2006年10月03日

林業は今こそ転換期

総務省の統計データから、今度は林業について考えてみた。
林業経営を見ると、

            林業所得    造林補助金
20–50ha未満     645千円     321千円
50–100          564        511
100–500         352       1,109
500ha 以上     -3,242       12,051

なんと、林業所得はほんの僅かで、補助金が無ければやっていけない状態。しかも規模が大きくなるほど所得が目減りして(農業と正反対)、500ha以上では完全な赤字。
補助金が無ければ成り立たない、林業って、一体何なんだろう?
林業の歴史は意外と新しく、戦国時代の築城あたりが始まりらしい。更に時代は下って、第二次世界大戦に突入すると、多くの木材や燃料が必要とされた。そして戦後復興~高度成長の時代に入り、木材の需要が高まるとともに、森林はどんどん伐採されていった。有名な秋田杉などは、戦争前から高度成長にかけてのわずか50年間で、すっかり伐り尽くされてしまったという。
「モクネット」さん参照。
昔は山の恵みは木材だけではなく、木の実やウサギや熊や鮭など、食生活そのものを山に依存していた。自然に対して敬虔な気持ちをもちながら、その恵みを利用させてもらう、という感覚を人々はもっていたと言われている。
また、森林があるお陰で雨水が川に集められ、人々の生活が守られた。また豊かな川の水が農作物を育ててくれた。他にも防風林になったり、土砂の流出や崩壊を防いでくれたり、山や森林や川というものは、我々にとって不可欠な存在なのだと思う。
つまり、山や森林や川というものは非常に公益性が高く、であるが故にみんなで考え、守っていかなくてはいけないのだと思う。だから植林や造林に対して補助金(支援金)が使われることはもっともだと思うのだが、そのような公益性の高いはずの山や森林が、個人の所有物になっていることにとても違和感を覚える。
現在、木材の需要はがた落ちで、森林の手入れも十分に行き渡っていないと言う。だとすれば、もはや金儲けのための林業に執着する意味など無いのではないだろうか。むしろ本来の公益性、みんなのための、「新しい林業」に脱皮する転換期が訪れているのだと思う。
小松
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2006年09月29日

農業が年金制度に支えられているって、本当?

日本の農家は経営が苦しいらしく、「爺さん・婆さんが死んだら農業をあきらめなあかん」と言う話を聞く事があります。
これは担い手がいなくなる事に加えて、農家収入(年金)が減り経営が成り立ちにくくなるという事でも有るようです。
この農家の経営内容を見ることの出来る資料がありました。
農林水産省、農家経済
平成15年の販売農家の平均では、総収入に占める年金の割合は約21%になります。
単位万円
総収入       1047   
農業粗収益     359
農業外収入     460
年金、被贈等の収入 228
経営土地面積で見てみると、小規模になれば比率が高くなっています。
0.5~未満 26%
0.5~1.0 26%
1.0~1.5 22%
1.5~2.0 19%
2.5~3.0 17%
3.0~以上 14%
年金の問題は、るいネットに多くの投稿があります(年金が国家ぐるみのネズミ講って、本当?)が、農業に限っては目的収入として使われていて、衰退一途の農業を実質的に支えているといえそうです。
これからの農業は、高齢者が他界し担い手が不足する事に加えて、維持するのに必要な年金収入が無くなると言うダブルパンチをくらう事になりそうです。
じぃちゃん
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2006年09月28日

農産物の価格問題、その突破口は?

