新しい「農」のかたち~この1年の追求成果:農を追求することで人類課題のすべてを押さえられる |
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2022年08月18日
『食農ブームはどこに向かう』追求の足跡~どこへ向かうか
シリーズ食農ブームは今回で最終回になります。
まずこのシリーズでの追求の足跡をダイジェストで入れておきます。
最初は軽い気持ちで始めたこのシリーズでしたが、結構いろいろと新しい動きについて発見できました。
最後にそれでいったい「どこへ向かうのか」をシリーズを通して考えてみました。
シリーズ「食農ブームはどこに向かう?」プロローグ
当ブログではこれまで農業を生産活動や産業の一つとして見て記事を作ってきましたが、さて、その考え方や今は古いのではという思いに立ちこのシリーズを初めてみたいと思います。つまり、農業の可能性として見た場合、最新の方向性として大農業、小農業とは違う”プチ農業”がひとつあるのではないでしょうか?誰もが明日からでも始められる専業でも兼業でもない、第3の農業のありようです。そしてこの新しい農のあり方は、同時に人々の食への意識の変化からも来ているように感じます。
『食農ブームはどこに向かう?』シリーズ1:食農ブームって何?
野菜や果物など、食べ物を自分たちで育てて、収穫する→大切に育てた作物を食べる。その過程の中で、農業や食事について学んでいく取り組みのことを言います。各個人単位から自給自足の意識が芽生え始めているのは、大きな可能性と言えるのではないでしょうか。
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ2 家庭菜園~貸し農園~週末農業 様々なプチ農業の実態
プチ農業の入門編は家庭菜園です。一時的なものではなく、始めた人がほぼ継続したいと答えているように10年以上続ける人が3割以上居ます。
貸し農園は中部圏ではコロナ前と現在で約10倍の契約件数があるとも言われ、今後の拡大がかなり期待されています。
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ3 食農ブームはいつから、なぜ起きた?
このような偽装や不正問題、食料を介しての健康危機によって「自分たちの命を人任せにしていられない」身近なところから、自分たちのできる範囲で、自給自足の動きが生まれている。これが今後の農業の大きな可能性とも言えます。
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ4 昔の農家と今の食農ブーム 何が違う?
食農ブームは確かに新しい農への流れの小さな動きかもしれない。
江戸の惣村と同じような課題と外圧があり、生きるために農業をしていく、そういう集団が登場し牽引できるかどうかだろう。
そういう意味では食農ブームと同時に牽引していく集団再生が必要なのは確かだと思う。それがどう登場していくか、この食農ブームと別軸で見ておく必要がある。
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ5 若者の農業・仕事に対する意識の変化
農業法人に就職する「新規雇用就農者」と新たに農業経営を開始する「新規参入者」が増加傾向に。農業コンサルをやりたいという学生も、よくよく話を聞いてみると、地域づくりがやりたい、人を繋ぐ仕事がしたい、が本音のよう。農業にのめり込む学生たちも、農業を通した人とのつながりや、みんなで成果を出す達成感を求めているのかもしれません。
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ6 「おてつたび」は、なぜ成功したか?
自然収束、人収束、地域収束と課題(仕事)収束が重なって、なおかつ受け入れ側の人不足や人を育てたいや、地域の閉塞感を打破したい等お互いの求めるものが重なってこういった新しい事業が生まれたのではないかと思うのです。
起業者の永岡さんはそこに目を付けたのだろうが、31歳の彼女自身がかつての起業家やベンチャーとも一味違い、単純に必要なもの通しを繋げたという「楽しい」をベースにして起業を始めたところも注目すべき点だろう。
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ7 改めて”農業に必要な能力”とは
農業に必要な特別な能力はありませんが、人類が本来持っている人類の人類たる能力を再生し、さらにはどんな仕事にも通用する共認形成力を身につけるのに、農業は最適な職業だと言えます。
『食農ブームはどこに向かう』シリーズ8 生き抜く力も担い手育成も実現!子どもの頃から農に触れ合う可能性
幼少期~中高生の間に、いかに農業の現場に触れる機会があるかは、農業の次世代の担い手育成という観点から見ても、カギを握りそうです。
多くの人との関わり、試行錯誤が子ども達の根っこを育て、地域という大地にしっかり根をはる。 大きな木に育ち、地域にたくさんの実を還元する。子ども達の成長が地域の未来をつくる。
「食農ブームはどこに向かう」・・・それで、いったいどこへ向かうのか?
最初の直感として農業という職能の捉え方の話ではないかなと感じていました。
農業があらゆる産業の一つであり、選択肢であり、市場主義のもと工業化、都市化が進み農業は今やどんどん衰退し、誰も担い手が居ない産業の一つになっていった。だから農業を再び復興しよう、農業はそういう発想でよいのかという点です。
今回扱った食農ブームとはそういう動きとは別に人々が自主的にむしろ積極的にその生きる場を郊外や地方、さらには脱市場へ自給へと向かっています。一方でこのブログの記事中でも扱ってきましたが農業を通じてすっかり堕落した人類の本来持っている能力の再生にも可能性があるのではないかと感じ始めています。
私事で恐縮ですが、先日私もわが社の持つ農園に援農という形で1日だけですが農業を体験させていただきました。日頃都会でデスクワークを中心に活動していますがそこで経験した農業の楽しさ、体を使って丸一日仲間たちと収穫する楽しさはなんとも言えない解放感に満ちたものでした。これをもし子どもの頃に一定期間、経験していたらきっと農業に対する見方も人や生命に対する見方も変わっただろうと確信しました。
今日農ブログの仲間と話していたら、それは一種の「本能の解放」なんじゃないか、という結論に至りました。コロナ禍を経て人々は無意識に本来どこに向かうべきか「本能の解放へ」を模索しているのではないか、その一つの方向が食農ブームではないかと思ったりするのです。
「食農ブームはどこに向かう」と問いの答えもここにあるのかもしれません。脱都市、脱市場、脱密室から仲間収束、自然収束、自給収束・・・・消費する主体から生産の主体へ。単なるブームではなく農業に人々が可能性を発見し始めている端緒だと思います。後はこの流れを人々の主体性に任せるのか、企業や国が後押しするのか、今後の分かれ目だと思います。
既にこの数年で多くの企業が農業を始め、国がそのハードルを下げている。若い人たちも農業に可能性を感じつつ、一体何が魅力なのかを探り始めている。小さな流れを大きなうねりに変えていく、そこには集団を個人にいかにコミットさせていくかが鍵だと思っています。
また、どの層がそれを主導していくのかも重要です。農ブログの仲間で話していて思ったのは30台前までの若者ではないかという意見が出ました。このブログで扱った「おてつたび」の主宰者も31歳の女性です。最も閉塞感に敏感で可能性を求めている世代がその主役としてリードしていく日も近いかもしれません。今後、「新しい農のかたち」を探る当ブログもそこをしっかりと応援していきたいと思います。
投稿者 tano : 2022年08月18日 TweetList
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