【書籍紹介】農産物の銘柄づくり戦略 |
メイン
2009年02月06日
いのちの種を未来に・・・固定種・F1種・遺伝子組替種子の問題
■お久しぶりです!まるいちです。
最近はずっと「みんなが、社会が【農】に期待していることは何か?」を考えています。
食の大元、お米や野菜を作ること、はもちろん、教育や癒し、充足の場を提供する事・・・いっぱいあります。
今日は、「自家採種に挑戦!野菜の生命力を引き出す」の記事にもありますが、現代に野菜達の品種の記事です。
まず、将来に向けて日本で育ち、根付いた【固定種】を守ろう、と努力している「野口の種・野口種苗研究所」の紹介です。
この中では、遺伝の法則、固定種とF1種の違い、F1種の作られ方、そして遺伝子組み換え種子の話まで触れられています。 少し長いですが、引用します。
最後の続きには、重複する部分もありますが、野口さん著作の本【いのちの種を未来に】の要約を紹介しておきます。
●以下、「かわいそうな野菜たち」より引用
もともと固定種というのは、何かと何かが自然交雑してできたものがほとんどです。交雑して変わった形態が出てきたものを何年もかけて作り続けながら固定していき、それが人手に渡り、また違う土地で栽培され、交雑と気候により変化していきます。交雑と、土地に適応しようとする野菜の力で、多種多様な作物が産まれてきたのです。
キュウリは今、「ブルームレス」というカボチャ台木に接いだ真っ青なF1ばかりになっていますが、昔のキュウリというのは「半白」タイプのものでした。「華南型」といって黒いイボの、日本では一番古いタイプのキュウリです。全身青いタイプのキュウリは「華北型」といって、明治以後、日清・日露戦争を経て入ってきた品種です。そしてこれらのキュウリが交雑して固定種になっていくうちにF1の時代になり、味がなく堅いだけの「ブルームレス」キュウリの全盛時代になってしまいました。
現在、なぜ一代雑種の時代になったかというと、戦争で食べ物がなくなったことが原因です。第二次世界大戦後、都市はまったくの焼け野原でした。大勢の兵が復員してきたりして、食料は絶対的に不足していました。アメリカの進駐軍が、この状況を改善するよう要求してきました。増産に必要な化学肥料は、大正時代から存在しています。電気で水を分解して空中の窒素を固定するという方法で化学肥料を製造してきました。ところが戦後、電力不足で窒素肥料ができなくなりました。窒素肥料は爆弾原料でもあります。戦後、爆弾の必要性がなくなり、アメリカの軍需産業の爆弾原料が余ってしまい、食糧不足を窒素肥料の利用で解消しようとしました。
それと同時に復員兵が海外から持ち込んだシラミ防除のためにDDTが日本に上陸しました。また同じころに日本に農業協同組合ができました。タキイ種苗が「長岡交配福寿1号トマト」という初めての一代雑種のトマトを作って売り出しました。それまでも農業試験場等で一代雑種は作られていましたが、販売したのはタキイ種苗が初めてです。タキイ種苗は、これから続々と一代雑種の種を発表していきます。
食糧難の時代に、化学肥料とDDTにはじまりパラチオン(ホリドール)等の農薬が外国から入ってきて、大量に使われました。食糧増産という掛け声の中で、ビニールハウス、農薬、化学肥料、一代雑種は成長していきました。
1971年日本有機農業研究会が発足しますが、その前に野菜指定産地制度を含む野菜生産出荷安定法が公布されました。これがモノカルチャー(単一作物生産)の元凶です。高度経済成長とともに、農家は長男だけが残り、次男・三男は都会の他業種へ移行していきます。残った長男たちは食料増産のために畑を大規模な指定産地にして、地元の農協に舵取りをさせて、地域の作物を全部まとめて、単一作物生産農家を生み出しました。
単一作物生産農家なら天候不順で経営が悪化した場合、補助金を出すという指定産地制度のおかげで日本中がモノカルチャーになり、周年栽培を売り物にしたF1が台頭してきました。それまで自分で種採りしていたのが、種を買う時代となりました。これがF1、一代雑種誕生の歴史です。
メンデルの法則は、メンデルの死後認められました。それが世界で広まり日本にも伝わりました。当時の日本は、蚕が最大産業で、メンデルの優性の法則と雑種強勢を利用して、世界で初めて蚕を使って一代雑種の生き物を作りました。その後、植物でもナスなどを使って一代雑種を作ってきました。当時、アメリカでは一代雑種はトウモロコシで使われていました。戦争が始まるまで、一代雑種の研究は試験場で行い、種屋に技術を売っていました。
