2007年10月29日
2007年10月29日
「絶対過剰」のなかで下落続く米価格
まるいちです。NHKスペシャル「ライスショック あなたの主食は誰が作る」見ました。
日本の米、農業、食、そして自然や環境、文化をどうする?と言う大きなテーマだったと思います。
それで、今回は、現在進行中の「米の状況=米価格」を取り上げてみたいと思います。
この番組の中でも農協による生産者への米の仮渡価格が1万円/1俵(昨年は1万5千円)になった、と言うショッキング な報道がされています。一般に米の生産経費は1万円~1万1千円/俵と言われているので、1万円/1俵では完全に赤字 😥 だと言う事になります。これでは当然、農家は生活できない 😥 、米を作れない 😡 、と言う状況に陥ってしまい、農業離れが加速し、自給率の低下、遊休農地(荒廃農地)の増加、過疎、農村の崩壊、自然環境の悪化が進行していく事は間違いありません 。
H19年10月26日に政府は緊急に余剰米を34万トン買い取る、と言う方針を出したようです。
余剰米34万トン買い取りへ 自民党要求を政府了承l
しかし、こんな目先の方針では何も解決しないでしょう。
そこでまず状況を把握する上で必要な「なぜ米価格が下落したのか?」と言う疑問を解決していきたいと思います。
以下、 農業協同組合新聞 JACOM の シリーズ 米流通最前線 の中の記事 「「絶対過剰」のなかで下落続く米価格 」 を引用 しながら考えてみたいと思います 。
~以下引用~
「絶対過剰」のなかで下落続く米価格 荒田農産物流通システム研究所 代表 荒田盈一
米価の下落が続いている。コメ価格センターの入札取引結果では昨年同時期にくらべて8%程度低い1万4000円台前半の水準となっている。作況は平年並みだが、過剰作付けに加え想定以上の消費減などが背景にある。産地では不安が高まっており政府も緊急に米価下落対策を検討することにした。今回は卸業界の受け止め方を中心に関係者が米の需給環境をどう見ているのか、荒田盈一氏に解説してもらった。
業界にも衝撃大きい異常な価格形成
◆過剰は40万トン超と覚悟する業界
9月の作況99、これによって07年産の作柄は平年作でほぼ決定した。予想される収穫量が873万t、生産目標数量は845万tだから単純計算で28万tの過剰と計算される。主食用仕向け数量は加工用の17万tを差し引いた856万tと見込まれ、需要見込み数量の833万tとの関係では23万tの過剰と見込まれている。
しかし、主食用米穀の関係者や販売業者は主食用に転用が可能な加工用を主食用数量として組み込んで需給環境を捉える傾向にあり、07年産で発生する過剰数量は40万t~45万tと覚悟する。
さらに、77万tの政府備蓄米、189万tのMA(ミニマム・アクセス)米の在庫を背景に、国民一人当たりの消費量が減少を続けていることも、需給環境の過剰感をバックアップする。そもそも04年にスタートした米改革によって、需給調整が面積配分から販売実績を条件にする数量配分に転換、さらに計画流通制度の廃止に伴い水田農業ビジョンを策定すれば生産者の作付は実質的に自由という状況に突入、政府は役割を計画数量の指針策定と輸出入、備蓄の管理に限定、実質的な需給管理を放棄した。
そのため基本的な需給環境は「全国的に米の過剰作付が続いており、全国で40万t以上の大幅な供給過剰が想定されています」と生産者団体がチラシで懸念する事態を迎えている。
昨年の端境期も過剰在庫を指摘されていたが、06年産米が作況96の不作と出荷が遅れたことで前年産(05年産)の過剰米は自然体で消化することができた。そのため課題は地下に沈んだままで移行したが、潜在的な過剰感を払拭することはできず、価格は軟調気味で推移した。
◆売れ残り防ぐための値引き販売の衝撃 つまり、平年作で過剰が発生する「絶対過剰」の生産構造が解消されていないのである。また、売れ残りが発生して古米が発生した場合は大幅な値引きでの対応が必要とされ、06年産米は大量の値引販売が実施されることになった。その数量は10万t以上とされ、なかでも新潟コシヒカリが4万t以上、秋田あきたこまちが2万t以上値引き販売の対象になったことから米穀関係者に衝撃を与えた。値引価格も60kg2000円以上とされ、卸売業者によってはそれ以上の値引きをされたとの噂も飛んでいる。
本来、値引きは06年産の受け渡しが完了する11月以降に実施されることになっていたが前倒し販売も可能とされ、9月に入って実施された。そのため相対取引の通常販売価格に対する影響も指摘され、実質的な値引の範囲が拡大している可能性も捨て切れていない。「売れ残りに価値なし」と標榜された米政策改革は「絶対過剰」の下では「価格引下げシステム」でもある。
その上、07年産からは需給に関する情報や市場シグナルを基に、農業者・農業者団体が主体的に需給調整を行うシステムに移行するとされた。公権力と公的資金を使っても成功しなかった需給調整を民間である農業者・農業者団体が主体的に行うシステムに移行することで成功するとは米関係者の誰も信用せず、「過剰の拡大と価格低下のスパイラル」が懸念されている。
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平年並みの作況指数でも生産過剰な状況が続いている。
計算上は23~28万tの過剰。しかし主食用に転用可能な加工用を主食用数量として組み
込むと過剰数量は40万t~45万tになる。
政府備蓄米とミニマムアクセス米がさらに加わる。
77万tの政府備蓄米と189万tのMA(ミニマム・アクセス)米の在庫がある。
国民一人当たりの消費量が減少を続けている。
この背景には、
04年からの米改革によって、政府が役割を計画数量の指針策定と輸出入、備蓄の管理に限定、実質的な需給管理を放棄。大幅な供給過剰が想定される、と生産者団体がチラシで懸念する程の事態になっている。
昨年は06年産米が作況96の不作と出荷の遅れで前年産(05年産)の過剰米は自然体で消化。課題は地下に沈んだままで移行したが、潜在的な過剰感を払拭することはできず、価格は軟調気味で推移した。
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投稿者 nara1958 : 2007年10月29日 Tweet