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2007年10月07日

アメリカのコメ市場戦略 ④

カナダの事例を紹介すると
モンサントと闘うカナダの農家 シュマイザーさん
       名古屋講演 要約版  03. 7. 2
遺伝子組換え作物を栽培するカナダの悲痛な実態

私は西カナダのプレーリーの出身で、妻と2人で1947年に農業を始め、小麦、オーツ麦、キャノーラ(ナタネ)などを作って参りました。また、シードセイバーという側面もあり、毎年採れた種を保存して次の年に蒔くという世界中で何千の農家がそのような農業を行なっていると思います。
他にも、議会の議員、地域の自治体の市長として25年間勤め、その間に国レベル、州レベルの農業委員会で法規制とか、政府の政策に関して農民の代弁をして参りました。
この遺伝子組換え(以下GM)作物というのは3つの部分に分ける事が出来ると思うのですが、一つは、農家の権利・特権に対して巨大な多国籍企業の特許権や知的所有権という問題です。2番目は安全性、健康への影響はどうかという事。そして3番目が環境への影響という事です。

                        
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自然交配でGM汚染しても特許権の侵害!? 
今から申し上げる事は農家の権利に関わる問題で、私の身の上に実際にふりかかった事です。’98年にモンサントが私を相手取って訴訟を起こした事から端を発します。私が「GMキャノーラをライセンスなしで作付けして、特許権を侵害した」というのが彼等の主張です。私はそれまで一切モンサント社とは関わりがなく、種子を買った事もありません。この裁判に訴えられて、最初に私と妻が一番心配になったのは、私達が50年間ずっと培ってきた純粋な種子が、モンサント社のGMキャノーラに汚染されてしまったのではないかという事です。「被害を被ったのは私達の方であって、非はあなたの方にあるのではないか」と訴えました。この裁判は連邦裁判所に持ち込まれました。その後モンサント社は、私が不当に種子を入手したという主張は取り下げ、その代わりに「私の農場の溝の部分にGMキャノーラを発見した、そこにある以上は特許権の侵害だ」と主張しました。2週間半の公判が開かれ、判決が下されましたが、この判決に世界中の農家の人達が非常に驚き、懸念を抱きました。
まず第一にこの判決では「どのような経緯でこのGM遺伝子が混入したかは問題ではない」と言いました。例えば花粉が飛んできて自然交配するとか、種子が鳥や小動物やミツバチによって運ばれたり、水害によって流れるとか、いかにしてGM遺伝子が混入したかは問題ではないと。しかし「混入が起こった場合その農家の持っている種子、収穫は全てモンサント社の所有物になってしまう」と。この判決の中で、私の’98年度の農場からの収穫も種子も全てモンサントの物であると下されました。この判決で、私はもはや自分の家で採れた種子や苗を使う事はできなくなってしまいました。
カナダの連邦法の中では農家の権利は保証されており「毎年自家採取した種子を使う権利を持つ」と述べられています。しかしながらこの裁判の判決で、『特許法』が『農家の権利の法律』に優先する事になってしまいました。
私はすぐに控訴し、一年後に再び敗訴してしまいました。昨年の12月に今度はカナダの最高裁に上訴し、この5月に上告の申し立てが受け入れられ、来年の1月20日から裁判が始まる事になっています。
契約書で農家をがんじがらめ、私設警察で監視!
今、私が手に持っておりますのは、モンサント社が農家との契約に使う契約書です。これは皆さんが企業や政府関係者から全く聞く機会のなかった情報だと思います。
まず自分の家で採れた種子を使う事はできない。次に毎年種子はモンサント社から買わなくてはならない。第三に農薬も必ずモンサント社から買わなくてはならない。第四に毎年ライセンス料として1haの作付け当たり40ドルを支払わなくてはならない。そして最後に機密保持契約という条項にもサインしなくてはなりません。これはもし何らかのトラブルがあった場合、農家の方は友人にも隣人にも誰にも話をする事は出来ないというものです。農家にとって言論表現の自由まで奪われ、報道関係者にも隣人にも言えない、どんなひどい事をされてもそれを公表する事が出来ない んです。
