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2008年06月21日
奥深い自然を読み取る喜びとしての農業
めまぐるしく変化する現代社会の中にあっては、様々な問題事象に遭遇しても、ついつい性急に結論を急ぐ余りに問題の本質に迫る『耐力』を喪失しているのではないかと思えます。
「農産物生産様式の概要(リンク )」で紹介されている『農法』を開拓・実践されている先人の方々には、等しくその力が備わっていると感服します。
彼らの説く農法を、うわべだけをなぞって評価するのも、逆にその効用を狙って中味の理解をすることなく真似るのも彼らの本意図するところではないように思えます。農業生産という課題を真正面から捉え、それを実現するために自然の摂理を読み解こうとしている彼らの活動の活力源は、『奥深い自然を読み取る喜び』にあるのではないか、と思えます。
そのような先人の思いに同化するには、相応の感性と看取するに必要な「熟成の期間(とき)」を要するのではないかと感ずる今日この頃です。この感覚は、あらゆる職場のあらゆる仕事場面・人材育成場面にも通ずるのではないでしょうか?
本文を読んでみようという取っ掛かりになれば、という思いで、そのひとつを以下に紹介してみたいと思います。
>よく見てみると、どのキャベツにもアブラムシがついているわけではない。着いているものとついていないものがある。同じキャベツなのにどうしてアブラムシがつくものとつかないものがあるのか。そのことを考えながらみていると、元気に育っているキャベツにはアブラムシがつかず、根元がしっかりしていないものや、芯が折れて脇芽が出ているようなキャベツにアブラムシがついていることが観察された。アブラムシは、キャベツだからといってどの個体にでもつくわけではないようである。私はこのことに気がついた。アブラムシは個体を選別しているのである。元気な個体を避け、元気のない個体に集まっているのである。
【中略】
>私の母が田の土を肥料袋に入れて、そこにミニトマトを植えているのを見たのである。そして、それが実によく生長していたのである。私はこれにヒントを得て、田の土ではなく、雑木林の腐葉土と土を採取して、使い古した鹿沼土、赤玉土、有機配合肥料を混ぜて大きな植木鉢にいれ、ナスの苗を植えた。
【中略】
>このナスはものすごい勢いで生長し、実を着けた。驚いたことに虫が全く着かず、農薬を散布する必要が全然無かったのである。何が幸いしたのか、極めて明瞭である。雑木林の土と腐葉土である。雑木林の土は、表面に落ち葉が重なり、その下に腐葉土があって、さらに腐葉土が熟して黒い土になったものが混じっている。この土が実によく作物を生長させ、それによって虫を遠ざけているのであった。
【中略】
>虫害に関する私の認識の変化は、「無農薬栽培は可能である」という確信が生まれたことである。そして、この確信の内容はその後徐々に整理されてきたのであるが、一言で言えば、「元気な野菜には虫が着かない」ということである。
出典:茅茫庵 「 自適農の世界 」農薬使用から無農薬への道のり
> 以上、茅茫庵の修行(1)から(5)で、話して来たように、私は病虫害や作物の生育不良に相当悩まされ続けながらも少なくとも、農薬についてはほぼ完全に排除できると思えるところにきた。無肥料、不耕起については可能な範囲がかなり広がってきた。除草については、草を畑の中で思いっきり生やすというやり方をとる一方、やはり作物を覆うような状況では制御せざるを得ない、ということである。
> これまでの話の中では話さなかったが、夏作のトマト、ナス、ピーマンではビニールのマルチも平成12年まで使用している。ビニール・マルチをやめる事も必要である。今後の方向の中で、堆肥作りとその使用、畑の外から草を持ち込むこと、有機肥料を含む肥料の使用などを完全に無くすことが必要である。
> また、種子の購入を止め、種子の採取に切り替えていくことも必要である。
こうした問題を完全に解決するためには、まださらに10年の苦節を経ることが必要と思う。しかし、これらの問題はやる意思がありさえすれば必ず身につくものであるとの確信はもっている。どこにその確信の根拠があるかといえば、野や山の植物は人間の手を借りることなく、そうした問題を解決しているからである。したがって、「解決の糸口は野山の観察を続ければ必ず見えてくる」と言いうるのである。
> 私は、いま、新たな試みをはじめた。雑木林を伐採した後地に、完全な不耕起、無除草、無肥料、無農薬の畑を作り始めたのだ。誰もがやるように、土を起こしたり、木の根を掘り起こすのではなく、堆積した落ち葉を取り除いたりせず、労力を極力つぎ込むことのないやり方で、山の斜面をそのまま利用するかたちですすめるのである。山で作物を作るからと言って、焼畑にしたりはしない。無理に畑にしようと木の株を取り除くとか、斜面を平らにするとか、そういった労力をつぎ込むことが実は作物の正常な生長を阻害する原因になることを恐れているからだ。この山の斜面での作物の栽培の経過については、今後このホームページで随時報告したいとおもっているので今後も時々御覧になって頂けるとありがたい。(2001.1.21)
出典:福岡正信の自然農法と茅茫庵(2)
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他のカテゴリーのものも、ジックリ読むと含蓄の多いものです。
しばらくは、このサイトに来訪しては読み進めてみたいと思っています。
by びん
投稿者 ayabin : 2008年06月21日 TweetList
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コメント
投稿者 belgique hermes : 2014年1月29日 01:47
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