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2009年02月05日

【書籍紹介】農産物の銘柄づくり戦略  

今回は、このブログで本の紹介をします、正国です。
気になる部分を抜粋引用しています。
特に「頭で食べる時代」というのは、時代の流れとしてポイントだと思います。
【書籍紹介】農産物の銘柄づくり戦略  坂本文雄著
○銘柄とは何だろう
 銘柄の字を分解すると、お金名前になる。
 お金と名前はついて回る。だから、有名になることはお金も入るということである。銘柄の柄は、あいつはガラが悪いとか良いとか、服装や態度などの印象をみる場合によく使われる言葉である。そうすると、銘柄とは、服装や態度や行動や製品などに関するガラの上に、名前やお金に責任を持つという意味が込められているということだろう。
○市場が望む条件を耕す
 卸売市場から評価を受ける銘柄産地の条件とは。
 ①計画的、安定的かつ継続的で、適切な出荷量を有すること。
 ②絶対的に優秀な商品力を有すること。
 ③他産地が容易にまねの出来ない組織力、情報力、機動力を有すること
 ・・・他の産地を圧し、足元にも寄せ付けないほどの強い競争力を持っていなければならない、ということである。
○情報を見る目と発信できる力
 とにかく、生産や流通、消費をめぐるあらゆる玉石混交の情報がとびかっているため、よほど目をこらして対処していかないと、山と積まれた資料を前になすすべもなく、いたずらに時間だけが過ぎていくことになる。情報化社会だけに、だれもが情報を入手しやすい環境にあるが、逆に、自分にとっては何が価値ある情報なのかを注意しながら、情報を取捨選択することをしないと、ロクな対応は生まれてこないことになる。
 しかし一方で、園芸農産物は、販売を促進する上で「自分が作り出す発信情報」がより重要である。どんな情報を集め、整理し、あるいは作り出して、取引先や消費者に提供していくか。まず、生産ありきであり、そのことが販売、消費につながっていく以上、それがまず第一である。
○”楽農”にも迅速な対応を
 「作れば売れる時代は終わったのだ、取引先や消費者が欲しいものを、ほしい時期に提供する時代だ」といわれて久しいが、なかなか実際の取り組みには結びつかない。本当にできないのなら、これこれの理由で困難だという反応さえもない。資金や技術、労力の問題でたしかに即応がむずかしい事情もあるが、従来からこれでやってきた、という意識が先に立ち、変化への対応がおろそかになっていないだろうか。
 現状のやり方に固執し、指摘された点はむずかしいから、自分に都合のいい他の点を改善してみようと、指摘を歪曲する。そのように、現実から目をそらし、根底からの改革に勇気が足りないのでは、取引先と連携して互角に取り組んでいくことはできない。
 実は、取引先など需要者と互角に取り組める体制をつくっていくことこそ、これからの銘柄作りの最も重要なポイントの一つなのである。
○人材革新~ベテラン営農指導員の言葉~
 私は田舎生まれで農業の経験もあるが、「農業はだれでもできる」という者もいた。
 農業をするには、気象、植物生理、自然科学、農業科学、土木工学、経済学等々の知識が必要であり、優秀な人材でなければできるものではない。そのためには、本を読む、話を聞く、研修などを通じて実際に体験してみる。そして自ら考えてみる機会をできるだけ多くつくって、自分で自分を、学ぶ、体験する、考えるという環境に追い込んでみることで、初めて体得できるものなのではないだろうか。
○頭で食べる時代の到来
 過去半世紀にわたる食生活の変遷を大筋で見ると、「腹で食べた時代」「口で食べた時代」「目で食べた時代」「頭で食べた時代」となるそうだ
 戦後の食糧難から増産に向かう時代は、人々は食料を「腹」で食べた。芋雑炊、豆雑炊のほか、床芋が主流で、いつも腹ペコだった。銀シャリとかいって、白米飯の夢をみながら腹いっぱい食べるのを無上の喜びとしていた時代であった。
 その後、食料不足の時代が過ぎると、人々は口で食べる時代になる。おいしい果物、ホクホクのカンショやカボチャ。甘みのあるやわらかなキャベツ、ニンジンなどが求められるようになった時代であり、とにかくおいしいもの、おいしくないものを口で味わえるようになったじだいであった
 続いて、目で食べる時代は、過剰時代で産地間、品目間の競合時代である。味がよいだけでなく、みてくれや格好がよいもので、果物などは高級イメージのものが人気を集めた。野菜類も外見のきれいなものが選択され、過剰包装とか漂白ものの発生がめだったことや、食べる雰囲気も花や光、器などで演出する気配りの時代であった。
 現在は頭で食べる時代である。消費者は成熟し、「モノから心」の時代。これは安全か、健康によいか、栄養はどうか、値ごろはどうか、子供や成人病予防のためには、などを考え、自分の価値観に沿って選択的に消費する時代なのである。
 しかし、これらの腹→口→目→頭へという時代背景や消費者の意識の変化が、チャンネルを切り替えるようにして次の時代へ移って行ったのではなく、腹と言う基礎の部分に口や目や頭という要素がプラスされて、現在は複合的に求められている時代にあるといっていいのではないだろうか。
○銘柄づくりの具体的方策
 顧客ニーズの把握、と一口で言っても、なかなかむずかしいものである。・・・そんなときは、顧客の苦情、不満、不便といった文句、クレームのなかから「顧客ニーズ」が発見できるという。ニーズ、要望という肯定的なかたちで把握できなくても、クレーム、苦情という否定的なかたちで受け入れて分析し、それに対応するかたちで解決すれば、結果的に「顧客ニーズの把握」につながるという逆発想もあるそうだ。
 ・・・この転換期に、「いまやらずにいつやる」「おれがやらなくてだれがやる」という気概を持ち、ベストを尽くして銘柄を育てようではないか。胸を張って次の世代に語り継げるものを作っていこう。
最後に応援お願いします。

投稿者 totokaka : 2009年02月05日 List   

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コメント

有機野菜が安全って思っていたけど、その意識自体、消費者として傍観していただけだったんだと気づかされました。
消費者と生産者が結びつくということは面白そうですし、食に関してもっと意識が高まりますね。

投稿者 ハヤシライス : 2009年8月10日 13:34

大変勉強になりました。
単なる無農薬や有機農法云々が安全云々ということではないと思っていましたが、生産者と消費者の相互間情報。立ち場の確認など・・・「産消提携」もっと進めば良いですね。

投稿者 北海道田園暮らし : 2009年8月12日 16:47

コメントありがとうございます。
最近は、直売のお客さんの意識も変わって来ているようです。
 一昔前の、「わがままな消費者」的な方は、ほとんど見受けられず、食や農の現場について「いろいろ教えてください。」と言う方が増えてきました。
 一緒に当事者として考えて行きたいという意識の現われではないかと思います。

投稿者 長谷 : 2009年8月16日 20:18

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