【世界の食と農】第6回 ロシア~逆境に絶え抜き、自給自足を成し遂げた大国。~ |
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2022年01月27日
食料問題シリーズ6:日本の食料自給率を改善する為には、日本の食文化を見直す必要がある
前々回で食料自給率のデータの中身に少し触れました。その中で分かってきたことは、食料自給率は「カロリーベース」でみると日本は「38%」と非常に低く見えるが、「生産額ベース」でみると「69%」とけして低くないということ。
また生産額でみると世界10位に入っており、1位の中国と面積や人工比でみればほぼ世界トップレベルの農業大国であることが見えてきました。
では日本はなぜ世界トップレベルの農業大国なのに食料自給率が低いのでしょうか?
そもそも食料自給問題というのはどのような問題なのでしょうか?
今回はその辺りを突っ込んで考えてみたいと思います。
◆カロリーベースで計算すると自給率は低くなる
では日本の食料自給には果たして問題は無いのでしょうか?
生産額ではかなりの額を誇る日本の農業ですが、その多くが野菜や畜産、果物といったものが中心です。そしてカロリーが高いコメは、全体の約5.1%に過ぎません。
これではカロリーベースで計算しても、自給率が高くなるはずはないのです。
また畜産はどうでしょうか?畜産にも実は大きなカラクリがあって、「家畜のエサが外国産の場合、それは国内生産にはカウント出来ない」というルールがあるようです。
日本の生産者がいくら頑張って家畜を育てても、エサが外国産ならば、国内生産ではないというのも、なぜなのでしょうか?
◆食料自給率は安全保障の問題
そもそもなぜ食料自給率は高くなければならないのでしょうか?食料自給率が低いということは、多くの食料を海外から買っているということです。
「買えるお金があるからいいじゃん」という理屈もあると思いますが、それは日本に対して食料を売ってくれる国があるから成立します。
お金があるのに売ってもらえない?!そんな状況はあるのでしょうか?
あります。それがまさに第2次世界大戦前の日本の状況です。第2次世界大戦前の日本は、諸外国から食料とエネルギーの供給を完全に止められました。俗にいうABCD包囲網です。そうやって日本は世界大戦に舵を切っていってしまったのです。
そうならないように、食料自給率を上げるというのは国家の安全保障上は非常に重要な問題なのです。
さてではどうすれば食料自給率は上がるのでしょうか?
◆問題の本質は食生活の西洋化
食糧自給率を下げているのは先ほどの畜産、すなわち肉の影響は大きいです。そして穀物として小麦。これもほぼ輸入に頼っています。あと多いのは肉類、魚介類、乳製品。
小麦と肉・・・・そして乳製品。これらの食材を見て多くの人が感じるのは、戦後に西洋から入って来ている食材です。
つまり日本の食文化が戦後のGHQの戦略によって西洋化され、大陸を持つ西洋諸国で作られる食材が中心となっていることが問題なのです。これは戦後、年々日本の食料自給率が下がってきたこととも一致します。
諸外国を見ても日本ほど食文化の西洋化が進んだ国はありません。
島国であるにも関わらず、食文化を西洋化したことで多くの輸入食材が必要な状況に陥っているのです。
つまり「日本の食料自給率を改善する為には、日本の食文化を見直す必要がある」のです!
では日本の本来の食文化とはどのようなものなのでしょうか?それは次回以降に扱っていきたいと思います。
投稿者 sue-dai : 2022年01月27日 TweetList
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