2007年8月11日
2007年08月11日
稲作の持続性と環境維持
こんにちは。
お盆明けからの稲刈りに向けて、準備に大忙し
の長谷です。
森林環境や獣害の記事を興味深く拝見しています。
ところで、水田稲作と言うと、日本を含め東アジアを中心に行われている極めて持続性の高い農業生産様式ですが、森林等の維持管理とも深く関係して来た歴史があるようです。
持続性の高い水田農業ですが、その地力維持に主要な役割を果たしているのが、
・湛水(かんがい)
・有機物の投入
この内、有機物の投入については、稲わらの鋤き込み(土に戻す)が主ですが、それに加えて、イネ科の雑草(しかも水田雑草でないもの)もかなりの量だったようです。
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低投入稲作を提唱されている橋川潮氏の著書
「21世紀への提言 低投入稲作は可能」富民協会によると
水田土壌中のプラントオパール(http://www.paleolabo.jp/puranntoeae.html)の解析によって、水田に、どれだけのイネ科植物が投入されてきたかがわかるそうで、
滋賀県の旧草津市、栗東町の水田6箇所(稲作年代は330~2000年と様々)で調査したところ
10a(1000㎡)あたり1年間に平均で
稲わら 430kg
イネ科雑草 240kg
という結果。
稲わらは、おそらく全部鋤き込んだのでしょう。稲わらを諸々の資材として利用する時代になっても、使い終われば、最終的には水田へ戻していたようですから、同様です。
しかし、驚くのは、稲わら以外に、イネ科雑草をこんなにも多く投入していることです。
以下、上記著書より引用
稲わら以外のイネ科植物の投入量も多い。これらのほとんどは水田雑草ではなく、周辺部の草を刈り、乾かし、刈り敷きしたとみるのが妥当である。付帯地に山林をもたない地域では、三里も離れた金勝(こんぜ、現・栗東町)の山から干草を運び、刈敷きしたことであろう。そこに、稲作にかけた労苦を垣間みることができる。つい半世紀前までのわれわれの祖先たちの生業がまぶたに浮かんでくる。
つまり、
『一番の糧である米の持続的な生産活動が、そのまま、山や里の維持管理とも重なっていたということで、あらためて、自然の摂理に適った持続的な営みについて考える重要性を感じます。
さすがに、私の住んでいる農村でも、茶畑に、抑草目的で刈ってきた葦を敷いて、そのまま土に戻すという農家はあっても、山の刈草や腐葉土を水田へ入れることは、行われなくなっています。
投稿者 naganobu : 2007年08月11日 Tweet