まめしばさんの記事に絡めて、再び総務省の統計データより
農産物の生産費販売価格の関係を見てみると、例えば水稲では、
       生産費   販売価格 
1980年  19,391円    -
1985   19,939    19,230円
1990   19,706    18,730
2000   19,728    18,770
2001   17,898    15,270
2002   17,766    14,880
2003   17,339    14,800
2004   18,640      -
(うるち玄米、計画外流通米、1等程度)
あらためてデータを眺めて驚いたのだが、生産費は横ばいかやや低下傾向にあるようだが、販売価格は下がる一方。しかも一貫として生産費を下回る完全な赤字レベル!これは他の農産物も同じような傾向にあるようだが、こんな価格構造は、他の産業では考えらないことだ。農産物と工業生産品の価格格差そのものだし、何よりも、市場を介せば買い叩かれる、という構造にしかなっていないのだ。こんなことでは、生産者の活力は奪われる一方で、農業の持続そのものが困難になるだろう。
豊かさの実現によって、モノの価値は「必要か否か」の土俵に委ねられるようになった。しかし、工業生産品は売れなくなり価値を失いつつある一方で、農産物は必要とされ続ける。だとすれば、市場取引から脱却して、消費者と直接つながることが突破口になることは間違いないだろう。産直や宅配は、その一つの答えなのだと思う。
農産物の価格問題とは、「生産者から直接買いたい」、つまり脱市場⇒信任取引、という共認をいかに形成していくか、ということに尽きるのではないかと思う。そのためには、単なる生産手段であることを超えて、農業の魅力や可能性を追求していくこと、発信していくことが不可欠になると思う。それが、これからの生産者に求められる役割なのではないだろうか。
小松
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2006年09月27日

農業の進歩とは時短なのか?

日本農業の実態はどう変わって来たのか?
労働時間についてのデータを見てみます。
総務省の統計データより
水稲10a当りの労働時間と収量は、
年  労働時間(時間) 収量(kg)
1980   64.4   489
1985   54.5   529
1990   43.8   533
1995   39.1   515
2000   34.2   539
2001   33.8   533
2002   32.4   532
2003   31.6   489
稲作の10a当たりの労働時間が、’80年と比較して半減しています。
収量の方は、ほぼ横ばい。
大規模化や機械化で生産効率を上げてきたけれど、収量が上がったわけではなく、その成果は労働時間短縮というところに集約されているということでしょうか?
そう考えてみると、最近新しく出来る資材や機械の工夫には、省力化をアピールしているものが多い。ひもを簡単に留められますとか、何回かに分けてやっていた除草剤も一回で済みますとか、肥料を撒きながら耕うん出来ますとか・・・。
兼業で、会社勤めの傍ら田んぼの世話をする、会社は簡単に休めない、おじいちゃんや女手でも出来る、そういう中でなんとか稲作を続けるために、時短が至上命題になっているという現状を表しているように思います。
でも、時短には本来、可能性も隠れているはず。
同じものを作るのに、短い時間で出来るとすれば、残った時間をサービスや中身の高度化、あるいは社会活動にも向けられる。
そのようにして活動の質を転換してゆくことが、農の再生の鍵を握っているのではないでしょうか。
馬場
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2006年09月26日

国内の生産基盤は守れるのか

食糧法施行後の米の流通
95年の食糧法施行前は米の流通や価格設定は、事実上は国の管理下にありました。かつ政府米の流通割合が自主流通米を上回っていましたが、政府米のブレンド米よりも単一銘柄米を好む風潮が次第に強まり、95年の食糧法施行後は割合が逆転。02年産では、政府米は1・6%と微々たる量です。また、計画外流通米の生産高に占める割合は年々高まっており、01年産で50・8%と初めて5割を突破。02年産では52・4%に増えました。
ところが、流通の自由化を進めていった結果、価格の推移はどうでしょうか。
米の販売価格(単位:円)
     1995年 2000 2001 2002
うるち玄米 60kg 16,330 15,230 14,845 14,370 政府売り,1等
うるち玄米 60kg 18,770 15,270 14,880 14,800 計画外流通米,1等程度
参照 7 -21 農産物の販売価格
米の販売価格は年々下がっていく一方です。今まで政府は、国内の農業生産を守るor発展させるどころか、自由化という形でアメリカ追従や生産基盤の弱体化そのものを推し進めていたのではないかとさえ思えます。

