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2008年01月15日
小中一貫教育で「食育」~愛知県西尾市立寺津小中学校
小松です。以前このブログでも、『教育とは「供給者」を育てること~農業科の導入に期待!』など、教育現場での新たな試みを取り上げてきました。
今回は、小中一貫教育で「食育」に取り組む、愛知県の西尾市立寺津小中学校の事例を紹介したいと思います。
西尾市立寺津小学校では、隣接する寺津中学校と小中一貫で、毎週1~2回「食育科」の授業を設けており、生活科や家庭科の授業時間を振り替え、総合学習の観点を加味して、正式な教科として取り組んでいるそうです。
同小学校は96年度から、環境教育の一環として給食残飯の堆肥化やアイガモ農法などを実践。98年に文部省が食に関する指導の充実を求めたのを受け、翌年から「食」に焦点を絞った教育に取り組み出しました。04年には文部科学省の研究開発学校に指定され、正式な教科に格上げ。寺津中学校ともに小中一貫で「食育科」を導入しました。
食をテーマにする授業を導入することで給食の食べ残しがなくなったり、感謝や思いやりといった豊かな心の育成、親子・人間関係の構築など、児童・生徒だけでなく家庭や地域にも変化が現れているそうです。
『寺津小学校HP』
確かに効果はあるようですが・・・、この“食育”というものが、どうも怪しい・・・。
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以下、「農林中金総合研究所」の記事を転載します。
小中一貫教育で食育科を導入した
-愛知県西尾市立寺津小中学校
1 はじめに
寺津小中学校は2003年度から小中学校の9年間を緩やかな4・3・2制に移行し、小中一貫教育に取り組んでいる。04年度には新設教科「食育」を導入しており、注目されている同校の取組みを紹介したい。
2 食育科導入の経緯
榎本栄養教諭が同小中学校に赴任した98年当時、生徒の給食の食べ残しが多く、特に野菜嫌いが目立った。翌99年から、この残食を減らすため教職員が手作りの様々な授業を考え「食」に焦点をあてた教育に取り組み始めた。食と農の距離を縮めることが給食の食べ残し改善に役立つと考え、食農教育を実施し子供たちに大きな影響を与えた。また、学校だけでなく、家庭の食生活の改善にもつながるとの思いで取組みを進めてきた。この成果を生かし、04年度に9年間を通して系統的に学ぶ教科「食育」の新設にいたった。
3 食育科の内容
小中学校の9年間を4・3・2制にし、それぞれ、ファースト・セカンド・サードステージの段階に分けた。食育の授業時間は生活の時間や総合的な学習の時間等から振り替え、週2時間ほど学ぶ。9年間の合計は504時間にもなる。学習内容は、「味覚」「食品・栄養」「栽培・調理・食品選択」「食文化・感謝」の4つの領域を設定し、ステージごとに内容を変えて学んでいく方式を採った。指導方法は、学年ごとに年間を通して学ぶテーマを設定し、到達目標を定め、「つかむ」「高める」「生かす」というプロセスを実践した。指導は基本的には学級担任が行ったが、専門的な知識や技能を必要とする場合は、担任と栄養教諭、養護教諭によるTT(ティーム・ティーチング)とした。また、農業従事者、食の専門家、保護者等、地域の方々にも協力を依頼した。
4 栽培活動
小学校では99年から農産物の栽培活動に取り組んでいる。1年生から4年生までは、学校にある畑で野菜を無農薬、有機栽培しており、生徒の祖父母が野菜先生となり指導にあたっている。5年生は、同校のOBで学校近くの米農家の渡辺さんの田んぼを借りて米の栽培に取り組んでいる。渡辺さんは、米は農家が手間ひまをかけて作ったものだということを知ってもらいたいとの思いで、15年程前から指導にあたっている。
5 愛・地産弁当
06年11月に小中一貫教育研究開発学校 全国発表会を行った。この発表会に合わせて、中学3年生が考えた地場産の食材を使ったメニューを弁当に合うように組み合わせ「愛・地産弁当」を発売した。愛知産と地産を掛け合わせたネーミングで生徒が考えた。弁当は地域の飲食店が調理し、専用の容器に詰め、メニュー、お茶、みかんをつけて合計1,000個が完売となり、たいへん好評であった。地場産の食材を使っているためコストがかかっているが、JA西三河、西三河漁協他、生産団体から食材の寄付を得て、1個1,000円という格安な値段とすることができた。