戦後は、種屋が自ら一代雑種を作っていきます。つい最近まで、マメ科とキク科だけは一代雑種はできないと言っていましたが、シュンギクやレタスでできるようになりました。インゲンでも雄性不稔が見つかり、近々できそうだということです。
一代雑種の種がどのように作られているか説明します。現在、私たちが普通に食べている野菜は、種を作る過程がブラックボックスのようなものです。種屋は製造過程の秘密を明かしません。種の小売店にも明かしません。一代雑種の作り方はそれぞれの花の構造によって異なりますが、以下のようです。
ナス科の場合、花が開いてしまうと自分の花粉で受精してしまうので、つぼみの時につぼみを無理やり開いて雄しべを全部抜き取ります。元の花が持っているオスを取り除くのでこの操作を「除雄」といいます。雌しべのみにした花に必要な種類の雄しべの花粉を運んで掛け合わせます。これが一代雑種の作り方の基本です。
この「除雄」という概念がすべてに広がって行きます。いまだにトマト・ナスはこの方法で一代雑種を作っています。ウリ科は同じ一株に雄花と雌花があります。他殖性なので、自分の花粉より他の株の花粉をほしがります。でも同じ品種の花粉が付くと一代雑種は作ることができません。翌日咲きそうな雄花をちぎるか、洗濯ばさみのようなもので物理的に開花しないようにしておきます。そして、必要な品種の雄花を集めておき、雌花の開花前に花をこじ開けて人間が受粉します。
アブラナ科の一代雑種製造は、最近まで日本のお家芸といわれていました。これを発見したのは、タキイ種苗にヘッドハンティングされた研究者の禹長春博士です。自家不和合性を利用する、アブラナ科野菜の一代雑種の作り方を確立しました。アブラナ科の野菜は、自分の花粉では実をつけることができません。他の株の花粉でないと、実が付かない性質をもっています。自分の花粉では実が付きませんが、同じ母親からとれた種、兄弟分であれば実がついたりします。この兄弟分の花粉がかかっても受精しないよう、純系の度合いを強めてホモ化し、自分の仲間では絶対に花粉が実らないようにします。
例えばそのような小松菜とカブを作ったとします。その小松菜とカブを交互に畑に蒔きます。そうすると、小松菜の花粉がかかったカブと、カブの花粉がかかった小松菜が実ります。必要なのがカブの花粉がかかった小松菜だとしたら、それが受粉して種が実ったことを確認したら、他方は全部潰してしまいます。こうして必要な、小松菜が母親でカブが父親の種だけを取ることができます。これが自家不和合性利用です。
この親を維持するために日本人の手先の器用さがいきてきます。自家不和合性は開花すると機能しますが、幼いつぼみのときは機能しないので自分の花粉で受粉します。つぼみ受粉で親をつなぎ、つないだ両親を交互に蒔いて掛け合わせるというわけです。親を維持するために小さな菜の花のつぼみを開いて受粉を繰り返すというのは気の遠くなる作業でした。今はつぼみ受粉を行わず、密閉したガラス温室に一酸化炭素を流し込んで、一酸化炭素中毒にする。そうすると成長した菜の花でも、苦し紛れに自分の花粉で受粉するのだそうです。
ニンジンやタマネギは雄性不稔(葯や雄しべが退化し、花粉が機能的に不完全になること)を利用します。これを最初に発見したのはアメリカの人で、タマネギを栽培していて発見しました。人間も1万人に一人ぐらいの割合で男性原因の不妊が出るそうですが、植物にもまれに葯や雄しべが退化した株が出てきます。その株は自分の花粉では実がつきませんから、それを利用するわけです。雄性不稔は、ミトコンドリア内の遺伝子の変異が原因で起こる母系遺伝ですから、雄性不稔株の子は雄性不稔になります。雄性不稔の株を増やしておいて、そのそばに必要な品種を栽培しておけば、なにもしなくても一代雑種の種が実ります。雄性不稔を利用するのが一番生産効率が良いということで、キャベツやハクサイの自家不和合性個体も、ダイコンの雄性不稔株を使って雄性不稔化され、現在、雄性不稔利用が一代雑種生産の主役になっています。