>日本の食糧の要である米さえ、統制を弱め、市場原理を導入してきた結果、構造的には、全く成り立たない生産となり、衰退は火を見るよりもあきらかになってきたのではないでしょうか。
るいネットより

by まめしば
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2006年09月25日

日本の食糧は本当に危ない

鳥取大学の食料統計サイトを見て、日本や中国、インドといったアジアの米を主食とする国々の一人当たりの米の消費量で、一人当たりの消費量が下がっているのは、日本、台湾‥。一方で中国やインドは市場拡大にもかかわらず、米の消費量が変わっていないことが分かります(ここから分かるのは、食文化の変化を受けやすい国は、農地の面積が狭い先進国であるということであることが分かります)。
日本も単位あたり収穫量は上がっているのですが、生産面積が1960年代の半分近くにまで下がり、その結果、生産量も下がっています。そのため、人口増や消費量に対応できる力が本当にありません。

>食糧確保のためには食糧生産の基盤となる農地の確保は必要だし、混乱を避ける為には政府(統合機構)の食糧流通の統制は不可欠、さらに非常時の為には食糧備蓄は絶対必要だと思う。
るいネットより

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2006年09月25日

日本の米の輸出について

初めてブログに書き込みます、ジャックダニエルです。
「るいネット」の小圷さんの投稿を読んで、日本の米余り→減反政策や米の輸出の問題って、どうなっているのか気になりました。
参考までに、以下は兵庫県で農業を営んでおられる足立勝美さんのHPからの引用です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

>政府や国をあてにして何かいいことがあるのか、といつも思います。
「大規模化」も「減反」も「政府主導」であり「押しつけ」を受け入れてきたから変なことになっているように思います。だから「政府がコメの価格や需給に責任を持ち」というように「おかみ」に委ねるのは基本的に反対です。
ただ、既存の農家の存続のために、「米価の下支え制度」は当面必要なことかもしれません。と同時に、理想的にはそんな制度はないほうがいいという前提で、それをなくするために何をすべきか、ということも早急に検討すべきだと思います。また、「コメ以外の農作物を農家が自主的に選択できる条件の整備を行うことが必要」であることは明らかです。さらに、「農民を犠牲にして、流通大手がもうけている」としたら早急に何らかの対策を講じる必要があります。国がやるべきことはこいうような「環境整備」であり、それだけに限るべきだと思います。コメの問題には「構造改革」や「行政改革」の問題が根本にあるように思います。
>結局どうやって米以外の農作物に転換するかということだと思います。一律に30%の割り当てをして、雫ほどの助成金を出しても何の効果もないと思うのですが・・・。
そんなことをしていてはいつまで経っても中途半端な転換しかできません。政府には農家を育成しょうという気がないのかもしれません。
例えば(これは本当の例えで、これがいい方法だというのではありません)転換するための設備や研究に助成をするとか・・・。米農家以外の農家の育成に努めるべきではないかと思います。実際問題として、設備も知識も資本もない者に、転換を迫られても行動を起こせないと思います。これ以上一律に減反面積を押し付けるのは限界だと思います。ただ米を作らなければいい、というような安易な(無策な)方法で解決するような段階はとうの昔に過ぎていると思います。
>ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、「米」のことで気になる記事が11月19日の日経夕刊の一面に出ていました。
要約:
ヤマタネや三井物産は、国内の銘柄米をシンガポール、マレーシア、香港等に輸出する予定。輸出価格は国内販売価格とほぼ同じ。すしなどの日本食向け。「高いが(カリフォルニア米の4倍)うまい」ということで、在留邦人や富裕な華僑等が対象。輸出量は、ヤマタネが来年1年で100トンの予定、三井物産は30-40トンの予定(96年の実績は全体で42トン、95年11月の新食糧法施行で動き出したばかり)。木徳はベトナムの米を中東や近隣アジア諸国に輸出のため精米工場着工へ、丸紅はミャンマー政府と共同で米の生産・輸出へ、ニチメンは中国政府と共同で精米事業へ、日商岩井は中国・豪州産のジャポニカ米を東南アジア在留邦人向けに輸出へ。各社がアジアでの事業に力を入れる理由の1つは国内での成長が見込みにくいから。
この記事から言えること:
銘柄米はうまい、という評価が日本人だけではなく華僑の間でもあること、「高くてもうまければ」買う人はいるということ、買える「富裕な人」や日本人は世界中にいるから、寿司などの日本食が広まれば広まるほど「うまい米」の量は増えるだろうということ。
疑問:
外国で、国内産並みのうまさの米を作れるか、作れるとしたら価格はどうか、国内に輸入されうるぐらいの価格だろうか、輸入されたら国内の米農家への影響はどうなのか。なぜ、国内での成長は見込めなくなったのか、1人あたりの摂取量減少、人口増加の鈍化、洋食の侵食・・か。
>米の輸入については既にこの夏、イトーヨーカ堂や西友がオーストラリア産の新米を扱いました。5キロ1980円で販売したようですが、国産米が安かったため輸入米の低価格を売り物にできなかったようです。「先行投資」といったところでしょうか。
この輸入米にしてもMA米にしても、商社あたりはいつまでも豊作による米あまりが続くとは考えていないようです。当然といえばあまりにも当然ですね。自然はそんなに甘くはないですから。
それなのにただただ減反面積を増やしていくだけの(10年度はなんと39%)無策な農政で大丈夫なんでしょうか。味については私はわかりませんが、MA米とは違っておいしいようです。価格については1980円あたりが底値でしょうから、こしひかり以外の国産米と比べてそう安くはないです。だったらまだまだ輸入米を食べる人は少ない?
輸入米についての不安は農薬の問題です。以前豪州産米でコクゾウムシ(米に発生する虫)が死ぬという信じられないような話がありましたから。そんな米が外食産業にどんどん入ってくれば・・・。
私にとって死角ともいえる米の輸出の話。
確かに考えればあまっているのであれば、輸出すればいいんですね。でも甘い汁を吸うのは商社だけのような気がします。そのことによって米あまりが解消するとは考えられませんが、少しは・・・。
(引用終わり)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
…結局、政府の減反政策とは、強制的な無為無策のもののようで、日本のコメ農家を不安に陥れ、活力を奪っているようです。これでは、農業は再生できませんね。
また輸出の可能性についても、結局一部の誰かが利益を収奪してしまうような構造では、肝心の生産者の活力が上がらない。
減反政策も輸出可能性の模索も、「日本の農家や流通業者や消費者、みんなで考えていかないと、個々がバラバラでは解決策が見えてこない」問題であるように感じます。

