「絶対過剰」のなかで下落続く米価格 |
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2007年10月30日
補助金に代えて、「支援金」を出す、という提案
「NHKスペシャル:ライスショック あなたの主食は誰が作る」に関する記事について、まるいちさんが、
>食料自給、農業や農地、農村の存続は社会の絶対課題だと思う。本当に社会の課題として、みんなが当事者として取組まなければならない問題だと思う。 (「絶対過剰」のなかで下落続く米価格)
と結んでいましたが、全く同感です。
お米価格の変遷についてインターネットで検索してみたら、次のようなデータを見つけました。時代状況の変遷は、見て取れそうです。
◆〔玄米60kg(=1俵)当り価格〕 ↓出来事↓
───────────────────
年 月 政府買入 政府売渡 売買価格差
価格a 価格b b-a=c
───────────────────
昭55 2 17,279 15,891 ▲ 1,388
55 8 17,674 15,891 ▲ 1,783
56 4 17,674 16,391 ▲ 1,283
56 7 17,756 16,391 ▲ 1,365
57 4 17,756 17,033 ▲ 723
57 7 17,951 17,033 ▲ 918
58 7 18,266 17,033 ▲ 1,233
59 2 18,266 17,673 ▲ 593
59 7 18,668 17,673 ▲ 995
60 2 18,668 18,327 ▲ 341
60 7 18,668 18,327 ▲ 341
61 2 18,668 18,598 ▲ 70
61 8 18,668 18,598 ▲ 70
62 7 17,557 18,598 1,041
62 12 17,557 18,130 573
63 7 16,743 18,130 1,387
───────────────────
平元 4 16,743 18,396 1,653
元 7 16,743 18,396 1,653
2 2 16,743 18,396 1,653
2 7 16,500 18,396 1,896
3 2 16,500 18,203 1,703
3 7 16,392 18,123 1,731
4 2 16,392 18,203 1,811
4 6 16,392 18,123 1,731
5 2 16,392 18,123 1,731 *コメ不足
5 7 16,392 18,123 1,731
5 12 16,392 18,123 1,731
6 7 16,392 18,123 1,731 *食糧法公布
7 2 16,392 18,123 1,731 *食糧管理法の廃止
7 6 16,392 18,123 1,731 ミニマム・アクセス
7 12 16,392 18,123 1,731
8 2 16,392 18,123 1,731
8 11 16,217 18,123 1,906
9 4 16,217 18,101 1,884
9 11 15,741 17,831 2,090
──────────────────*平成16年:減反政策の終了
*出典:「お米の学習」(玉川学園マルチメディアセンター)の
「お米の価格」より
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また、「NHKスペシャル:ライスショック あなたの主食は誰が作る」に関連するものとしては、次のような記事にも出会いました。
『近藤雅世の商品先物価格予測』の「コメの価格」(リンク)
コメは平成7年食糧管理法が廃止され食糧法の下に自主流通米価格形成センターで入札により決定されている。この価格は事実上農協が決める生産者価格であるが、それでも年々価格は下落傾向にある。平成16年食糧法を改正し、コメの流通規制は撤廃され自由化された。また、政府による生産調整は行われなくなり、政府は備蓄運営に限定することとした。
長い苦難の歴史を見てみると、政府は減反政策や流通の管理による強い統制を行いその庇護の下に育ってきた農協が中間搾取を行い、農業そのものが国際化により立ち行かなくなった結果政府はその責任を放棄して農協にそれを押し付けているという現状が見えてくる。これは人災と言えよう。
