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2007年07月13日

割り箸問題を手掛かりに、森林環境を考える(3)

前2回は、現況を把握するため、「割り箸から見た環境問題」環境三四郎(リンク)の記事から割り箸をめぐる情報を見てきました。
箸問題を手掛かりに、森林環境を考える(1)
箸問題を手掛かりに、森林環境を考える(2)
今回は、農林水産省の[平成18年度森林・林業白書の概要](リンク)を概観することで、我が国の林業事情を把握したいと思います。

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●日本の森林資源はストック微増傾向
我が国の森林の4割は人工林(その殆どはスギ・ケヤキ)であり、その大半は戦後植林され、利用可能な資源として充実しつつあります。そして今や、成長した資源を利用しながら、100年後を見据えた森林整備を進めていく必要がある時期を迎えています。
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     図版:樹木高齢級
それというのも、国産材は価格競争圧力に負けて、自給率は昭和30年の約95%から今や20%を割り込むことになったことによります。要は、国内材を使い切れていないので、ストックが増える傾向にあるということです。
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     図版:国産材自給率の推移
しかし、それは健全なストックとは云えないようです。森林は、間伐や枝落しなどの手入れがなされてこそ、樹木や地被部が豊かになっていくものですが、経済活動として間尺に合わないからと放置されれば、見た目以上に軟弱なものとなるようです。
●軟弱な、公益機能(土砂災害防止etc.)
平成16年には、観測史上最多の10個の台風上陸をはじめ、集中豪雨や地震等により各地で山地災害等が相次ぎ、山腹崩壊等の被害箇所が約3万3千か所、立木の風倒等の森林被害が約4万9千haにのぼりました。平成17年においても台風や集中豪雨、豪雪等により、多くの被害が発生しています。
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     図版:多発する山地災害
その原因は、前回紹介した写真を見れば歴然としています。国産材需要が減少することで森林所有者の生産意欲が低下し、林業・木材産業の一層の停滞となれば、結果として森林の手入れの遅れを招き、森林の荒廃、公益的機能の低下につながることが懸念されます。
●森林がもつ多面的機能
1)生物多様性保全
  遺伝子保全/ 生物種保全/ 生態系保全
2)地球環境保全
  地球温暖化の緩和(二酸化炭素吸収)
  地球の気候の安定
3)土砂災害防止/ 土壌保全
  表面侵食防止/ 表層崩壊防止/ その他土砂災害防止
  雪崩防止/ 防風/ 防雪
4)水源かん養
  洪水緩和/ 水資源貯留/ 水量調節/ 水質浄化
5)快適環境形成
  気候緩和/ 大気浄化
  快適生活環境形成(騒音防止 アメニティ)
6)保健・レクレーション
  療養/ 保養(休養 散策 森林浴)
  行楽/ スポーツ
7)文化 
景観・風致
  学習・教育(生産・労働体験の場 自然認識・
        自然とのふれあいの場)
8)物産生産
  木材/ 食糧/ 工業原料/ 工芸材料
●森林がもつ多面的機能の貨幣効果
二酸化炭素吸収  1兆2,391億円/年
化石燃料代替      2,261億円/年
表面侵食防止   28兆2,565億円/年  
表層崩壊防止    8兆4,421億円/年
洪水緩和       6兆4,686億円/年
水資源貯留      8兆7,407億円/年
水質浄化      14兆6,361億円/年
保養(*)       2兆2,546億円/年
資料:日本学術会議答申「地球環境・人間生活にかかわる農業
   及び林業の多面的な機能の評価について」(平成13年
   11月)及び関連付属資料
●我が国の木材需給と木材貿易(2005年)
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     図版:世界の木材輸出入
木材輸入量は、丸太では[中国(3,000万m3)]>[フィンランド(1,600万m3)]>[日本(1,100万m3)]で、製材では[米国(4,400万m3)]>[日本(840万m3)]>[英]>[伊]>[中国(760万m3)]の順。
*急速な経済発展を続ける中国の丸太輸入は、[1990年:700万m3→2005年:3,000万m3]と急増し、世界貿易でのウェイトが高まっています。
木材輸出量は、丸太では[ロシア(4,800万m3)]>[米国(1,000万m3)]で、製材では[カナダ(4,100万m3)]>[ロシア(1,500万m3)]の順。
*ロシアの丸太輸出量は、[1990年:1,100万m3→2005年:4,800万m3]と急増し、世界貿易でのウェイトが高まっています。
◆上記の内容は、中国の割り箸生産において原材料の調達を[国内→ロシア]としたことと符号していることがわかりました。
中国は、平成10年(1998年)に起きた大洪水を契機に、長江上流域等における天然林の伐採禁止等の措置を講じており、国内産の丸太供給が減少し、輸入が増加することになったようです。
日本では、近年、国産材輸出が増加しており、平成15年以降の丸太の輸出量は7千m3を超え、平成17年の輸出量 は2万2千m3と、前年の約3倍となりました。丸太輸出の8割近くが中国への輸出であり、中国への輸出増加が全体の輸出量 増加をけん引しています。
次回は、いよいよ、まとめを行います。
by びん

投稿者 ayabin : 2007年07月13日 List   

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コメント

単なる消費の場になってしまった『家庭』や『学校』ではなく、
生産の場である、この『仕事』をいうものを通して子供達が学んでいく☆
まさしく、そういう場であると思いました♪
こういう場がどんどん拡がって行くことを願っています☆.。.:*・°

投稿者 くぼあき : 2007年9月14日 14:05

くぼあきさん、応援コメントありがとう!!
手前味噌ですが、私たちの企画は、構造認識をもとに練り上げられたもので、確実に子供たちが充足するように様々な工夫がされています。
このノウハウを、全国の色んな地域で参考にしていただけたらな~、なんて野心も抱いています^^;)

投稿者 雅無乱 : 2007年9月15日 04:19

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