トウモロコシは、上にある雄花の花粉が下の雌花に落ちて受粉します。トウモロコシで最初に一代雑種を作ったときは、数万人の学生アルバイトを動員して、トウモロコシ畑のすべての雄花を刈り取る除雄方式だったそうです。トウモロコシは風媒花なので、そばに必要な花粉のトウモロコシを植えて生産していました。タマネギで雄性不稔が見つかったので、トウモロコシでもあるはずだと探して見つかったそうです。トウモロコシで見つかった雄性不稔株で実用化されたのはたった一種類でした。その雄性不稔株にいろいろな種類を掛け合わせて、様々なトウモロコシを作りました。ところが、その雄性不稔株が特定の病気に抵抗性を持っていなかったために、アメリカ全土のトウモロコシがその病気で一斉に駄目になってしまったことがありました。以来、いろいろな種類の雄性不稔系統を探し、現在のトウモロコシ王国になりました。
蚕から始まった一代雑種作りの原点は、「自家不和合性」や「除雄」での「雑種強勢効果の発現」が目的でした。「雄性不稔」が見つかってから、いかに雄性不稔株を見つけて増殖し、また近縁種に取り込むかということが土台になりました。その株に何をかけたら効率よく商品ができるかという一代雑種作りに変化したのです。今では「雑種強勢」はあるに越したことはないが無くてもいい。と、ないがしろになってきました。そして今は、雄性不稔株を見つけるより「遺伝子組み換え」技術で雄性不稔因子を組み込もうという流れになっています。この流れは「遺伝子組み換え反対」を叫び続けないかぎりどんどん進んでいくでしょう。
一代雑種ができにくい植物に、キク科があります。例えばタンポポの花は、ひとつの花ではなく無数の花が集まってひとつの「花」の形をしています。品種改良のためには、この一つ一つの花に他の花の花粉をかけて、一粒ずつの雑種を生み出します。キク科はイネと同じように自殖性ですから、良い組み合わせの雑種が一株でも生まれれば、それを殖やして新品種が誕生します。でもこの新品種は、イネと同様固定種になって、種を買った人が自家採種すれば簡単に増やせてしまいます。開発者の権利が守られません。そこで種苗の「品種登録制度」というものが生まれました。
キク科のゴボウは放射線を照射して遺伝子に傷を付けると短くなるということがわかって、短い新品種が生まれました。その新品種の保護期間が過ぎたため、もう一度放射線照射をしたころ、もっと短くなって、おまけにゴボウ特有のアクまでなくなりました。こうしてできた新品種を再度品種登録したのがサラダゴボウです。自家採種できますが、それをすると訴えられます。また、植物には傷付いた遺伝子を修復しようとする機能がありますから、長くなったりアクが出てくるかもしれません。
最近はキク科のレタスで一代雑種ができるようになりましたが、これはレタスの花が大好きなハエを発見し、雄性不稔株レタスのハウスにそのハエを離して、一つずつの花の交配を可能にしたんだそうです。ただ、ハエの数も限られているし、隔離した環境で行わなくてはいけないということで、種の収量が少なく非常に高価なものとなっています。
放射線照射を調べていたら、放射線照射こそ環境汚染であるといって非難しているホームページがありました。なんと遺伝子組み換え推進派のホームページでした。
現在、植物の遺伝子組み換えには、「アグロバクテリウム」という細菌を使う方法が一般的です。
「アグロバクテリウム」とは、「根頭癌腫病」という植物のガンといわれる病気を引き起こす植物病原性土壌細菌です。植物に感染して、自分の体内の遺伝子領域を宿主の細胞の核内に送り込み、自分が生きていくために必要な養分を作らせます。この菌を利用して遺伝子組み換えを行うわけです。ただ、今日でも、アグロバクテリウムの遺伝子がなぜ細胞に入り込むことができるのかは未解明です。その程度のものに任せて遺伝子組み換えを行っています。
現在は、農薬がらみの遺伝子組み換え作物が現実に使われていますが、組み換えをした作物は自分で遺伝子修復の機能が働いているそうで、長続きしないそうです。一番怖い遺伝子組み換え技術が「ターミネーター」と呼ばれるものです。「ターミネーター」種子は、農家の自家採種を抑えるために開発されています。これは世界中から反対を受けていますが、今でもひっそりと実験を続けていると非難されています。
今、種苗会社の世界で恐ろしいことが起きていて、GM(遺伝子組み換え)開発会社が世界各地の種苗会社を傘下に入れつつあります。今後、資本を乗っ取られた種苗会社でGM種が売られることが危惧されます。
続きを読む前にポチっと☆応援ありがとう!