戦後一貫して農業保護を行い、それが農協が肥大化し、農林系政治家の温床となってきた。保護された農民は狭い耕地のままに非効率経営がまかり通り、いざとなった現在海外の広大な土地で同等の品質のコメを作れる競争相手の出現に、今更ながら広域農法などと言うのは遅きに失している。同じ例が台湾の農家で、すでに多くの農家が田畑を売り払って生活保護の厄介になっているという。これが将来の日本の農村の姿と二重写しになっている。日本の耕地面積は平成元年以降急減しており、平成17年度には東京都の1.8倍の耕地が耕作放棄されたという。・・・
この記事を理解しながら読み進むには、日本の「食糧管理制度」の変遷を知っていることが不可欠でしょう。参考までにそれを俯瞰すると、
◆食糧管理制度(リンク)
食糧管理制度(しょくりょうかんりせいど)は、日本における主食である米や麦などの食糧の価格や供給等を国が管理する制度をいう。1942年(昭和17年)制定の食糧管理法(いわゆる食管法)に基づき創設された。同法は1995年に廃止され、代わりにいわゆる食糧法が制定されたことを受け、食糧管理制度の呼称も食糧制度と改められた。また、2004年にはその食糧法に大幅な改正がなされるなど、制度の内容は時代と共に大きく変化してきている。
●食糧管理法(昭和17年法律第40号)
1942年の東條内閣の頃に制定された。内容は、食糧の生産・流通・消費にわたって政府が介入して管理するというものであり、目的は食糧の需給と価格の安定である。
●食糧管理法廃止に至る要因
・平成「米騒動」
1993年(平成5年)に起こった「1993年米騒動」の影響で同年後半から翌1994年にかけて日本国内の米が著しい供給不足(当時よく用いられた表現では「コメ不足」)となり、価格の暴騰・外国産米の緊急輸入などが起きて食糧管理制度の脆弱性に対する非難が増加した。このため、政府による管理を強化する一方、農家でも米を直接販売できるようにするなど、政府はそれまでの方針と異なる方向への運用改善を余儀なくされた。この政府の管理は食管法が廃止される直前の1995年10月まで続けられた。
・米の輸入
1995年(平成7年)、米の市場開放で、アメリカから米を輸入するようになる(ミニマム・アクセス)。しかし、その米は日本の国内消費でなく他国への援助の用途にだけ振り分けられた。
この二つの出来事は、結果として食糧管理法の廃止・食糧法の制定という大制度改革の要因となった。
●主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成6年法律第113号)
1994年(平成6年)12月14日、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(いわゆる食糧法)が公布、一部の条項を除き翌1995年11月1日に施行され、これに伴い食糧管理法は廃止となった。また、制度の呼称としての「食糧管理制度」も内容の変更に沿って「食糧制度」に改められた。ただし、食糧管理特別会計・食糧管理勘定など、一部の用語には「管理」の文字が残った。
食糧法の施行により、農家が自由に米などの作物を販売出来るようになった。これはその後の米輸入解禁に備え、あらかじめ自由に米を流通させることで日本国内の農家の競争力・対応力の向上を目指したものである。一方で、政府による管理は緩和されることとなった。
●減反政策
1970年代に食生活の変化の影響で米が余るようになり、備蓄米が年間生産相当量まで達する事態も生じた。このため政府が主導して減反政策を推進してきたが、2004年に方針を転換し同政策をやめることとなった。
●2004年の大幅改正
食糧法を大幅に改正する主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律(平成15年法律第103号)が2004年(平成16年)4月1日に施行され、従来からの農業従事者に限らず誰でも自由に米を販売したり流通させることが出来るようになるなど、1995年の食管法廃止・食糧法制定に匹敵するような制度改革が実施された。この大幅改正後の食糧法は、それまでの食糧法と区別するため「新食糧法」あるいは「改正食糧法」と呼称される。
「食の確保」という、生物にとっての根本問題を「社会統合課題」と見做すことには、異論がないはずです。米騒動 などの事例を持ち出すまでもなく、社会秩序の安定のためには、不可欠の要素であることは、現在も変わりがありません。
反収は、科学技術の発展により化学肥料や農薬の使用が可能になったことや機械化に伴い、昔のような人海戦術を要しなくなったことで、一定程度上昇したので農業従事者は少なくなりましたが、新たな課題が見えてきたに過ぎません。
1)市場の原理にまかすだけでは、農産物に幻想的な価値が付けにくい(リンク)分、他の産業従事者との所得格差が開くばかりです。
国内問題としては、「農業補助政策」の合意・共認を要する。
