2008年2月1日
2008年02月01日
ヴァーチャルウォーターは、共認社会の新たな評価指標になるか?(1)
21世紀は、水をめぐる争奪が危惧されています。地理的な特性からくる降雨量の違いもさることながら、営まれる生活の違いや生産活動の違いによって、実質的な水需要は変動します。
その実態を把握するに当たって、「ヴァーチャルウォーター」という概念を「東京大学生産技術研究所の沖 大幹教授グループ」は提唱し、試算数値データを開示(http://hydro.iis.u-tokyo.ac.jp/Info/Press200207/)しています。そのデータを参考にさせていただきながら、問題点を追ってみたいと思います。
◆ヴァーチャルウォーター(VW)とは、何か?
ヴァーチャルウォーターとは、ロンドン大学のトニーアラン教授が1990年代初頭に思いついた概念、だそうです。当初は、中近東諸国のように一人当たりの水資源量が絶対的に少ない国々において、水をめぐる国家間の争いが激化していないのは何故か? というと、大量の食糧を国外から輸入することにより、自国で生産した場合に比べて国内の水資源を節約できているので、食糧の輸入はヴァーチャルウォーター(仮想水)を輸入している様なものだ、と捉えたということです。
同様の趣旨で、日本が輸入している穀物を日本で栽培していたらどの程度の水資源が必要であったか、あるいは畜産製品を生産するための飼料用の穀物の生産等にはどの程度の水が必要であったかを、日本における生産場面で必要とされる水資源(灌漑水+天水起源の土壌水分)と単位面積当たりの穀物の収量(単収)を考慮して算出したものを、沖 大幹教授グループは[仮想投入水量(=ヴァーチャルウォーター)]と定義し直しています。
すなわち、ある製品の単位量を生産するのに必要な水量を「水消費原単位」といいますが、それを輸入元の単位とするか、輸出元のものとするかで、
輸出元 → [現実投入水量]
輸入元 → [仮想投入水量]=ヴァーチャルウォーター(VW)
と整理した、ということです。
投稿者 ayabin : 2008年02月01日 Tweet