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2006年11月17日

鳥獣害対策は、農耕が始まって以来の積年の課題

採集生産・狩猟生産の時代にあっては、人類は、その領域に生息する生物と共存と競合の関係にあったであろう。そして、自然の実りの経過や動物の移動繁殖のパターンを注意深く観察し、機を失しない採集の時や狩猟の方法を選んだに違いない。
だからこそ、気候の激変という危機リンク)や人口増という外圧リンク)に直面するや、農耕への転換という舵取りも可能になったのであろう。人類500万年の歴史の99.8%に及ぶ極限時代を、自然との同化・応合によって自然の摂理を読み解くことがあってこそ、約1万年前の「農業革命リンク)」が実現された。
しかし、同一地域内に生息する生物にとっては、自然の実りと農耕による生産物の区別などしないので、農耕の開始と同時に鳥獣害対策の必要は刻印され、爾来、「鳥獣害対策」は、農業生産にとって積年の課題と化した。
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●獣害対策としての里山
豊かな植物資源のある温帯モンスーン地帯においては、まずなによりも、鳥獣の生息に必要な生息域があったので、人類との棲み分けが成立した。さらに、地域集団の共同管理による「入会地」あったので、そこを、共同体規範に基づいての『手入れ』をすることが、自然界と人間界との中間領域としての「里山」を形成することになり、それが緩やかな鳥獣害対策として機能した。
一方、過酷な自然環境にあった西アジアやアフリカの地域においては、人間中心主義的な土壌もあって、「獣害対策」が対敵闘争として前面に出てくる。
アフリカのマサイ族においては、農作物を草食獣の家畜が食い荒らしても、獣害対策としての柵を設けていなければ補償の対象とはならないリンク)という。牧畜や遊牧においては、肉食獣は草食獣や人間にとっては天敵であり、それだけに確たる対敵闘争として意識されたに違いない。
「農」と「牧」が一体の西アジアの初期事情と、水田稲作が主体の弥生時代以降の日本の事情は、大いなる違いがありそうだ。
●環濠集落
kangosyuraku01.jpg
↑「外土塁環壕集落の性格」の添付図版より
「環濠集落」をめぐっては、様々な解釈がなされている。
・外敵や獣などから集落を守る防御機能
・水稲農耕に必要な首長権力や、共同体の結束強化
・内部と外部での階級差を反映
・牧場の原型から家畜の収容
・上記の発展形としての収容所

私は、土塁が内側なら、害獣対策。(←今回のテーマに合いそう)
さらに濠が多重に成ったり、逆茂木が追加されたら、外敵対策。
土塁が外側なら、家畜の収容。辺りが順当かな? と思っています。
外圧状況に応じて多様に変化していったのではなかろうか?
興味のある方は、ご覧ください。
環濠集落(Wikipedia)
外土塁環壕集落の性格
最後まで読んでくれて、ありがとう
by びん

投稿者 staff : 2006年11月17日 List   

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コメント

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