国外問題としては、皺寄せの押し付けとしての「南北問題」。
有事の際の「食の安全保障」なくして国家の成立基盤なし。
2)肥料や農薬の多用による環境汚染問題や、化石燃料の多用による投入エネルギーと生産エネルギーの逆転現象などが顕著になり「持続可能な生産活動の継続」にかげりが見えてきました。
物質の循環という概念に「時間・エネルギー効率」という要素
が欠落しては、資源を食いつぶして持続できない。
ex.多大なエネルギーを要するリサイクルは偽者(リンク)。
ex.「化石燃料の生成時間>活用時間」なら当然枯渇する。
環境負荷のコストを反映しない市場の原理に任せれば、
いずれ、そのツケを国家(=国民)が負う事になる。
3)農業の本源的な価値を見直すこと(=自然の摂理や本源集団の成り立ちを読み解くこと)は、次代の社会統合の道標になります。
環境問題の本質は、生物界の一次生産者としての植物が
真っ当な成長を遂げる環境足りうるか? という問題。
それなくしては、食物連鎖の上位にいるヒトも生存不能。
*水生動物さえ、植物性プランクトン発。
環境を構成する各要素は、相互に関係しあって変化する。
生物としてのヒトもその活動も、一つの要素に過ぎない。
生命は、そのような環境に適応できてこそ成立する。
物質循環もエネルギー問題も「植物資源の有効利用」を
実現できれば、画期的(リンク)
科学技術の発展は、人類がママならない自然を対象化し、
そこに精霊を措定すること(リンク)からスタートした。
農・林・水産業に於いては、自ずと自然を対象化せざるを
得ない。さらに、仲間と共にその生産課題を担い合う場面
を設定すれば、現実の役に立つ観念の習得に繋がる。
それこそが、教育効果(リンク)といえるもの。
4)お米の必然性はあるか?(ここは追求したいところ!)
弥生時代以来、連綿とした連作が可能であった。その秘密は?
日本人特有の「勤勉性」と稲作との関係は?
培ってきた「食文化」の現代的効用性とは?
先進国で見直される「和食」の良さとは?
生産エネルギー効率と、子供の役割分担をどうする?
等など・・・
5)減反政策に使う補助金などは、成果を問われるわけではありませんでした。だから、生産者の活力は出ず、有能な若者の後継者を育てられませんでした。しかし、生物としてのヒトにとっては、現代も「食の確保」は根源的な課題であることには変わりがありませんし、環境問題・次代の人材育成問題・活力再生問題など、集団や社会や地球規模の「統合課題」は山積しています。
それらのより良い解決に向けての課題や役割がみんなに共認されれば、重要な社会統合課題となります。ならば、成果を問わない一律のバラマキ補助金をやめて、
課題の成果度や達成度に応じて、「支援金」を出せばいい。のではないでしょうか?
最後まで読んでくれて、ありがとう。 by/ びん
投稿者 ayabin : 2007年10月30日 TweetList
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コメント
投稿者 とし : 2008年2月20日 21:59
としさんが書いておられるように、私が子どもの頃の30年、40年前は近所の米屋さんに必ず精米機・混米機?が有ったのを覚えています。家でも米の銘柄の話題なんか出なかったし、きっと米屋のご主人が美味しいお米を提供しようと工夫していてくれたんでしょうね!
より良いものを提供しよう!みんなに喜んでもらおう!と言う気持ちが本当は大切なんでしょうね!
投稿者 まるいち : 2008年2月21日 22:09
コメントありがとうございます。
ブレンドって、何よりもお米のことをわかっていて、見極めができて初めて可能な技術。同じ生産者の米でも、年によって品質は違うし、産地や品種が異なれば、なおさら。これは、作物や自然を対象化、あるいはそれに同化するということでもあると思います。
投稿者 長谷 : 2008年2月27日 22:52
古代米 開発 についてー “「五龍鍋=五つの鍋」開発、古代米酒開発、” の続きを読む…
「五龍鍋=五つの鍋」開発、古代米酒開発、・・・
投稿者 古代米 開発 のお話 : 2008年3月17日 13:50
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投稿者 wholesale bags : 2014年2月9日 20:36
暫く前のお米やさんの「腕」は、ブレンドをしてうまいお米を作る技術だったと聞きます。
御米屋のお爺ちゃんが、その「腕」も銘柄表示で「誰でも真似が出来て、腕の見せ場が無くなった」と嘆いていました。