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2007年12月13日

世銀は途上国を支援するための機関ではなく、搾取のためのインフラを整備するための機関である

アフリカを中心に、世界には食糧危機に瀕している国が多数存在する。どうしてそんなことになっているのか?
これを追求していくと、我々が日頃は“途上国を援助している”と思っている「世界銀行」が、このような事態を作り出した張本人であるという事実が見えてくる。
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まずは、世銀の融資のカラクリと途上国がどんな状況になるかを順におさえていってみたい。

①開発援助と称して世銀が途上国に融資する。カラクリは「アメリカが世界から収奪する仕掛けはこうして構築された」に書いたが、この融資はありとあらゆる手段を使って途上国は強制的にでも承諾させられる。
融資の目的は「途上国を豊かにするため」とか「インフラ整備のため」などと正当化されるが、本当のところは、安い労働力を求めて生産工場をつくりたい多国籍企業や、宝石・貴金属・原油などの資源開発を目的とするグローバル企業が途上国へ進出する基盤づくりのためである。
②安い労働力の供給基盤を形成する。土地を買い占めたり、本国の食糧や商品を流通させることにより、自給自足的な地域共同体を壊し、カネが無くては生きていけない状況に人々を追いやる。
③地元民を低賃金で雇って本国で売れる単一作物を作らせる(あるいは、天然資源を開発させる)。天然ゴム、タバコ、コーヒー、パーム油、茶葉、綿花など、趣向品が多く、もっぱら食糧にならない作物が多い。換金作物や資源を安く買いたたき本国に持ち帰って高く売る。
④逆に、生活必需品などは、グローバル企業が安価に大量生産したものを提供する(途上国の人々は金を出して買うしかない。)。食糧についても、本国の余剰生産物を売りつけることによって、途上国の農業生産を根底から破壊する。近年では、水さえもグローバル企業から買わなくてはならなくなった…。美名のもとでよく行なわれている「食糧援助」も地元の農業生産農家の暮らしを破壊するのに一役買う。
④学校、教育機関などを整備して、「自由」「個人主義」などの思想を洗脳し、共同体破壊をさらに促進。グローバルスタンダードの社会的ルール(「法律・時間・規則などは守るべき」など)を叩き込む。つまり労働者としての従順なメンタリティー(奴隷根性)を植えつけ、労働市場の基盤整備をする(共同体を基盤として生きていた人間は、欧米人が勝手に作った法律や市場のルールにうまく適応できないため、欧米人たちは「労働意欲もなく時間も規則も守らない、人のものと自分のものの区別もつかない下等な未開人」とレッテルを貼って、強制したり不当な条件下で労働させることを正当化する)。
⑤道路・流通網、ダムなどのインフラを整備する。当然、土木事業は多国籍企業のゼネコン土木業者等が受注し、地元の低賃金労働者をこき遣う。途上国の政府が借りた金は、これらグローバル企業に転がり込む。これらのインフラ整備は、実はグローバル企業がより参入し儲けやすい基盤を整備するのが真の目的である。

アメリカをはじめとする先進国は、このような途上国社会の破壊を「開発援助」という美名のもとに推進していく。
その典型的事例が、1960年代から1970年代にかけて盛んに行なわれた「緑の革命」であろう。
「緑の革命」
「緑の革命」というのは冷戦時代、「赤の革命=共産主義革命」への対抗策として推進された側面もある。
つまり「開発を援助する」というのは、自分たち資本主義陣営に途上国を取り込み、そこから搾取するための方便であったわけだ。そして、世銀などが途上国に貸しつけた金は、ほとんどがUターンしてアメリカのゼネコンや化学・薬品メーカー、農機具メーカー、種苗会社、などの懐を潤わすことになった

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「食糧の増産」を謳った「緑の革命」は、現実にはほんの一時期のみ生産量を上げただけにとどまり、その地域の共同体を破壊し、農業と環境に壊滅的な打撃を与え、結果的に途上国の人々をますます貧困に追いやることになった。
参考:世界飢餓にまつわる12の神話
 ※食糧難の直接の原因は「内戦」→「難民化」であって、あれはアフリカ人たちが勝手に起こしている、と考える人もいるだろうが、実情は異なる。詳しくはこのエントリーで→アフリカの内戦、同胞同士の殺戮は、欧米支配の強化のために捏造された民族対立が元で起こっている
この「緑の革命」の失敗のつけは、途上国政府の多額の負債と途上国の環境破壊・農業生産基盤の破壊という形で、全て押し付けられたのである。
「既に世界帝国は完成している」より