本の紹介【いのちの種を未来に】野口 勲 (著)です。
●(プロローグ)固定種の野菜は生きた文化財
1、伝統野菜の味は「百聞は一口にしかず」
昔のキュウリはうまかった。
2、伝統野菜はほとんどが「固定種」
伝統野菜は かつてよそから持ち込まれてきたものが、その地でしっかり根付く為に、そこの気候や風土、作り方などに適応、変化して生まれたもの。そして、その中でも良くできた野菜を選抜して種を採り、その種をまいて育てた中から再び良いものを選抜して種を採り、といった事を繰り返す事によってその野菜の形や色、味などの形質が固定されたもの。
このようにして生み出され、遺伝的に品種として独立していると認められた野菜を「固定種」と言う。
3、モノカルチャー化している野菜
「今の野菜は味がしない。昔食べた野菜が懐かしい」「いつも同じ野菜が手に入るから、なんか食べ物から季節を感じる事が少なくなった」
現在、店頭に並ぶほとんどの野菜がF1種。どこでも同じ野菜を作るようになったため現在の日本の野菜文化は「モノカルチャー化」してしまった。
また、外食産業の要求は「味付けは我々がやるから、味の無い野菜を作ってくれ。また、菌体量の少ない野菜を供給してくれ」
4、多様性の時代・地方の時代にふさわしい野菜とは
固定種は遺伝子の最大公約数のようなものでそれぞれの地域の気候風土に適合する為の多様な能力を秘めている。
一方、F1種はその一代限りであり、わずかな個体の最小公倍数のようなものであり、多様性が無い。
5、日本の野菜を本来の固定種に戻したい
●(第一部)種と種屋と種苗業界の素顔
1章:野菜の固定種とF1種をめぐって
1、固定種とF1種の決定的な違い
・品種改良は「メンデルの法則」「雑種強勢」を利用し、掛け合わせる事で新しい品種を作ること。
「メンデルの法則」は「親から子に遺伝していく「遺伝形質」には、顕性形質(優性形質)と潜性形質(劣性形質)があり、それぞれの遺伝子の組み合わせによってその子の形質が決まる」と言うもの。
「雑種強勢」とは、異なる形質のものを掛け合わせると、その一代目の子供に限って特に収量や生育速度といった能力が両親よりもすぐれるという現象が起こる事を言う。
・固定種とは上記の性質を利用し、掛け合わせながら固定してできた品種で、これを「交雑固定法」と言う。
・F1種は「交雑によって生まれた第一代目の子」をあらわし、「一代雑種」「一代交配種」と呼ぶ。
※交雑固定法による固定種は、雑種強勢で生まれた特質を固定しようと代々繰り返し選抜していくので、品種として確立する代わりに。雑種強勢の効果は落ちる。
「それならば一代目だけを売ればいいじゃないか」と言う事で戦後生まれたのがF1種。
2、プロの農家のために開発されたF1種だが
・F1種は「生育が多くて実が多くなる」雑種強勢のおかげで収穫量が増大し、生長収穫も一斉なので栽培計画が立てやすい、形態が揃っているので出荷時の結束や梱包がしやすいというメリットがある。
→現在流通している野菜のほとんどがF1種になった。
しかし、二代目は形質がバラバラになるので、毎年メーカーの言いなりになって高価な種を買わざるを得なくなる。
3、固定種は計画生産に向かないけれど
・固定種の良い点は自分でも種を取れること。(種屋にとっては困った事)
生長が不揃いで生育も遅い為、自給用菜園では育ったものから順にとって行く事で長期にわたって収穫できるメリットはある。
しかし、これは生産農家にとっては最大のネックになる。
種の安定供給が保障されないのも困りもの
4、風味はF1種よりも固定種のほうが勝ります。
・味に関して言えば、F1種よりも断然固定種の方が勝る。
5、野菜がF1種に席巻された理由
・戦後の食糧難の時に窒素肥料と有機リン剤の農薬を使用し食糧増産が図られ、その後F1種が開発された。
・S41年に「野菜生産出荷安定法」が交付され、指定野菜を生産する「野菜指定産地」が指定された。指定産地になれば価格補てんされるので単作(1種類の野菜だけを作る)農家が生まれてきた。
→農業のモノカルチャー時代の到来。
6、F1種の作られ方
1)除雄(ナス科)
トマトもナスもナス科の植物でナス科の花は一つの花に雄しべと雌しべがあり自家受粉する事が出来るので自家受粉させないように花が開く前のつぼみの内に雄しべを全部抜いて雌しべだけにする。この作業を「除雄」と言う。そしてその花に必要な種類の花の花粉を受粉させる。
