2007年8月4日
2007年08月04日
植物の養分吸収とイオン相互の関係
この前は、トマト の“尻腐れ病”から、カルシウム について少し勉強してみました。
が、カルシウムが足りないからと言って、カルシウムだけ与えていればいいというものではなくて 、要するにそれは、作物が必要としている養分を、根からしっかり吸収できていない状態なんだ 、ということに今さらながら気づかされてしまった小松です。
という訳で、今回は、作物は必要な養分をどのように根から吸収しているのか、必要な養分をしっかり吸収させるには何に気をつければいいのか、というようなことについての記述があったので、紹介したいと思います。
以下、「農耕と園芸」2007年8月号より転載します。
【知っておきたい土壌と肥料の知識283】
~植物の養分吸収とイオン相互の関係~(加藤哲郎)
植物が根から養分を吸収する場合、すべてイオンの形で行われる。主な必須成分の中でも、カリウムとカルシウム、マグネシウムなどは陽イオン(プラスイオン)の形で、リンはリン酸として陰イオン(マイナスイオン)の形で、窒素はアンモニア態の陽イオン、または、硝酸態の陰イオンの形で吸収される。
しかし、植物体が養分を吸収する場合、各種のイオンが存在するが、相互のイオンによって吸収が妨げられることがある。このような現象を拮抗作用といい、陽イオン相互間、陰イオン相互間で認められる。一般には等荷電同士の間で強く起こるが、荷電が異なったものの間でも拮抗作用は認められている。
拮抗作用としては、例えば、作物によるカリウムの吸収は、アンモニアや硝酸、リン(リン酸)、カルシウム、マグネシウム、ホウ素などと関係がある。特にマグネシウムとの拮抗は知られており、マグネシウムが多い状態では、カリウムの吸収は抑えられる。また、カリウムの吸収が多すぎると、カルシウムやマグネシウム、ホウ素、リン酸などは抑えられて吸収されにくくなる。
また、拮抗作用とは反対に、植物による土壌中のイオン吸収が相互のイオンによって促進されることを相助作用(相乗作用)という。相助作用は、窒素とリン酸、リン酸とマグネシウム、などとの間で認められている。リン酸があると窒素の吸収がよく、マグネシウムがあるとリン酸の吸収がよくなり、カリウムは鉄やマンガンがあると、吸収が促進されるといわれている。
窒素吸収が低下して、葉の色つやが悪かったり、茎が太くならなかったりすると、窒素肥料を投入しがちである。しかし、土壌中に窒素分が存在することもありうるので、リン酸分が少ない土壌では、相助効果を考慮して、ある程度リン酸を施用して効かせると、窒素の吸収が上がることもある。拮抗作用と相助作用の例については、表1に示した。
【表1】ファイルをダウンロード
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投稿者 komayu : 2007年08月04日 Tweet