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2006年09月19日

小作料と農地価格の格差は、どこから?

総務省統計局 日本の統計 年鑑農林水産業 の中の、
「7-13 都道府県別小作料,農地価格及び使用目的変更田畑売買価格」というデータが興味深い。
「農地を住宅地に転用するだけで,価格が100倍に跳ね上がる!」(るいネット)というだけではなく、小作料にも注目してみた。

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2006年09月19日

農地の価値は…?

『るいネット』の投稿に、『農地を住宅地に転用するだけで,価格が100倍に跳ね上がる!』というのがあって、
私もそれを一緒に見ててビックリしたんですけど、
農地の価値って・・・(>へ<;) (どんだけ低いねん!?)
農業している私は悲しくなります…。
確かに、こんな事では農地を投げ出してしまう人も居るでしょう。
年々、農作物の作付け面積は減り続ける一方です。
原因は色んな事が重なり合ってるのでしょうが、
上記の土地価格の話は、その一つと言えるでしょうね。
参考⇒7-13 都道府県別小作料,農地価格及び使用目的変更田畑売買価格(昭和55年~平成16年)
by ちいさん
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2006年09月16日

地球温暖化って悪い事でもなさそう

地球温暖化で砂漠化が進み、世界規模で農産物の生産量が減少し、食料危機が来る様に報道されていますが、本当なんでしょうか?
地球が温暖化していけば、農作物の作付け適地が北上すると言う事になります。
日本で考えてみれば、北海道の畑面積が全国の畑面積(牧草地含む)の58.4%で、普通畑で見れば48.8%です。おおよそ全国の畑の50%が北海道に集中しています。
日本の耕地種別面積(昭和51年~平成12年)
温暖化が進めば、ジャガイモ等の限られた農産物しか栽培出来なかった畑で、多様な農産物の栽培が可能になるという事になり、自給率向上に貢献する事にも繋がるように思えます。
世界的に同様な地理的条件が存在すると言う仮定が成立するなら、マンザラ悪い事とも思えなくなってきます。
じぃちゃん

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