そして最後に申し上げる条項は、本当に悪質だと思うのです。契約を交わしてから向こう3年間、モンサント社の私設警察が農場に立ち入る事を許さなくてはならない、たった1年の契約であっても3年間の立ち入りを許すという条項です。
モンサント社は非常に大規模な私設の警察機構を持っており、アメリカでもカナダでもその警察でもって契約の徹底を行なっています。この契約書の裏にもあり、他のパンフレットにも広告を出していますが、「もし近隣の農家がライセンスなしでGM作物を栽培している事が疑わしい場合には情報提供をお願いします」と書いてあります。もし情報提供を行なった場合は見返りとして、例えば“革のジャケットを差し上げます”という事までしています。
情報が寄せられたらまず2人のモンサント私設警察官をその農家に送り「ライセンスなしでうちのGM作物を作っているのではないか」と言います。農家の方は、「とんでもない、お宅から種子を買った事は一度もない」と言います。すると「お前は嘘をついている。正直に言わなければ裁判沙汰にするぞ。そして裁判が終わる頃には農地を全て失う事になるぞ」と脅します。するとその農家は一体誰が情報提供したのだろうかと考え込んでしまいます。このような猜疑心が農家の間に起こって、これまで長い間に培って来た地域社会の絆とか連帯が崩れてしまう事になります。これはモンサントがやった事の中で、本当にひどい、最悪の事だと私は思います。
私自身は農家としては3代目で、私の祖父母はヨーロッパから北米に約100年以上前に渡って来ました。私の祖父母も父も母も、地域の人達と協力して国を築いてゆこうと学校や病院を建てたり、道を造ったり本当に大変な努力をしてきました。モンサント社の狙いはこういった地域社会の連帯や絆を崩してしまおうという事なのです。
ゆすりの手紙? 巨大企業が恐怖によってコントロール
もうひとつここに書類を持って参りました。これは農家の間ではゆすりの手紙と言われているものです。この手紙は、 「お宅が私達のGMキャノーラなり大豆をライセンスなしで栽培しているという証拠を持っているぞ」と言っています。更に「お宅の作付け面積は、だいたい何haだと思われるので、(それぞれの場合によって)何万ドルを我々に送れ」という手紙で、それを受け取った農家の気持ちは大変なものです。これはまさに巨大企業が恐怖によって農家をコントロールしようという事に間違いないと思います。我々農家の間では、こうした戦々兢々とした恐怖の文化というのが新たに広がってしまったと話しています。
ではちょっと遡りまして、96年に認可が降りて以来、このGMキャノーラおよび大豆を なぜ農家が作付けするようになったのかという理由をお話ししたいと思います。当時モンサント社のうたい文句があって、第一に非常に栄養価が高い、第二に収量が増える、そして三番目に農薬の使用量が減りますよと。 「農薬の使用量が減る」と言われた事が、非常に農家の関心をひいたのではないかと思います。そしてまたモンサント側は、「環境に優しい持続可能な農業を実現する」と、そして「世界中の飢餓を救う事にもなるのだ」と言ったのです。

アメリカのコメ市場戦略 ⑤へ続く

投稿者 hakosuka : 2007年10月07日 List   

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コメント

私は、1990年代のフランスの農業補助金の例を、見たことがあります。食に関する、戦略が、国の安全保障と、同じだということで、
国民のコンセンサスがフランスには、存在したと思います。その当時の、フランスの農業自給率は、だいたい、200%位だと記憶しています。日本には、各制作を将来予想する、国立のシンクタンクが、存在しない。それに、農業関係のトップの人が、土を触ったことの、ない人が制作を決定している。外交防衛戦略なども同じです。(外交は、拉致問題 外務省あってもなくてっも存在感ゼロ)このままでは、日本の農産物の品質の高さが、泣けてしまいます。外国のアナリストには、JAを中心とした補助金の体制をゼロにしないと、だめだというコメントをよく聞きます。国民のコンセンサスとして考えて下さい。以上

投稿者 田中 豊 : 2008年7月27日 21:25

文中に出て来る図表を見たいのですが、どうすれば?

投稿者 ふくなが : 2011年2月9日 12:01

文中の図表を見たいの教えてください

投稿者 tada : 2011年3月17日 09:27

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