これが、F1種作りの基本。
2)物理的に自家受粉させない(ウリ科)
ウリ科の植物は、一株に雄花と雌花がつく。他殖性が強く自分の花粉よりも他の花粉を欲しがる。
だから、ウリ科の場合は勝手に受粉させないように咲きそうな雌花を洗濯ばさみのようなもので物理的に開かないようにしておき、必要な花粉を人為的に受粉させる。
3)自家不和合性を利用(アブラナ科)
アブラナ科植物の多くは自分の花粉では種を付ける事が出来ず他の株の花粉を受粉した時にだ種を付ける。これを「自家不和合性」と言う。
アブラナ科は自分の花粉では種がつかないが、同じ母親から取れた株(つまり兄弟同士)だと実が付く事がある。そこで兄弟同士でも種がつかない系統を見つけ出し、繰り返し掛け合わせる事で自分の仲間では絶対に実がつかない系統を作り出す。
この系統を利用して様々なF1交配を行っている。
系統の維持はアブラナ科は押さないつぼみの時だけは自家不和合性が機能せず、自家受粉で種を付ける事が出来るので、この「つぼみ受粉」で行っている。
最近はこの「つぼみ受粉」を行わずにビニルハウス内の二酸化炭素濃度を上げて処理している。(二酸化炭素濃度を上げると生長した花でも自分の花粉で受粉する)
4)雄性不稔の利用
最近のF1種づくりでは雄性不稔利用という技術が主役になっている。
雄性不稔とは葯や雄しべが退化して花粉が機能的に不完全になる事で、平たく言えば無精子症。
雄性不稔の株を増やしそのそばに必要な品種を植えておけば何もせずにF1種が取れるので、この方法が最も効率が良い。
最近はトウモロコシ、人参、キャベツやハウ菜にも用いられる。
5)現在のF1種は雑種強勢を狙ったものではない
雄性不稔が見つかるまでのF1種作りは雑種強勢を得る事が目的だった。しかし、現在は「雄性不稔の個体さえ見つかれば、F1種を作るのにお金がかからない」と言うわけで、もう雑種強勢とはほとんど無縁になっている。
※「雑種強勢が働いているからF1種は良いものだ」という理屈は通用しなくなった。
6)放射線照射による新品種
キク科はたくさんの花を持つので人手で甲はするのはたいへんな手間がかかり、雄性不稔も見つかっていない。
現代は、放射線(コバルト線)照射のゴボウが開発されている。
「コバルト極早生」でその後これにさらにコバルト線を照射し「てがるゴボウ」「サラダむすめ」が生まれた。
7)遺伝子組み換えの研究は今も進んでいる。
現在、一般的には「アグロバクテリウム法」(=植物土壌細菌に遺伝子を乗せ植物の細胞にと飛び込ませる方法)を採用されているが、何故菌が細胞の中に入れるのかは未解明で「とにかくそういう事が起こるのだ」と言う事で遺伝子組み換えは行われている。
※遺伝子組換え作物は花粉の飛散によって同じ仲間の植物を次々に遺伝子組み換え植物に変えていってしまう。
また、根から土壌細菌に移動し細菌間に広がり、種の違う植物をも汚染する「水平移動」も起こすと言われている。
★本当に怖いのは「ターミネーターテクノロジー」と呼ばれる、遺伝子操作によって種子の次世代以降の発芽を押さえてしまう技術。
これは農家による自家採取を不可能にする為の技術で世界中から反対され今は行われないことになっているがひっそり研究が続けられているといわれている・・・遺伝子組み換えに対するアレルギーがなくなるのをひたすら待っているのでしょう。
8)F1種の「伝統野菜」の是非
形だけのF1種の伝統野菜で良いのか?商標登録や県外販売の禁止など、権利の独占と同じように今後の大きな課題になる。
9)固定種を栽培するメリット
固定種の栽培は、各地の先人達が苦労して育て上げてきた文化遺産とも言うべきものでその味わいは格別。叉、家庭菜園に向いている。
何より自家採取が可能である事がメリット。
2章:種屋と種苗業界の推移・裏表
1)種屋の発祥は江戸時代
尾張の「方領」が「練馬」になり、固定種になっていく。
これらの種を専門に扱う種屋が江戸時代から始まった。
2)明治から戦前にかけ、個人商店から種苗会社へと発展
3)F1種とホームセンターの影響で種屋が激減
4)「なあなあ」主義の種屋業界
5)いまや海外採種があたりまえ
6)種の価格は通販価格から決まる
7)種子業界はバイオメジャ-に乗っ取られる?
