森林環境は何のため? |
メイン
2007年08月10日
獣害問題
Hakosukaさんの「鳥獣害」記事に関連して・・・
月の輪熊の捕獲数が、2004年:2,241頭、2006年:5,185頭という記事を目にして驚きました。レッドデータブックに絶滅危惧種が載るたびに報道がなされ、野生動物の数は減っているとの印象があるだけに、意外です。イノシシ、シカ、カモシカ、野うさぎ等も確実に増えているらしいです。
◆野生動物が増えた原因
原因は生息環境がよくなったから、という記事を読んで、「なんで?」と思いました。「人工林の手入れを怠っていたから、野生動物の生息環境が劣化し、人里に下りてくるので獣害が増えている」と思っていましたので、2度ビックリという感じです。
「木を伐ると、その跡地に草が生える。だから伐採跡地は、ウサギ、シカ、カモシカなどにとっては格好の餌場になる。」というのです。
山林では、「造林地も伐採地も年とともに木が茂ると下草が減ってくる。→食べ物に困った野性動物は、木の皮を食べる。→その木が枯れると下草が生えて餌となる。」という悪循環が起きている、というんです。
イノシシの場合は、農地の放棄などが餌場とねぐらの提供になっているというから厄介です。つまり、「農地の放棄→ススキや笹の繁茂→土中にミミズが増える→餌場・ねぐらの提供となる→新たな餌場を求めて近場の耕作地に出没→さらに農地の放棄⇒イノシシの増加」と、こちらも負のループ・・・
(参考:「森林からのニッポン再生」田中淳夫著/平凡社新書)
今回も、応援を願いします。
>獣害を逆手 食となす /北海道・エゾシカ協会に学ぶ
> 増え過ぎたエゾシカを地域資源に生かそう―。【中略】中国地方が悩むイノシシ対策への教訓を求め、協会を訪ねた。(続きを読む)
◆里山の手入れの意味?
昔は、堆肥を作るために下草を刈り、屋根葺きの材料確保のために萱をかり、薪や炭作りのために雑木を伐ることが結果として「里山の手入れ」となっていた。そして、そこが山場と人里の境界を形成し野生動物との棲み分けを可能にしていた、ということでしょう。
北大牧場の林間放牧
暮らし向きが変わったり、化学肥料の使用で生産のサイクルが自然の物質循環からはずれて悪循環をきたしている、という現実を見据え、
有機農法の見直し/林間地放牧の導入/バイオエネルギー利用etc.
の農・林・畜産などの一体的・相乗的な試みをすることでないと廻っていかないのではないでしょうか? そのためには、「手付かずの自然こそが第一」などの固定観念に囚われることなく、自然の摂理を見据えた「新たな新規参入企業を誘導する基盤の整備(法制化・税制化・・・)」なども必要に思われます。
by びん
投稿者 ayabin : 2007年08月10日 TweetList
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.new-agriculture.com/blog/2007/08/322.html/trackback