6 学校給食への地産地消の取組み
寺津小中学校の給食の食材はほとんど国産でまかなっているが、地場(西尾)産野菜となると流通経路が確立されておらず、取組みが進んでいなかった。
米農家で自家消費用に自宅で野菜を作っている生徒の祖母(岩瀬さん)に中学3年生が直接頼みに行き、05年秋から給食用に納入してもらえることとなった。06年からは榎本栄養教諭が1年間の計画を事前に岩瀬さんに伝え、その計画に合わせて作付けし、小学校と中学校の両方に供給できるようになった。
さらに岩瀬さんは07年から畑を広い場所に移し、きゅうり、じゃがいも、ナス、里芋、ねぎ、かぶ、大根など、根菜類を中心に安定的に供給できるよう多めに作付けしている。岩瀬さんはできるだけ農薬の使用を抑え、安全な農産物を小中学生に食べてもらいたいとの思いで引き受けている。
学校では給食の時間に「今日の給食に使われた○○は、岩瀬さんの畑でとれたものです」と校内放送で流れる。すると、生徒も安心して給食を食べることができる。岩瀬さんは、同居しているお孫さんが寺津小学校と中学校に通っているため、給食での評判を直接聞くことができる。
7 食育の効果
寺津小中学校での9年間の徹底した本物の食育の取組みは、生徒が自らの意志で学習や体験をするように工夫されたことが効果的であった。食育と給食を関連付けて指導してきたことにより学習がさらに定着し、給食の残渣率は月平均1%弱(06年度)となった。生徒は好き嫌いなくバランスよく食べることが身についているため、各学年とも体力が充実し欠席者が少なく学力が高い。
また、地域の多くの人から寺津中の生徒のあいさつでさわやかな気持ちになるという声も聞かれ、食育の効果は普段の生活態度など様々なところに表れている。
8 おわりに
寺津中学校の内田校長は「本校は朝ごはんの欠食者はゼロです」と自信をもって話された。朝食は自分の体にとって必要なものだと理解しているから、家庭で朝食が用意されていない場合も、自分で朝ごはんを作って食べてくるのだという。内田校長は安定した食生活、家庭生活を再生し、子供たちが落ち着きを取り戻すためにも、今後すべての小中学校に食育を導入する必要性を強く感じている。
このように大きな成果を上げた同校でも食育を学校だけでやり遂げたわけではない。保護者、地域の方々の協力も大きな力となった。本来、食に関することは家庭で子供たちに教えていたが、ライフスタイルの変化等により、その役割を学校に託されることが多くなっている。その改善を図るためにも寺津小中学校での食育は、家庭と学校をつなぐ太いパイプとなり、子供たちが親に働きかけ、家庭の食生活も充実したものに変わってきた。
こういった「食育」の取り組みによって、食の大切さや農業とのつながりを感じ取っていくことは、大切なことだと思います。しかし、このような取り組みでは、いつも大事なことが語られていないような気がしてなりません。
食糧問題は、国家の根幹に位置する問題であるにも拘らず、これまではそれほど重要視されずに、今やその6割を輸入に頼る始末です。子供たちの食生活の乱れも、戦後、野菜と魚介類中心の日本の食文化が失われ、欧米の小麦と肉食中心の食へと変化してしまったことと無関係ではないはずです。
さらに、社会全体では自給率40%、農業の担い手不足は深刻になる一方のままで、或いは、食生活の大部分は現状のままにしておきながら、極一部の学校給食だけの“地産地消”を実現して、成果を挙げたような気になっている辺りにも、欺瞞性を感じすにはいられません。
何故“地産地消”が大切なのか?、何故今の日本ではそれが実現できていないのか?、その背後にある社会の仕組みや構造をしっかりと伝え、社会全体の問題として、共認形成をしていくことが必要なのだと思います。
参照 「食育」の欺瞞性(⇒市場原理の補完活動)
食育を語るには、人類史を語らざるを得ない 「るいネット」より。
投稿者 komayu : 2008年01月15日 TweetList
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コメント
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