・日本には遺伝子組み換えにアレルギーがあり、日本の各メーカーは「遺伝子組み換えを絶対やりません」と言っているが解放系利用栽培計画の確認申請が出され、農水省は確認を下ろしている。
・これまでに商品化された遺伝子組み換え作物は、じつはすべてシンジェンダ(スイス)、バイエル(ドイツ)、モンサント、ダウ、デュポン(以上アメリカ)の五社によって開発されたものであり、この五社は世界の農薬市場の68%を占めると言われている。
買収等で日本のメーカーが乗っ取られる可能性もある。
3章:野口種苗研究所を受け継いで
●(第二部)今どきの野菜の種明かし
1章:ヒョウタンで知る固定種づくり
2章:キュウリの味覚・外観・素性
3章:多用なナスは気候・風土の所産
4章:F1種に席巻されたタマネギ・ネギ・ニンジン
1)雄性不稔は細胞内のミトコンドリアという器官にある遺伝子が、傷つき、変異する事が原因のよう。酸素をエネルギーに換える役割を持っているミトコンドリアは、他の体細胞とは異なる遺伝子を持っており、生物の進化の過程で、酸素を好む好気性バクテリアの細胞を真核細胞の中に共生させる事で獲得した器官。そしてミトコンドリアは必ず母親の形質を引き継ぐ。つまり、雄性不稔の株を母親にして掛け合わせるとその子供は必ず雄性不稔になる。
★雄性不稔利用の前のF1種は父親と母親の好ましい形質を利用し、雑種強勢でその相乗効果を期待して作られたものだが、雄性不稔の場合は母親に必要とされる要素は雄性不稔と言う要素だけ。
本来ならば自然界で淘汰されて消えていくような不健康な株が、現在流通している多くの野菜の母親になっている。
5章:在来種が生まれやすいアブラナ科野菜
※アメリカの研究機関が「ブロッコリーのスプラウトがガンに効く」と発表してアメリカの種会社は活路を見出した。
種会社の仕掛けではないか?とも考えられる。
6章:不思議な野菜「のらぼう」の秘密
・ほかのアブラナ科と交雑しない、おいしく、種が大量に採れ、油も取れる。この「のらぼう」を広めていけば、危険な遺伝子組み換えのナタネを使わなくても日本で食用にも製油用にも使える。
●(第三部)野菜固定種の種 取り扱いリスト
投稿者 nara1958 : 2009年02月06日 TweetList
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.new-agriculture.com/blog/2009/02/779.html/trackback
コメント
投稿者 旬 : 2009年8月15日 04:24
gucci gg 2851 s 新しい「農」のかたち | 産消提携を探る その2 有機農業運動
buy hermes belt http://madducksrecords.com/acquire-hermes-bags-and-bags-for-valentine.asp
投稿者 buy hermes belt : 2014年1月15日 22:42
hermes birkin price 2013 uk 新しい「農」のかたち | 産消提携を探る その2 有機農業運動
投稿者 united kingdom hermes : 2014年1月30日 04:57
hermes taschen victoria beckham 新しい「農」のかたち | 産消提携を探る その2 有機農業運動
投稿者 hermes constance bag : 2014年2月2日 18:26
hermes intensivpflege 新しい「農」のかたち | 産消提携を探る その2 有機農業運動
投稿者 Norway Hermes : 2014年2月6日 19:19
新しい「農」のかたち | 産消提携を探る その2 有機農業運動
投稿者 wholesale bags : 2014年2月9日 19:48
hermes bags auction teacher 新しい「農」のかたち | 産消提携を探る その2 有機農業運動
投稿者 orange hermes : 2014年2月21日 11:36
ポラン広場
http://www.polan.net/polanz.html
今週の畑
http://www.biomarche.jp/blog/farmer/sb.cgi?cid=0
を覗いてみました。
農業生産にまつわる様々なことを
映像と短文が発信されていて
好感がもてました。