ロックフェラーの経営する世界最大の穀物商社カーギルと提携した化学企業モンサント社が、国連と協力し推進してきた「緑の革命」が餓死の原因である。
「国連と一体化」して、カーギル=ロックフェラーは食糧を増産するという名目で、世界中の貧しい国々に単位面積あたりの収穫量が増加するという大豆の種子等と、農薬、化学肥料をセットにし大量に売り付けてきた。この種子は水を大量に必要とするため、井戸を掘る事業もセットにされていた。それ等の購入費用は貧しい国に借金として残った。

このようなカラクリによって、もともと貧困な途上国政府の財政は必然的に破綻する(世銀はもともと第二次大戦後の復興のためにできた組織で、日本やドイツなどに貸し付けて金利をがっぽり取って儲けていたが、1960年代から戦後復興が一息ついて貸付先が無くなってきた。その貸付先探しの大義名分が「緑の革命」である。これら貧困国は貸し付けても戻ってくる可能性が低い)。が、そうなると次の搾取サイクルに突入する。
IMFの介入である。
IMFは、追加融資した政府に対して「コンディショナリティ」を設け、その国家の政策をコントロールする。第三国の政策に対して外から口を出す権限を得るわけだ。
緊縮財政を敷き福祉などの支出を大幅カット、税金△で国民から搾り取るだけ搾り取り、市場開放、貿易の自由化、公的機関の民営化などを強制的に推し進め、徹底的にグローバル企業の餌食になるためのお膳立てを行なう。
これが、第二の刈り取りである。
彼らにひどい目に合わされた国に行って聞いてみるといい。「世銀やIMFって何のためにあるの?」と。彼らは、きっと「連中の首を絞めてやりたい」と答えるだろう。
それでは世銀は、こんなエゲつないことをやる原資をいったいどこから得ているのか?
それは、このエントリーに既に書いた。
世界の収奪のカラクリ:世銀は途上国を救うためではなく搾取システムを構築するために存在する
我々があくせく働いて稼いだ金から、税金の一部として、この不条理なカラクリを動かす為に献上させられているのだ。特に最貧国への融資を主に行うIDAなどは最初から踏み倒されることを前提としている。我々の税金が途上国を破壊し搾取するグローバル企業に投げ与えられているようなものである。
だから、このような結論になる。
世銀(IMFやIDAも含む)は世界から貧困を無くすためではなく、全く逆に第三世界を破壊してそこに住む人々から(さらには先進国の国民から)、多国籍企業が収奪し尽くすためのインフラ整備を担っている機関である。
しかし、マスコミは決してそのようなことは報道しない。
このような不条理なシステムを構築し運営している勢力は、メディアをも握っており、我々に事実を知らせないようにしているためである。
彼らは、この不条理な搾取システムに反対する勢力を「テロリスト」「悪の枢軸」と呼んで殲滅しようとする。しかし、ここまで読んできた読者は分かるはずだ。誰が真の「テロリスト」であるか、誰が真の「悪の枢軸」であるかを。

投稿者 nanbanandeya : 2007年12月13日 List   

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コメント

まあ・・それを認めたら農地なんて無くなっちゃうでしょうね~。
その間に既存の農家は潰れ・・
企業はいずれ転用・・
ユニクロもすぐ撤退しちゃいましたものね・・。

投稿者 mimi : 2008年5月16日 18:16

mimiさんコメントありがとうございます。
現在の農地法はかなり厳しいので、転用が難しいですが、これが悪意の元で改悪?されたら・・・転用だらけになって、農地は無くなりますね(@_@。
このままではヤバイ!と言う危機感を抱きつつ、事実を発信して行く事が大事なんでしょうね。

投稿者 まるいち : 2008年5月16日 21:00

うーん、農地の荒廃や後継者の問題で困っているのは、主に中山間地ですよね。
企業の参入が容易になったからといって、そういった地域には参入してこないでしょ。
だって、手間ばかりかかって儲からないもの..
なんか、ピンボケな対策ではないでしょうかねぇ。

投稿者 ぴりらに : 2008年5月20日 07:18

うーん、どうなんでしょ。
農地の荒廃や後継者が居なくて困っているのは、主に中山間地ですよね。
そういった条件が悪い場所には、企業は入ってこないでしょうね、儲からないから。
だから、諸問題の解決には結びつかないんじゃないでしょうかねぇ。
なんだか、ちょっとピンボケな対策という感じがします。
それに、誰が今時、その農場で働くの? 労働市場自由化への足がかりとされるんじゃないかなぁ。

投稿者 ぴりらに : 2008年5月20日 07:24

ぴりらにさん コメントありがとうございます。
どう考えても、この対策が国内農業を活性化させ、食糧自給率を上げるとは思えませんよね。
条件の良い土地は転用して価値を上げて売って儲ける、と言うのが市場原理ですからね。たぶん中山間地の農地は見捨てられるか、平地に出来るところはして転用、みたいな事になるのではないでしょうか!?

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