められた。
この50年近く前に制定されたPL480号が今でもアメリカの食糧戦略の中核として生きている。余程の成功例があったに違いない。
そう「呆れるほど見事な成功例」が存在した。
◆学校給食の歴史~中略~
◆日本における飢餓そして放棄された食糧自給~中略~
かくして時には「米を食べればバカになる」との宣伝に後押しされながら、パンは日本人の食文化に浸透していくのである。
10年後の1964年にはマクガヴァン上院議員は次のように述べている。
「アメリカがスポンサーとなった学校給食プログラムによって日本の児童がアメリカのミルクとパンを好むようになったことにより、日本がアメリカ農産物の最大の顧客となった」
◆カーギルの世界戦略~中略~
カーギルは1865年に設立された世界最大の穀物商社である。マクミラン&カーギルファミリーが経営するプライベイト・カンパニーであり、今日でもその実体は秘密のベールに覆われている。
1999年現在で全社売上が456億ドル、60カ国1000拠点を構え、従業員数も85,000人を有する。
1960年代以降、食糧関係を中心に多角化を進め、種子加工、ハイブリット種子開発、大麦モルト製造、肉牛肥育・牛肉処理加工、製粉事業などを世界各国で繰り広げている。さらに陸上・河川運輸、鉄鋼生産、金融部門などへも参入している。
日本でもカーギル・ノースエイジアを設立しており、97年には、倒産した山一証券の子会社である山一ファイナンスと食品商社の老舗である東食を買収しており、日本での足場を固めつつある。
人工衛星や最新の情報通信手段を駆使して、気候監視ネットワークを地球規模で張り巡らせながら、収穫状況を正確に分析し世界の穀物市場を掌握している。
このカーギルの世界戦略自体が、そのままアメリカの食糧安全保障戦略となっている。それは、PL480号を発展させたウィリアムズ・レポートとして生きている。
◆ウィリアムズ・レポート(『相互依存世界における米国の国際政治政策』)~中略~
日本の研究者の多くも見逃しているようだが、このヤング・レポートのさらなる原点が存在する。「ウィリアムズ・レポート」である。ここにアメリカの国益を最優先にしながらグローバル・スタンダードの合意を引き出していく相互依存戦略の原点が見出せる。
相互依存戦略とは、単独でリーダーシップを発揮するのではなく、共通の利害を持つ日本や欧州諸国を仲間に引き入れ、自己の主張を全面的に盛り込む形でスタンダード化する戦略である。この仲間をしっかりつなぎ止めているのが最新鋭兵器を含めた先端技術産業であり食糧戦略である。
~引用終わり~
posted by nara1958 at : 2006年12月21日 | コメント (6件) | トラックバック (0) TweetList
2006年12月20日
品目横断的経営安定対策への集落営農の加入申請状況
こんにちは。
コータローさんの11月19日の記事「集落営農 農政改革関連法でどうなっていくのか」に関して、現況として参考になりそうなデータを見つけました。
今回の農政改革関連法の主要項目の1つである品目横断的経営安定対策の第1段、
平成19年産秋まき麦を作付ける農業者を対象にした、収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)の加入申請状況速報値が、農水省と各地方農政局から発表されています。
http://www.maff.go.jp/www/press/2006/20061205press_6.html
http://www.tokai.maff.go.jp/kikaku/kanyusisei/data/press/tokai%20state.pdf
これは、従来からある麦作(転作)への助成金を、対象を担い手に絞って、内容を改めて設定しなおしたものです。
これによると全国では、申請経営体数合計27,700の内、集落営農組織が3,054が加入申請、あくまで申請数ですので、実際の認定数は、若干少なくなるかもしれませんが、最終値に近いと思われます。
昨年まで、麦作の助成を受けていた集落営農数のデータは、見つかりませんでしたが、
今回の申請経営体の作付計画面積で、昨年の麦作の作付実績面積をほぼカバーできていることからして、
従来からある、助成金を受けるための受け皿としての営農組織(実質形式だけに近い)も、担い手要件を満たして、集落営農組織として、申請してきていると思われます。
実際、私の住んでいる近くの集落にもあります。
しかし、これには、大きな問題があります。
本質的には、集落、地域の課題をしっかり捉えて、共有化し、活動、営農して行く共同体性を強く持った集落営農組織であれば良いのですが、かなりの数は、そうではなく、
①各農家の助成金獲得のための組織であったり、助成金なしでは、経営が、全く立ち行かない組織であることが多い。
しかも、今後、助成金の先細りも、目に見えている。
②20haという面積要件を満たすために、地域でしっかり経営をしている認定農業者から経営基盤である借地を奪い取る所謂「かしはがし」が発生している。
→地域農業の活力をむしろ奪う。
③結局、得をするのは、JAと行政。
特に、麦の場合、基幹作業(播種、刈り取り、乾燥調整)を受託するのは、JAである場合が多い。したがって、生産者が受けた助成金も、実質は、作業委託料としてJAが吸い取ることになる。
また、
行政とすれば、生産者を大規模経営体に集約することで、管理指導がやりやすくというメリットがあるのではないかと思います。
ここ、数ヶ月の農業系の新聞を見ていると、
「○○JA管内の農地の○%で担い手確保」のような記事が目に付きましたが、これは、正に、自分達のために(決して、地域や農村の活性化のためではなく)、「担い手」をつくろうとするJAや行政の努力を報じたものと言っても過言ではないのでは。
集落営農という形が、悪い意味で利用されないようにしないと。
by 長谷
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posted by naganobu at : 2006年12月20日 | コメント (6件) | トラックバック (0) TweetList
2006年12月18日
自給自足を目指す企業②
『“食べるということ”は、地球上の生物のいのちをいただくこと』という創業者の口癖を今も受け継ぎ、『小規模多品目複合経営』で酪農と乳業だけでなく、農家と加工営農を合めたネットワークを作り、地産地消を実践している企業があります。
(るいネット 自給自足を目指す企業① に続いて・・・② )
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posted by pochi at : 2006年12月18日 | コメント (5件) | トラックバック (0) TweetList
2006年12月17日
日豪FTAで、日本の農業はどうなる!?
