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2007年07月08日

割り箸問題を手掛かりに、森林環境を考える(2)

前回同様、問題を把握するため、基礎的な事実抽出の続きです。
(「割り箸から見た環境問題」環境三四郎/1999年度春調査プロジェクト
http://www.sanshiro.ne.jp/activity/frame.htm?99/k01/6_18prs1.htm

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==========抜粋・要約==========
●輸入増による国産の割り箸流通経路の変化と価格破壊
国産の割り箸は、従来のルートでは大卸問屋と箸業組合の専門問屋の二つの問屋を通ることが多かった。割り箸輸入が増加するに伴い、国内産の割り箸の流通にもコスト圧力がかかるようになって、卸問屋が飲食店チェーンに直接販売することや、専門問屋が製箸工場から直接購入することも行われるようになり、国産の割り箸に関しても価格破壊が進んだ。
●中国での割り箸生産
木製の割り箸は、中国北方の黒龍江省、吉林省、遼寧省、内蒙古自治区などの森林から取ったアスペン・シラカバ・エゾマツなどの木が原料で、他に用途が少なく低価格のことから、中国ではこれらの木を、一本すべて、丸太の細い部分から太い部分まで割り箸にしている。(*日本の間伐材や端材利用とは事情が違う)
製造された割り箸は品質によって等級別に分けられ、上等なものは日本に輸出され、品質の劣るものは中国での国内消費に当てられる。
日本への輸出はほとんど、大連港から海路で行われる。
竹製の割り箸は、中国南方の揚子江流域の各省で製造されている。原料は工場周辺で伐採されたもので、工場は民営で従業員10人以下の小規模なものが多い。日本や中国の商社がそれらの工場で作られたものを取りまとめ、加工の仕上げをして、上海などいくつかの港から海路で輸出している。
従来は輸入してから日本国内で箸の選別、袋詰めをおこなっていたが、最近では中国での技術水準も向上し、中国国内で箸の選別や袋詰めをおこなうケースも増えている。
●中国の森林伐採形態とその問題点
中国北部では割り箸生産を目的として森林が皆伐方式で伐採されている。伐採後は植林がほとんどされず、多くが農地に転用されている。
それは、ある樹齢に達したものを選んで伐採する択伐方式とは異なり、安価で作業を効率的におこなうことができるためであるが、そのことによって木材を継続的に供給することができなくなり、大規模な皆伐は時に表土の流出・荒廃を招く。
それは、森林減少によって土壌保全や水の浄化といった公益的機能の喪失という問題を引き起こすということでもある。
中国では法律で植林が義務付けられているが、ほとんど守られていないので森林が減少し、現状のままでは中国の林業はあと3、4 年で必ず崩壊するとみられている。
一方、日本国内には大量の木材が蓄積し、割り箸用の木材を国内で自給できるのに、中国から割り箸という形で木材を輸入している。森林の増加する国へ減少する国から木材資源が流れるという不合理がある。
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          ↑林野庁HP>森林・林業白書 より
●森林資源の公益的機能
木材入手や農地拡大のための安易な森林の伐採によってその機能が失われれば、被害は広域的に及ぶという問題がある。
中国では北部や長江流域で大洪水が発生し、中国政府は日本へ輸出する割り箸生産のための森林伐採で土地の保水能力がなくなったことが原因で洪水が発生したとの見解を表明した。「森林が国土の7割の日本が2割未満の中国から森林資源を奪っている。」との批判もしている。
森林には保水能力(リンクhttp://www2.edu.ipa.go.jp/gz/w1rin1/w1f/w1fa/IPA-rin350.htm)があり、それが森林が「緑のダム」と呼ばれる理由である。雨水に含まれる窒素やリンなどは、森林の土のなかをゆっくりと流れる間に、植物に吸収されたり、土により吸着・ろ過される。
表土が落ち葉や枯れ枝が積み重なっていたり、木の根が張り巡らされて土をしっかりとつかんでいるので、土砂流出や崩れを抑える働きをしている。
また、空気を浄化したり、騒音を防いだり、安らぎや憩いの空間を作る森林は、快適な生活環境を作ってくれる。
以上などが、森林資源の公益的機能といえる。それらの機能を保全するためのコストが木材の価格に反映されていなければ、森林維持と林業とは両立しない。
健全な人工林を育成するには人の手入れが不可欠である。木材の生み出す利益が森林育成費用に還元されれば、良質な木材の産出、経済的利益の創出、森林の適切な管理・手入れ、健全な森林の育成、という好循環が生まれる。
この好循環は森林を利用しながら、公益的機能の高い森林を育成するという林業のあるべき姿といえる。ここで間伐材も利用されて割り箸などの製品に加工され、経済的利益を生み出すことで、間伐などの森林管理の費用として還元される。
引用元の続きを読む方は
http://www.sanshiro.ne.jp/activity/frame.htm?99/k01/6_18prs1.htm

==========要約終了==========
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          ↑林野庁HP>森林・林業白書> より
●今回のポイントは、
・低コストの輸入割り箸の増大で、国産割り箸の流通再編
 が起こり、それが価格破壊をもたらした。
・中国産木製の割り箸の製造における特徴は、間伐材や
 端材利用でなく、木材をまるっぽ使うこと。
・しかも、割り箸の材料入手のために「皆伐」するので、
→表土の流出・荒廃を招く。
→森林減少による公益的機能の喪失問題を引き起こす。
・木材の生み出す利益を森林育成費用に還元することで、
 森林の適切な管理・手入れ、健全な森林の育成、という
 好循環が生まれる。
*森林資源の公益的機能
・森林の保水能力(=緑のダム)/土壌保全/水の浄化能力/
 快適な生活環境(空気浄化・騒音防止・安らぎや憩いの
 提供etc.)の創出/等など
★森林資源の豊かな日本の森林が荒廃するのに、砂漠化
 などの問題を抱える中国から森林資源を輸入する矛盾。
⇒次回は、「どうしたら、いい?」に迫ります。
最後までよんでくれて、ありがとう! /by びん

投稿者 ayabin : 2007年07月08日 List   

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