小松です。
松岡農相は15日、日豪首脳会談で来年から日豪EPA(経済連携協定)の交渉を始めると合意した、との談話を発表した。そこには、FTA(自由貿易協定)も含まれており、国内農業だけでなく、地域経済に多大な影響を与えることが懸念されている。
「北海道の打撃1兆円超」日豪FTA締結で試算
日本とオーストラリアの間で来月にも交渉入りが合意される見込みの自由貿易協定(FTA)に関し、北海道は28日、協定が締結されて農林水産物の関税が撤廃された場合、道内の損失が約1兆3700億円に上るとする試算を発表した。
道は主要生産物である牛肉、乳製品、小麦、砂糖の4品目で影響を検討。農家への交付金など新たな財源約4300億円が確保できない場合で試算すると、小麦が852億円、牛肉が422億円の減産となり、関連製品の生産減少などと合わせ1兆円以上の損失が出るとしている。この結果、約8万8000人が失職する。
(11月28日「iza」より)
更に九州などでも同様の試算が明らかになった。
鹿児島、熊本両県は15日までに日本とオーストラリアのFTAで主要農産物の関税が撤廃された場合の損失額をまとめた。サトウキビ生産額がゼロになる。宮崎県は現在、損失額を試算している。
鹿児島県は牛肉、砂糖、乳製品の3品目について関連産業などを含めて総額1727億円の損失が出ると試算。このうち牛肉では3等級以下の肉用肥育牛と乳用種がオーストラリア産に替わり、778億円の肉用牛生産額(2005年)が半分の387億円に減るとした。サトウキビ生産額は103億円(同)がゼロに。酪農は乳製品がすべて輸入品に替わるほか、北海道からの飲用乳の移入が増え、91億円の生乳生産量(同)が25%減の68億円に減ると見込んでいる。
熊本県は損失額を牛肉184億円、生乳110億円、麦30億円と試算。生産額は牛肉と乳製品は2005年比で半減。麦はゼロになるとした。
(2006年12月16日「日本農業新聞」より)
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posted by komayu at : 2006年12月17日 | コメント (7件) | トラックバック (0) TweetList
2006年12月16日
穀物の価格が上がってるのはなんで?
雅無乱http://blog.goo.ne.jp/nanbanandeyaです。久々ですがヨロシク。
この秋くらいからトウモロコシ、小麦、大豆などの穀物の価格が上昇し、現在も高値が続いている。
オーストラリアの干ばつによる減産もあるが、夏まで高値が続いた原油や金への投資資金が、その値下がりとともに穀物市場に逃避したのが原因の一つといわれている。
投資家は儲かっていいのかもしれないが、消費者はたまらないだろう。そんな浮ついて不安定な市場に、我々の命綱である食糧の価格が振り回されるわけだ。
生産者にとってもたまらない。ある時は高値で買ってくれたと思って量産したら、今度は雀の涙ほどの安値で買い叩かれたりする。
世界の穀物市場を牛耳る巨大多国籍企業 カーギル社
今回の穀物価格の上昇には、他にもいくつか構造的な要因があるようだ。
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posted by nanbanandeya at : 2006年12月16日 | コメント (12件) | トラックバック (0) TweetList
2006年12月15日
キューバの有機栽培 バイオテクノロジーの活用
キューバの有機農業。今回はバイオテクノロジー編です。
経済危機以後キューバの課題は、半分以下の投入資材で、実質上食料生産を倍増すること。かつ、不十分な外貨をさらに減らさないように、輸出作物の生産を維持することであった。
だが、キューバはこの挑戦に向き合うユニークな準備がされていた。人口比率ではラテンアメリカの2%しかいないのに、科学者では11%もおり、投入資材を提供できないことへの代替として「知識集約型」の技術イノベーションを、政府は十分に発達した研究基盤に要請することが出来た。 以前は活用されることもなく放置されてきた将来性のある研究成果の多くがすみやかに、かつ、広範な実施のために利用されたのだった。
🙄 キューバのほとんどの農地は、以前からの農薬や化学肥料の多投によって、かなり地力が低下し、有機物も減少するというダメージを受けている。だが、健康な土に戻すため、キューバ人たちは、輪作の一部に緑肥作物を取り入れたり、都市の生ゴミやその他の廃棄生産物を用いて堆肥を作り、また堆肥づくりにミミズを活用し、高品質の堆肥を工業的な規模で生産している。マメ科の緑肥も土壌に窒素を供給するためのカバー・クロップとして植えつけられた。1992年には172のミミズ堆肥センターによって93,000トンのミミズ堆肥が生産された。
有機廃棄物のリサイクルも政策上重視され、ありとあらゆる廃棄物が、家畜飼料やエネルギー、肥料へと転換されている。こうした有機副産物は、サトウキビ加工、牛と羊の牧場、家禽類と養豚農場、食料とコーヒー加工場、穀物残さ、都市ゴミから集められている。液体廃棄物も農地灌漑に活用され、サトウキビの茎は合板、紙、精糖工場の蒸気釜の燃料へとリサイクルされている。
総合的な養豚は、いかに複雑にこのリサイクルが始められているかを示す良事例だ。プロセスは、職場の食堂、レストラン、学校から食品残渣を集めることから始まる。こうした残渣が、餌の補完物として豚に与えられるのである。農民たちが、良質の蛋白資源である屠殺場の廃棄物を混ぜる場合もある。次に、豚の糞尿やミミズ堆肥やバイオガス発電に使うためリサイクルされ、さらに餌の補強剤として与えられてもいる。最終目標は、リサイクルされない廃棄物をゼロにまで持っていくことだ。
サツマイモのユニークな害虫防除システムもある。捕食性の蟻が、バナナの茎で育てられ、イモができはじめると、ほ場へと導入される。蟻はサツマイモの周囲の土の中に巣を作り、アリモドキゾウムシの被害からイモを保護するのだ。全国各地に14の蟻の生産センターがあり、それ以外にも、様々な作物害虫を捕食したり、寄生する天敵昆虫を大量生産しているセンターがある。
有機農業に転換しても以前の生産水準に到達するまでには、3~7年がかかることが明らかになっている。失われた地力が回復し、害虫の自然のコントロールが再構築されるには時間がかかるからだ。だが、キューバには3年も7年も待つゆとりはなかったし、その人民は、短期間に養われなければならなかった。
こうした緊急的な危機に対応するため、キューバの科学者や政策立案者たちは、新たな有機農業の実践を発展させるため、それに洗練されたバイオテクノロジーを持ち込んだのである。
やるな!キューバ。
byちわわ
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posted by tiwawa at : 2006年12月15日 | コメント (4件) | トラックバック (0) TweetList
2006年12月14日
中国の農家が生計を立てられるって、本当?
日経新聞に中国の農業事情に関する記事があったので、紹介します。
============================
中国は、5年前のWTO加盟に伴い関税引下げを行った。
・ 2001年 2004年
農産物の平均輸入関税:22.2% → 15.6%
中国の農民1人当りの耕地面積は、国際平均の約半分というから効率が悪いはずだが、それでも農家の生計が成り立つのは、
「農民の6割超は自給自足の生活をしているからだ。農家で余った分を政府が買い上げ、都市に回す。」/北京師範大学の唐任伍教授。加えて政府は、農作物の国家買い上げによる補助金を拡充し(2005年:約2000億円)、農業税も2006年初までに廃止したことで、農家の暮らしを楽にした、という。
しかし、関税引き下げによる影響はあり、商品作物の輸入増による失業は2000万人強。それに対し、農地転用などの都市化現象に起因する農村部の潜在的失業の3億人超に比較して「目立たない」だけのこと。
=======日経:2006.12.12の記事より意訳=======
何のことはありません。自給自足の生活を可能にする作付けを行っていればまだしも、商品作物を生産する農民は直撃を受けているのでしょう。加工産業にシフトせざるを得なかった日本が、工業製品の輸出を確保せんが為に農業生産品の関税率をジリジリとさげて、ついには見限ったのと何らかわる事はありません。中国農業は壊滅的なダメージを受けつつある、とみて間違いないでしょう。
そして、食の自足が出来ない胃袋の規模が、日本と比べて一桁大きいことの影響は半端じゃありません。その外圧を逆手にとれば、日本の「農」をめぐる環境を一転できる好機かも知れません。
by びん
posted by staff at : 2006年12月14日 | コメント (6件) | トラックバック (0) TweetList